ウォーター

第百四十六部

 


「え?なあに?」

恵美は俯せになっているのだから宏一はこれ以上何もしないと思った。しかし、宏一はそのまま手を伸ばして恵美のスカートの中に指を入れてきた。

「ああぁぁっ、そこはっ!」

恵美は驚いた。宏一がそこまでしてくるとは予想していなかったのだ。それに今日、恵美はストッキングをガーターベルトで吊っている。それは宏一との初デートでの精一杯の恵美のおしゃれであり冒険だった。しかし、それが仇になって宏一の指は直接恵美のパンツを探り始めた。パンティストッキングの布地が無い分だけ強烈な快感が恵美を襲う。思わず恵美の手が宏一の手を抑えたが、俯せになっての後ろ手なので全く力が入らなかった。

「ああっ、あっ、あっ、だめっ、そこをされたら、あんっ、だめ、ああぁぁぁ、はぁっ、あんっ、そんな・・・、あうっ、そこは・・・」

しかし、不思議なことに恵美はそれ以上嫌がらなかった。宏一の指は恵美の敏感な部分を優しく刺激し、恵美を最高の世界に連れて行こうとする。

恵美は下着の上から触られるだけでどうしてこれほど感じるのか分からなかったが、とにかく猛烈に感じていた。そして、それを受け入れたいという思いが強烈に恵美の心の中を奪っていく。恵美が秘部を触られているのにじっとしているのは、それをどうにか理性がギリギリのところで抑え込んでいるからだった。

宏一の愛撫は巧みだった。全然強くないのだが、的確に感じるポイントの近くを撫でるように刺激している。それは、ほんの少しでも気を許すと直ぐに夢中になってしまうような微妙で巧みな愛撫だった。

「ああん、ダメ、これはダメ、宏一さん、手をどけて、あう、お願い、ねえぇ?」

恵美も自分の声が甘い響きを持っていることに気が付いていた。もしこのままもう少し触られ続け、更に宏一の指が下着の中に入ってきたら恵美にはそれを拒むことはできないと思った。そうすればこのまま服を着た格好で先に進むことになる。それだけは初めてのでデートでのプロセスとしては絶対に受け入れられないものだった。

「恵美さん、感じてくれてるんだね。嬉しいよ。もっと感じて欲しいんだ。素直に」

「あっ、ダメ、はんっ、そんなに上手にされたら、ああぁぁ、ダメ、はうっ、感じちゃう、感じちゃう、感じちゃうぅぅっ、あああぁーっ、これだけはぁっ、」

恵美はベッドの枕に顔を埋めてひたすら耐えていた。しかし、自分でも既に限界に来ているのが良く分かる。しかし、このままだと初デートの宏一に向かって尻を突き上げかねなかった。もう身体はどんどん先を求めて感覚を敏感にしていく。とうとう恵美は心を決めた。

「お願い、宏一さん、胸まで許すから、お願い、とにかくこれ以上指は許して」

そう言うと恵美は何とか身体を起こし、仰向けになった。その瞳は既に潤んでおり、目の下がぽっと赤くなっていた。かなり感じている証拠だ。恵美の心の中では『このままずるずると行っちゃダメ』という声も聞こえたが、他にどうしようもなかった。

宏一と再びキスをしてから宏一の唇がゆっくりと項を探り始める。

「あぁ、ああん、あぅ・・・・・」

新しい感覚が恵美の身体の中に広がり始め、恵美は先程よりも優しい快感に安心して身を任せた。自分でもかなり感じているのが分かる。恵美が愛撫を受け入れたことを確認すると、宏一は徐々に首筋から下へと下がって恵美の胸へと興味を移した。恵美はそれを大人しく受け止めている。宏一の両手でブラウスの上から優しく乳房を包み、そっと撫で回されているととても気持ちが和らぐ。

「あっ」

宏一がブラウスのボタンに手を掛けても恵美は何も言わなかった。そしてボタンが外されて行くにつれて宏一の唇が胸元へと下がっていく。

「はぁっ、あんっ、はん・・・うぅん、ふっ、はう・・・・」

恵美は自分が変な声を上げないように気を使っていたが、宏一の愛撫はとても上手で、どうしても声が勝手に出てしまう。こうやって脱がされていくのに抵抗しなくて良い、それは安心できる幸せだった。

宏一はそのまま恵美の袖のボタンを外すと、ブラウスから腕を抜こうとした。

「ねぇ、ボタンを外すだけじゃダメ?脱がすの?」

「うん、皺にならないようにね。いいだろ?」

確かに胸を許すのだからブラウスを着ていても腕しか隠せないのだから、脱いでも変わらないと言えばそうかも知れないが、服を脱ぐことに恵美は拘った。

「でもぉ・・・やっぱり・・・・」

「それなら、このままじゃだめだと思ったら脱がせるからね」

恵美は素直に頷いた。

宏一は初めて見る恵美の胸を両手で撫で始めた。ブラジャーに包まれた膨らみは、やはりかなりボリュームがある。しかし、殆ど横に流れていないので綺麗な膨らみだった。ブラジャーの上から見る限り、乳首は少し大きそうだ。そして宏一が優しく何度も丁寧に愛撫すると更に固くなって高さを増していく。

「ああんっ、はあっ、こんな風にするなんて、宏一さん、ああん、もう、こんなのはぁ、ああぁぁぁっ」

恵美は宏一の愛撫がなかなか先に進まないのに自分だけどんどん感じてくることに戸惑っていた。まだ宏一はブラジャーを脱がそうとしない。そして軽く乳房を寄せてできる谷間に丁寧に舌を這わせ、恵美から可愛らしい声を上げさせていた。しかし、宏一は何度も同じ事を繰り返し、なかなかブラジャーを脱がそうとしない。それは、心を決めてしまった恵美にとって焦らしでしかなかった。

「ああん、宏一さん、これ以上しないの?ねぇ、宏一さんっ、あうっ、はあぁっ、ねえっ」

「恵美さんが言ってくれればするよ。俺だけが勝手にするのは嫌なんだ」

「何を言うの?」

「して欲しいことをおねだりして」

「そんなぁ、ああん、これだけ焦らしておいて言わせるなんてずるいぃ」

「勝手にされるよりも良いだろ?おねだりしてごらん」

「そんなこと・・・・、ああん、あんっ、はんっ・・・・」

恵美は横を向いて手を口に当て、必死に耐えていた。既に乳房からの感覚だけでなく、先程宏一に可愛がられた所も疼き始めている。

「恵美さん、おねだりが聞きたいな。優しく感じさせてあげるから」

「そんなこと言われたら・・・・・ああん、本当にもうっ、はあぁぁっ」

恵美は何度も身体を捻って耐えようとした。しかし、どんどん追い詰められていくのが良く分かった。

「恵美さん、やっぱりブラウスは脱いだ方が良いよ」

宏一はそう言って恵美の腕を袖から抜き始めた。恵美も今となっては嫌がらず、そっと頷くと腕を抜いた。

そしてまた宏一の焦らしが始まった。今度は更に愛撫を微妙に強くしたり弱くしたりして恵美を追い込んでいく。

「あぁぁん、宏一さん、そんなにゆっくりなんて、はぁぁぁぁ、ああぁん・・」

「恵美さん、脱がせて欲しい?」

恵美は素直に小さく頷いた。すると、宏一はゆっくりとブラジャーのショルダーストラップだけを左右にずらしていき、新たに露わになった小さな場所に丁寧に唇を使い始めた。

「それじゃ、ここだけ脱がせてあげる」

「そんなぁっ、ああんっ、そこだけはぁっ」

新しい場所への丁寧な愛撫によって湧き上がった快感の予感に、恵美はあっという間に限界に来た。

「宏一さん」

「聞かせて。恵美さんのおねだりを」

その声はとても優しく聞こえた。恵美は正直に思ったことを口にした。

「ブラを脱がせて胸を触って」

「うん」

宏一の手が恵美の背中に回ると、恵美はグッと仰け反って協力した。その仰け反り方が恵美のはやる気持ちを正直に表していた。

「ほうら、感じてごらん」

そのまま宏一はブラを脱がし、恵美の乳房を露わにすると、形の良い乳房が全て宏一の目に飛び込んできた。先端は乳房の大きさに比べると少し小さい。それを宏一は一気に両手で包み込む。量感のある乳房が宏一の手の中で弾んだ。

「はぁぁぁぁぁーーーーーーーっ」

恵美はグッと仰け反って宏一に与えられる快感を貪った。宏一は単に両手で揉むだけではなく、乳房のあちこちの部分を順番に刺激していった。だから連続的に快感が与えられ、恵美は仰け反ったまま身体を軽く左右に捻りながら快感の海を彷徨った。それは恵美にとって不思議な感覚だった。揉まれているのであれば快感は断続的になる。しかし、ずっと持続する快感なのだ。そしてその刺激はどんどん敏感な先端に向かって近づいていく。宏一はギリギリまで近づくと、恵美にできるかどうか半信半疑だったが、もう一度おねだりを迫った。

「恵美さん、ほうら、敏感な所に来たよ。どこをどうして欲しいの?おねだりしてごらん」

「ああん、そのまま、そのままして、ねぇ、宏一さん」

「ちゃんとおねだりを聞かせて」

「いやぁ、ああん、もう焦らされるのはいやぁ、ちゃんと全部ぅ」

恵美は自分からこんなおねだりをするのは初めてだった。自分で自分の言葉が恥ずかしい。

「全部ってどこ?」

宏一は更にはっきりとしたおねだりを要求してくる。身体はどんどん疼いてくるので、こんなことで時間を掛けるのは無駄なことだと恵美も分かっていた。

「早く先っぽまでして、ね?」

「こう?」

「はああぁうぅぅぅぅぅっ、それぇっ」

宏一が乳首を優しく指先でつまんで転がすと、恵美は再び仰け反った。そして足を激しく擦り合わせ、はっきりと猛烈な快感が身体を走り抜けていることを示す。宏一は更に指先で可愛がってから口で可愛がり、恵美をたっぷりと感じさせた。『胸でこんなに感じさせられるなんて・・・、このままだと我慢できなくなる』そんな想いが恵美の心の中で瞬いたが、今となってはもうどうにもできない。

恵美の乳首は乳房の大きさにバランスした大きさを持っていた。とてもバランスの良い大きさで高さもかなりある。宏一はそれを指で何度か丁寧に刺激してからそっと口に含んだ。

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ」

恵美はやっと与えられた喜びをグイッと仰け反った身体で表した。敏感になった乳首にねっとりと舌が絡んでくる感覚はとても口では表せないほど気持ち良い。

恵美はここまで感じるとは思ってもいなかった。既にセックスは何度も経験していたが、今までのとは根本的に何かが違っていた。宏一に乳房を許したのは、もっと優しい安心できる快感を求めていたからこそ許したのだ。しかし、それはブラジャーを脱がされるまでの最初の時だけだった。今はたっぷりと時間を掛けて乳房を可愛がられて湧き上がった快感が秘部に溜まり、先程可愛がられた部分がどうしようもなく焦れていて何度も足を擦り合わせながら我慢していた。正直に言うと触って欲しくて仕方なかった。

だから片方の乳首を舐められながらもう一方を揉まれている時に宏一の手がスカートへと再び伸びていっても、スカートを抑えただけでそれ以上は抵抗しなかった。

そして再び宏一の指が敏感な所を捉えると、待ち望んでいながら恐れていた快感が一気に恵美を包み込んだ。

「はああぁぁーーっ、そこはぁーーーっ、あああぁーーーっ、もうだめぇーーーっ」

恵美は宏一の手を両足で挟み込んで逃がさないようにすると、宏一を抱きしめて声を上げた。素晴らしい快感だった。

「恵美さん、感じてくれて嬉しいよ」

そう言いながら宏一の指は布地の下へと入っていこうとする。既にそこはたっぷりと液体を湛えていることは恵美自身が良く知っていた。このまま一気に夢中になりたくて仕方がない。もうこれ以上の我慢は無理だった。ただ、このままの状態で秘部を晒すことだけはできなかった。

「待って、シャワーを浴びるから。待って、直ぐだから、ああぁぁぁっ、待ってぇーーっ」

恵美はそう言ったが、その時宏一の指は恵美の茂みを通り越し、敏感な部分の潤いの中で優しく刺激を始めていた。

「恵美さん、こんなに感じてくれてるなんて」

敏感な部分を的確に捉えた宏一の指がゆっくりと活動を始めた。しかし、快感を受け入れる前に、これ以上シャワーを浴びていない身体を探られるのは許せなかった。

「ああんっ、これ以上はほんとにダメッ、待っててっ」

そう言って恵美は最後の気力を振り絞って起き上がると、ブラウスを胸に当ててふらつく足でバスルームに駆け込んだ。直ぐに水音が聞こえてきた。

 

 

 

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