ウォーター

第十部

 

洋恵の中はかなり複雑な形をして宏一の指を締め付けていた。宏

一は、洋恵の体をすぐに大人にはしたくなかった。ゆっくりと時

間をかけ、好みの体にしてから楽しむつもりだった。そのために

は、まず指で刺激になれさせることが第一だった。経験の少ない

少女は、男を激しく受け入れると、まず秘口の入り口がヒリヒリ

して痛くなる。宏一は指で入り口付近を十分に刺激に慣らしてか

らセックスを楽しむつもりだった。

今の宏一には、他に由美や明子が相手をしてくれるのでそれくら

いの余裕はあった。

中指を入り口付近でゆっくりと出し入れすると、

「いいっ、それ、いいっ、いいっ」

と洋恵の尻が小刻みに左右に振れる。少しふっくらとした体はま

だ腰のあたりに幼いラインを残している。

「ほうら、気持ち良くなったろ、今度は洋恵ちゃんの番だよ」

そう言うと、洋恵の顔を宏一のトランクスに導いた。はぁ、はぁ、

と息を乱しながら宏一の又に顔を埋めた洋恵は、ゆっくりと頬ず

りをすると指で中から肉棒を取り出し、小さな口に含むと顔を前

後に動かし始めた。

 

「洋恵ちゃん、上手になったね、とっても気持ちいいよ。いっぱ

いお口の中に入れてね」

宏一は、三度目にしてはスムースに顔を上下させている洋恵のフェ

ラチオに満足しながら、髪を撫でていた。

「そうだ、ベッドの上でお互いに愛し合おう」

そう言うと、自分も服を脱いでベッドの上に上がり、洋恵を招い

た。反対向きに宏一を跨がせ、

「僕も愛してあげるから」

と言うと、

「えーっ、こんな格好するの、凄い格好よ」

と少しためらいを見せたが、宏一がゆっくりと秘部を舐め始めると

「はうっ、はあっ、はーっ、いいっ」

と感じ始め、再び肉棒を含んで顔を動かし始めた。しかし、だん

だんと快感に耐えられなくなり、

「ああっ、だめ、はうっ、気持ちよすぎて、できない、先生、ご

めんなさい、気持ちいい」

と顔を外し、手で握ってしごき始める。更に、秘核を中心に攻め

ていくと、

「ああーっ、先生、だめ、変になる、許して、はあーっ」

と体を堅くして来るべき絶頂感に身構える。しかし、宏一は寸前

で中断し、

「どうしたの、痛いの?」

ととぼけてしまう。

洋恵は寸前で中断され、

「あうっ、ああっ、いや、変なの、途中で止めちゃ、いじわる、

はっ、はっ」

と体の中に堪った寸前の感覚に戸惑っている。再び宏一が舐め始

めると、

「はあっ、いいっ、せんせっ、いいっ、このまま、あうっ」

と顔を宏一の茂みにこすりつけ、快感に飲み込まれて行く。やが

て、

「ああっ、いっちゃう、飛んじゃう、ああっ、凄い、いいっ、は

うっ」

と肉棒をぎゅっと握りしめたまま硬直する。

「うっ、うっ、ううっ、はあーっ」

と洋恵は何度か軽く痙攣していたが、やがて体を起こすと体の向

きを変え、宏一の横に横たわって横から宏一に抱きついてきた。

 

「どうだった?」

「凄かった。あんなにいいものだなんて、初めて、うれしい。先

生って上手なのね」

と宏一の胸に顔を当てて甘えている。

「でもわたしだけだなんて少し恥ずかしい」

といいながら体全体を宏一にこすりつけて、少しずつ自分から感

じ始めて行く。しばらく優しく髪を撫でていたが、

「洋恵ちゃん、のどが渇いたね、アイスティーでも入れてくれな

いか」

と洋恵をキッチンに立たせた。洋恵はTシャツ一枚の姿でお湯を

沸かし、カップの準備を始める。Tシャツの下からは少し幼い茂

みが覗いている。そんな姿を見ていると再び宏一の中に欲望が滾っ

てきた。洋恵の後ろに立ち、Tシャツの中の膨らみと茂みの中に

手を這わせていくと、

「ああーん、だめよ、待って、もうすぐ終わるからぁ」

と口では抵抗しているが、首筋を舐められ、乳房を握りしめられ

て、体をくねらせている。

 もはや支度どころではないという感じだ。宏一が肉棒を洋恵の

尻から差し込み、秘核を擦りあげるようにすると、

「あーっ、だめっ」

と流しを握りしめて、のけ反って尻を宏一に押しつけてくる。肉

棒を差し込んだまま、Tシャツを脱がし、両手で乳房を握りしめ

て、

「どうする?まだ支度を続ける?それともこのままベッドに行

く?」

と耳元でささやくと、体をのけ反らせたまま、

「せ、先生が、飲みたいって、ううっ、言ったくせに、ああん、

はやく、・・・ベッドで・・・、して」

とせがむ。レンジの火が消えているのを確認してから、洋恵をベ

ッドで四つん這いにさせ、指をゆっくりと入れていくと

「はうっ、はうっ、いいっ、先生っ、いいっ、もっと動かして、

ああっ、いいっ」

と可愛い声を上げ始めた。

二人は夕方まで何度もお互いを刺激し合い、宏一も二度、洋

恵の口の中に出した。洋恵は、最後は痛い、痛い、と擦り続け

た秘部を痛がっていたが、それでも二度ばかり達すると、ぐっ

たりとして宏一の上に体を預けてきた。

 

「あのね、先生、いいことがあるの」

と、宏一にキスをしながら話し始めた。

「この前、先生に言われたように、九州まで先生が付いていって

くれるって話したら、それならおじさんにフェリー乗り場まで迎

えに来てもらおうかって。だから、九州に行けそうなの」

「いつ頃になりそうなんだい」

「えーとね、お盆過ぎぐらいかな、おじさんはお盆ぐらいまでい

つも忙しいから」

「それなら丁度都合がいいよ、僕もそのころにお盆休みを取ろう

と思っているんだ。フェリーの切符は僕が取るよ、楽しい旅にし

ようね」

「先生、それまでにいろいろ教えてね」

「洋恵ちゃんの体はまだなれていないから、すぐに痛くなっちゃっ

たろ、もう少し刺激になれるようにしてからいっぱい愛してあげ

る。それまでちゃんと言うことを聞くんだよ」

「うん、優しく教えてね」

「ちゃんと覚えるんだよ、洋恵ちゃん、好きだよ」

「先生、大好き」

二人は再びお互いを求め合った。

 

 夕方までたっぷり楽しんでから洋恵が帰ると、宏一は夕食を済

ませ、九州に電話をした。九州に行くことがどうやら決まったの

で、どうしても電話したいところがあったのだ。現在は鹿児島に

住んでいる溝口史恵は、大学時代の鉄道研究会での知り合いだっ

た。まだ高校生だった史恵は父親の転勤について東京に来ていた

のだが、高校が宏一の大学の近くだったことから友人に誘われて

鉄道研究会に出入りするようになっていた。

 三谷と気が合う方で、何回か鉄道の研究と称するツアーに一緒

に旅行したことがある。宏一は、いつも旅行中はぴったりとくっ

ついて離れない史恵を、何度か誘って関係を持とうとした事があ

るが、史恵はなかなか最後まで許さなかった。史恵にしても宏一

が大好きだったのだが、なかなか勇気が出なかっただけで何回か

宏一に誘われると次第に体を許しても良いという気持ちになって

いった。史恵の父が再び転勤で九州に戻ることが決まったとき、

史恵は宏一の誘いに乗ることにした。このまま別れるのはあまり

にも中途半端で心の整理ができないと思ったからだ。

宏一を受け入れたとき、史恵は初めてで、痛さに泣いていたのが

ダイヤルする宏一の記憶に鮮明によみがえってきた。

 その当時、二人のふだんの生活には全く接点がなかったが、と

にかく旅行に関してだけは、よく宏一の誘いに乗ってきた。洋恵

と旅行の話をしている内に九州の話が出たとき、もし、九州に行

けるようだったら史恵を誘ってみようと思い付いた。

 史恵からもらった手紙を頼りに実家に電話すると、母親が鹿児

島市内で一人暮らしをしていると丁寧に電話番号を教えてくれた。

 そこで、史恵の部屋に電話してみると、留守電になっていた。

仕方なく、簡単な挨拶と、日取りなどを入れ、連絡が欲しいと宏

一の番号を教えて電話を切った。

 部屋で横になると、さすがに一日の疲れがどっと出てきた。明

子と洋恵を立て続けに相手にしたのだ。体がまるで水を吸った綿

のようで、いつの間にかそのまま眠りに引き込まれていった。ふ

と電話の音に目を覚まし、受話器を取ると明るい史恵の声が響い

てきた。

「三谷さんなの?本当?嬉しいわ、お久しぶり。どうしたの?急

に電話くれるなんて」

「あのね、16日から19日まで時間あいてる?」

「どうしたの、急に。私は社会人になったんですからね。それに、

東京なんて遠くて、新人は貧乏なんですよ」

電話をかけてきた理由が分からずに少し戸惑っているようだ。

「そっか、ごめんね、急な話だからびっくりしちゃったんだね。

久しぶりに声が聞けて嬉しいよ」

「私だって一人暮らしで寂しい思いしてるんだから。こっちに来

たときは声かけて下さい。いつでも待ってますよ」

宏一はまだ行くことを伝えていなかったことに気づき、あわてて

付け足した。

「だから、16日から19日までそっちに行くんだけど、案内してく

れないかな?」

「えーっ、こっちに来るんですか!それなら大歓迎ですよ。いっ

ぱい案内しますよ。飛行機ですか?」

電話の声が急に明るくなった。

「いや、日向にフェリーで着くんだ。出迎えてもらえる?」

「えーっと、何時頃着くんですか、その日は出勤日だから・・・」

「三時過ぎなんだけど・・・出勤日なんじゃ無理かな、電車で

そっちに行こうか」

史恵は少し考えていたようだが、

「えーと、分かりました。しばらく待っててくれれば迎えに行き

ます。5時頃になりますけど」

「いいよ、それくらい。お茶でも飲んで待ってるから。19日の夜

に日向を出るまでずっと一緒にいてくれるって思ってていいのか

な」

ここが大事なところなのだ。史恵がいてくれないと一人でさみし

くうろつき回らねばならない。

「えーっと、もっと前に話してくれれば良かったのに・・・・、

たぶん大丈夫じゃないかと思うんですけど、正確なところは課長

の許可をもらわないと・・」

本人はその気になっていることが分かったので、ほっとした。

 「分かった。急な話で無理言ってるのはこっちだから、無理は

言えないよ。分かったら教えてね」

そう言うと、史恵はあまり自分が乗り気ではないと思われている

と勘違いしたようだ。

「そんなことありませんよ、三谷さんに会えるなんてとっても嬉

しいんです。明日、ちゃんと返事しますからそれまで待ってて下

さい」

 「分かった。僕も楽しみにしているよ」

宏一が苦笑して言うと、

「それにしても、どうして急にこっちに来ることになったんです

か?」

と改めて聞いてきた。

「あのね、家庭教師をしている子が社会勉強で夏休みに一人で九

州の親戚に旅行することになったんだけど、東京から九州に着く

まで心配だから付いていってくれないかって頼まれたんだ。

 だから、到着してしまえば用無しなんだ。それで電話したんだ」

と、少し脚色したが、だいたいの所は正確に話した。

もちろん、家庭教師をしている子が女の子で、宏一から持ちかけ

た話であることは黙っていた。

史恵は適当に解釈したようだ。

「じゃあ、大変なんですね。でも、こっちに来てくれるなんてとっ

ても嬉しいです。明日、電話しますから待ってて下さい」

宏一は仕事の話等を少し話をしてから電話を切った。

 

 月曜日は、いつもの通り早めに出社した。日曜日は一日ゆっく

り休んだのでさほど疲れは残っていない。一つ気がかりなのは、

昨日は史恵が連絡してこなかったことだ。約束を反故にするよう

な子ではないので、何かあったのだろうとよけい気がかりになる。

今日も連絡してこないようなら夜にでも連絡してみよう、そう気

持ちを切り替えて開発中のシステムを立ち上げた。

 経理関係のシステムは、面倒ではあったが確実に進んでいた。

入力は従来通りの市販のソフトを使うので、面倒な入力画面の作

成などがないからだ。やはり、時間を食うのは営業関係だ。従来

は電話で問い合わせたりしていた在庫状態を携帯端末に転送した

り、携帯端末から売り上げの伝票処理までできるようにしようと

言うのだから、宏一には、そこまでしなくても、と思える部分が

多かった。

 携帯端末を使ったから売り上げが増えるというわけでもないだ

ろうに、と作業量の膨大さにあきれていた。営業部は、いろいろ

な携帯端末がある中からミニノートといわれる小型パソコンを選

択した。

カラー表示が可能で、会社のソフトがそのまま使えること、と言

う条件の中では一番小型の端末だが、1キロ少々の端末の他に、

予備のバッテリーやPHS、接続コード類を従来の鞄に入れると

半分近くが埋まってしまうことになり、全員一回り大型の丈夫な

鞄に交換することになっていた。

 どこの会社でも営業部の意見は強いものだが、総務部長の話だ

と、この会社では特に営業の声がよく通るようだ。その分、経理

がいい加減なのかも知れない。売り上げが十分に上がっているの

で、営業マンの細かいミスを経理が営業に訂正させる事はほとん

どないらしい。木下部長のような横領が発覚しないのも、そのよ

うな体質が根底にあるからなのだろう。

 木下部長はこの日、機嫌が良かった。先週は、宏一が横領額の

訂正率を小さくしたので、ほとんど今までと同じ金額が手に入っ

たはずだ。由美との旅行が終わるまでは、懐具合を少し暖かくし

てやる必要があるので、今回も訂正率は先週よりやや小さい程度

に留めた。

 宏一は、今週は機材の選定をする予定である。パソコンはその

まま使用するとしても、営業マンとの通信に対応したり、営業、

経理からのデータを一括管理するためにはどうしても簡単なサー

バーを設置した方が効率がよい。もちろん、40人ほどの営業マン

しかいないから、小さいものに記憶容量だけ少し増やすだけで十

分なはずだった。

 その他、通信機器やソフトなど選定するべきものは結構あった。

業者が置いていったカタログを検討し、ワープロと表計算ソフト

で比較書を作成するのが今週の仕事だ。その後は、パソコンをつ

なぐ仕様を決定して工事の手配をしなければならない。

ここまでをお盆前に片付け、お盆中の休み期間に工事を終える予

定だった。お盆明けに仕事が始まったときにも、従来と同じ程度

の、つまり部署単位での簡単なネットワークを作っておく必要は

あったが、経理や購買だけなので一日程度で終わるはずだった。

由美と一緒に旅行するためには、今週の仕事を手早く済ます必要

があり、洋恵と九州に旅行するためには工事までを遅滞なく済ま

せておく必要がある。考えてみれば結構ハードな仕事である。

 しかし、宏一は由美や洋恵と旅行できるなら、徹夜も仕方ない

と思っていた。

 昼食前に、会社出入りの業者が顔を出し、さりげなく昼食を誘っ

てきた。総額一千万を越える機材の購入となれば向こうも必死で

ある。

 宏一は、自分の所属する人材バンクを通して発注することに決

めていたが、昼食程度は付き合っておかないと、あとあと細かい

消耗品の購入で意地悪されないとも限らない。早めに昼食に出て、

業者とウナギを食べながら宏一が説得する番だった。

 今回の宏一の仕事は、システムの開発だけでなく機材の発注も

含めて人材派遣会社に一任されていること、宏一には派遣会社を

通して主要機材を発注する義務があることなどを説明し、ソフト

の開発を一部派遣会社を通して外注に出す関係上、機材の発注を

ごまかして一部だけお宅に回すことなどできない、と説明し、ウ

ナギの代金を置いて一人で出てきた。あまり押しの強くない業者

と見えて、追っては来なかった。

 宏一が昼食から戻ると、今度は営業部長が待っていた。会議室

でコーヒーを飲みながら営業マンの営業形態がどのように変わる

のか、想定される場面を説明して欲しいという。宏一はややうん

ざりしていたが、根気よく説明を始めた。

「まず、出社ですが、出勤管理システムがサーバーにつながって

いますので、端末からアクセスすることで出勤したことになりま

す」

「ちょっと待ってくれ、それじゃ、家にいても端末からアクセス

すれば出勤したことになるのか、それは困る。いくらでもサボれ

るぞ」

「直行や直帰の場合がありますからこの方が柔軟に運用できるは

ずです。もちろん、従来のように社内でのICカードによるタイ

ムスタンプもできます。どの端末からアクセスしたのか記録が残

るようにしておきますから、端末からの出社記録は原則は禁止に

して、必要なときに使用すればいいと思います。それを管理でき

るのは課長以上です」

「それなら分かる。済まなかった、先を続けてくれ。それよりも、

ほかの部長にも聞かせてやろう。ちょっと待ってくれ」

そう言って足早に出て行くと、ものの5分も経たないうちに営業

の部長が四人集まった。宏一が、出勤管理システムについて説明

した後、営業活動の説明に入った。

「端末からアクセスできるのは出勤管理システムの他、営業の全

ての端末、経理の売り上げ管理システム、購買の発注管理システ

ムなど、多岐に渉ります。しかし、全部に自由に入れるわけでは

なくて、営業からの入力が必要な部分の近くだけです。読み込み

しかできないものもあります。現在、購買や経理の方に営業に対

してどこに入力して欲しくて、どこを見せてはいけないのか選択

してもらっています。

 営業に対して見せると言うことは、外部の人間が見る可能性も

ゼロではないわけですから慎重にならざるを得ないと思います。

 詳細についてはもう少しお待ち下さい。ただし、営業の各パソ

コンにはアクセスできるわけですから、営業マンの各フォルダー

には営業に必要な資料などを貯めておけば、必要なときに外部か

らPHSで読み出すことが可能です。プレゼンテーションなどに

使うのが流行っているようですから十分にシステムを生かすよう

にされればいいと思います。購買の在庫管理システムにもアクセ

スできますので、発注状況や納期の確認もこの事務所と同じレベ

ルで可能になります」

「それは凄い、いちいち電話まで走らなくても済むのか」

「しかし、ご忠告させていただきますが、電池は二時間しか保ち

ませんので、つけっぱなしにしておくと意外と速く使えなくなり

ます。ここぞと言うときにお使いになる方が効果的かと思います。

物珍しさは別にして、小さな画面一つに大人が何人も顔を寄せ合っ

ているのは決していいものではないはずです」

「結構クールに言うんだね、確かにパソコン使ったって品物が売

れる訳じゃない。いいアドバイスだね、ありがとう」

営業一課の部長が素っ気なくいった。

 結局、更に二時間近く説明や討論を繰り返してやっと解放され

た。その日は仕事が進まずに参ったが、営業の意見もここに来て

出つくした感があったので良しとすることにした。その日の夜、

部屋に帰ってしばらくすると史恵から電話があった。

 「もしもし、三谷さんですか、溝口です。昨日は連絡できなく

てごめんなさい。課長がなかなか戻ってこなくて、遅くなったも

のですから」

「いいよ。どうだった?」

「大丈夫」

史恵は一言いっただけだった。

「大丈夫って事は、日曜日に話した予定でいいってことかい」

「そうです、でも・・・」

今日の史恵の口は重いようだ。

「どうしたの?都合付かない日でもあるの?」

宏一は少し心配して訪ねた。

「そうじゃないんですけど・・・・何でもありません。気にしな

いで下さい。よけいなこと考えちゃった。日向に着くんでしたね。

迎えに行きますから待ってて下さい」

急に声が明るくなった。

「今は車を持ってるんですよ、中古だけど」

史恵は少し恥ずかしそうに話し出した。

「だから、フレックスで早めに上がらせてもらって車で行きます」

「すごいね、もう車を持ってるんだ。俺なんか未だに持ってない

のに」

「東京じゃ必要ないじゃないですか」

史恵は何かを思い切ったようだ。話がはずみだした。

「宿はこっちで手配するから、それでいいかな?」

「もちろん、よろしくお願いします」

「何か希望ある?」

「いえ、でも・・・ステキなところがいいな」

「分かったよ、すてきな所ね」

宏一は久しぶりに史恵が抱けると知って嬉しくて仕方がなかった。

それから、お互いのことなどを話し合い、1時間近くして電話を

切った。

 

 由美は、部屋に入ると鞄を置いて、時間を確認するとシャワー

ルームに入った。まだ宏一が来るまでには十分な時間がある。宏

一に全てを許してしまった以上、汗くさい体で宏一に抱かれるの

はいやだった。

ノブを思いっきり回し、冷たいシャワーを浴びると体がさっぱり

した。シャワーを少し温かくしてゆっくりと体を洗いながら、宏

一のことを考えていた。優しくしてくれるときは、全てを預けて

もいいと思うほど私を包んでくれるのに、時々、嫌らしい言葉で

困らせる宏一が好きでもあり、少し嫌いだった。

口座に毎回定期的にお金を振り込んでくれることは、とってもあ

りがたいと思っていた。由美が知る限り、一度も入金されなかっ

たことはなかった。そのことだけでも、由美はもっと宏一に感謝

しなければいけない。体を拭きながら、もっと宏一に好きになっ

てもらおう、そう思うと体の芯が熱くなり、制服を着て勉強の支

度を始める頃にはショーツの中心が少し湿ってきた。

今日はどんな風にされるのかしら・・・、そう考えるだけで自分

の体が反応を始めるのが分かった。最初はあんなにいやだった口

での奉仕も、お互いにする事を知ってからあまりいやではなくな

り、今は少しだけ待ちこがれていた。

 宏一が入ってきたときは、由美は数学の練習問題を解いていた。

宏一は、最初は何もしてこない。それが分かっているので、安心

して甘えてきた。

「この式を整理しなくちゃいけないんですけど、aマイナスbで

割るところまではできたんです。でもこのあとが分からなくて・

・・」

「えーとね、最初の式を見てごらん、aもbもcも全て同じよう

に並んでるよね、aとbを入れ替えても同じ式になるだろ、これ

は同次式って言ってaマイナスbで割れるんなら、bマイナスc

でも割れるはずだよ。やってごらん」

そう言いながら、コンビニで買ってきたプリンやジュースを並べ

た。そして、通帳を置くと、由美はちらっと見ただけで再び式を

解き始めた。しばらくして、

「本当だ、ちゃんときれいに割れました。みんなであれだけ考え

ても解けなかったのに」

と驚いている。

「あとは、何で割ればいいか分かるだろ、さあ、やってごらん」

「えーっと、aマイナスbとbマイナスcで割れたんだから、そ

うか、cマイナスaでも割れるはずなんだわ。・・・本当だ、解

けた」由美は尊敬のまなざしで宏一を見ているのが分かった。

 宏一が唇を重ねると素直に体を預けてくる。唇を離すとすでに

潤んだ目で宏一を見つめている。制服の裾から手を入れ、小さめ

のカップを両手で包んでも由美は目をつぶってじっとしている。

これから始まることを待ち望んでいるようだ。



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