ウォーター

第三百十三部

 
洋恵は全力で感じたため、疲れでぐったりしており、両足を思い切り開いた姿勢のまま、全く身動き一つしなかった。激しく動いて放ったので宏一もかなり疲れており、洋恵の横で息を弾ませている。
「すごかったね。洋恵ちゃん、大丈夫?」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、ばか・・、はぁ、はぁ、はぁ・・」
洋恵はそれだけ言うと、まだ大の字になったままぐったりとしていた。
宏一は洋恵を抱き寄せようとしたが、洋恵は嫌がった。
「まだだめぇ、ああっ、痛いっ」
まだ身体が敏感になっていて、抱かれるだけで痛いような感じが走り抜ける。こんなに強い余韻が残ったままになるのは初めてだった。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・」
洋恵はまだ息を弾ませていた。百メートルを全力で走ったよりもずっと疲れている。もう、とにかく何もできない。全裸で大の字になっているのは分かっていたが、その恥ずかしい姿さえもどうにもできなかった。
やがて宏一が身体を起こし、洋恵に話しかけた。
「どう?」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・・すこしだけ、だいじょうぶ」
「抱いてもいい?」
「うん」
洋恵はやっと身体の感覚が戻ってきたので、身体を少し宏一に寄せると静かに抱かれてきた。
「ごめんね。夢中になっちゃって」
「ばか・・・・死ぬかと思った・・・・」
「ごめん」
「あんなにすごいなんて・・・・・初めて・・・・・・息ができなくなって、気持ち良くなって、身体が動かなくなって・・・・・・センセ、やり過ぎよ」
「うん、ごめん」
「ねぇ、私の中、気持ち良かった?」
「うん、とっても気持ち良かったよ」
「うれしい・・・・・」
「だから三回も出しちゃった」
「そう、いつもなら2回出したら、後はもう出さないのに・・・・」
「うん、今日は特別なのかもね」
「センセのおちんちんが?それとも私が?」
「きっと両方なんだと思うよ」
「そうね・・・・、うん・・・・」
洋恵はけだるく甘い会話を楽しみながら、ゆっくりと身体に力が戻ってくるのを感じていた。ちょっと身体を動かして宏一に肌を擦りつけてみる。すると、じわっと甘い感覚が沸き上がった。
「あん・・・・やっぱりまだ気持ち良い・・・・」
「疲れたでしょ?もう少ししたらタクシーを呼ぶからね」
「うん」
宏一の部屋から帰る時、洋恵は普段タクシーなど使わないが、今日はそれ以外に方法は無さそうだ。洋恵はタクシーは緊張するので余り好きではないのだが、これだけ身体が怠いとどうしようもない。
洋恵は更に十分近く宏一に抱かれていてから、やっと身体を起こした。そして下着を着けながら言った。
「明日、7時にね?」
「うん、洋恵ちゃんも一緒にいてくれるんだよね?」
「もちろん」
「良かった。それなら安心だ」
その言葉に、洋恵は少し安心した。宏一の顔をのぞき込む。
「センセ、嫌なの?」
「ううん、そうじゃないよ。洋恵ちゃんがいてくれないと、知らない子に会って家庭教師を決めるなんてできないからさ」
「だから、香奈に家庭教師を頼まれてもこっちを優先してね」
下着を着け終わった洋恵が制服に手を伸ばしながら言った。
「うん、もちろん。まだ香奈ちゃんからきちんと頼まれたわけじゃないしね」
「うん」
「でも洋恵ちゃん、どうして香奈ちゃんから言われてもこっちを優先なの?」
「だって香奈は可愛いし・・・・」
「でも、明日洋恵ちゃんが紹介してくれる子も可愛いんでしょ?」
「それはそうだけど、香奈と違って大人しいし、彼とか作る気ないし・・・・とにかく、香奈はだめなの」
「わかったよ。そうする」
宏一はそう返事をしながら、洋恵がそこまで香奈のことを警戒するのは何故だろうと思った。宏一が見た香奈は、彼氏に不自由するような子には見えなかったからだ。
やがて服装を整えた洋恵は、宏一からタクシー代をもらうと、宏一が呼んだタクシーで帰っていった。
宏一は明らかに限界まで搾り取られた感覚を感じ、『今日はちょっとやり過ぎたかな?』と思った。
タクシーで行き先を告げた洋恵も同様だった。ぐったりとしていてまだ身体が重い。
『センセたら、あんなにするんだもの。もうだめって言ったのに・・・・・。でも、本当にすごかった・・・・あんなすごいいき方もあったんだ・・・・・・。今日はいっぱいしてもらっちゃった。えっと、最初はお口の上で、それからボールみたいにされてして、それからじっとして・・・・・。えっとそれと、コンビニから帰ってきて後ろからして、上になって押し付けてして、それから最後にもいっかい・・・・すごい・・・七つも・・・・・ちょっとやり過ぎたかな・・・・ふふっ・・・センセ、三回も出したし・・・・最後がすごかった・・・・あんなにされたら・・・・』
洋恵はぐったりと疲れた身体を感じながら、身体の隅々まで徹底的に愛され尽くした満足感に、心から幸せだと思った。そして『センセが満足するのは私だけ、絶対香奈になんか渡さない。あの子は絶対だめ』と思った。
『もし香奈の家庭教師になったらセンセは直ぐにくっついちゃう。そうしたら、もしかしたら私から離れていくかも知れない』実は洋恵は、香奈に自分と似たものを感じていたのだ。だから、自分に近い雰囲気の香奈だけは絶対に避けたかった。『でも結依なら大丈夫。あの子、全然彼を作ろうとしないもの。可愛いけど、センセが手を出そうとしてもたぶんダメ。あの子、あっちに興味無いもん』と思った。只、その点に関しては洋恵は一つ勘違いをしていた。
翌日、いつものように仕事は忙しかった。友絵の表情はどこか沈んでおり、仕事以外の会話は全くなかった。宏一もなんと声を掛けて良いのか分からず、只時間だけが過ぎていった。
そして夕方、時間ギリギリに宏一が待ち合わせ場所に到着すると、洋恵ともう1人の女の子が宏一を待っていた。3人で取り敢えず近くのドトールに入る。
「洋恵ちゃん、こんにちは。久しぶりだね」
昨日のことなどおくびにも出さずに宏一が挨拶する。
「こんにちは・・・・」
洋恵もどちらかというと他人ぶって挨拶した。
「それで洋恵ちゃん、今日は家庭教師の話だったよね」
「うん、この子」
そう言うと洋恵は隣の子を促した。
「こんにちは・・・・・・・水元結依です」
洋恵の隣に座った子が口を開いた。
「結依ちゃん、で良いかな?三谷宏一です。よろしく」
「はい」
それから洋恵は具体的な条件を話し始めた。曜日、時間、お金、どうやら結依とあらかじめ打ち合わせがしてあったようで、殆ど全ての話を洋恵が決めてしまう。
その時宏一は微妙な空気を感じ取っていた。今まで宏一は、結依の方から家庭教師を探していたと思っていたのだが、なんとなくそうでは無いかも知れないと思った。結依からは重点的に勉強したい科目や目標などの話が全く出ないし、本人自体、余り楽しみにしているという風でもないからだ。どちらかと言うと、単に同席しているだけ、という感じだ。だから宏一は『もしかしたら数回教えておしまいになるかも知れないな』と感じた。
「・・・っていうこと。結衣、それでいいよね?」
「うん」
「それじゃセンセ、お願いね」
「うん」
「結衣も挨拶して」
「はい、よろしくお願いします」
結依は一言で言うと小柄な細身の子だった。端整な顔立ちで大人しい性格なのは見た瞬間に分かる、そんな感じだ。
それから3人はしばらく雑談した。結依の父親は商売の他に市会議員をやっているそうで、母親もそれを手伝っているらしい。改めて最後に決めたのは、来週から取り敢えずは週に一回、月曜日に2時間ほどすると言うことだった。
宏一はやはり気になることがあった。とにかく結依が殆ど話さないのだ。口数が少ない。話すのは殆ど洋恵ばかりなのだ。
「結依ちゃん、それでいいの?」
宏一が聞くと、結依は、
「はい」
とだけ答え、後は黙ってしまう。どうも楽しく家庭教師をするというわけには行かない感じだった。宏一は結依の家の地図をもらうと挨拶をして家路についた。電車の中で思い返すと洋恵の積極的な感じと、結依の話をしない静かな感じが違和感として残った。
翌日は由美と会う日だ。宏一はそれを楽しみに仕事を片付けていったが、業者に差し替えの図面を送ったはずが工事に現れた作業者に渡っておらず、ちょっとしたトラブルになった。原因は友絵が変更書類を送る担当者を間違えたからだった。友絵にしては珍しいミスで、その対応に予想外に時間がかかってしまい、部屋に着いたのはいつもよりも少し遅れた時間だった。
「ごめん、ちょっと遅れちゃったね」
「こんにちは」
宏一が現れると、由美は弾けるような笑顔で宏一を迎えた。
「宏一さん、こんにちは」
「相変わらず元気で可愛いね」
由美は宏一の露骨な褒め言葉も気にせず、嬉しそうだ。宏一が自習していた由美の後ろからのぞき込むとうっすらと良い匂いがする。
「今日は宏一さんに教えて欲しいことがあって・・・・」
「うん、いいよ。なんだい?」
「化学なんですけど・・・・・」
「化学?由美ちゃん、化学なんてやってたっけ?あ、そうか、前にも少し教えたような。でも1年生でしょ?」
「はい、選択科目は最近始まったんです。本当は生物と物理にしようと思ったんですけど・・・あの・・・前にも気体の状態方程式を教えてもらいました」
「そうだったね、ごめんごめん、文系の人は良く生物と物理を選ぶ人が多いよね」
「はい、でも化学の方が覚えやすいって友達から聞いたから、取り敢えず化学を選んでみることにしたんです。2年になる時に変えることもできるし、生物と化学は重なってる部分もあるから」
「ふぅん、まぁ、そうかも知れないけど・・・・、でも生物の方が暗記すれば良いのが多いよね?」
「そうなんです。でも計算が得意なら化学の方が暗記が少ない分だけやりやすいって」
「それはそうだよね。高校だと今は化学基礎だよね?」
「はい、全部最後に基礎って付きます。だから物理基礎と化学基礎です」
「それで、どこを教えて欲しいの?」
「あの、同位体なんですけど・・・?」
「良いよ。それじゃ、その勉強が終わるまでは気持ち良くなれないね?」
「それは・・・・・・・・でも・・・」
突然宏一に言われて由美は明らかに恥ずかしがった。迷っている感じだ。
「あの・・・宏一さんが・・・・」
「ごめんごめん。先ずちゃんと勉強しようね」
「もう、急にそんなこと言って困らせるんだから」
由美は安心して参考書を開いた。
「それじゃ、基礎からいこうか。元素記号の四隅に書く数字はなんの数字だっけ?」
「えっとそれは・・・・・、右上がイオンの価数、右下が元素の数、・・・・左上が質量数で左下が元素番号・・・・・です」
「良く覚えたね。それじゃ、質量数ってなあに?」
「それは・・・・・陽子と中性子の数を足したもの・・・・・・です・・・・」
「どうして質量数って言うの?」
「・・・重さの・・・数・・・・・・わかりません・・・・」
宏一が由美の後ろからのぞき込むと、セーラー服の胸当ての隙間から見慣れた可愛らしい膨らみが見えた。
「そうか、それじゃぁ確かに同位体の勉強が必要みたいだね」
「はい、教えて下さい」
「それじゃ復習だよ。陽子ってなあに?」
「プラスの電気を持った粒で・・・・・」
「そうだね。中性子は?」
「電気を持っていない粒・・・・」
「陽子と中性子の重さは?」
「・・・・・・わかりません・・・・」
「おんなじだよ。それじゃ、電子の重さは?」
「・・・・・・わかりません・・・・」
「陽子や中性子に比べるとずっと小さくて千分の一以下なんだ。だから、原子の重さは陽子と中性子の合計の数で決まるんだよ」
由美が考え込んでいる間に宏一の手は由美の後ろから前に回り、そっと制服のリボンを解いていく。由美ははっとしたが何も言わない。
「そうなんだ。一度聞いたのに覚えて無くて・・・・・ごめんなさい」
「ううん、構わないよ。それじゃ、原子の性質って何で決まるの?」
宏一は更にリボンの裏のホックを外すと、ジッパーをそっと半分ほど下げた。さすがに由美は少し両手を窄めてガードするようなそぶりを見せたが、嫌がりはしなかった。濃いブルーのブラジャーに包まれた膨らみが少しずつ露わになってきたが、まだ何もしていないので綺麗なラインを描いており、まだぷくっとは膨らんでいない。

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