ウォーター

第二百三十七部

 

「どう?大丈夫?」
「んああぁぁ、ああ、あああぁぁっ、いかん、ああぁぁ、いかん、動いて欲しか、ああん、動いてぇ」
めぐみは肉棒を奥まで差し込まれ、壮大な快感の予感に包まれた。このまま身体の奥深くまで入った肉棒が動き始めれば、一気に身体中から快感が吹き上がるのが分かったのだ。
しかし宏一は焦らなかった。ここで出没を開始すればめぐみは一気にいってしまうのは明らかだった。
「めぐみちゃん、感じてる?」
「そなこつ・・・・ああぁぁ、久しぶりやけん、あああぁ、よか、よかよぉーっ」
めぐみが『久しぶり』といった意味は違っていたが、宏一はめぐみを抱いた時のことを言っているのだと思った。
「そうだね、久しぶりだよね。めぐみちゃん、可愛いよ」
「はよ・・・・はよ動いて欲しか・・・ああぁぁ、こらえ切れん」
「それじゃ、ゆっくり動くよ」
そう言うと宏一は久しぶりのめぐみの肉壁を楽しみながらゆっくりと出没を始めた。すばらしい感覚がめぐみの身体を駆け巡る。
「ああああああああ・・・・・ああぁぁっ、す、すごか・・」
めぐみは身体の奥深くで大きな肉棒がゆっくりと動いて生み出す壮大な快感に飲み込まれていった。
「ああぁぁっ、よか、よかよぉっ」
めぐみは宏一の出没に夢中になり、どんどん駆け上がっていく。
「今日はゆっくりできないから、これだけにしておくね。だからいっぱい気持ちよくなってごらん」
「んああぁぁぁ、そ、そなこつ、ああぁぁぁんっ」
めぐみは身体が一気に駆け上がっていくのを止めようとしたが、とてもそれどころではない。宏一が動くたびに確実に駆け上がっていく。
「んああぁぁぁっ、はああうぅぅんっ、そんなにせんと、ああぁぁぁっ」
めぐみはどうしようもなく高まり、一気に押し上げられていった。
「い、いってしまうと、ああぁぁぁっ、堪え切れんっ、ああああぁぁっ、よかぁっ」
「いきなさい。いっぱいいくんだよ」
宏一は一気に出没のペースを上げた。
「んああぁぁーっ、っくうぅーっ」
めぐみはたちまち最後のステップを駆け上がり、一気に上り詰めた。思い切って仰け反って身体を硬直させる。
「はうぅっ」
めぐみの身体の中を巨大な電流のような快感が走り抜け、めぐみは歯を食いしばって快感に耐えた。
「ううぅぅぅっ・・・・・ううっ・・・・」
めぐみがぐったりすると、宏一は肉棒をゆっくりと引き抜いてめぐみを抱き寄せた。
「素敵だったよ」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・すごすぎ・・・・私の身体をこんなに・・・・・・」
めぐみは宏一の胸で息を弾ませながら、圧倒的な快感に驚いていた。前回抱かれた時も時間は無かったが、それでもここまで凄くはなかった。まだ余韻が身体中を駆け巡っており、身体をそっと撫でられただけでため息が出るほど気持ちいい。
「三谷さん、前より凄くなってる・・・・・」
「そんなことないよ。めぐみちゃんの身体が感じやすくなったんだよ」
宏一に優しく髪と背中を撫でられながら、めぐみは本当にそうなのだろうかと思った。今の彼とは実はあまりしていない。最初に一度した時はめぐみの方が望んだ形だったが、その時は予想外にあまり夢中になれなかったので、それ以降はめぐみの方からは望んでいないのだ。もちろん彼からは何度か誘われたりしたが、半分くらいは断っていた。それに彼のは始まってもとても淡泊で全体の時間が短い。宏一ほどたっぷりとしてくれないのが少し不満だった。
「三谷さん・・・・・」
「なんだい?」
「もう帰るの?」
「うん、そろそろ帰らないとね・・・・・・」
宏一はベッドサイドの時計を見ながらそう言った。もう既に終電の時間が近くなっている。これ以上長居するならタクシーを覚悟しなくてはいけない。
「そうなんだ・・・・」
めぐみは宏一に身体をくねくねと押し当てながら、名残惜しそうに甘えていた。
「もう少しだけ、だめ?」
そう言われてはとても断れない。
「うん、良いよ。大丈夫」
「良かった・・・・。嬉しい・・・・ごめんなさい。わがまま言って」
「ううん、実は俺ももう少し居たいんだ」
「あん、そんなこと言ったら・・・・」
めぐみはこのまま宏一と一夜を過ごしたい衝動に駆られた。
「もう・・・もっと甘えたくなっちゃう・・・・」
めぐみは宏一に身体をくねくねとくっつけながら何度もキスをねだった。
「大丈夫。もう少しここに居るから、こうしていてあげるね」
こういちはめぐみの身体を抱いて身体中にそっと指を這わせ、めぐみの首筋から耳元を何度も唇で可愛がった。
「あぁん、三谷さん、女の子の扱い方を分かってる。とっても気持ちいい」
めぐみは宏一に抱きしめられて安心したのか、身体の力を抜いて宏一にぐったりと身体を預けてきた。
「めぐみちゃんは甘えるのが上手だね」
宏一は軽くキスをしたり首筋を舐め上げたりして可愛がりながらめぐみを優しく可愛がっていた。
やがてめぐみの反応が鈍くなった。ふと気がつくと、耳元で小さな寝息が聞こえる。どうやら疲れて寝てしまったらしい。一人で東京に出てきて緊張していたところに宏一に愛され、疲れ切ってしまったのだろう。しばらく宏一はめぐみを抱いていたが、めぐみが目を覚ます気配がないのでゆっくりとベッドから起き上がって身支度を調えた。
「めぐみちゃん、それじゃ今日は帰るね。また明後日ね。お休みなさい」
宏一がめぐみの耳元でそう言うと、めぐみはちょっと目を覚まして頷いたが、起きているのかどうかは分からないくらいぼうっとしていた。
ホテルを出た宏一はタクシーを拾って帰った。部屋に着いたのは1時を回っており、そうそうシャワーを浴びてベッドに潜り込んだ。
翌日の夕方、宏一はいつもの部屋で由美を待っていた。しかし、いつまでたっても由美は現れない。今までこんなことは一度も無かった。改めて連絡してみたが、どうしても連絡が取れなかった。残念だが由美にと思って買ってきたケーキは賞味期限が近づいたので捨てるしか無さそうだ。宏一は改めて由美に会いたいとメールをして帰った。
その翌日、朝の仕事が一段落する頃、宏一を松野が訪ねてきた。会議室に入ると宏一が説明を始めた。
「松野さん、今日は来ていただいてありがとうございます」
「いえ、こちらこそ、先日はお休みのところを申し訳ありませんでした」
「気にしないで下さい。システムは常に監視していないとうまく動きませんから」
宏一はそう言いながら松野を見た。宏一よりは少し年上かも知れないが、とても細身ですらっとした美人だ。細面の日本的な顔立ちだが見るからに知性にあふれた感じで、ショートカットの髪が細面の顔にとても似合っている。それに、由美と同じくらい透き通るような色白の肌がとてもきれいだ。
「それで、今日おいでいただいたのはご説明したいことがあったからです」
「はい、なんでしょうか?」
「それじゃ、システムの説明をしながら話していきますね」
そう言うと宏一は会議室の大画面テレビのPCにログインした。
「こっちが松野さんの使っているフォルダーの構造です。間違いないですね?」
「はい、そうです」
「全部のフォルダーがありますか?」
「はい、ありますけど・・・・・」
「そう、不思議なことがあるでしょう?」
「はい、私の個人的なファイルを入れているフォルダーがあるんですけど、それはなぜか最近見えないんです。でも今は表示されています」
「そうですよね。個人フォルダーはこれですよね?」
「はい・・・・・あの・・・・・・・」
「なんですか?」
「あの・・・・・・中は見ましたか?」
「ファイル名くらいはちょっと見ましたが、それ以上は見ていませんよ。安心して下さい」
「はい・・・・・ありがとうございます」
「個人用のフォルダーはプライベートもあるだろうからあまり見ないんです」
「ありがとうございます」
「でもね、今回はそういうわけにはいかなかったんです」
「どういうことですか?」
「それでは、松野さんが見ていた状態にしてみますね」
宏一はそう言うと、いったんログオフして松野のIDで入り直した。
「松野さんが取り出そうとしてエラーになったファイルは、たぶんこれですよね?」
宏一はそう言うと、松野のフォルダーの中から一つのファイルを指定した。
「このファイルは、ほら、これを開こうとすると、ほら、開けない」
「あ、これです。こうなったんです。どうして・・・・・、さっき部屋で更新した時はは開けましたよ」
「はい、それは、今は仮に日曜日の状態にしてあるからです。大丈夫。後でちゃんと元に戻しておきますから」
「はい・・・・・・どうして・・・・・」
「そして個人フォルダーはと言うと、そうですね。見えていませんね」
「そうなんです。日曜日に開こうとした時は見えていませんでした。特に必要も無かったから中のファイルがどうなったのかは気にしませんでしたが」
「はい、それでは私の権限で入り直します」
そう言うと宏一は再び自分の権限で松野のフォルダー全体を開いた。
「この原因なんですが、実はちょっと面倒なことになっていて。これから説明します」
「松野さんから見るとさっきのように、業務で使う個人フォルダーは実際にはあるのに見えない。それにいくつかのファイルは開こうとしても開けない、そんな状態になっていました。それは、ここを見て下さい。これは、松野さんが開けなかったファイルのアクセス権限を設定している部分です。これを見ると、ほら、管理職の権限が必要になってるでしょ?だから開けなかったんです」
「どういうことですか?私が仕事で使うファイルなのに・・・・」
「つまり、松野さん自身の人事考課の資料や査定の資料なんかと同じファイルの種類だってことです」
「どうしてそうなったんですか?」
「それは、松野さんの上司があなたのファイルやフォルダーの種類を変えたからです。つまり、松野さんが仕事で使うファイルなのに、人事関係の記録が入っているファイルだと設定を変えたんですよ」
その途端、松野の顔色が変わった。
「それは今の上司ですか?元の・・???」
「元の上司です。実は、今の上司は松野さんのファイルを見ることはできても、次の査定が始まるまでは権限を変えられないんです。そういう決まりなんです。だから、変えられるのは元の上司だけです」
「・・・・・・・・・・・・・」
松野の顔は能面のように見えた。端正できれいな顔立ちが真っ青になっている。
「どうですか?心当たりはありますか?」
宏一が聞くと、松野は静かに答えた。
「はい・・・・・・・たぶん・・・・・・」
「これは意図的な変更です。ファイルの種類の変更は意図的にやらないと変更できないんです。なぜ前の上司が変更したのか、分かりますか?」
「・・・・・・・・・・・・はい。でも、その前に聞きたいことがあります」
「何ですか?」
「これから、どうなるんですか?」
「どうなる?どうもなりませんよ」
「でも・・・・」
「松野さんがまじめにきちんと仕事をしているのは分かります。仕事で使うファイルを勝手に見えなくしたのは問題ですが、私はシステムの担当で人事でも総務でもない。ただ、松野さんがきちんと仕事ができるようにしてあげたいだけです。だからこうやってお呼びして話を聞いています」
しばらく考え込んでいた松野は、やがてゆっくり口を開いた。
「これは個人的な話になります。原因はたぶんそこにあります」
宏一はそれを聞いてピンときた。どうやら元の上司と個人的なトラブルになっていたのだろう。
「分かりました。それで結構です。どうやら元の上司が意図的に松野さんに意地悪をした、と言うことですね?」
「はい・・・・そうだと・・・・思います・・・・・。お話ししなければなりませんか?」
松野は宏一に言いたくないことを言わなければならないかと思って身構えた。
「いいえ、そんなことはありません。それなら、元の上司が二度とこういうことができないようにしておけば良いんですね?」
「はい・・・・・・お願いします」
「了解しました。今はもう新しい部署にいるのだからもう元の上司はアクセスできないはずですが、いろいろな事情があってアクセスできるようになっている場合があります。確認しておきますね。それで、元の上司はこれからも仕事で使うファイルの変更をする必要があるでしょうか?それだと少々面倒なんですが」
「いいえ、ありません。絶対に」
「分かりました。松野さんを信じます。これから元の上司は松野さんのファイルを見ることはできても変更できないようにしておきます。もし、本当に変更する必要が無いなら良いですが、変更する必要があれば問題が起きてしまいます。それでも良いですね?」
しばらく考え込んでいた松野ははっきりと言った。
「はい、そうして下さい。お願いします」
宏一は手早くフォルダーやファイルの設定を変更しながら続けた。
「もちろん、人事関係のファイルは松野さんの仕事の内容とは関係が無いので、今後も管理職は自由にアクセスも変更もできます。これはシステムの問題ではないので私にはどうにもできません」
「はい、それで十分です。きちんと仕事さえできれば」
「はい、わかりました」
本当はこのような場合、きちんと総務と人事を通して設定変更に問題が起きたことを会社の記録に残して処理するべきなのだが、原因が個人同士のゴタゴタであることがばれると松野にも何らかの処分が下される可能性は否定できない。どちらに責任があるかなど、第三者には分からないからだ。だから宏一は会社には黙って必要な変更だけをすることにした。なんと言ってもこういう場合は上司の方が強いのはどこの会社でも同じだ。全てのファイルを正しい権限に戻しておけば良いだけなのだから個人的なゴタゴタを表に出すよりは良いと思ったのだ。

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