ウォーター

第二十九部

 

 宏一の言った通り、十五分少々待っただけで席に案内された。

店内はにぎやかで、どちらかというとコンパに向いている雰囲気

だ。料理は和食もあったが、南フランスやイタリア系の料理も

多かった。

「さて、何を頼もうか」

席に座って宏一が友絵に言うと、

「えーと、鰯なんてありますか?それがあれば後は何でもいいで

す。三谷さんにお任せしますから」

そう言ってから、

「鰯なんて変でしょ?でも、好きなんです」

と笑って言う。

「そんなことないよ、魚の本当のおいしさを知ってる証拠だよ。

鰯を好きな新藤さん、もう忘れないよ」

宏一も微笑んで言う。友絵は夢のようで嬉しくて仕方がなかった。

今日の午前中までは心の中で密かに夢見る程度だったのに、今は

目の前で自分をエスコートしてくれている。

 「この際、徹底的に甘えてみようかな」

ふと口をついて言ってしまった。

「どうぞどうぞ、そうしてくれた方が嬉しいよ」

宏一がそう答えたので、友絵は耳元まで真っ赤になって

「え、ごめんなさい。そんな、あの、あんまり嬉しかったものだ

からつい」

としどろもどろになっている。

 宏一は、そんな無邪気な友絵を見ていると、落ち込んでいた気

分が少しずつ晴れていくのを感じていた。大切な時間が無くなっ

ていくのは惜しいが、この際、今日は会社に泊まり込むか、友絵

の顔を見ながらそんな気になってきた。

「さぁ、突然現れた素敵な女子社員に乾杯。感謝してます」

そう言って宏一はビールを飲み始めた。

「私の方こそこんな素敵なところに連れてきてもらって」

友絵も中ジョッキを抱えて楽しそうだ。

「元気印の新藤さんはここのイメージなんだな。明るくてにぎや

かで楽しくて」

「私ってそうなんですか?三つもほめてもらって嬉しいですけど、

二番目のにぎやかって言うのは・・・後はとっても嬉しいですけ

ど」

友絵は笑いながら抗議する。

 宏一は友絵の好きな鰯の梅煮の他に蛸の唐揚げや大アサリのグ

ラタン、鯛のブイヤベース、鰹のサラダなどを頼み、友絵の笑顔

を肴にしてビールを飲んだ。どの料理も

「わーすごい、おいしそー、ステキー」

と無邪気にはしゃぐ友絵を見ているとどんどん元気が出てくる。

「よく食べるなって思ってません?」

そう言いながら笑顔で食べ続ける友絵は幸せ一杯という顔をして

いた。

 二人は色々な話をしながら食事を楽しんだ。頼んだものを全て

食べ終えてしまうと9時近くになっていたが、夢中になって話を

していたのでアッという間の時間に思えた。

「さて、そろそろ出ようか」

宏一が言うと、友絵は

「あ、そうですね。ごちそうさまでした」

とニッコリ笑って軽く頭を下げる。外に出ると、潮の香り一杯の

海風が二人を包み込む。

「あーおいしかった。こんなに美味しくて楽しい食事なんて久し

ぶり。三谷さん、ありがとうございました」

「お礼を言うのはこっちだよ。新藤さんのおかげですっかり気分

転換できたよ。本当に感謝しているよ」

 「三谷さんはうちの部長のお気に入りじゃないですか。何にも

気にすることなんてありませんよ」

少し酔ってきたのか友絵は総務部長のことを話し始めた。

「そうなの?全然知らなかった」

「うちの部長は本人の前で言ったりしませんよ。でも、よほど気

に入っているらしくて、他の部長にもいつも言ってますよ。三谷

君を応援してやれって」

 宏一は、もう少しその話が聞きたかった。ここでタクシーを拾

って帰るつもりだったが、もう一時間ほど寄り道することにした。

「新藤さん、すぐそこでカクテルでも飲んでいかないか?もう少

しだけ」

そう言って友絵を日の出桟橋の方に誘った。

「カクテルも飲ませてくれるんですか?この際だから、お言葉に

甘えちゃおうかな」

そう言うと、二人はゆっくりと歩き出した。

 「三谷さんのことを最初に部長が言い出したのは3月頃なんで

す。やっと任せられそうな人が見つかったって」

「そんなに前から知ってたの?俺が来たのは5月だよ」

「ええ、前の会社の仕事が終わってからですからね。予定より少

し延びたみたいですね。やきもきして待ってましたよ」

「だから、私は三谷さんを五ヶ月前から知っているんです。会う

ずっと前から」

そう言うと、友絵は少し下を向いた。何かを言いたそうなので、

友絵の方を見ると、宏一の視線を感じてチラッと宏一を見返した。

宏一の視線を感じて

「秘密!」

と言うと、バタパタッと少し走って

「あー、気分は最高!」

と空に向かって背伸びをした。

 日の出桟橋の近くの海沿いのビルに入って行く宏一の後をつい

ていきながら、

「変わった名前のホテルですね?」

と、友絵が囁く。

「あぁ、青いって言う意味だよ。海の横だからね。さぁ、夜景を

見に上に行こう」

宏一は友絵の腰に手を回してエレベーターに乗った。上に着くま

で友絵は下を向き、身体を堅くしてじっとしていた。

 最上階のバー&ラウンジに行くと、目の前いっぱいに大きくレ

インボーブリッジが広がっていた。丁度ライトアップされている

時間だったので、橋が海の上に浮かび上がって素晴らしい夜景だ。

目の前に突然現れた夜景に友絵が驚いていると、

「いらっしゃいませ、お二人様でしょうか」

とボーイが現れた。あいにく窓際のボックス席がいっぱいだった

のでカウンターに座る。

 店の雰囲気が静かなので、さすがに友絵も騒いだりはしないが、

ニコニコとして宏一の方に

「ありがとうございます。素敵な店ですね」

と小さな声で言ってうっとりと外を眺める。

「何か好きなものはあるかい?」

宏一が聞くと、

「えーと、そんなに詳しくないから」

と戸惑った顔を見せる。

 「まだお酒は飲めるかい?」

「ええ、私、見かけより強いんですよ」

「そうか、じゃあソルティードックでもどう?あっさりしてるか

ら。俺はドライマティーニ」

バーテンが頷いて

「何かおつまみは召し上がりますか」

と聞いてきたので

「チーズボードでも出してもらえますか」

と答えた。友絵が遠慮がちに

「あの、チーズボードってどんなチーズなんですか?」

「え?ああ、チーズの盛り合わせのことだよ。チーズボードって

言う専用のまな板に少しずつ載せて出すからそう言うんだ」

「そうなんですか、板みたいなものかと思っちゃいました」

「出てくれば分かるよ」

友絵は火照った顔でソルティードックの塩をペロペロ舐めながら

美味しそうに飲んでいる。

それから、さらに宏一は総務部長の話を聞きたがったが、友

絵はそれ以上はあまり言おうとしなかった。

「これ以上は言いませんよ。聞きたかったらまた誘って下さい」

どうやら口ほどではなくだいぶ酒が回ってきたようだ。

「もちろん、必ず誘うよ。情報のためだけで誘っていると思われ

るのは悲しいな」

宏一は少し寂しそうに言った。友絵を誘ったのは友絵と一緒にい

たかったからなのだ。おかげで気分転換が図れた。今は本当に宏

一は友絵に感謝していた。

 それからは、宏一は友絵の話を聞いた。友絵は高校を出てから

今の会社に入り、今の仕事が気に入っていること、社内恋愛は禁

止されてはいないが事実上ばれたら結婚して退社するか、そのま

ま退社するかしか選択は残されていないこと、そして友絵自身は

まだ結婚の意思はなく、総務と秘書の経験を積みたいことなど

を話した。

「でも、三谷さんなら考えちゃうかな」

ポツリとつぶやいた。

 「ねぇ、新藤さんは彼氏いるの?」

宏一は少しドキリとしてあわてて聞いた。

「もう、そんな話するのに名字で呼ばないで下さいよ」

友絵は少しすねて見せた。

「ごめん、友絵さん、でいいかな?」

「はい、いいですよ。会社に入ってしばらくは高校時代の彼と付

き合っていたんですけど、今は・・いないんです。・・でも・・、

しばらく前から心の中には一人いますよ」

そう言って宏一を見つめる。

 友絵は少し酔ってきた頭で、自分のことをここまで話したのだ

からもっと自分の気持ちを受け入れてくれてもいいと思った。こ

れだけあからさまに伝えているのだ。友絵の気持ちが分からない

ほど鈍感な男ではないはずだ。

これで、だめだと言うことは・・・。

「そう言えば、最初の質問に答えてませんね。その答えを聞くた

めに来たんですよね」

「そうだったね。聞きたいかい?」

「ええ、是非」

 「そうか、あのね、ガールフレンドはいるんだけど、何か変な

んだ」

「変て?」

「うーん、何か彼女が何か隠しているって言うか、すれ違ってる

って言うか・・・そんな感じ」

「そうか、彼女、いるんだ」

「ごめんね」

「何で三谷さんが謝るんですか、まだ会ったばっかりじゃないで

すか」

「そうか、ごめんよ」

「ほらまた謝る。そんなに優しいから私がつけあがっちゃうんで

すよ」

「うーん、どうすればいいんだい?」

「このままにしておきましょう。きっとそれが一番」

そう言うと、友絵は無理にニッコリ笑い、ソルティードッグのお

かわりを頼んだ。

それからは、当たり障りのない話を小一時間ほどしたが、さす

がに友絵の口は重くなっていた。

「そろそろ出ようか?」

そう言って、宏一は勘定を済ませて友絵と外に出た。すぐにタク

シー乗り場に行こうとしたが、友絵は

「あれ、あそこに言ってみましょう」

とホテルの横の帆船の格好をした小さな公園に向かって歩き出し

た。友絵は、宏一に彼女がいることを知って一気に落ち込んでい

た。わざと明るく振る舞っていないと泣き出しそうだった。せっ

かく宏一とデートできたのに、こんな気分で家路につきたくなか

った。

 あれ以上宏一の話を聞けば、きっと宏一の他の女性に対する真

剣な思いを聞くことになる。そうしたら、たぶんもう二度と誘っ

てもらえなくなる、それはいやだった。友絵は自分の宏一に対す

るあこがれをもう少し持っていたかった。

それくらいはしたっていいはずだ、そう思っていた。だから、宏

一の心の片隅に置いてもらうだけでもよかった。公園の外れは芝

浦桟橋と繋がっていた。手すりにもたれて海を眺める。

 宏一は後ろから追いついて、友絵の横に並んで無言で海を眺め

た。しばらく二人はそうしていたが、

「今日はとっても楽しかったよ。あのね、とっても落ち込んでい

たんだ。総務部長に相談したら、格の違いを思い知らされたよ」

ポツリと宏一がそう言った。

「そうなんですか。私が役に立てたんですか?」

「ああ、特効薬だね。一発で直ったよ」

宏一が心を込めてそう言うと、友絵は

「総務って縁の下の力持ちなんですよ。表には出ないけど、みん

なのためにがんばってるんです」

そう言って力無く笑った。

 「友絵さんは俺の大事な総務担当だね」

「そう言ってもらえると嬉しい」

弱いがニッコリと笑うと、

「あの、また誘ってもらえますか?」

と小さな声で宏一に言った。

「もちろん、友絵さんの笑顔が見られるなら必ず誘うよ。約束す

る」

「そんなこと言うと、期待しちゃいますよ」

「期待していいよ」

宏一は優しく言うと、友絵の肩に手を回した。

 友絵はスッと宏一の方に身体を寄せてくると、思い切って宏一

の胸に顔を埋めた。一瞬、まずい、と思ったが、今の宏一には突

き放すだけの大人の優しさは残っていなかった。

不意に友絵の中にどうしようもない感情が溢れ、急に悲しくなる。

「私、どうすればいいの」

そう言いながら宏一の腕の中で奮えている友絵を優しく抱きしめ

ながら、

「さっき自分で言ったじゃない。このままでいましょうって。ね」

そう言いながらそっと背中を撫でてやる。

 友絵は腕の中で小さく、ウン、と頷くと、一言、

「だから」

そう言うと宏一を向いて目をつぶった。宏一にはそれを拒む勇気

がなかった。明子と以外、将来を考えることなどできないことは

分かっていたが、友絵の一途な気持ちに引きずられてしまった。

ゆっくりと唇を重ねる。宏一の好きなディープキスではなく、

単に唇が触れ合っているだけのキスだった。しかし、それだけで

も友絵から宏一に伝わる情熱は圧倒的だった。明子のことを考え

ながらも友絵を部屋に誘いたくなる。

 友絵は唇を重ねた瞬間になぜか安心した。自分のいる場所が宏

一の心の中にあることが分かったからだ。とても小さな崩れそう

な場所なのは分かっていた。しかし、今の友絵はそれで十分だっ

た。とても優しいキスだった。身体の中にゆっくりとしみこんで

いくような、心の安まるキスに友絵はこのまま宏一を待つ決心を

した。

 宏一はゆっくりと唇を離した。しかし、すぐに友絵は再び唇を

求めてきた。『もう少しだけ』そう言っているのがよく分かった。

再び唇が重なり合う。友絵の腕が宏一の首に回される。友絵の方

から背伸びをして宏一をしっかりと抱きしめる。小柄な細い身体

がぴったりと宏一に合わさる。二人の近くを数人の通行人が通っ

ていったが、友絵は動こうとしなかった。

 「行こうか」

しばらくして宏一が唇を離し、そう言うと、友絵はコクンと頷い

た。『このままどこかに誘われたら・・・・』一瞬、そんな考え

が友絵の頭をかすめる。

もし、そうだとすれば、嬉しい、悲しい、戸惑う、複雑な気持ち

が心の中を駆けめぐる。誘われたら拒めないだろう、それだけは

確かだった。宏一と一緒に歩きながら『そうなったら、私、どう

しよう』そんなことまで考えた。

 しかし、タクシーに乗った宏一は、

「取りあえず恵比寿の方に向かって下さい」

そう言うと、

「友絵さんの家はどこなの」

と聞いてきた。

「三茶です」

自分で答えながら友絵にはレフリーに負けを宣告されたように聞

こえた。しかし、少しずつ、少しずつ、そう自分に言い聞かせて

悲しみが沸き上がるのをこらえていた。

 友絵は、少しの間でも宏一との時間を大切にしたかった。宏一

の肩により掛かり、目を閉じてつかの間の幸せを作り出す。そう

しているうちに酒が回ったのか、小さな寝息を立て始めた。

友絵の家はここからだと会社よりも遠いが、寝ている友絵を置い

て会社に戻るわけにも行かない。しかたなく、友絵の家に先に行

くことにした。夢うつつの友絵は、宏一が降りてしまうまでずっ

とこうしているんだ、と小さな幸せを味わっていた。

 「友絵さん、もうすぐ三茶だよ。家の場所を教えて」

宏一がそう言って友絵を起こしたとき、友絵はすっかり眠ってし

まっていた。

「え?なに?どこ?着いたの?」

寝ぼけた口調で辺りを見回す。

「あ、次の信号を右に入って下さい。それから、しばらく行って

右にコンビニが見えたら店の前を左です」そう言ってから、

「送ってくれたんですね。ありがとうございました。本当に」

と、宏一に礼を言った。

 タクシーを降りるとき、友絵は

「また誘って下さい。私、待ってますからね」

そう言った。車の中で宏一が頷いたように見えた。宏一のタクシ

ーが走り去ると、友絵は自分のアパートの方に歩き出した。友絵

は、嬉しいのと悲しいのと二つの気持ちの間で揺れ動く自分を持

て余していたが、

「ま、いっか!」

と一言気合いを入れるとアパートの階段を上がっていった。

 宏一が会社に着いたのは何と十二時近くなっていた。6時間近

くつぶしたことになる。冷房が切れているはずなので、会社の近

くのコンビニで氷やアイスなどを買い込み、夜間出入り口から気

合いを入れてはいる。

「これから仕事をなさるんですか」

と呆れている守衛に鍵をもらい、部屋に入るとさすがにムッとし

た熱気に包まれる。

 誰に見られるわけでもないので、遠慮なくシャツ一枚になり、

コーヒーを販売機から買ってきて氷を入れて3杯ほど飲む。その

間にシステムを立ち上げ、残りの仕事にかかる。友絵の効果は明

らかで、夕方に比べると倍近いスピードで仕事が進む。いろいろ

考えずに次々にベストと思える選択をしていけるからだ。

 しかし、二時を回るとさすがに眠さでスピードが落ちてくる。

体操したり、コーヒーを飲む回数が多くなってきた。三時を回っ

たころ、いつの間にかイスに座ったまま眠りに入ってしまった。

目を覚ましたのは6時近くだ。既に周りは十分に明るい。あわて

て仕事の残りに取りかかる。『ちょっと気分転換をしすぎたな』そ

んな後悔が胸をよぎる。

 

 七時を過ぎた頃、コンビニに行って朝食と一緒にシャツの替え

を買ってきて着替えた。ウェットティッシュで体を拭くと身体が

生き返る。それからは快調に仕事をこなし始めた。この分だと、

今日中に何とかなりそうだった。そうなると、さらに気分が良く

なってくる。八時近くなったので、誰が来てもいいように服装を

整え、ゴミを始末して猛烈な勢いでキーボードをたたいていると、

誰かがこの部屋に来る足音が聞こえた。

 宏一にはそれが誰か分かっていた。木下部長は既に宏一が仕事

をしているのを見ると、

「やあ、いつも早いね。ご苦労さん」

と声をかけ、宏一の向かいでパソコンを立ち上げる。マウスだけ

を使っているところを見ると、あちこちのファイルを覗いている

ようだ。『そんなことをしてもメッセージの送り主は分かりませ

んよ』宏一は心の中で言い放った。

 宏一は、一日一回だけメッセージを送る予定にしていたが、今

日のメッセージはまだ入っていない。そんなことをすればメッセ

ージの相手が宏一だと言うことがすぐにばれてしまう。木下部長

には少しずつ宏一の計画に乗ってもらう予定なので、まだ手の内

を明かすつもりはない。

 昼過ぎまでは快調に仕事をこなしていた宏一だが、午後になる

とだんだんペースが落ちてきた。昨日の疲れが出てきたのである。

仕事の合間に友絵のことも気になり始めた。『本当にあれでよかっ

たのだろうか?』そんな風に時々考えてしまう。ふと、用事を装っ

て総務に行ってみようかとも思う。しかし、友絵がこない以上、

軽率な行動は避けた方がよい。お互いにこれからどうなるのか全

く分からなかったし、深入りしても後が辛くなるだけだからだ。

 何とか退社時間までがんばった宏一は、最後に、木下部長宛の

メッセージを発信するソフトをインストールした。これで、宏一

がいない間もプログラムされた時間に次々にメッセージを部長の

ディレクトリに自動的に放り込んでくれる。

仕事を終わった宏一は、疲れた身体を引きずるようにしてワンル

ームマンションに向かった。部屋に入るとまずシャワーを浴び、

身体をすっきりさせてからベッドで一眠りすることにした。宏一

がベッドに入っていくらもしないうちに由美が入ってきたが、宏

一は全く気が付かなかった。



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