ウォーター

第百十部

 


「そう・・・。ねぇ、いずれは別れることになったとしても、どうして今日、話をすることにしたの?」

そう言うと、友絵は少し表情を曇らせた。

「それを私に言わせるんですか?もう、宏一さんて、本当に意地悪なんだから」

「だって・・・」

「宏一さんがそばにいてくれたから。それだけです」

「・・・・・・・・・・」

「分かってます。私、それでも宏一さんと恋人で居たいんです。本当であろうと無かろうと。宏一さん、あの日、私がどんな気持ちで宏一さんに話しかけたと思います?」

「どんなって、最初のあの日に?」

「そうです。ここに最初に連れてきてくれた日、です」

「ちょっと興味があったって感じだったと思うけど」

「そんな程度で女の子から話しかけたりしませんよ」

「どうだったの?」

「もう、どうにでもなれって感じかな?だって、宏一さんがどんな人だか全然分からなかったから。それに付き合ってる人はいるみたいだったし」

「たぶん、あのころ携帯に良くかけてきてた人のことを言ってるんだろうけど、最近は連絡が上手く取れないんだ」

確かに宏一が旅行から帰ってきてから、明子とは連絡が上手く付かなかった。

「そうなんだ」

「それで、思い切って声を掛けたの?」

「そう、どこかに出口がないかって。私、出口を求めているくせに、気が付くと雄介さんに相談してて、これじゃ何にもならないって思って・・・」

「そうだったんだ・・・・・・・・・・・・・・・・」

宏一はしばらく黙り込んでいた。それまで単に可愛らしいと思っていた友絵の本当の心の中のどろどろした部分を打ち明けられ、やはりショックだった。友絵と総務部長とではいくつ年が離れているんだろう?たぶん二回り以上離れているはずだ。

「宏一さん、私のこと、呆れて嫌いになりました?」

「そんなこと無いよ。それだけは言える。絶対に嫌いになってない」

「とりあえず良かった」

「ちょっと友絵さんの言っていたこと、考えてたんだ」

「私、嘘なんか言ってませんよ」

「そんなことじゃないよ。良く理解しようとして、思い出してるんだから」

「もう一度言いましょうか?」

「何言ってるの。もう目一杯なくせに」

「・・・分かります?」

「分かるよ、それくらい。いいかい。俺が飲んでいるこのカクテルはなあに?」

「ドライマティーニ」

「それは?」

「ソルティドッグ」

「前にも飲んだっけ?」

「あ、そうだ。どうして思い出さなかったんだろう?」

「ほうら、忘れてる。それじゃ、あの日と同じカクテルで、乾杯」

「何に?」

「決まってるじゃない。あの日と同じ、二人の出会いに」

「出会い?」

「そう、これからも宜しくね」

友絵はその言葉を聞いた途端、目に涙が溢れてきた。宏一のさりげない心遣いが心に染み渡った。

「・・・はい・・・、嫌われると思ったの、絶対。・・・・でも言わなきゃって。そうしないとまた同じ事になるって。・・・・・嫌われちゃうって思った。・・・・・今日が最後になるって・・・・明日からまた一人になるって・・・最後くらいは明るくしなきゃって・・・私・・・寂しくて、辛くて・・・宏一さん・・・・・ありがとう・・・・・」

後は言葉にならなかった。ボロボロと涙を流しながら友絵は必死に笑おうとしていたが、笑わなくても友絵はとても可愛らしく見えた。幾筋もの涙を流しながらソルティドッグを無理に飲んでいる友絵は、宏一にとって守ってやらなければいけない大切な人になりつつあった。

それからしばらく二人は無言でカクテルを傾けた。相変わらずカウンターから見る夜景はとても綺麗だった。

「綺麗ですね。とっても」

と友絵がぽつりと言った。

「どこかに泊まっていかない?一緒に居たいんだ」

「はい、私も」

「希望はある?」

「宏一さんと一緒ならどこでも」

「それじゃ、部屋を取ってくるよ」

「はい」

宏一は一階のフロントに降りて部屋を借りた。ここのホテルにはダブルが無いのでツインルームになってしまったが、運良く海側の部屋を取ることができた。ただ、友絵はコンビニで、明日家に帰るまでの着替えを買ったりしなくてはいけなかったので、二人が部屋で抱き合ったのは真夜中を回ってからだった。

「明日は忙しいの?」

「ううん、お昼に実家に帰ればいいから。宏一さんは?」

「全部は午後からだから午前中はゆっくりできるよ」

「一緒に居て。できるだけ長く」

「そうするよ」

「シャワー浴びてきてもいい?」

「今?」

「そう、これ以上キスされたら離したくなくなるから」

「早く戻っておいで」

「はい」

友絵は大急ぎでシャワーを浴びたがそれでもしばらく掛かり、交代で宏一も入ったのでベッドインはもう少し遅くなった。

宏一がシャワーから出て来た時、部屋の電気は小さくしてあり、友絵はベッドの上で一糸纏わぬ姿で仰向けに寝て、静かに宏一を待っていた。ベッドカバーは既に除けられており、ちゃんと宏一が来る場所は空けてあった。宏一がベッドの横に来ると、

「宏一さん、近くに居て下さいね」

と目をつぶったまま友絵が言った。宏一は静かに全裸の友絵を見下ろした。最初は軽い恋の予感だけだったのに、いつの間にか友絵の人生に深く入ってしまった。しかしこの不思議な女の子を見ていると、いつの間にか引き込まれてしまう。薄い小麦色の肌の友絵を見ながら宏一は友絵の肌が恋しくなっていることに気が付いた。窓の外のレインポーブリッジからの明かりが薄く友絵の茂みを照らしている。

宏一も全裸になってベッドに入り、友絵を静かに抱き寄せる。友絵は宏一に全てを任せるつもりのようで、大人しく身体を寄せてきたが、キスには情熱が籠もっていた。友絵には宏一に話したいことがたくさんあった。しかし今は、宏一のしたいように愛されてみたかった。それからでも話はできるし、宏一の情熱を受け入れた後の方が何でも言えそうな気がした。

宏一はいつものように、ゆっくりと首筋を愛してから友絵の小さめの乳房を愛しに行った。その愛し方は優しく感じさせるような触り方だったが、友絵の反応はいつも以上に強いものだった。軽く裾野から揉み上げるだけで声を上げて仰け反る。

「ああぁぁ、宏一さん、ああん、そんなに優しくしないで、宏一さぁんっ」

「今日は敏感なんだね。そっとするから」

「いやぁ、そっとしちゃいや。思いっきりして。好きにして」

目をつぶったまま友絵が喘ぐように言う。

「それじゃぁ、こうしてあげるからね」

宏一は小さな乳房を両手で優しく揉み上げながら、指先で乳首をコロコロと転がす。

「はぁぁああぁぁうぅああぁーっ」

友絵は足を擦り合わせながら嫌々をするように首を左右に振った。

「痛い?」

「大丈夫。もっとして・・・」

宏一はそれから時間をかけて再度乳房と乳首を愛した。友絵はここまで時間をかけて胸だけを愛されたことがないので、足を擦り合わせながら必死に宏一の手を秘部に導きたいという欲望を堪えていた。宏一にも友絵の足の動き方から友絵の望むことが分かっていたが、今日はじっくりと好きなように愛させてもらうつもりになっていた。

そっと乳首を口の中に入れて、下でそっと乳首の周りを舐め回す。

「ああんっ、宏一さんっ、そんな、ああんっ、それはっ」

友絵は宏一が焦らそうとしていると思い、軽く仰け反りながら宏一の頭を抱き締めて胸に強く当てた。すると宏一の舌がだんだんと乳首を転がし始め、友絵の欲しがっていた感覚が身体を満たしていく。

「はううぅぅん、ああぁぁぁ、くうぅぅーっ、あう、そ、ああうぅぅっ」

何かを言いたそうだったが、友絵はそれ以上何も言わなかった。

たっぷりと胸を愛された友絵は、既に自分の中がびっしょりと濡れてしまっていることに少し戸惑っていた。ここを宏一に見られるのが恥ずかしかった。

「どうしたの?」

宏一が友絵の表情のとまどいを見て聞いてきた。友絵が目を開けてちょっとだけ宏一を見てから再び目をつぶったので、、

「どうして欲しいの?」

と更に優しく胸を揉み始めた。

「ああんっ、それ、宏一さん、ああんっ、はあぁっ、ううぅーっ」

「どうしたの?」

「それをされてると、話が、ぁあぁぁっ、だめぇ、あうぅぅっ、話せないっ」

「どうして?おっぱいを揉まれてるだけでしょ?」

「宏一さんがしてくれるから、ああぁぁぁ、早くぅぅっ」

「早く、なあに?」

「な、何でもないの。宏一さんのしたいように、ね?」

友絵の身体は限界に来ていたが、それでも友絵は宏一のやりたいように愛されたかった。ひたむきに宏一に従おうとする友絵を見て宏一も友絵の望みを叶えたくなってきたので、

「足を開いて両手で膝の裏を持って、中を良く見せてごらん」

と言うと、

「それは・・・、今は・・・とっても気持ち良かったからあそこは・・・」

友絵はこのまま宏一の指が茂みの中をまさぐってくれれば、それを感じているうちにこれだけ濡れてしまったと思ってもらえると期待していたが、まだ全く触られないうちから見せなくてはいけないことに戸惑った。今は自分でもぐっしょり濡れているのが分かる。

「見せてごらん」

「宏一さん、呆れたりしない?」

「見せなさい」

「こういちさん・・・」

「大きく開いて見せてごらん」

「・・・・はい」

友絵はいきなり見せたくない所を全開にしろと言われて少し嫌がったが、それも今の自分なのだから見てもらうしかないと覚悟を決めて、ゆっくりと膝を引き寄せて手で支え、秘部を開いた。

宏一が下半身に移動すると、友絵は堪らず横を向いてしまった。何か言い訳をしたかったが、良い言葉を思いつかない。友絵のそこはべっとりと周りまで濡れており、茂みはビショビショになっていた。宏一はそうっと指で茂みを分け、秘唇の中心の少し大きめの秘核を露わにしていく。

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