ウォーター

第百九十一部

 

だが、もともと一人用のバスタブは、広めとは言っても3人も立てば身動きなど殆どできない。おまけに、シャワーをちょうど良い位置で浴びられるのは常に一人なので3人は気をつけないと身体がぶつかった拍子に滑って転びそうだった。もちろん、バスタブで転べば無事には済まない。偶然にも宏一は左右に少女二人を置いて真ん中に入った。

宏一は可愛らしい少女二人とシャワーを浴びる機会が巡ってきたことに喜んだ。直ぐにボディソープを手に取ると、いきなり一枝と由美に塗りたくった。

「いやぁぁ、何するのよぉ」

「ひゃぁっ、嫌ですぅ」

二人はいきなりの攻撃に声を上げた。

「ほうら、良く泡立ててからシャワーを浴びないと」

宏一は後ろを向いてしまった一枝の身体の後ろから手を回し、乳房からお腹、そして茂みへと手を伸ばして好き放題に撫で回した。ベッドの上とは違う、全く新しいシチュエーションなので全裸の少女を好き勝手に触りまくれることに夢中になってしまう。

「いやぁぁ、転んじゃうからぁッ、いやぁっ」

一枝はそうは言ってみたものの、それほど嫌がってはいないようだ。自分から言い出したことなので当たり前かも知れないが、元々こういう事には奥手の一枝にしては、自分でも驚くことをしていると思った。そして、直ぐに自分もボディソープを手に取り、宏一が由美の身体に同じ事をしている間に宏一の身体にも塗りたくってきた。

「一枝ちゃん、大人しくしてないとダメだよ」

宏一が振り向いて一枝に再び同じ事をしている間に、今度は由美が宏一の身体にソープを塗りまくる。ただ、一枝と違って由美の塗り方はかなり丁寧だった。そして、由美は宏一の身体にたっぷりと塗ると、自分の身体を押し付けてきた。

宏一は柔らかいものがぴったりとくっついてきたので、キャッキャッと騒いでいる一枝にも由美がしているようにゆっくりと優しく塗り始めた。

「由美ちゃん、なんか変な気分だよ」

宏一は振り向くと、今度は由美をゆっくりと撫で始めた。全体的にぷくっとして丸みを帯びている一枝の身体に比べて、由美の身体は手も足も少し細く、乳房も硬くて小さい。

「私も、でも、なんか恥ずかしくて嬉しくて・・・・」

「由美ちゃん、こんなこと、したこと無かったよね」

「はい」

「私もぉ、二人だけなんてズルィ」

「今まで一枝ちゃんはして貰ってたでしょ。ね?宏一さん?」

「うん、直ぐに一枝ちゃんにもしてあげるからね」

「はやくぅ」

「分かった分かった。じゃ、交代ね」

「ねぇ、ソープランドって、こんなことするの?」

「どうかな?一枝ちゃん、興味あるの?」

「ううん、でも、なんかこうしてると変な気持ちになるから・・・・」

「そうかも知れないね」

「ね、宏一さんも行ったことあるの?」

「どうかな?内緒だよ」

そう言うと宏一は手を伸ばして一枝の茂みの中に指を差し込んだ。

「イヤッ、石けんが入っちゃう」

一枝が身体をすぼめてガードすると、宏一は直ぐに由美にも同じ事をした。但し、由美は嫌がらず、

「ダメですぅ、ああん、そこは大切に触らないと・・・・」

と宏一の首に手を回して身体をくねらせる。この時由美は、先程宏一が自分の中に残していったものが少しずつ流れ出していることに気が付いていた。宏一の残滓が宏一の手で洗い流されていく。それが一枝とは違う宏一への態度になって現れていたのだ。一枝は何をされても幼稚な反応しかできない自分に比べて由美は既に宏一に開発し尽くされていると思った。『ゆんは凄いわ。【愛されるテクニック】って奴ね。こんなの、私にできるわけ無いじゃん。なんか、全然違う』そう思うと、少しでも宏一の興味を自分の方に引こうとした自分が何だかバカらしくなってきた。

「ふぅーーーーっ、ねぇ、ちゃんとシャワーを浴びるの。良い?分かった?そうれっ」

そう言うと一枝は一気にシャワーを出した。それは一枝を飛び越して宏一と由美にかかった。

「きゃぁっ、冷たいッ」

由美が最初、水が出てきたので大声を出したが、直ぐに水は温水へと変わり、宏一と由美の身体を洗い流していく。そのまま二人は最初、ちゃんと泡を流していたはずなのだが、ふと一枝が気が付くと二人ともたっぷりと濃厚なキスをしながらお互いの身体を探り合っていた。

「もう、何してんのよ。私がここにいるのよ。水に変えちゃうから」

一枝がそう言うと、宏一が振り向いて一枝にも同じ事をしてくれた。ただ、キスはかなり簡単なものだったが。それでも、宏一に抱きしめられながら身体中を探られるのは一枝にとっても、身体がぼぅーっとなるような気持ち良さだった。

やがて3人はシャワーから上がると、身体を拭いてベッドに座った。但し、バスタオルは2枚しかないので宏一と一枝が使い、由美は身体だけ拭いてからバスルームに戻って服を着た。由美が出てくると、一枝が代わりに入り身支度を調える。

宏一は、少女二人とシャワーを浴びた後に、また3人で何かできるかと思っていたが、何となく流れとして二人共服を着てしまったので諦めるしかないと思った。

そして一枝が身支度を調えて出てくると、由美は、

「宏一さん、そろそろ帰ります」

と言って一枝を見ると、一枝も帰るつもりなのか、同じように頷いている。

「分かったよ。気をつけてね」

宏一はちょっと残念な気がしたが、無理に引き留めるほどの理由もないのだから仕方ない。ただ、一枝だけは宏一近づくと首に手を回して、

「宏一さん、ありがとう。・・・・素敵だった・・・・」

と言ってキスをした。

「一枝ちゃん、良かったね」

「うん、それじゃぁね」

そう言うと一枝は由美を促して部屋を出て行った。

由美と一枝はマンションを出ると、由美から話しかけた。

「いっちゃん、あれで良かったの?」

「うん、もう分かったから」

「分かった?何が?」

「ゆんと宏一さんの間に入り込むのは絶対に無理だって事が。もしかしたらって思った私がバカだったわ」

「いいの?それで」

「良いも何も、あれを見せつけられたら誰だってそう思うわよ。それに・・・」

「なあに?」

「宏一さんの顔に掛けちゃったのよ。これから先、どうやって宏一さんに会えって言うのよ。宏一さんの顔を見る度に思い出すなんて絶対に嫌。まだ気持ちはあるけど、宏一さんに会う事なんて絶対にないと思う」

由美は一枝のその言葉を聞いて、自分から一枝と宏一がいる部屋に押しかけていって良かったと思った。

「私がいっちゃんがして貰ってる所に入っていった時、邪魔だって思った?」

「ううん、そんなことない」

「そうなの?」

「良く分かんないけど、なんかそんな気がしたの。でね、ゆんが来ても全然変な気がしなかったって言うか、ゆんだからかなぁ、とにかく嫌じゃなかった。恥ずかしかったけど」

「よかった」

「本音が出たわね。でも安心していいよ。もう宏一さんに付きまとったりしないから」

由美は一枝が本心からそう言っているのが分かったのでとても安心した。実は、これからも宏一と一枝が合うことが起こるかも知れないと思って心配していたのだ。二人はそのまましばらく無言で歩いた。そして駅が近づいてきた頃、一枝がぽつりと言った。

「ねぇ、ゆん」

「なあに?」

「あのね・・・・・・・ありがとう・・・・」

小さな声だったので良く聞こえなかった。

「え?」

「だから・・・・ありがとう・・・・・」

その言葉は由美の心に暖かく響いた。

「・・・・・・よかったね、いっちゃん」

「うん。ゆんだからだよ。私の心の中を見せるのは。友達はいっぱいいるけど、ゆんだから。それに、信用できるし」

「いっちゃんに言われると嬉しいな」

「・・・ふぅ・・・・、まぁ、そうやって可愛らしく笑ってる時のゆんは本当に普通の高校一年なのにね」

「え?何のこと?」

「ううん、ベッドの上で宏一さんとやってること。あんな凄いこと、いつの間に教えられたの?学校の男子が知ったら気絶するわよ。学校では虫も殺さないような大人しい子なのに。全く、女って言うのは男でああも変わるもんかしらね?」

「もう、よしてよ。そんな言い方」

そう言いながら由美は『そんなに凄いことしてるのかな?私、いつの間にそうなったんだろう?』と思った。ただ、由美の中にあるのは宏一との間の恥ずかしくて気持ち良い、そして暖かい想い出ばかりなのだ。

「良いじゃない。これで私たちはお互いに絶対知られたくない秘密を共有したのよ。ゆんだって宏一さんとのこと、誰にも知られたくないだろうし、私だってあんなこと、絶対に誰にも知られたくないもの。だから、お互いにぜったに誰にもしゃべらないでしょ?」

「そうか、そう言うことか」

「そうか、じゃないわよ。そう言う所は呑気なんだから」

「いっちゃん、私といっちゃんだけの秘密ね」

「そう、絶対に秘密だからね。良いね?」

「うん、分かった。約束する」

「あぁ、良かった。私もこれから彼を見つけるわ」

「そうよ。いっちゃんなら直ぐに見つかるから」

「簡単に言うわね。自分は素敵な彼が居るからって、簡単に言わないでよ」

「ううん、きっと簡単。だっていっちゃんは付き合い広いもの」

「まぁ、とにかくがんばってみるから」

「うん、いっちゃんは彼ができたら真っ直ぐなんだろうなぁ」

「ゆんみたいにって事?それはない。彼が一人いれば後は何も要らないなんてきっと私には満足できない、と思うんだ」

「そうかなぁ?私は結構いっちゃんて一途だと思うけどな・・・・」

「まぁ、私だって素敵な彼ができたらどうなるか分かんないけどね。もしかしたらゆんの言う通りかも知れない。って言うか、その通りなのかもね。そっちの方はゆんの方が経験豊富だから」

二人は電車に乗り、途中で一枝は別れていった。由美は電車の窓から外を眺めながら、昨日から今日まであったことを思い返していた。『志賀高原、素敵だったな。あんな景色見たの初めてだったし。山の上で宏一さんとちょっと喧嘩したっけ。それから素敵な軽井沢のホテルに行って・・・私、何回宏一さんに抱かれたんだろう?えっと、まず部屋に入って直ぐに私が宏一さんの前で服を脱いで、それから直ぐにして貰って、ジャグジーに入ってベッドに行って、それからまたして貰って・・・。恥ずかしいおねだりをいっぱいしたな・・・・』由美は一枝のことが心配で宏一に必死に甘えていた昨日のことがずっと昔のように思えた。

 

 

 

 

 

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