ウォーター

第二十三部

 

「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ、ああっ」

もはや史恵は宏一の肉棒に貫かれていることしか分からなかった。

どうなっていくのか不安ではあったが、快感が全てを上回ってい

た。宏一は、今度こそ史恵の中で終わりたかった。そのためには、

もう少しだけ強く肉棒を差し込みたかった。不意に動きを止める

と、

「いやっ、まだダメッ、宏一さん、どうしたの?」

喘ぎながら史恵は不満を漏らす。

「こうするんだよ」

挿入したまま史恵の身体を右に倒し、両足をそろえて持ち上げて

から宏一の肉棒の左側に移す。

「あーっ、何これっ、かき回されるーっ」

自分の中で肉棒が回転する感覚に、史恵は再び両手で顔を覆い、

声を上げ続ける。

 いよいよ最後のスパートだ。宏一は正常位で終わることにした。

両足を持ち上げ、V字に開いたまま腰をゆっくりと動かす。じっ

と史恵を見下ろしながら腰を動かす宏一に気が付くと、

「ああーっ、いやーっ、こんな、赤ん坊みたいな格好、恥ずかし

いっ、宏一さん、来て、こっちに来て」

と両手を伸ばして宏一を誘う。宏一が両足を離して史恵を抱きし

めると、宏一は一気に腰を使った。

 宏一が史恵の唇を吸っても、あまりの快感に史恵は反応するこ

とができない。

「あああ、あうっ、あうっ、あうっ、あっああーっ」

声も無意識のうちに出ている。史恵はただ宏一にしがみついてい

るだけのつもりなのだが、声は口からで続け、腰は別の生き物の

ように激しく動いている。ふと気が付くと、宏一の動きにあわせ

るように史恵も腰を突き上げて迎え入れているのが分かった。

宏一が動くのをやめると夢中になっていた史恵もあわてて腰を止

める。宏一が一回グイッと入れると史恵は再開したものと思って

腰を動かし始めるが、入れたまま宏一が動かさないのであわてて

腰を止める。『本当に女になったんだね』宏一は史恵が

「ああん、いや、途中でやめないで、恥ずかしい、腰が、腰が勝

手に動くの」

というのを聞いて、一気にスパートをかけた。やがて、宏一に最

後の時がやってきた。

「史恵ちゃん、いくよ、出すよ」

「ううっ、アアッ、来て、いいわ、アアッ、来て」

うわごとのように繰り返す史恵の中に、宏一は果てた。

 どくっどくっ、宏一から白い液体がそそぎ込まれる。史恵はた

だ『終わったんだわ、これで私も女になったのね』とぼーっとし

た頭で考えていた。

 宏一が離れてからしばらく、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、と息を

弾ませていた史恵だったが、突然、

「あ、ちょっと待ってて」

そう言うと、疲れた体を起こしてバスルームに入った。しばらく

して出てくると、

「あれが精子なのね、宏一さんの」

とポツリと言った。

 史恵はそのままベッドに潜り込むと、宏一に腕枕をしてもらい、

胸に甘えるようにして目を閉じた。

「愛してる」

そう一言だけ言うと、少し宏一に顔をこすり付けた。身体がすー

っと沈んで行くようだった。史恵は本当に幸せだった。今まで普

通の女性のように感じることができるか不安だったが、宏一に本

当の快感を教えてもらえた。『相手が宏一さんだからここまで大

胆になれたんだ。だからこんなに感じたんだ』沈んで行く意識の

中で史恵は宏一に感謝していた。

 

 翌朝、宏一が目を覚ますと、史恵は既に目を覚ましていた。

「お早う」

そう言ってキスをする。

「宏一さん、今日、目を覚ましたら、どうしてこんな所にいるん

だろうって、一瞬分からなかったの」

そう言って笑いながら宏一に甘えてきた。

宏一はまだ起きがけで頭がぼーっとしていたが、布団の中の史

恵の手をつかむと、肉棒に導く。

「えーっ、触るの?どうすればいいの?」

「握っていてごらん」

「え?これ?かわいい」

史恵は驚いた。こんな小さなものだったのだろうか、そんな思い

が胸をよぎる。しかし、史恵の手の中で肉棒は見る見るうちに大

きくなっていった。

「えーっ、こんなに大きくなるの?信じられない」

あっという間に親指と人差し指では周り切らなくなるほど太くな

った。長さも手のひらには優に余る。

「こんなおっきいものが私の身体の中に入ったの?」

「そうだよ」

「痛いはずよ、こんなにおっきいんだもの」

「でも、それほどでもなかったろ?」

「痛かったわ、凄く。痛くしないって言ったのに」

「でもすぐに痛くなくなったろ?」

「誰かさんのおかげで」

そう言いながら史恵は肉棒を握ったり開いたりしている。

「こうするんだよ」宏一が肉棒の扱い方を教える。

「こうやって上下に動かすんだ。もっと強く握って」

「ああん、上手にできない」

しかし、史恵の手でしてもらっていると言うことだけで宏一は気

持ちよくなってきた。

しかし、このまま終わりたくはない。

「どうする?このまま出しちゃっていい?」

史恵はしばらく考えていたが、

「私がお口でしてあげよっか」

といたずらっぽく笑った。

「できる?」

「わかんない」

「じゃあ、できるところまでしてごらん」

そう言うと、史恵は布団の中に潜り込んだ。しばらく腰のあたり

を動いていたが、不意に肉棒の先端が温かいもので包まれた。し

かし、ほんの先端の部分だけだ。 

恐々という感じで先端だけ口に含んでいるだけでは宏一は面

白くない。

「もっと奥まで入れてごらん」

そっと、と言う感じで史恵はゆっくりと口の中に入れて行く。し

かし、すぐに、

「やっぱりできない、ごめんなさいね」

と言うとフェラチオをやめようとする。宏一は、一度やってみた

かったので史恵の腰を引き寄せるとシックスナインの体制に入っ

た。

「いや、こんなのはいや、いやっ、離して、いやだって」

宏一が舐め始めようとするのを史恵は激しくいやがった。仕方な

く史恵を解放すると、

「ごめんなさい、でもどうしてもいやなの。替わりに宏一さんが

入ってきて」

そう言うと史恵は宏一を上に導いた。

宏一は少し残念だったが、いやがるのを無理にするわけにも

いかない。史恵は宏一を上に導くと迎え入れる体勢を作った。

「ごめんなさい。こうやって愛し合いましょう」

史恵は腰の位置を合わせてきた。しかし、昨日ほど濡れないうち

に挿入を始めたので、史恵の中はまだ引きつるような感じがした。

「あいたたたっ、痛いっ、もう少し、うう、ゆっくり入ってき

て」史恵は痛がった。

破瓜の傷も完全には癒えていないのだろう。宏一は肉棒を三分の

一ほど入れたままじっとしていた。そして、その体勢のままゆっ

くりと史恵の身体のあちこちにキスをしていった。

すると、史恵が少しずつ反応を始め、肉棒の周りがしっとり濡れ

てくるのが分かった。十分に濡れたところでゆっくりと入ってい

く。

 「はあっ、今度は、今度は大丈夫よ、そのままもっと入ってき

て」

首をのけ反らせたまま史恵が喘ぐ。

「ああっ、堅いっ、鉄みたい、突き抜けちゃうっ」

朝なので最高の堅さになっている宏一の肉棒はすっぽりと史恵に

入り、温かい肉壁に包まれて更に元気になっていくようであった。

「ああっ、おへその辺りまで、凄い、宏一さん、おっきいのが入

ってる。とっても堅い」

史恵は昨夜よりも宏一を良く感じることができた。

「中の様子まで分かるの?」

宏一が聞くと、

「自分の身体だもの」

と感じながらもニッコリ笑って史恵が答えた。ゆっくりと宏一が

動き始めると、入ってくるときに肉壁を押しのけるのがよく分か

る。

「アアン、こんな事、朝からするなんて、だめよ」

史恵は宏一に合わせてゆっくり腰を動かしていたが、思いっきり

乱れるには抵抗があった。部屋が明るいので今一歩夢中になれな

い。

「もっと夢中になっていいんだよ」

優しく宏一が耳元でささやくが、どうしても周りを気にしてしま

う。部屋には自分たちだけしかいないことは十分に分かっている

のだが、宏一に明るい中で乱れる姿を見られたくなかった。本当

は史恵が一番夢中になりたかったのだから皮肉なものだ。

「アアン、宏一さん、ごめんなさい。気持ちいいの、とってもい

いの。でもこれ以上良くならない。ごめんなさい」

喘ぎながら宏一を気遣う史恵を見ていると、少しかわいそうにな

ってきた。動くのをやめてそっと離れる。

 「後で、もう一回してみましょう。次は大丈夫かも知れないか

ら」

そう言うと、史恵はゆっくりと体を起こして宏一に心を込めてキ

スをした。今は、自分が感じるよりも宏一に満足して欲しかった。

そのまま宏一の肉棒を口に含もうとする。

「いいよ。気持ちは分かってるよ。無理しなくていいよ」

史恵を引き寄せて優しく抱きしめる。本当は一度フェラチオをし

て欲しかったのだが、史恵に優しい自分でいたかった。

「ごめんなさいね。後できっと、ね」

史恵はもう一度ゆっくりとキスをした。

 「軽くシャワーを浴びておいで、それから朝食に行こう」

そう言って史恵をベッドから下ろす。

「ちょっとだけなんて、風邪を引いちゃう」

史恵が笑って答える。

「首から下だけって事だよ。そうすれば乾かす時間がいらないだ

ろ?」

「そうか、そう言うことなんだ」

史恵は感心するとバスルームに入った。

 朝食は一階でビュッフェスタイルだ。二人は大きな皿に目一杯

取ってくるとゆっくりと時間をかけて食べた。途中、あまり話は

しなかったが、目が合うと自然に微笑みあった。二人の心は完全

につながっていた。

余計な言葉などいらない感じだった。自分が食べてみて美味しい

ものだと、無言で相手にも分けた。それをお互い、何度も繰り返

した。宏一は紅茶が、史恵はコーヒーが好きだった。しかし、昨

日から史恵はコーヒーを飲もうとしなかった。

宏一の好きな紅茶を史恵も好きになりたかったからだ。

 「紅茶の香りって、とっても繊細なのね。コーヒーみたいに全

体から香りが沸き上がるって言うよりは、なんて言うかな、香り

を引き出す感じ・・・かな」

少しむつかしい顔をして史恵が言った。

「史恵ちゃんは紅茶を楽しむ素質があるね」

「うれしい、そう言ってもらえると」

史恵の顔がぱっと明るくなった。そして、紅茶を飲み終わると、

「あの、一杯だけコーヒーを飲んでいい?頭がまだはっきりしな

くて」

「もちろんいいよ。無理しなくたって好きなのを頼めばいいのに」

宏一は笑ってコーヒーを注文した。

「いや、絶対紅茶を好きになる。だから一杯だけ」

史恵は結構頑固なところがある。

 史恵が飲み終わると、二人とも部屋に戻った。時刻は8時を廻

ったところで、まだ十分に時間がある。しかし、宏一は史恵が先

程明るい所でするのをいやがったので、あからさまにベッドに誘

うのを躊躇した。

史恵も時間が十分にあるのを知って、すぐに宏一に抱きつくのは

恥ずかしかった。二人とも、分かっていながら応接セットに腰を

下ろしてしまった。

 そうなると、自然に二人で別のことを話さざるを得ない雰囲気

だ。宏一が、部屋においてあるパンフレットを見て、

「へぇ、フロントに言うと割引券をもらえるらしいよ」

と言うと、

「そうだ、私もガイドブック持ってきたんだ」

とバッグから本を出して読み始める。

「えっと、トータルスクエアーに行ってみようか」

「うわー、私、行きたかったんだ。ここから近いの?」

「何言ってるの。昨日横を通ってきたじゃない」

「そうだっけ?」

何となく話が弾んでしまう。

 『これじゃいけない』宏一は何とか話の流れを変えようと思っ

たが、どうしていいのか分からない。とりあえず窓際に行って

「あの辺りかなー」

と外を眺めることにした。史恵が近づいてきたら、一気に抱きし

めるつもりだった。しかし、史恵は、

「そうっか。それを見てから日光に行った方が効率がいいんだ。

私、こっちで読んでる」

とベッドに俯せになって読み始めた。

 宏一は、一瞬がっかりしたが、『それなら』と宏一もベッドの

上に上がった。下を向いている史恵の顎に手をかけ、こっちを向

かせるとゆっくりキスをする。しかし、史恵の方から、

「だめ、今計画を立てているんだから」と唇を離してしまった。

宏一が胸の下に手をそっと差し込んでいくと、

「だめっ」

と笑いながら肘をすぼめてガードしてしまう。

明らかに、宏一を困らせて喜んでいる感じだ。宏一は、ゆっくり

と手で史恵の背中から下を撫で始めた。最初のうちは、

「ふんふん、東照宮を見るのは結構時間がかかりそうね」

などと言っていた史恵も、軽く撫でられているだけで身体がポッ

と熱くなってくるのが分かった。本当は史恵の方が宏一に愛され

たくて仕方がなかったのだ。わざとベッドに誘ったのも、早く朝

の続きを始めたかったからだ。

しかし、史恵のプライドがいきなり裸になるのを許さなかっただ

けだ。自然の成り行きで愛して欲しかった。そうすれば思いっき

り感じられる・・・。

 宏一は史恵の口数が少なくなったのを見て、更に次に進むこと

にした。ミニスカートの中にそっと手を入れ、ストッキングの上か

ら尻を撫で始める。

「あ」

史恵は小さな声を出したがそれ以上何も言わなかった。

最初は敏感な部分は避けて、周りを撫でている。この程度では快

感は得られない。

「何してるの?」

史恵が少しじれて聞いてきた。

「史恵ちゃんのお尻って可愛いね」

「そう?」

史恵は宏一のしたいことが分からなくて困っているようだ。

 そして、宏一の手がスカートの一番上まで来て、パンティース

トッキングを脱がそうとしているのに気が付くと、

「残念でした。それじゃ脱がせられませんね」

と小悪魔的笑いを見せて宏一に挑戦するように言った。

「そうか、こうしなきゃいけないんだ」

宏一はすぐにスカートのホックを外してしまう。

「アアン、そんなのだめよ、反則よ」

「ガイドブックは見なくていいの?計画立てるんでしょ」

宏一も涼しい声で史恵の弱点をつく。

「今立ててる所」

不満そうに再び史恵は本を見始める。

しかし、スカートのホックを外されてしまったので、後は宏一の

なすがままだ。史恵は自分が少しずつ興奮してくるのが分かった。

そして、それがうれしかった。

 

宏一は、パンティーストッキングの上から少しずつ巻き取る

ようにして脱がしていった。こうされると、たとえ史恵が抵抗し

て上に引き上げても元には戻らない。史恵は、宏一の手が下半身

全体を撫でるようにしてパンストを脱がしていくと、全部脱がさ

れていくような錯覚に陥った。

朝の交わりが中途半端だったので、史恵の身体にはずっと小さな

火がくすぶり続けていた。それが今、再び燃え始めた。パンスト

が全て脱がされてしまうと、自然に史恵は期待で身体を堅くした。

 宏一の右手が史恵の内股の辺りをゆっくりと撫で上がってくる。

しかし、パンティーに触る直前で横に逃げて尻を撫でる。二、三

回それを繰り返した後に、尻の方からパンティーの中に指が入っ

てきた。しかし、尻の感触を確かめるように全体を揉んだり撫で

たりしているだけだ。

 史恵は、期待が外れたかのように、

「いや、そんなの」

と本を見ながらぽつりと言った。

 史恵の想像では後ろから触られると言うのは、もっと激しい快

感が得られるものと想像していた。しかし、今は全く気持ち良く

ない。『やっぱり昨日みたいに最後までいかないとだめなのかし

ら』そう思った途端だった。宏一の指が尻の割れ目からぐっと中

に入ってきた。

「あっ」

史恵が予想外の出来事に尻を堅くした。

『こんな風に触るなんて』と頭の中で驚いた途端、全身に快感が

走った。

「あーっ、だめーっ、後ろからなんて」

そう言って、思わず片手を回して防御しようとした。しかし、宏

一の手はスカートとパンティーに守られて史恵の手を寄せ付けな

い。

「あっ、あっ、だめ、感じちゃう、ああーっ、イイッ」

快感がビンビン伝わってきた。もう、宏一の手も防げない。史恵

は宏一のされるがままになるしかなかった。史恵は心のどこかで、

もう抵抗しなくていいことにほっとしていた。

 宏一は、史恵がおとなしく宏一に体を許したので、更にじっく

りと攻めることにした。中指で史恵の秘口の周りを優しく撫でる

「はあっ、はあっ、はあっ」

と言う史恵のあえぎ声と共に中から液体が溢れ出してくる。まる

で、朝の交わりが前戯であったかのように、史恵の身体は一気に

燃え上がった。宏一の指が撫で上げるところは全て感じるところ

になっていた。

 史恵は、もうこのまま一気に燃え上がりたくなってきた。宏一

がもっとじっくり愛撫するつもりなのは分かっていたから、自分

の方が先走りそうで怖かった。

「宏一さん、だめ、そんなにしちゃ、ううっ、あー、許して、宏

一さん」

史恵は何とか必死にブレーキをかけていた。

 そんなことは知らない宏一は、秘口の周りから更に下がってコ

リッと小さい秘核へと指を進めた。そして、空いている左手でパ

ンティーを脱がし始める。史恵の秘核はまだ刺激にあまりなれて

いなかったが、宏一の指が周りのカバーを通ると凄まじい快感が

突き上げてきた。

「あーっ、強すぎる、だめ、こんなのだめ、あうっ、あうっ、そ

こは、許して」

史恵はパンティーを脱がされていることは分かっていたが、それ

どころではなかった。秘核に触ったことなど自分だってないのだ。

直接指で触られると少しビリビリと痛かった。なれない秘核より

も、今は安心して感じられる秘口を愛して欲しかった。

「宏一さん、そこはまだだめ、ね、ううっ、お願い、上手に感じ

られない、はうっ、少し、はうっ、少し痛いの、ね、許して」

史恵が哀願するので宏一は元の秘口に指を戻した。

 安心して感じられるので、史恵の身体は更に燃え上がり始めた。

「ああっ、いいっ、そこっ、いいっ、あーっ、だめ、早く、ねぇ、

早く、我慢できなくなるぅ」

史恵の声を聞いて宏一は少しだけ焦らすことにした。

「我慢しなければいいよ」

宏一がそう言い放つと、

「そ、そんな、いや、早く、お願い」

と史恵は恥ずかしい言葉を我慢していたが、とうとう

「指、入れるくらいにしちょって」

と無意識に地元の博多弁で言った。プライドの高い史恵には最大

限の言葉だった。

 しかし、今の宏一はもっと焦らせると考えていた。

「この格好じゃ、うまく入らないんだよ。お尻を上げてごらん」

そう言って四つん這いの姿勢を要求した。

「はあっ、いやっ、このままでもできるからぁ、ううっ、早く」

そう言いながらも宏一が左手で腰を持ち上げるとおとなしく四つ

ん這いの姿勢をとった。

「いや、恥ずかしい、宏一さん、ね、カーテン閉めた?部屋に鍵

かかってる?」

「大丈夫だよ。ほら、さっきより暗いだろ、ベッドに上がる前に

閉めてきたから」

「あーっ、恥ずかしいっ、こんな格好でされるなんて」

史恵はもうブレーキが利かなかった。何となく想像していた以上

にものすごい快感だった。それに自分が背徳的な格好をしている

ことに興奮していた。

 今までこっそり友人たちと話をすることはあっても、オナニー

もしたことがないだけに想像するだけでも恥ずかしい格好なのだ。

昨日ロストバージンしたときとは違った意味で興奮していた。早

く次をして欲しかった。

 しかし、宏一はまだ入り口を触っているだけで、中まで指を入

れてこない。すっと少し指が入ったかと思うとまた周りを撫で始

める。

「あーっ、いや、もう、いや、こんなの」

史恵の声が悲しさを帯びてきた。宏一はそろそろ限界であること

を悟り、

「いいかい、入れるからね」

と言うと、

「早く、入れて、お願いだから」

と最後の力を振り絞って宏一の指を待ち続けた。

 宏一の指がゆっくりと入ってきた。しかし、少し入ったところ

で止まった。

「あーっ、そんなーっ、だめぇーっ」

史恵は一瞬絶望した。しかし、次の瞬間、すーっと奥まで指が入

ってきた。

「あーっ、いいっ、凄いっ、指、いいっ、とっても、いいっ」

凄まじい快感が手足の指の先まで突き抜ける。

「もっと入れて、もっと、ね、もっと」

もはや、理性が効かなくなっていた。宏一が、指を一番奥まで入

れて、そのままじっと止めていると、

「いやーっ、動かして、もっとしてーっ」

と絞り出すような声で哀願する。

 「もう本は読まなくていいの?」

宏一が分かり切ったことを聞いて史恵のプライドにとどめを刺す。

「はあっ、ああっ、はあっ、はっ」

史恵は本を読もうとしたが、

「だめ、もう、本が見えない、もう読まなくてもいいでしょ」

と宏一に許しを請う。それでも、一応は本を手に取り身体を肘で

支えて本を読む体勢を取った史恵を見て、宏一は指の動きを速く

した。

「くうーっ、いいーっ、もうだめ、ああっ、読めないっ」

快感にたまらず史恵は本を放り出した。

 指が今度は大きなストロークでゆっくりと動き始めると、

「もっと、もっと動かして。お願い、もっと指でズボズボしてっ」

と四つん這いの姿勢のまま宏一にせがむ。宏一が指をもっと大胆

に動かし始めると、

「はあーっ、いーっ、いーのーっ、こんなに指がいいなんて、良

すぎるーっ」

と尻を突き出して喜ぶ。しかし、腰に力が入らないのか、少しず

つ崩れて最後は少し足を開いたままペタンとベッドにつぶれてし

まう。

 宏一は、そんな史恵を許さなかった。一旦指を抜き、

「あーん、いやー、もっとーっ」とねだる史恵に

「もう一度お尻を上げてごらん」

と再び腰を持ち上げて四つん這いを要求した。史恵が

「いやぁ、この格好、刺激が強すぎるぅ」

と言うのもかまわず、再び指で史恵を愛し始める。

「だめ、はあーっ、いいっ、いい」

恥ずかしい格好で感じ始めた史恵は更に身体が深い快感を求めて

来るのを押さえきれなかった。じっと横で見ている宏一にも満足

してもらえて自分も思いっきり感じられる方法は一つしかない。

 史恵は、頭の中でその欲求が膨らむのが手に取るように分かっ

た。最初小さな考えだったのが、すぐにそれしか考えられないほ

ど大きくなってきた。

「欲しい、宏一さん、もっと」

と言葉が口からあふれ出た。宏一はそんな史恵の考えなど分から

ないから、指の動きをもっと速くした。

「はあーっ、いいーっ、あーっ」

史恵は一瞬それで満足する。しかし、すぐにまた元の考えが頭の

中で渦巻く。

「宏一さん、あうーっ、いーのっ、いっぱいしてっ、もっとして

もいいのよっ」

必死になって遠回しに宏一に要求を伝える。

「じゃあ、次は指を二本にしてみるよ」

そう言うと、宏一は中指と人差し指を史恵の中にゆっくりと入れ

た。

「はあーっ、太いっ、だめーっ、壊れるーっ」

史恵はびっくりした。指二本がこんなに凄く感じるとは思わなかっ

た。

 宏一は更に出没だけでなく、回転させたり、中を掻き出すよう

にしたりして史恵を感じさせ続けた。

「はあっ、はあっ、いいっ、いいの、宏一さん、凄いわ、こんな

に感じるなんて、あうっ、ああっ」

史恵は、しばらく二本の指に満足していた。しかし、宏一の肉棒

で愛して欲しいという欲求は押さえがたかった。このままの背徳

的な姿勢で愛して欲しかった。

お互いに動物のように本能で交わりたかった。やはり最終的には

宏一に最後を求めるしかなかった。

「お願いっ、宏一さん、ねぇっ、早く、ねぇっ、指だけじゃいやっ、

本物が欲しいっ、本物でしてっ」

とうとう宏一に言ってしまった。言った途端に恥ずかしさで泣き

出しそうになった。昨日ロストしたばかりなのにこんな事言うな

んて、自分の変化に自分で驚いた。

宏一は、このまますぐに挿入できないことはなかったが、や

はり裸の史恵を愛したかった。このままでは普段の格好と変わり

ないではないか。そう思うと、左手でブラウスのボタンを外し始

めた。

「ああん、このままして、ね、待てない、このまま入ってきて」

史恵は半分泣き顔で頼んだが、宏一は聞かなかった。

「直ぐだから、直ぐにするから」

そういうと、ブラウスを脱がせ、ブラジャーのストラップを外し、

スカートを脱がせた。宏一は史恵を全裸にすると、体を起こして

自分の服を脱ぎ始めた。必死に我慢していた史恵は、宏一が服を

脱ぐ間、こんな恥ずかしい想いをしたのは初めてだった。全裸で

四つん這いになって愛する男の目の前で挿入を待っているのだ。

 宏一が脱ぎ終わると、待ちに待った時がやってきた。肉棒は既

にそそり立っていた。宏一は史恵の後ろに廻り、腰を抱え込む

と位置を合わせた。

「ごめんね、待たせちゃったね。入るよ」

「あーん、早く入ってきて、愛してる、宏一さん」

史恵はどうしようもなくなった自分の身体を宏一に慰めて欲しか

った。

 肉棒が入ってきたとき、史恵の中は宏一で満たされ尽くした。

「あーっ、入ってくる、やっと、入ってくる」

史恵の声は絞り出すような、泣き出すような声だった。宏一は一

旦肉棒を全て中に納めると、直ぐに腰を使いだした。

「はうっ、こういち、はう、あっ、ああっ、いいっ、もう、いいっ、

どうなってもいいっ、はあっ、全部、全部してっ、女にしてっ」

史恵はあらん限りの言葉を尽くして宏一に喜びを伝えた。両手を

突っ張っていないと直ぐに体制が崩れてしまうが、史恵は上手に

できなかった。だんだん四つん這いが崩れてくる。

 宏一は一旦腰の動きを止めた。『宏一さんに怒られちゃう』一

瞬だけそう思ったが、もはやそれどころではなかった。しかし、

宏一は史恵の足を持ってぐるりと回し、正常位での結合に持って

いった。そして、史恵の上から抱きしめると、

「愛してるよ、史恵」

と言って腰を動かし始めた。『史恵って呼んでくれた』そう思う

と更に感情が高まった。宏一は身体を肘で支えて可愛い乳房をぎ

ゅっと握りしめる。

「はうっ、いいーっ」

史恵は全身から沸き上がる快楽に飲み込まれた。

 さらに宏一は身体を縮めて腰を動かしながら乳首に吸いつき、

舌で転がす。

「ああーっ、あーっ、あうーっ、あーっ」

史恵は言葉を出せなかった。訳も分からず両手をばたばたさせる

と宏一の頭を探し当て、自分の方に引き寄せると無我夢中で唇を

むさぼる。そのまま二人はしっかりと抱き合うと、情熱のままに

腰を動かした。

ほとんどぶつけ合うという感じである。史恵の構造は後ろから挿

入するには最適だが、前からには少し足を持ち上げていないとだ

んだんと結合が浅くなってしまう。史恵は何度も足を持ち上げて

結合を深くしたが、だんだん力が入らなくなってきた。

 「足を絡めなさい」

宏一が一瞬だけ唇を離してそう言うと、後はまた激しく舌を絡め

合った。史恵は宏一にしっかりと足を絡めると官能の坂を一気に

上っていった。しかし、史恵の身体は絶頂を極めるにはまだ未熟

だった。宏一の方が先に最後の時を迎えた。

「いくよ、出すよ、史恵、愛してるっ」

肉棒から白濁した液体が飛び出し、史恵の中に広がった。宏一が

動かなくなったので史恵は荒い息の下で聞いた。

「終わったの?」

「うん、ありがとう」

史恵は『これがするってことなんだわ、凄い』と、ぽーっとした

頭で考えていた。そのまま二人はしばらくじっと息を弾ませてい

た。

 宏一が史恵から離れると、史恵の中から何かが流れ出してきた。

しかし、史恵はじっとしたまま流れ出すのを感じていた。まるで、

それを惜しむかのように。一瞬でも長く宏一の身体とつながって

いたいかのように。

 宏一が再び史恵に唇を求めて行ったとき、突然電話が鳴った。

「こちらフロントでございます。チェックアウトのお時間でござ

いますが、お支度はよろしいでしょうか」

あわてて時計を見ると十時半になっていた。あわてて二人は身支

度を整え始めた。宏一がふと見ると、史恵は下着を付け終わって

いた。

 二人だけの時間は終わった。もはや二度とこの身体を見ること

はないかも知れない。限られた時間の中で本当に全てをかけて愛

し合った二人だった。宏一の視線に気が付くと、史恵は宏一のと

ころに寄ってきた。そして、

「宏一さんの愛した身体よ」

と言うと、ブラジャーのストラップを下げて宏一に乳首を見せた。

宏一はそれに口付けした。



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