ウォーター

第十六部

 

 宏一が目を覚ましたとき、由美はまだすぐ横で可愛らしい寝顔

を見せていた。宏一の記憶に突然昔の出来事が鮮明によみがえっ

た。由美の無邪気な寝顔が古い記憶の井戸から一つの出来事を浮

かび上がらせてきたのだ。それは、宏一がまだ大学生だった頃の

史恵との恋愛だった。

 宏一は由美を起こさないようにそっとベッドから降りると、応

接セットに座って夕暮れ近い京都の空を眺めた。タバコに火を付

け、ゆっくりと吐き出す。由美と一緒にいるときはあまりたくさん

吸わないので、どうしても一人になったときに火を付けてしまう。

まだ由美を起こさない方がいい。これからたっぷりと誰に気兼ね

なく愛せるのだ。そう思うと、昔の記憶の中に入ってみるのも楽

しく思えた。

 宏一が史恵と初めてであったのは、大学2年生の時だった。宏

一の趣味でもある鉄道研究会は、年に二度の調査旅行を行ってい

た。宏一が旅行を目的地を青森にしようと提案して決定したとき、

史恵は高校2年の夏休みだった。このころの二人は既にお互いを

かなり意識しており、研究会の仲間も何かにつけて冷やかしてい

た。

 史恵は一年前の夏休みから友人に誘われて宏一の大学の鉄道研

究会に参加するようになっていた。あまり鉄道に興味があるわけ

ではなかったが、大学生と話ができることと、他の同窓会のよう

にいかにも高校生を誘って遊びましょう、と言う雰囲気がなかっ

たのが気に入った。

月例会でも結構まじめに資料を集めたり、それを分類してまとめ

る作業は史恵の好みに合っていた。

 史恵は高校2年生にしてはしっかりとした口の効き方をする子

で、宏一には同年代の大学生のように感じる。身長は1m63セン

チで、ショートカットで小麦色の肌の目のクリッとした女の子だ。

まだ確かめたわけではないが、胸の膨らみは小さめで、本人は少

し気にしているようだ。 まめに地味な作業を手伝っている史恵

は、言ってみれば研究会のマスコットのようなものだった。旅行

の手配も、鉄道の調査だけに多くの切符を手配する必要があった

が、史恵は準備作業には半分以上出席して丹念に時刻表を調べた。

 旅行には史恵の他にも大学の近くの高校から何人か女子が参加

するのが恒例で、この時も全部で4人が参加していた。

 5日間の日程も終わりかけて弘前に泊まったとき、居酒屋で騒

いだ後にホテルに帰る仲間と離れて史恵を誘った。

「少し話がしたいんだけど・・・」

と遠慮がちに誘う宏一に史恵は笑顔で、

「少し歩きましょうか」

と応じた。

特に行く当てもなかったが、二人は一緒に話をしていられればそ

れで良かったから、今日乗った五能線の列車の話などすっかり忘

れてお互いのことばかり話し合った。

 ふと話がとぎれたとき、史恵は思い切ったように、

「あの、一週間前に聞いたんですけど、父が転勤になるかも知れ

ないの」

と切り出した。

「エッ、どこに行っちゃうの?」

「福岡です。もともとそこに住んでいたから・・・」

「それってかなり確率高いの?」

「まだ決まった訳じゃないって言ってましたけど・・・」

と史恵は言ったが、その言葉の調子からほとんど東京に残ること

はないだろうと言う感触を宏一は持った。

 このまま別れてしまうには、あまりにも心残りだった。まだ史

恵をデートにも誘っていなかったのだ。宏一としては、今回の旅

行で弾みをつけて、残りの夏休みにでも史恵を誘うつもりだった。

しかし、このままだと、いくらもしないうちに手の届かないとこ

ろに行ってしまう。長距離恋愛と言っても、東京と福岡では離れ

すぎだ。『どうしようか、何とかしないと』宏一の気持ちはぐる

ぐると空回りばかりする。。まるで両手ですくい上げた水が指の

間からこぼれていくような、ただ見ているだけしかできない寂し

さが心の中に広がった。そのまま二人は言葉少なに街を歩いてい

たが、偶然に出会った散策コースの標識に、

「行ってみようか」

と入って行った。

 夜の散策コースは人通りも少なく、何となく寂しい感じで、二

人の気持ちをよけいに暗くした。何かしなければいけないと思い

ながらも宏一には何もできず、気持ちばかり焦るようだった。史

恵もおとなしく宏一の後をついてくるばかりであまり話をしない。

 たまらなくなった宏一は散策コースの途中のベンチに座ると、

史恵の肩を抱いて引き寄せた。史恵は全く抵抗せずに身体を宏一

に預けてきた。宏一が史恵の方を向いている気配なので、史恵は

思い切って宏一の目の前で目を閉じた。ぷっくりとした小さな唇

が宏一を待っていた。長いキスだった。史恵の中に嬉しいような、

悲しいような複雑な思いが胸一杯に広がった。しかし、唇が離れ

たとき、キスだけでは伝えきれないような、まだ言い残したこと

があるような気がして、

「後で、宏一さんの部屋に行ってもいいですか」

と聞いてきた。

そのときの史恵は寂しそうな、沈んだ雰囲気だったので、宏一も

「いいよ、おいで、待ってる」とは言ったものの、こんな気持ち

では史恵を抱けるとは思わなかった。

 泊まっているビジネスホテルに帰ると、そのまま史恵は宏一の

部屋に行くことにした。

「一度戻らなくていいの?」

宏一が念のために問いかけると、

「戻るとまた出てくるときに何かいいわけをしなくちゃいけない

からこのままいきます。いいですか?」

女性陣を始め、かなりの参加者はツインルームなので同室の女の

子にいろいろ聞かれることを恐れたのだ。どうせならそのまま遅

くなって、二人で居酒屋にでも行って来たとでも言っておけばい

いわけは簡単だ。

 宏一の部屋は、部屋割りの都合でシングルルームだった。部屋

に入るとさすがに史恵は身体を堅くして立ちつくした。

「ありがとう、もう少し二人でいたいんだ。史恵ちゃん、好きだ

よ」

そう言うと、宏一はゆっくりと史恵をこちらに向かせた。初めて

宏一から告白してくれた、そう思うと、史恵は嬉しかった。

「私も好き」

それだけ言うと史恵は宏一の目の前で目を閉じた。唇が重なると、

自然に史恵は宏一の首に手を回してきた。まるで二人の今までの

気持ちを表すかのように長いキスだった。史恵の頬を涙が幾筋も

伝って落ちる。宏一の舌が史恵の中に入っていくと、一瞬戸惑っ

たようだが、少しずつ、怯えるように史恵からもゆっくりと舌を

絡めてきた。

 キスをしながら宏一は迷っていた。どこまでしていいものか分

からなかったからだ。可愛らしい唇からうなじの方に少しずつ唇

を移しながら、すぐ目の前にあるベッドに連れていっていいもの

か迷っていた。

史恵にしても同じ事だった。このまま全てをまかせるには気持ち

が中途半端すぎた。しかし、宏一の唇がうなじを愛撫し始めると、

「はっ、はっ、宏一さん、好き、好きよ」

気持ちとは裏腹に史恵の口からは感じ始めていることを正直に伝

える言葉しか出てこない。

 宏一は一旦唇を離すと、

「いいかい、ゆっくりとするから、イヤになったら言うんだよ、

それ以上しないから」

そう言うと史恵をベッドに押し倒していく。

「イヤに何かならない。宏一さんだもの。でも・・・・、ごめん

なさい、何か良く分からないの・・・・ゆっくり抱いていてください」

史恵はとまどいと恐れの中から宏一に安らぎを求めた。このまま

抱いていてくれるだけで史恵は満足なのだ。

 腕の中で小刻みにふるえる史恵を見て宏一もそれが分かってき

たので、最初は優しく背中を撫でたりキスをしたり、時々うなじ

を愛撫する程度に留めていた。しかし、この時の史恵はうぶすぎ

た。情熱にまかせて何のためらいもなく足を絡めてくる。宏一は

だんだん欲望が我慢できなくなってきた。

 「ごめん、我慢できなくなってくるよ。史恵ちゃん、好きだよ」

そう言いながら史恵の胸に手を当てて形を確かめるように触り始

める。

「宏一さん、やっぱり最後までしたいの?」

そう問い返す史恵の言葉は、半ばあきらめと少しの怖さが入り交

じっていた。

「ううん、そこまではしない。でも、もう少しだけ」

そう言いながら、右手で優しく膨らみを撫で回す。

 史恵はこの時、全く感じていなかった。ただ触られているだけ、

と言う感じで、嫌ではなかったが快感もなかった。『どうしよう、

このまま宏一さんに許してもがっかりさせるかも知れない。気持

ちが中途半端だからなのかしら、それとも身体はまだ子供なのか

も・・・』史恵は迷っていた。快感に飲み込まれそうになる恐怖

もなかったので、とりあえず服の上からの愛撫はされるにまかせ

ることにした。

「宏一さん、私、気持ちよくないんです。ごめんなさい。上

手に感じられなくて、せっかく宏一さんと二人きりなのに・・・」

「大丈夫、最初から感じる人なんていないんだから、じゃあ、気

持ちを楽にして」

そう言うと、ゆっくりと愛撫を再開した。確かに、どこを触って

も史恵はじっとしているだけで、身体の反応はない。唯一、うな

じから首筋にかけて唇と舌で愛撫すると息を荒げてしがみついて

くる。

「アアン、こんな所が、アアッ、だめ、あう、感じてる、うう、

宏一さん」

 そのうちに、首筋を愛しながら胸の先端を刺激すると膨らみの

中にポツッと存在を主張するものが現れた来た。今度はその先端

だけを指で軽くひっかくように服の上から愛撫する。

「あ、あっ、宏一さん、何?あっ、そんな、何か、くすぐったい

ような、痺れるような、ああん」

史恵は自分の身体の反応に戸惑っているようだ。軽く摘むと

「くっ」

と身体を堅くする。

 「史恵ちゃん、この服だけ、ね、いいだろ?」

宏一は、せめて今まで見たことのない姿を見ておきたかった。も

ちろん、男としての欲望は頭の中を渦巻いている。

「やっぱり脱がせるんですか。どうしても?」

史恵はほとんど諦めてきたようだ。

「史恵ちゃんをよく見ておきたいんだ。怒らないでね」

「そんな、怒るなんて。怒ったりしませんけど、少し心配なの」

少しどころではなかったが、史恵は正直に言った。しかし、自分

の身体を確かめてみたい気持ちはもちろんある。今、初めて宏一

に教えてもらった感覚は身体の中に確実にくすぶっていた。

 しかし、もし、うまくいかなかったら宏一もがっかりするだろ

うし、自分も立ち直れないくらい落ち込むことになる。

「やっぱり嫌?」

「あの・・・ワンピースの上だけ、それだけにしてくれるなら・

・・いいですよ」

史恵は宏一をがっかりさせたくなかったから、一枚だけ許すこと

にした。今の史恵にはそれだけでも大冒険だった。

 「ありがとう。大好きだよ。嬉しいよ」

そう言うと、宏一は史恵の背中に手を回して一番上のホックを外

してからジッパーを下げていく。ブルーのワンピースの腰までジッ

パーを下げると、

「ちょっと待って下さい」

そう言って史恵は半袖の肩の部分を器用にずらし、胸を隠しなが

ら器用に両手を服から抜いた。そして、胸を両手で隠しながらにっ

こりと微笑んで、

「これでいいですか?」

と宏一に聞いてくる。これで史恵は脱いだつもりなのだ。宏一は

呆れてしまった。

 「両手をどけてごらん」

「いや」

「それじゃせっかく脱いでも何にもならないよ」

「だめ、ここまで」

「ねえ、ちゃんと上を脱いでよ」

「ちゃんと脱ぎましたよ。腕づくでしてみますか?」

半分冗談に紛らせながら史恵はギリギリの冒険を続けていた。

これ以上自分では恥ずかしくて脱げなかった。後は宏一に任せる

しかなかった。

 「よし、史恵ちゃん、僕がしてあげる」

そう言うと、史恵の両手をしっかり握った。史恵は明らかに恐怖

で目を丸くして宏一を見つめている。史恵のチャーミングポイン

トの目が大きく見開かれている。体中の力を込めて両手でしっか

りとガードしているようだ。宏一は史恵の両手を握ったまま、ま

ずキスをしに行った。ゆっくりと時間をかけて舌を絡める。少し

ずつ史恵の手の力が抜けていくのが分かった。

 頃合いを見て両手を一気に史恵の頭の上まで持ち上げる。

「いやー、だめ、こんなの、ずるい、いやー」

史恵は突然無防備にされて激しく嫌がった。そのまま両手を押さ

えておいて、宏一は史恵の胸のワンピースを口でずらす。

「いや、いや、だめっ、いやーっ」

史恵は声を上げ続けた。何よりも自由を奪われたことがいやだっ

た。力ずくで愛されてみたいなどと思ってはいても、実際はやは

りいやなのだ。

 宏一が両手を離したのですかさず胸をガードしに行くが、既に

宏一の唇は胸の間に入っていて押しても動かせない。それどころ

か、宏一の両手は素早く史恵の脇から入り込み、薄い布に包まれ

た膨らみを覆ってしまう。史恵は抵抗するのを諦めた。

「もう、強引なんだから」

そう言うと、史恵は諦めたように両手の力を抜いて目を閉じた。

宏一はゆっくりと膨らみを愛撫し始める。宏一の舌が胸元を這っ

ていくと、史恵は少しずつ感じ始めた。

「いや、宏一さん、はあっ、あうっ、ううっ、はあーっ」

次第に自分の身体が宏一に反応し始めるのを史恵はむしろ嬉しく

なって感じていた。胸を撫でられると何かくすぐったいような感

覚が広がっていく。そして、宏一の唇がシュミーズの上からでも

分かるくらいに膨らんだ先端を挟むようにすると、

「あうっ、うーん」と体を反らせてしまう。

 宏一は更に両手と唇と舌で史恵を愛し続けた。次第に身体が宏

一になじんでいくのが史恵にはよく分かった。そして、どこかで

やめないとこのまま全てを許してしまいそうな、そんな新しい恐

怖が生まれてきた。『ここでやめないと、もう止められなくなる。

宏一さんに全てを投げ出してしまいたくなる。早くやめないと、

こんな事してちゃだめ、今ならまだやめられる』

そうは思っていても、宏一は愛撫は時々頭の中を真っ白にしてし

まう。『朝までこうしていたい』そんな思いがどんどん強くなっ

てくる。しかし、宏一を受け入れてしまえば別れなくてはい

けなくなったときにつらくなるだけだし、それが決まるまで一月

もないのだ。嬉しいような寂しいような、二人だけの初めての秘

密の時間だった。

 必死に反応しようとする身体を押さえながら、押し殺したよう

な甘い声を出す史恵を、宏一はもどかしい思いで愛撫していた。

しかし、

「ごめんなさい、これ以上はだめ、まだ決心が付かないの、子供

でごめんなさい」

と涙ながらに謝る史恵を見たとき、宏一は優しく抱きしめていた。

 

宏一が史恵とのペッティングの記憶は宏一にとっても甘い、

寂しい思い出だった。『由美ちゃんと年頃が近いから思い出した

のかな?』そんな風に思いながら夕暮れの京都の空を眺めている

と、ベッドの方で由美が体を動かすのが分かった。どうやら目が

覚めてきたらしい。宏一の肉棒は既に十分堅くなっていた。立ち

上がるとそっと由美の横に滑り込む。

 由美が目を覚ましたのは7時近くになってからだった。我慢で

きなくなっていた宏一が由美の唇からうなじ、そして乳房を愛撫

し始めると、由美も目を覚ました。

 「ああん、まだ身体が眠っています、もう少し待って下さい」

とのけ反って身体を揺する。色白の二つの半球型の乳房の上に

乗った突起が夕日に映えて素晴らしい。

「もう7時だね、京都の夕景色を見てみようか」

と宏一はベットを降りて、ガウンだけを身にまとうと、戸を開け

て外に出た。

このホテルは各部屋に小さなバルコニーが付いている。宏一たち

の部屋は、通りと反対なので閑静な木立が夕日に映え、遠くに京

都の街が見えた。

由美はあわててTシャツとスカートだけ身につけるとバルコニー

に出てきた。空が茜色に染まり、遠くがうっすらと霞んでいる。

「わぁーっ、ステキ、あこがれてたんです、京都の夕景色、素敵

だわ、東京じゃ絶対見られませんね」

と言いながら手すりにもたれてうっとりと外を見ている。横から

見ると由美の胸の頂上に突起がぽつんと出ているのが分かる。ど

こからか、水音と歓声が聞こえている。そう言えば、ホテルには

プールがあったな、そう思いながら由美の後ろに回ると、肉棒を

スカートの後ろから差し込んだ。

「あっ、せっかく景色を楽しんでたのに、だめです、ベッドにい

きましょう」

と由美はいやがったが、既に抱かれた後なので、新幹線の中のよ

うに激しくいやがったりはしない。

「だめです、ああ、良くなってきました、宏一さん、ベッドでし

ましょう」

「由美ちゃんの中から何かいっぱい出てきたよ、もう中はぬるぬ

るになっちゃってるよ」

「はあーっ、だめ、さっきあんなにしてもらったのに、あ、また、

あーっ、中が、熱い」

そう言いながら由美はゆっくりと尻を突き出してきた。宏一の肉

棒がスルッと入っていくと、

「はうっ、いいっ」

と小さな声を上げて喜び始めた。しかし、大きな声を上げれば誰

に聞かれるか分からないので、口に手を当てて必死にこらえよう

とする。

「・・・だめ・・・動かないで下さい、・・・声が出ちゃいます。

・・・ああ・・・動きたい・・気持ちいい・・・」

「ほら、あそこに見えるのは清水寺かな、とっても綺麗だね」

そう言いながらTシャツの中に手を入れて二つの膨らみと突起を

手のひらで転がす。

「きれいです・・・ああっ、あっ・・・もう・・我慢できません、

だめ」

そう言うと、

「はあっ、ああっあっ、いいっ、もっと」

と少し大きな声を上げて夢中になって腰を使い出す。あわてて宏一

が由美の口をふさぐと、由美は、

「お願い、ベッドでして下さい、声を出しちゃいました」

と半分泣き顔で哀願する。

 宏一が解放すると由美は部屋に飛び込み、Tシャツとスカート

を脱いでベッドで宏一を待った。宏一がベッドで挿入すると、

「ああーっ、いいーっ、こんな身体になるなんて、宏一さんのい

じわる、イイッ」

と宏一の下で動き続けた。やがて、

「ううっ、いいっ、いくっ」

と宏一の下で硬直すると、満足したように、

「ステキ」

とつぶやいた。

 やがて、

「夕食に行こうか」

と宏一が身支度を始めると、由美は体がだるそうに起きあがって

きた。

「ショーツをはいてもいいですか、このままじゃ、スカートを濡

らしてしまいそうです」

「じゃあ、ショーツだけね、ブラは無しだよ」

「・・分かりました、でも、何もしないで下さいね」

由美はちょっといたずらっぽく笑うとノーブラで支度を整え、宏

一と部屋を出た。エレベーターの中は誰もいなかったので、宏一

は由美を抱き寄せてキスをしながらTシャツを揉んだ。由美も誰

もいないので安心して応えた。ツンと尖った乳首は宏一を待ちこ

がれているようだ。

エレベーターが開くと、そのまま二人はお互いの腰に手を回して

外に出た。

 京料理のレストランに入ると、宏一は日本酒を頼んだ。東京で

は日本酒など飲まない宏一だったが、京都で由美と過ごす日だし、

銘酒もあるので飲むことにしたのだ。値段も高いだけあって上質

な口答えで、薄味の和食にはよい組み合わせだった。東京ではま

ともに味わえない生麩と鰊の炊き合わせなど、さすがにお薦めの

日本酒にぴたりとあった。

そして満足した宏一は、酒を味わいながらも、美味しそうに食べ

ている由美の胸をゆっくり鑑賞する事にした。店はあまり明るく

なかったが、よく見ると乳首がうっすらと透けて見える。

「恥ずかしいからあまり見ないで下さい」

と由美は言ったが、目は笑っていた。

 食事を終えて、部屋に戻ると部屋の入り口で、宏一は由美に部

屋のキーを渡した。不思議がる由美を抱き上げると、

「さあ、部屋の鍵を開けて」

と言った。由美は、

「こんな格好で鍵を開けるなんて、新婚みたいですね」

と笑いながらカギを開けた。

 部屋に入ると由美を下ろし、互いの唇を心ゆくまで求め合った。

宏一の舌が由美の口の中を動き回り、由美の舌が宏一の舌を追い

求めた。やがて、由美は唇を離すと、

「お風呂の支度をしてきます」

とバスルームに入って湯を入れ始めた。

そのまま由美がシャワーを浴びるものと思った宏一は服を脱ぎ捨

ててベッドに横になると、タバコを吹かし始めた。しかし、すぐ

にバスルームから出てきた由美は、宏一の姿を見て

「宏一さん、お湯がいっぱいになるまでもう少し待って下さい」

と笑って言うと荷物の整理を始めた。

 ゆっくりと一本吸い終わった宏一は、

「先に入るよ」

と言うとバスルームに入ってまだ湯の少ないバスタブにゆっくり

と体を沈めた。全身がゆっくりと温まって行くのを感じながら、

この後どうやって由美を愛してやろうか、と考えを巡らせ始めた。

軽く酔いが回っているが、肉棒はまだ元気いっぱいだ。部屋では

由美が荷物の整理を終え、宏一と過ごす初めての夜に心を弾ませ

ていた。

 しかし、すぐに出て来るものと思っていた宏一がなかなか出て

こないので、一枝にちょっとだけ電話をすることにした。親には

一枝と一緒に鎌倉に行くと言ってあるし、親が確認の電話を一枝

の家にすることも考えられたので、一枝には他の友達の家に泊ま

りに行ってもらったのだ。

もちろん、一枝に協力を頼んだときには、ある程度うち明ける必

要があったから、一枝は由美が恋人と泊まっていることを知って

いた。だから、

「どんな風に夜を過ごしているのか電話をちょうだいね」

と言われていたのだ。宏一の携帯から一枝のPHSに電話をする

とすぐにつながった。

 「一枝ちゃん?今日はありがとうね」

「ゆんなの?今どうしているの?」

「部屋で荷物の整理が終わったところ。圭子はどうしてる?」

「今、お風呂に言ったわ。大丈夫、圭子には話してないから。そ

れから、さっきゆんのお母さんから私の家に電話があったらしい

わよ。さっき家にかけたらそう言ってたわ」

「ありがとう。一枝ちゃんじゃないとこんな事頼めないから」

「そんなことどうでもいいわよ、彼はどうしてるの?」

「今お風呂に入っているわ」

「もう、しちゃったの?」

「内緒よ、でもキスはしたわ」

「からかわないでよ、本当は私だって旅行したかったんだから、

ちゃんと答えてよ」

「ごめんね、怒らないで」

由美はベッドの上に俯せになって一枝と話していた。

 すると、宏一がバスルームから出てきた。宏一は、俯せになっ

て無防備にベッドでくつろいで話をしている由美の格好を見ると

カッと身体が熱くなってきた。

由美の耳元で、

「そのまま電話を続けていなさい、いいね」

と言うと、由美の服を脱がせ始めた。由美は少し抵抗したが、一

枝と話している最中なので声に出して抵抗するわけにも行かず、

次第に服を脱がされていった。もともと、あまり身に着けている

ものは多くなかったので、宏一は簡単に由美を全裸にしてしまっ

た。

由美にしてみれば、無理にでも一枝との話を打ち切って、電話を

切れば良かったのだが、一枝に変に思われると、また東京に帰っ

てからいろいろ聞かれると思い、切るタイミングを逃してしまっ

た。

 宏一は、俯せで話をしている由美の背中から腰の方にゆっくり

と舌を這わせていった。

「それでね、南禅寺の・・・隣の・・・インク・・うっ、インク

ラインの跡をはうっ・・・んんっ」

急に由美の話がとぎれがちになったので一枝は、

「どうしたの?ゆん、どうしたの?」

「なんでもないわ、・・・気に・・しないで・・んっ、だめ・・

そこ・・・ううっ」

「何かあったの?ゆん、変だよ、気持ち悪いの?」

宏一の舌は腰から更に下がり、尻の割れ目に入っていこうとする。

「・・・!」

由美はあわてて腰を横にねじって舌の侵入を防いだ。



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