ウォーター

第百七十四部

 


「由美ちゃん、終わる前に全部脱いで」

「イヤァッ、このままいってからっ」

「ダメ、今脱ぎなさい」

「そんなぁっ、ああぁぁ、やめちゃいやですぅぅぅぅ、ああん、いじわるぅぅ」

宏一に動くのを止められ、乳房を揉む手も止められてしまった由美は残念そうに身体を起こすと、来ているものを全部脱ぎ始めた。全部と言ってもセーターとスカートだけなので直ぐだ。ただ、スカートを脱ぐ時に肉棒を抜きたくなかったので、挿入したまま上から脱ぐことにした。細身の由美だからできることだ。

「綺麗だ」

目の前で全裸になっていく由美は本当に綺麗だった。宏一は時々クンと腰を軽く突き上げて由美を困らせた。

「あんっ、じっとしてないと脱げません」

由美はそう言いながらも身体をクネクネと動かしてスカートを脱いでいった。その時、由美が身体をくねらせた時に肉壁がコリコリッと肉棒を擦り上げたので由美は、

「ああっ、ああんっ、こんなっ、ああぁっ」

と声を上げた。

「さぁ、もう少しだよ」

幸一がそう言うと、由美は先程と同じ姿勢を取って宏一の上で手を付きながら身体を前後に揺すり始めた。服を脱ぐ時間が焦らしと同じようなものなので、由美が高まるのは早かった。

「ああぁぁっ、ああっ、はうっ、はうっ、いいっ、このままいきそうっ」

宏一は由美の乳房を揉みながら、

「由美ちゃん、最後は身体を起こしなさい」

と言って由美を完全な帆掛け船にして下から突き上げた。

「ああぁっ、ああぁっ、ああぁっ、凄いっ、突き抜けちゃうっ」

由美は宏一の上で突き上げられ、固い乳房をプルプルと揺らしながら最後の瞬間が来るのを確信した。そして、いつものように自分で乳房を揉むように言われると思い、両手を胸に当てたが、

「最後は俺がする」

と幸一が言うと、身体を起こして由美の右の乳房に吸い付き、舌で乳首を転がしながら左の乳房を右手で揉み、左手で由美の細い腰を抱きしめたまま身体を上下させ始めた。

由美にとってそれは最高の愛され方だった。夢中で宏一の頭を抱きしめると、由美は絶頂への最後のステップを駆け上がった。

「宏一さん、あぁぁぁ、もういっちゃぅっ、いきますいきますぅぅぅぅぅぅぅぅーーーーーーっ、ううっ」

由美は宏一の頭を抱きしめたままグッと仰け反ると絶頂した。最高の瞬間だった。凄まじい電流が身体を走り抜ける。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・・」

凄まじい快感の電流が身体を駆け抜ける度に由美の身体から力が抜けていく。宏一はそのまま由美をベッドに寝かせた。

由美はこれで終わりだと思った。しかし、宏一は由美の足を全開にすると一気にスパートをかけ始めた。

「ああぁぁっ、宏一さん、宏一さんっ、まだするのぉッ」

慌てて由美が夢中で宏一を受け止める姿勢に入る。宏一は激しく出没しながら由美の乳房を一気に揉み、由美の中で果てようとした。

「いくよ。いくよ、由美ちゃん、いくよ」

「ああっ、私もまたぁっ、ああぁぁっ、一気にいクゥーーッ」

宏一は由美の中に放った。余り量はなかったが、とても気持ち良かった。二人はしばらく繋がったまま余韻を楽しんだ。由美は愛され尽くしたと言う実感に浸りながら宏一の肉棒がゆっくりと小さくなっていくのを感じていた。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・、素敵でした・・・」

「由美ちゃん、最高だったよ」

宏一はそう言うと、そっと肉棒を由美から引き抜いた。

「お支度、・・・・・しなきゃ、時間が・・・」

由美はそう言うと重い身体を引き起こし、再び服を着始めた。さすがに今度は宏一も脱がそうとは思わなかった。

由美が支度をする間に宏一も身支度を調え、由美が出てくると部屋をもう一度見渡してから、

「由美ちゃん、ありがとう。楽しかったよ」

と言うと由美を抱きしめてキスをした。

二人はチェックアウトするとレンタカーを返しに行き、そのまま新幹線に乗って東京に向かった。グリーン車も空いていたのだが、由美は、

「普通の席が良いです」

と言ったので普通の指定に座った。意外に車両は空いていた。

「由美ちゃん、グリーンじゃなくて良かったの?」

「はい、だって、グリーンだと間に手を乗せる所があって、宏一さんと席が離れているから」

そう言うと由美は宏一の腕を取って肩に頭を乗せた。

「こうしていても良いですか?」

「うん、この方が良いかもね」

「はい」

新幹線は直ぐに長いトンネルの連続に入った。二人とも愛し合った疲れとお互いが触れ合っている安心感で、トンネルを出る頃にはぐっすりと寝ていた。

その頃一枝は、全ての準備を整えた後に自分の部屋で裸になると、もう一度だけベッドの中でオナニーをしていた。元々一枝は余りオナニーをしない方だったが、最近宏一に身体を開発されてからは良くするようになっていた。

『宏一さん、今日は優しくして。ゆんの事なんて忘れて。私に夢中になって良いのよ。私が全部忘れさせてあげる』『私、上手に感じられるようになった?あん、宏一さんが教えたくせに』『だめよ、そんなに急いじゃ。でも、脱いでみせるなんて恥ずかしい・・・。あんまり見ないで』

一枝は空想の中の宏一に夢中になり、そっと左手で乳首を可愛がりながら右手の指先で秘核の隣を撫で回した。しかし、あくまでこれはオードブルなのでわざと最高の感覚は得られないように刺激を抑えていた。次第に身体が強い刺激を欲しがってくる。一枝にはそれが自分の身体を宏一に開発された証拠だと思えたので、焦れったさが楽しかった。

『宏一さん、もう全部脱がないとだめ?』『私、痛くても我慢する。だからいっぱい優しくして。そしていろいろ教えて。宏一さんのこと、好きになるから』『ゆんよりも気に入ってくれても良いのよ。私からゆんに話をするから』

一枝は時間の許す限り、今日の体験を想像して夢中になって指をそっと動かした。ただ、さすがに指を入れたりはしなかった。そこは一枝にとって既に『宏一さんのための場所』なのだ。

ただ、いつまでもベッドに入っているわけにもいかず、時間が迫ってくると一枝はベッドを出て身支度を調えた。一枝の身支度は由美のように身体の隅々を愛されることを想定していないので着るものをきちっと着ればそれでお終いだ。だからものの3分もあれば終わってしまう。一枝は支度を調えると、勢い良く外に飛び出し、少し早足で宏一のマンションに向かった。

一方、由美と宏一は東京駅に着くギリギリまで寝ていたので、目を覚ました時、新幹線は上野に近づいていた。

「宏一さん、寝ちゃいました・・・・・」

「そうだね。俺も全然目が覚めなかったよ」

「最後まで時間を大切にできなかった・・・・・」

「ごめんね。俺も由美ちゃんと話をしていたかったんだけど、ふっと目をつぶったら寝ちゃったみたいだよ」

「ううん、宏一さんは昨日から運転したりして疲れているから、私が起きていなきゃいけなかったんです」

「そんなこと無いよ。由美ちゃんは昨日から俺よりずっと疲れているんだから、由美ちゃんは寝ても仕方ないんだよ」

「私の方が疲れてるんですか?」

「分かるだろ?俺は触ってれば良いだけだけど、由美ちゃんは全身で感じてたから」

「それはそうですけど・・・・・・・」

「だから、由美ちゃんの方が疲れているんだよ」

「はい・・・」

由美は恥ずかしそうに下を向いたが、その顔は笑顔だった。宏一は由美の耳元で更に、

「由美ちゃんが夢中になって感じてる所、じっくり見ちゃったからね」

と言うと、由美は更に下を向いてそっと頷いた。由美にとってそれはとても嬉しい二人だけの記憶だった。由美が宏一にだけ見せる姿なのだ。恥ずかしいが、宏一の記憶の中にいられると思うと幸せな気がする。そして少しすると、

「でも、もうすぐお別れなんですね・・・・・」

と言った。

「そんなこと、言わないで欲しいな。明後日になればまた会えるんだから」

「はい・・・・でも、寂しい・・・・・・」

そう言うと由美は周囲を見渡してからそっと宏一の頬にキスをしてきた。宏一も軽く周りを見渡してから首を回して由美とキスをした。唇を啄むような簡単なものだったが、由美の思いのこもったキスだった。

「あと少しだけ、こうしていても良いですか?」

そう言うと由美は宏一の手に自分の手を重ねてきた。

「うん、もちろんだよ」

宏一はそう言った。その時、宏一は自分の肉棒にエネルギーが注入されるのを感じ、これから一枝を貫く自信を得ていた。何度も指で十分に慣らしてから挿入した洋恵と異なり、一枝の身体はまだ道がやっと付いた程度でしかない。宏一の太い肉棒をどこまで受け入れられるか、正直、結構不安だった。

「宏一さん、何を考えているんですか?」

「え?ううん、楽しかったなぁって」

「私、部屋に入った時は少し気持ちがアンバランスで、ちょっと不安だったんです」

「アンバランス?」

「はい、早く宏一さんの気持ちを確かめたかったけど、気持ちが先走りしてたって言うか、身体がそんな感じじゃなかったから」

「俺の気持ちを?どういう事?」

「私のこと、どう思ってるのかなぁって・・・・・・」

「何を今更。疑ってたの?」

「そんなことありません。でも、確かめたかったから」

「それに、最初の由美ちゃんの身体、ちゃんと準備ができてたじゃないの」

「気持ちはもっとずっと先にいってたんです」

「それで、どうだったの?」

「嬉しかった。あっという間でした。あんなに長い時間、宏一さんに抱かれていたのに」

「俺も、由美ちゃんへの気持ちを伝えたくて夢中だったよ」

「嬉しい。そんなこと言ってもらえて。でも・・・・」

「でも?」

「がんばります。明後日、また会えますよね?」

「うん、もちろんだよ」

「でも、我慢できるか、ちょっと自信がありません」

「大丈夫、由美ちゃんなら大丈夫だよ」

「私、そんなに強くないですよ」

「そうかな?」

「私、今だって宏一さんにくっついて部屋まで行きたくて仕方ないんです」

「えっ?」

「半分本気ですよ」

由美は驚くべきことを言った。由美が一緒に部屋に来ると言うことは、一枝が宏一に貫かれるのを横で見ていると言うことだ。そんなことは、いくら一枝と由美が仲良しでも一枝が承知しないだろうと思った。どちらかというと、いざとなった時に思い切りの良いのは由美の方で、一枝は恐がりで臆病な感じだからだ。

「ゆみちゃん・・・・・・」

「大丈夫。そんなことしません。・・・・・でも・・・・・」

「でも?」

「ううん、何でもありません。宏一さん、私が行っちゃ嫌ですか?」

「嫌じゃないけど・・・・・少し恥ずかしいな・・・・・・・でも」

「でも?」

「由美ちゃんは一度、一枝ちゃんの前で全部見せてるんだから、由美ちゃんが見るのも有りかも知れないね」

「はい・・・・そうですね・・・」

由美はそう言うと黙り込んだ。

 

 

 

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