ウォーター

第二百十三部

 

「だめ、それをしたら絶対に止まらなくなる・・・・。三谷さん、ちょっと待って・・・」
もう香緒里ははっきりと喘いでいたが、同時に身体の中に湧き上がってくる甘い感覚に溺れそうになりながらも、本気で夢中にはなれない自分を感じていた。確かに気持ち良いのだが、それを心から楽しめないのだ。どうしても気持ちにブレーキがかかってしまう。
しかし、宏一の手を抑えても宏一の左手の指は優雅な動きでボタンを外していく。宏一の微妙な指の動きが香緒里の肌に当たる度に甘い感覚が走り抜ける。
「お願い、これ以上はだめ、ああん、そんなに、ああっ」
「そうなの?」
香緒里は項を優しく舐められ、その感覚に言葉が止まってしまった。ナイトウェアのボタンを上から二つ外した宏一の左手はゆっくりと肌の上を滑って布地の中に入ってくる。
「そんな、ああっ、本当にダメ、あああん、三谷さん。しないで・・・」
香緒里は慌てて宏一の手を再び抱きしめたが、既にナイトウェアの布地の中に入ってしまった手は肌の上にしっかりと密着してくる。宏一の手の感触がダイレクトに感じられた。
「だめ・・・・・ああぁぁぁん・・・・本当にだめよぁ・・・・・」
香緒里は宏一の手を防げず、肌の上をゆっくりと指が滑っていく感覚をはっきりと感じ、乳房がゆっくりと包まれていく感覚に流されていった。
「香緒里ちゃん、可愛いよ・・・・」
宏一の手がとうとう右の乳首のすぐ近くまで入ってきた。
「ああっ・・・・そこはっ・・・三谷さんっ・・・・」
香緒里は手を抱きしめるだけでは防げないと思ったのか、今度は両手で宏一の左手の手首をしっかりと握ったが、指の動きは止められない。ゆっくりと指が乳房の上を動くと、とうとう指先が乳首に届いた。ほんの少しだけ乳首が宏一の指で押された。
「んんんんっ」
香緒里の身体が勝手に仰け反った。
「ああっ・・・・そんな・・・・あああっ・・・・だめ・・・・・」
香緒里が快感を受け入れたことが分かると、今まで何もしていなかった宏一の右手が香緒里のナイトウェア上を滑ってパンツへと伸びていき、そのままナイトウェアの布地の中に入ってきた。
「感じてくれて嬉しいよ」
宏一の優しい声が香緒里の耳元で小さく響くと、宏一の右手がパンツの上から香緒里の秘部へと近づいてきた。
「ああっ、それだけは絶対ダメぇっ」
香緒里は右手で乳房を包んでいる宏一の左手を掴んだまま、左手でナイトウェアの上着の下を握りしめたまま宏一の右手を下に強く押し出そうとした。あまりに強い力なので痛いくらいだ。
宏一の右手がパンツから少し離れた。
「だめぇっ、絶対だめっ、だめっ」
その言葉に宏一が反応し、両手の動きが止まった。
「だめ?」
「絶対だめっ、そんなつもりじゃないのにぃっ」
香緒里ははっきりとそう言った。それは本心と言うよりは香緒里の気持ちの整理がつかないことの表れだったが、とにかく今は拒絶しないと気持ちが付いていかない。
「いや?」
宏一の声が優しく、冷静に響いた。
「だめ、もっと優しくしてくれなきゃ、こんな無理やりは絶対だめっ」
香緒里はそう言ったが、宏一にしてみれば『これ以上優しくって言われても・・・・』と思ってしまった。
「とにかく、これ以上はしないで」
「優しくしないとだめなの?」
「もっと優しくしてくれないと。これ以上はダメ」
香緒里は宏一の手をさらに下に押し出したまま、それ以上を許そうとしなかった。
「そう・・・・・・」
宏一がそう言うと、宏一の両手の力がはっきりと抜けるのが分かった。安心した香緒里はそっと言った。
「三谷さん、ごめんなさい。気持ちの整理が・・・・・・」
香緒里がそう言うと、宏一の右手がナイトウェアからそっと抜き取られ、香緒里の腰のあたりをそっと抱きしめた。それに安心したのか、香緒里はもぞもぞと身体を動かしてから右手が再び宏一の左手に戻り、再び両手で宏一の手を抱きしめた。それは、乳房に触れているだけの左手はそのままでもいいという意思表示だった。とにかく嫌がってばかりの香緒里は自分で『これじゃまるでバージンみたいじゃないの』と思った。
「こっちはこのままでもいいの?」
腕枕をした左手が香緒里の肌に触ったままの宏一が聞くと、香緒里の頭が小さく上下に動いた。
宏一は香緒里の真意がわからずに戸惑ったが、もう一度香緒里の乳首をそっと指先で愛撫してみる。
「んんんっ、だめ、そんなにしないで」
触っていてもいいが、動かしてはだめ、そんな中途半端な香緒里の言い分に、宏一は愛撫を止めざるを得なかった。
「うん、わかったよ。こうしてるから」
宏一はそう言うと、香緒里の身体を後ろから抱きしめたままじっとしているしかなかった。
香緒里は宏一の動きが止まると、やっと気持ちに少し余裕が出てきた。そして最初は『三谷さんたら、いきなりしようとするんだもの。もっと女の子の気持ちを大切にしてくれないと』と思っていた。
しかし、そのまま二人がじっとして香緒里の気持ちが落ち着いてしばらくしても、宏一はそれ以上何もしようとしない。実は左手をしっかりと抱きしめられているのに愛撫ができないので、宏一は全く身動きが取れなかったのだが、香緒里にはそんなことまで気を回す余裕が無かった。
『あれ?三谷さん、もう何もしないの?』香緒里はそう思ったが、さすがにそうは言えないし、何かされればまた嫌がるのは明らかだったので何も言わなかった。
こうして抱きしめられていると、本当はとても安心するし心地好い。香緒里は『ずっとこのままが良いのに』と思ったが、それでは本当は物足りないのも事実だった。。
それからしばらく、香緒里は宏一の左手を軽く抱きしめたままじっとして微妙なシチュエーションを楽しんでいた。
もともと香緒里は愛情たっぷりの濃い愛撫に憧れていた。しかし、彼氏はあまり愛撫をしてくれない。軽く触って脱がして、ちょっと触ってから直ぐに入れてお終いになってしまう。香緒里が感じているかどうかなどほとんど考えてくれない。感じるかどうかは女の子の責任で、男には責任が無いと言わんばかりの愛撫なのだ。そして始まってから終わるまでは10分ちょっとだ。それはなんとなく、香緒里がして欲しがっているからしている、と言う感じで、彼本人の気持ちはあまり入っていない気がしていた。そして、だからこそ、たっぷりと愛情あふれる愛撫をされてみたいと思っていた。
だから香緒里は、宏一が次に何をしてくれるのか、心の底ではじっと待っていた。嫌がってはいても、どこか次を楽しみにしていたのだ。
しかし、今の宏一はそれ以上何もしてくれない。乳房に触っているのに何もしないのだ。気持ちに少し余裕ができた香緒里は自分が嫌がったことなどすっかり気にしなくなっていた。
香緒里はそれでもしばらくじっとしていたが、だんだん不満が募ってきた。『三谷さん、本当にこれ以上何もしない気なの?そんなこと、あるわけ?ここまでしておいて?』そんな風に思ってしまう。
それでも香緒里は更にじっとしていたが、突然気が付いた。『え?もしかして三谷さん、寝てる?嘘、そんな・・・・』耳をそばだててみると、かすかだが宏一の規則正しい寝息が感じられた。『そんな、もう、嘘でしょ?』香緒里は呆れてしまった。
『ここで寝る?あり得ない。女の子を裸にして、女の子が待ってるのに、放り出して寝るなんて。どう言うこと?』少し腹が立ってきた。『確かに嫌がったけど、それは気持ちの整理がついていないからで、ちゃんとそう言ったし、本当に嫌だったからじゃないのに。それは三谷さんだってわかっていたはずなのに』そう思うと宏一の身勝手にどんどん腹が立ってきた。自分がしっかりと宏一の腕を抱え込んでいて身動きを封じた上で愛撫を嫌がったのは余り気にしていない。
『もう、どうしてくれるの?女の子をその気にさせておいて』香緒里はあれだけ嫌がった事など棚に上げて宏一に不満を持った。もちろん、それは宏一に好意を持っているからで、それまで上手に香緒里を扱ってくれていた宏一だからこその不満だ。
しかし、そうは言っても宏一が寝てしまっているのならどうしようも無い。香緒里はまず、自分の胸に当たっている宏一の手をどかそうとした。しかし、ナイトウェアの奥まで差し込まれた手は、宏一の協力が無いのだからもっとボタンを外さないと取り出す事ができない。『三谷さんも寝ている事だし、それなら構わないか』と思った香緒里はボタンを外し始めた。しかし、さっき嫌がったときに寝たまま身体を不自然に捻ったからか、少し上着がずり上がっていてボタンを一つ外しても宏一の手は引っかかって抜き出せない。香緒里はちょっと迷ったが、結局ナイトウェアのボタンを全部外す事にした。
もちろん、宏一が仮に起きていてもわからないようにそっとボタンを外していく。香緒里から見れば宏一は背中側に居るのでそっとやれば知られる事は無いと思った。
そしてボタンを全部外したところで、香緒里はとんでもない事を思いついた。『このまま、この手をどければそれでお終い。後は寝るだけ。それで良いの?』『それなら、三谷さんの手をちょっとだけ借りようか?』『そっとすれば分からないわよ』『こんなに規則正しい寝息なんだもの』そう思った香緒里は、宏一の手をそっと持つと、そっと自分の乳首に当ててみた。
『ふぅ・・・・・』少しだけ気持ち良かった。そのまま何度かそっと右の乳首に宏一の左手の指先を当ててみる。『んんん・・・・・・・んぁ・・・・』確かに気持ち良い。香緒里はそのままそっと何度か宏一の手を使って秘密を楽しんだ。
しかし、一通りするだけしてみると、なんかこんな事をしている自分がばからしく思えてきた。自分が可愛そうな気がしたのだ。『何で私、こんな事してる訳?何が悲しくて寝てる人の手で・・・。ばっかじゃ無いの?』そう思った香緒里は、宏一の手を軽く抱いたまま宏一に背中を押し付けて眠りに入った。いつものように直ぐに熟睡できそうだった。
宏一は知らずに寝てしまっていた事に途中で気が付いた。しっかりと香緒里を後ろから抱きしめて腕枕していたはずなのに、いつの間にか自分は仰向けになって寝ていた。
『え?寝てた?香緒里ちゃんは?』そう思って横を見ると、衝撃的な香緒里の姿が目に入った。香緒里はまだ宏一の腕枕のまま仰向けになって寝ていたが、ナイトウェアのボタンが全て外れていて上半身が裸になっており、乳房がむき出しになっている。香緒里の乳房は綺麗に盛り上がっており、横に寝ていても先端はツンと尖っていた。薄暗いのではっきりしないが、香緒里の乳首はかなり色が薄くて小さいようだ。
意識がどんどんはっきりしてくる。『そうか、俺、香緒里ちゃんのおっぱいを触っていて、身動きできないまま寝ちゃったんだ』しかし、香緒里が何故上半身裸になっているのかは皆目分からなかった。
宏一はそっと身体を起こして香緒里を斜め上から見下ろしてみた。均整の取れた高校3年生の身体は美しかった。由美よりは二回りは大きく友絵よりもずっと大きい乳房は寝ていても平べったくならずに下半分がお椀型だが先端近くは円錐形で小さく尖っており、小さ目な乳首はほとんど埋もれている。そして胸から腰へは緩いラインで絞られており、腰は少し大きめかも知れない。それにしても、こんな姿を見ることができるとは予想外だった。宏一はそのまましばらく無防備な女子高生の裸体に見とれていた。本当に綺麗だった。そのまま宏一はしばらく香緒里の身体に見とれていた。
その時の香緒里は、宏一が起き上がった時点でベッドが少し揺れて沈んだので、実は目を覚ましていた。しかし、最初は意識がはっきりしていなかったし、隣に居るのが宏一なのは分かっていたので特に何も反応しなかった。その時は、まさか自分が上半身裸になっているとは思ってもみなかった。
『三谷さん、起き上がったまま何してるの?もしかして、私を見てる?どうして?』そう思うと、やがてナイトウェアのボタンを外したままな事に気が付いた。『私の身体、もしかして、おっぱいが見えてる?うそ?それにいつの間にか仰向けになってるし』さっき寝たときは宏一の手をしっかりと抱いていたし、背中を宏一に押し付けていたので、まさかこんな格好になるとは思っても居なかった。しかし、何となく今は上半身に服を着ていないらしい事は気が付いた。
最初は『わっ、どうしよう?私、裸を見せてるの?こんなにじっくり見られた事なんか無いのに』『早く服を着なきゃ?でも、今起きたらじっと見られていたのを知っていた事になっちゃう。三谷さんに声をかけられたらなんて言えばいいの?誘ったつもりなんかないのに』『それならこのままもう少し何も知らない事にして寝ていた方が良くない?寝てた事にしておけば・・・・・。それなら何もしなくて良い。もう見られちゃったんだから・・・・・今更慌てて起きても・・・・、ああん、早く見るのを止めてぇ』
『三谷さん、どうするの?このまま見るだけ見てから寝るの?それとも襲う気?』そう思うと、恥ずかしい気持ちと同時に冒険してみたい気持ちが湧き上がってきた。『もし今、目を覚まして三谷さんを見たら、三谷さん、なんて言うんだろう?ごめんなさいって言うかな?それとも知らない顔をして直ぐに寝ちゃうかな?それともそっとキスとか・・・・・』そう思うだけでドキドキしてくる。もちろん、香緒里は宏一が無理な事はしないと分かっていたから安心していたから、宏一が次に何をするか、それをじっと待っていた。
すると、しばらくじっと香緒里を見下ろしていた宏一は、再び香緒里の横に寝ると、そっと香緒里の髪を撫で始めた。『見るの、止めてくれたんだ。どうして?見るのに飽きたの?私の身体、そんなに魅力無い?でも・・・・気持ち良いな・・・・・安心する・・・・・』
香緒里は宏一の髪の撫で方がとても気に入った。彼は以前、香緒里の髪を撫でてくれた事があるが、その時は頭の天辺を叩くような撫で方だった。
頭の天辺は誰でも髪の毛の厚みが少ないのでどうしても叩くような感じになる。そんな叩くような撫で方が好きな女の子など居るはずが無いのだが、どういうわけか男の子は頭を叩くと女の子が喜ぶと思っているらしい。本当は横の方を優しく撫でられる方がよっぽど気持ち良いし、耳元まで撫でられると感じてしまうのに、男の子はまるで上から目線で頭の天辺をぽんぽんしたがるのだ。
しかし、宏一の撫で方は頭の完全に天辺では無く、少し横から耳元まで丁寧に優しくそっと撫でてくれる。とても気持ち良いし、うっとりとする撫で方だった。『三谷さん、やっぱり女の子の扱い方が上手い。こんなことされたら・・・・あん、息がかかってるぅ』香緒里は自然に宏一に頭を撫でられやすいようにすこし顔を宏一に向けた。
宏一はそのまましばらく香緒里の髪を撫でていたが、やがて香緒里に顔を近づけてきた。香緒里にはその気配がはっきり分かった。『わ、三谷さん近づいてくる。息がかかるぅ、ああ、はぁぁ、もしかしてキスされる?うわ、絶対直ぐ近くに顔がある』香緒里がちょっとだけ緊張していると、ほんの少しだけ唇が触れあった。『わっ、キスされたぁ』香緒里の身体がほんの少しだけぴくっと反応したが、宏一は気づかなかったようだ。

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