ウォーター

第百十八部

 


「それじゃ、こういうことだったのかな?」

宏一は一枝の可愛らしい顎を右手でツンと上に向けると、そっと唇を近づけていった。

『あ、キスされる!』一枝はそう思ったが、嫌ではなかった。しかし、初めてのキスをこういう形でしてしまっていい物かどうか、それが分からなかった。しかし、宏一の唇はどんどん近づいてくる。こういう状態でキスを拒むのなら今すぐにしないと間に合わない。しかし、宏一に顎を軽く押さえられているので横は向けない。もう時間がない!

宏一の唇が一枝の唇に重なる直前、一枝は目をつぶってそれを受け入れることにした。

くにゅっとした暖かいものが唇に重なった瞬間、一枝は『あれ?』と思った。『こんなものなの?ただ暖かいものが重なっただけ・・・』そう思ったが、その宏一の唇が動き始め、一枝の唇を開いていく。

『アン、これって・・・』一枝が新しい展開に慣れる間も無く、宏一の唇の間からもっと温かくてぬめっとしたものが一枝の唇の間に差し込まれ、一枝の口の中に入ってきた。『し、舌を入れられた!』一枝がどうしていいのか分からずに、

「う・・・うん・・・んんっ・・・・」

と顔を左右に振ろうと戸惑っていると、宏一は一度軽く唇を離し、

「だめ、もっと唇も舌も柔らかくしなきゃ」

というと、再び唇を重ねてきた。『初めてのキスがディープ?それってやばくない?』一枝の頭の中はパニックになっていたが、一方では『それくらいできなきゃダメ』という意識もあり、怖々ではあるが、少しずつそれに慣れようと宏一の舌を受け入れていった。最初はちょっとびっくりはしたが、してみれば思ったほどイヤなものではない。一枝は少しずつ自分の舌も宏一の口の中に入れてみたくなり、最初は逃げ回っていた舌を少しずつ宏一の口の中に差し込んでみた。すると、宏一の舌が一枝の舌に積極的に絡みついてくる。そして気がつくと、自分からも舌を宏一の舌に絡め、その雰囲気に陶酔していった。『不思議な感じだけど、なんか気持ちいいような、アン、夢中になっちゃう』

一枝は宏一のキスに夢中になり、身体中の力が抜けてぐたっとした姿勢のまま、唇と舌だけを動かしていた。

一枝がキスに夢中になっていることに安心した宏一は、うなじを可愛がっていた指をそのままゆっくりと下に移動させ、制服の上から胸の膨らみをそっと撫で始めた。一枝はびくっとして一瞬身体を縮めたが、それ以上は嫌がらなかった。

一枝は宏一が胸を触ってきた時、触られることには驚いたが、それほど嫌な気もしなかったし、服の上から触られるのなら、それほど恥ずかしくはなかった。ゆっくりと宏一のが胸の膨らみの形を確かめるように指先から掌全体を使った愛撫を施していく。

最初は触られること自体が恥ずかしかった一枝だが、少しするとなんともいえない感覚が湧き上がってきて、宏一に触られることでそんな感覚を感じることが恥ずかしくなってきた。まだ一枝は感じることに抵抗があるのだ。

やっと宏一が唇を離すと、

「一枝ちゃん、嫌じゃない?痛くない?」

とやさしく聞いてきた。

「うん・・・・」

一枝はもっとちゃんと答えたかったが、声が変になりそうでそれ以上何もいえなかった。『これが快感なの?なんか変な感じだよ。じれったいような、興奮してるって言うかぁ・・・アン、とにかくなんか変だよぉ。身体が熱くなってきて・・・どうしてぇ?』一枝は初めて体験する不思議な感覚に戸惑いながら、宏一に次にどうされるのか、不安と期待の混じった眼差しで見上げていた。

「一枝ちゃん、次は服の中に手を入れてみるからね」

宏一は一枝に優しく言うと、制服の裾から手を入れてきた。しかし、一枝の制服は由美ほどゆったりとしていないので、制服の中に手を入れられると服が大きく捲れ上がってしまう。一枝は肌を触られることよりも、服が捲れあがってお腹が露出することを嫌がった。

「嫌・・・いや・・・見えちゃう・・・いや・・・・」

そう言いながら裾を必死に下げようとした。

宏一は一枝が何を嫌がっているのか分かったので、

「一枝ちゃん、それじゃ、上のリボンはそのままにしてジッパーだけ下げるからね、それなら見えないからいいでしょ?」

と言うと、胸元のリボンに隠れているジッパーを探り当て、ゆっくりと下げていった。ジッパーの一番上には小さな留め具があるので、これを外さない限りジッパーを下げても服が左右に分かれることはない。一枝は服が捲れあがってブラジャーが露出している姿よりは良いと思ったので、不安そうな顔をしながらも小さく頷いた。

宏一がジッパーを下げ、できたスリットの中に手を差し込むと、一枝は服の上から触られるのとはぜんぜん違う感覚に再び驚き、身体を縮めた。誰かに身体を探られる感覚というのは元々気持ち良いものではない。学習して覚える必要があるのだ。

「大丈夫、すぐになれるから。そっと触るからね」

そう言いながら宏一は優しく一枝の布地に包まれた胸の膨らみを撫で回し始めた。一枝は気付いていないだろうが、両手を少し縮めた格好で胸を隠そうとしているので、膨らみは両手で寄せられて、より高くなっている。

一枝は不安そうな表情をしているが、その顔は少し火照っており、単にイヤな感覚を我慢しているというのでもないようだ。宏一はもう少し感じてくれると良いと思っていたが、一枝の感覚はほとんど完全に未開発らしいので、いきなり感じさせるのは無理だろう、と少し諦めていた。

宏一の手が優しく一枝の服の中の小さな布に包まれた膨らみを探っていく。時折肌に直接触れ、その上をなぞるように動いていくので、一枝にとってはブラジャーなど無いも同然で、ただ触られる感覚に戸惑い、『感じなきゃ』と言う強迫観念と戦っていた。

「一枝ちゃん」

一枝はそれまでじっと一枝の身体を探っていた宏一に突然話しかけられ、『どうして感じないの?』と言われるかと思って済まなそうに言った。

「ごめんなさい・・・巧くできないの」

「何のこと?それよりも、いつか由美ちゃんが言ってたけど、お菓子、作れるんだって?」

「お菓子?」

一枝は驚いた。ブラジャーの上を探られながらする話ではないと思った。しかし、それを指摘する勇気はなかったので、仕方なく答えた。

「少し、だけだよ。ゆんみたいに料理できる訳じゃないから」

「由美ちゃんはお母さんの身体が弱いんだからお家の手伝いをしなきゃいけないんでしょ、仕方ないよ。で、クッキーを焼くんだって?」

「う、うん、評判は良いんだよ」

宏一は指先で膨らみの先端あたりを撫でながら話を続けた。

「どんなクッキーなの?」

「プレーンも焼くけど、得意なのはチョコレート。あのね・・・・入れるチョコにこつがあって・・・・・・」

「板チョコなの?」

「ビターの板チョコに・・・・・少しだけ・・・・・」

一枝は自分の乳房がさっきよりも敏感に宏一の指を感じていることに気が付いた。どのあたりに指先があるのか、殆ど触られていないのに場所ははっきり分かる。だんだん宏一の指の方が気になって会話ができなくなってきた。自分の乳房がこんなに敏感になること自体、一枝にとっては不思議なことだった。まだ一枝は持っていないが、レースのブラみたいに薄い生地のものならともかく、今日の一枝が身につけているのは普通の女の子向けの汗をよく吸う綿のブラジャーだ。一枝は自分の胸にばかり注意が向いて、どうしても宏一と会話を楽しめなくなってきた。

「・・・・・・・・」

「話せなくなってきたのかな?」

「そんなこと・・・無いけど・・・・」

「無理に話さなくても良いよ」

宏一の手は優しく膨らみ全体を撫で始めた。服の上からと違って、かなりの部分の肌を直接触られるので一枝にとっては恥ずかしくて仕方がない。宏一の指が活動範囲を広げたので、一枝は宏一が本格的にセックスを始めようとしているのだと思った。

「いや・・・いや・・・・・」

目をつぶったまま、何度も小さい声で抗議しながら一枝は体をまさぐられる感覚を覚えていった。

「一枝ちゃんのおっぱい、大きいのにきれいな形をしてるね」

「いやぁ、そんな・・・・」

「ほうら、少しずつ反応してきたみたいだよ」

宏一はそう言いながら、膨らみの頂点にあるはずの敏感な部分を指先で丁寧に探していた。それは指先が見つけたとき、まだとても小さくて丁寧に探さないと判らないくらいだった。

「なにが?」

一枝は宏一が何を言っているのか判らなかった。

「ほら、おっぱいが硬くなって膨らんできてるよ」

「硬く?そんなこと・・・・わかんない」

「それじゃ、一回起き上がってみてごらん」

宏一はそう言うと、そっと一枝の体を起こした。

「ほら、見てごらん、おっぱいの高さがいつもと違うでしょ?」

一枝が自分の胸を見下ろすと、確かにいつもよりも膨らみは制服を突き上げており、裾を引っ張っているので、このまま立っていたとしたらお腹が見えそうだ。

「一枝ちゃんの身体が反応してるんだよ。気持ち良かった?」

「なんか良く分かんない・・・・・」

宏一はそのまま一枝の後ろから手を回し、服の上から両方の膨らみを撫で始めた。しかし、一度服の中を探られてしまったのであまり触られているという感じはしない。

「また服の中に手を入れてもいい?」

宏一の顔のすぐ前にある一枝の頭は小さく頷いた。すると、

「このままじゃ触れないから、ここを外すよ」

というと、宏一は制服の一番下まで下がったままになっているジッパーの留め金を外し、服を左右に分けた。これで一枝の制服は左右が上だけで止まっている形になった。

「あっ、そこは・・・ああんっ」

一枝が声を上げたとき、すでに宏一の両手が一枝の両方の膨らみを包み込んで、優しく撫で始めていた。

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