ウォーター

第百二十部

 


「いや?」

宏一が優しく聞くと、

「いや・・・いやぁ・・・あっ」

一枝は自分の声が甘い変な声になっていることに驚いて話すのをやめてしまった。

「大丈夫、一枝ちゃんの身体が少しびっくりしているだけだから」

宏一はそう言うと、羽のような軽い愛撫を続けた。

一枝は自分の身体が反応していることに気がついた。しかし、たぶん快感と言うのとはだいぶ違う。少なくとも、この前、由美に呼び出されてされたときに感じた感覚とは大きく違っていた。あの時は確かに夢中になるほど気持ち良かったし、自分が触っているときと同じような感覚だった。しかし今の感覚は身体がびっくりしていると言うか、何かを感じてはいるものの、夢中になれるような感覚ではない。一枝は宏一が早く手をどけてくれないかと思いながら、じっと変な感覚に耐えていた。

一枝がじっと我慢しているだけだと言うことに気がついた宏一は、しばらくすると手を引っ込めた。宏一は不安そうに見上げている一枝に軽くキスをすると、優しく話しかけた。

「いやだった?」

「・・・ううん、わかんない・・・・」

「でも、いやじゃなかった?」

「・・・・・うん・・・」

「よかった。よく我慢したね」

「でも・・・・感じなかったよ」

「そんなことないよ」

「だって、気持ち良くなかったもん」

「ははぁ、一枝ちゃんはすごい快感が身体を走り抜けるって思ってたんだね?」

「違うの?」

「それじゃ、教えてあげる。一枝ちゃんがちゃんと感じてたってこと」

そう言うとベッドの上に腰掛けていた宏一は、膝の上に横抱きにしていた一枝の身体を軽く抱き上げ、身体をぐるっと回してそっとベッドの上に横たえた。

「な、なにするの?」

「大丈夫。もう一回ブラジャーの上から触ってみるよ。このほうが両手が使えるし、一枝ちゃんだって身体が楽だから」

「ちょ、ちょっと待って」

一枝が不安がるのもかまわずに、宏一は両手を制服の裾から入れて二つの膨らみを掌で包み込んだ。

「大丈夫。こうするだけだから」

「ちょ、ちょっと待って・・・あんっ、そんな強引に・・・・」

宏一は一枝をベッドに寝かせると、再びゆっくりと布地の上から撫で始めた。一枝はその感覚がさっきと違うことに気がついた。『あれ、どうしちゃったの?なんか違うよ・・・私の身体・・・どうしたの???・・・なんか、あれ・・・これって・・・もしかして気持ちいい?・・・あれ??・・・・なんか変・・・アン・・・』

一枝は宏一に胸を触られると少し気持ち良くなってきた事に気が付いた。なんとも言えない感覚なのは同じだが、さっきよりも気持ち良くなっている。そして身体がもっと熱くなってきた。

「はぁ・・・はぁ・・・・アン・・・・これって・・・」

「ほうら、やっぱり感じていただろ?さっき同じことをしていたときはこんなに感じてなかったくせに」

「あの時は片手だったから」

「両手で触った時だってあったけど、そんなに感じてなかったでしょ?」

「アン・・・どうして・・・どうしてぇ?」

「パンツの上から一枝ちゃんの敏感なところをそっと刺激したからだよ。身体が感じる準備を始めたんだ」

「そうなの?」

「ほら、ここだって硬くなってる」

宏一は両手で触り始めてから急激にしこってきた布地の頂点を指先で挟むように刺激した。

「うっ」

一枝は思わず声を上げそうになった。もし声を上げていたら、きっと甘い声になっていたことは確かだった。

「ほら、ここだって感じるだろ?」

宏一はそう言うと、撫で回すだけだった両手の動きに変化を持たせた。

「こうしたら、どうかな?」

軽く揉む様な感じにすると、一枝の身体にもっとはっきりとした感覚が小さく走り抜ける。

「あ・・・・それ・・・・」

「気持ち良かった?」

一枝はこっくりと頷いた。

宏一は一枝の様子に満足すると、再びゆっくりと愛撫を再開した。そして時折だが軽く、一枝の膨らみを両手で包み込むように揉んでやる。一枝は気持ち良さが身体の中から湧き出すのを感じながら、宏一がもっと激しく触ってくることを期待した。しかし、一枝が思ったほど宏一は積極的に攻めてこない。宏一に触られていると確かに気持ち良いのだが、両手で揉んでもらったときほどの決定的なものがない。何か全体的にぼうっと気持ち良いのだ。

それでも宏一に任せているのだから、されることを受け入れていれば良いと思っていた一枝は、次第に身体が熱く、焦れったくなることに戸惑いながらも、宏一の愛撫を受け入れ、素直に感じるように気持ちを楽にしていった。

「宏一さん・・・・・」

「なあに?」

「・・・・・・・・・」

「どうしたの?」

「あのね・・・・・・」

「言ってごらん・・・・・」

「・・・・・いいの・・・」

宏一が一枝の言葉を掘り出そうとするかのように、ブラジャーに包まれた先端の突起を指で撫で回す。

「ううっ!」

「感じたんだね」

「これが・・・・・?」

「そう、感じるって言うんだよ」

「そうなの?」

「ほら」

「あんっ」

「感じたろ?」

「・・・・うん」

「もっとして欲しい?」

一枝は『うん』と答えたかった。しかし、そう答えてよいものかどうか迷ってしまい、

「わかんない・・・」

としか答えられなかった。

「そうか・・・まだそれほど気持ちよくないのかな?」

宏一はそう言うと、再び優しい愛撫へと戻っていった。宏一はここで焦ってはいけないと言うことを知っていた。じっくりと攻め落とすつもりのようだ。最初触られ始めたときには両手をすぼめるようにしてなんとなくガードしていた一枝だったが、今では自然に両手を左右に開いて宏一のほうに胸を突き出すような格好になっている。もっと愛して欲しい、という気持ちが自然に一枝のガードを緩くしたのだ。

一枝は宏一に早く先のことを教えて欲しかった。しかし自分からそう言う訳には行かない。そこでぼうっとした頭で考えた挙句、こんな風に切り出した。

「宏一さん・・・」

「なあに?」

「これから何するの?」

「これから?」

「そう・・・なにするの?」

上気した顔で少し切なそうにささやく一枝はとても可愛らしかった。宏一は一枝がもっと大胆な愛され方を望んでいることはうすうす感づいていたが、一枝をもう少し焦らしながら開発を進めることにした。その方が一枝にとっても快感が強いはずだ。

「もうこうされるのには慣れた?」

「う・・・うん」

「どんな風にして欲しい?」

「それは・・宏一さんが・・・・」

一枝は焦れったく胸を愛撫されながら、『女の子にそんな質問するなんてずるい』と思った。どうして良いか分からないからこそ宏一に話しかけているのだから。

「それじゃ、こうするからね」

そう言うと宏一は胸のホックだけで止まっている制服のリボンを解き、ホックを外した。

「あんっ、いやぁ、見ないで・・・・」

思わず一枝がガードしそうになったが、宏一の方が一瞬早く胸の中に顔をうずめる。

「どうして?こんなに可愛いのに」

そう良いながら宏一は初めて露になった胸元に唇を這わせながら両手で優しく揉み始めた。

「あうぅ、そんなことされたらぁっ」

一枝はくすぐったいような、恥ずかしいような、気持ち良いような不思議な感覚に少し戸惑ったが、すぐに宏一の新しい愛撫の方法を受け入れて自分から感じ始めた。

宏一の唇は布地の縁をなぞる様に右から左、そしてまた右へと動いていく。そして時折啄ばむ様に膨らみをからかった。

「アン・・・・・そんなぁ・・・・恥ずかしいのに・・・・」

「気持ち良い?」

一枝は恥ずかしそうに小さく頷いた。

「もっともっと気持ちよくなるんだよ。気持ちよくって我慢できないほどに、ね?」

「そ、そんなこと言ったってぇ、・・・・はぁ、はぁ、なんか・・・・あんっ」

一枝は時折宏一が与えてくれる乳首への愛撫が気に入ったらしく、宏一が両手で乳房を包み込んで指先で乳首を縊り出すようにつまむと『あぁ』と熱い吐息とともに少しだけ口を開けて軽く仰け反った。

ここまで来ると一枝には、もっと教えて欲しいという気持ちが強くなってくる。怖がりの性格なので最初相手を受け入れるまでのプロセスは長いのだが、心を許してしまうと少しずつ冒険心が沸き起こってくる。

宏一は小さくだが一枝が初めて悶える姿をたっぷりと楽しむことにした。今の一枝のような恥ずかしそうな表情は由美が見せることはもうない。激しく感じて悶える姿も可愛らしいが、この一枝のように幼い性に翻弄される姿も魅力的だった。

宏一がブラジャーの布地の上から先端の突起を唇で挟むと、

「あぁ・・・ああん」

と恥ずかしいながらも嬉しそうな表情を見せる。宏一はそのまましばらく手と唇の愛撫だけで一枝を夢中にしていった。

一枝は宏一の愛撫に慣れてしまうと、感じながらも次のステップのことを考え始めた。『次はどんなことをしてくれるのかな?でも脱がされたら恥ずかしいし、スカートの中に手を入れられてあそこをまた触らされたら・・・・どうなっちゃうんだろう?』一枝の秘核は先ほどから少しずつ痒いようなじれったいような感覚に戸惑っていた。一枝自身は気づいていなかったが、先ほどからあそこがむず痒くなる度に何度か足を軽く擦り合わせるようにしている。

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