ウォーター

第三百四十三部

 
実は最初、香奈から新しい彼を紹介されたとき、洋恵は余り乗り気では無かった。自分で選んだ彼で失敗したばかりなので、宏一がいればそれでいいと思っていた。自分で選んだ彼で失敗しただけに、しばらくは自分から見つける気はなかった。しかし、もし宏一と一緒に歩いているのを見られたとして、自慢できるのかと言われれば、宏一とは一回り近く年が離れているだけに少し微妙な所があるのは確かだった。そこを香奈に指摘されて考え込んだ洋恵は、取り敢えず新しい彼を試してみることにしたのだ。
それでも新しい彼とデートするとなれば洋恵だって準備も考えることもあり、紹介してもらうからには洋恵としてもできるだけ好きになろうと努力した。だから先週、宏一のところに来られなかったのだ。しかし、やはり余りワクワクせず何か満たされない鬱屈とした気持ちが残ってしまうのも事実で、そのために今日は午前中に来てみたのだ。
「ねぇ洋恵ちゃん、出かけるって、何時頃までいられるの?」
「うーん、1時前くらいかなぁ」
「お昼は?」
「先生と一緒でも良い?」
「うん、良いよ。どこか行きたいところはある?」
「ううん、でも・・お昼のためにおでかけはちょっと・・・・・・」
洋恵はなるべく宏一に甘えられる時間を取りたいことを暗に臭わせた。
「それならデリバリーにする?」
「うん、いいの?」
「もちろん。それじゃ、先に頼んでおこうか。何が良いのかな?お寿司?」
「お寿司は好きだけど、食べ過ぎちゃうから・・・・」
「それならピザとかスパゲティとか?」
「・・・・ねぇ、ラーメンでも良い?」
「ラーメン?それだとデリバリーと言うより出前だね。うん、確か、近くの店が出前してたと思うよ」
そう言って宏一は近くの店を探したが残念ながらまだ電話は繋がらず、結局イタリアンでスパゲティのデリバリーをネットで注文することになった。
「ねぇ、こっちに来て」
洋恵は甘える気満々で宏一を自分の横に来させ、更に自分から身体を寄せて宏一に背中を押し付けてきた。今日の洋恵はグリーン系のミニスカートのワンピースだ。おしゃれをしているのはもちろんこの後がデートだからで、今日は宏一の好きな制服ではない。もちろん洋恵はさすがにデートに制服で行くほど無神経ではなかった。まだ2回目のデートなので、洋恵にとっても大切にしたいチャンスだ。まだ洋恵自身、はっきりと決めては居なかったが前の彼よりは気に入っているのは確かだった。
「洋恵ちゃん、もうお勉強はしてきたの?」
宏一は背中から腕の中に入ってきた洋恵の身体の前に手を回し、身体全体を包み込むようにして耳元で囁いた。
「うん、少しした」
「少しなの?」
「そんなに宿題はなかったから・・・・・」
「受験勉強は?」
「少ししたよ」
洋恵は積極的に宏一にもたれかかってきたが、脇は開けていない。直ぐに始めて欲しいなら脇を開けて宏一の手を胸に導くはずなので、まだその気になっていないと言うことだ。宏一は甘えてきたのに脇を開けない洋恵を少し不思議に思った。しかし、洋恵はぴっちりと脇を締めたまま、宏一の手を身体の前に回してその手をそっと抑えていた。
「それじゃ、少しお勉強する?」
「ううん、それは良いの。始めたら時間かかるし」
「それじゃ、洋恵ちゃんの学校のことを話してよ」
「学校?どんなこと?」
「友達のこととかさ」
「友達のこと?」
「うん、いつもどんな子と一緒に居るの?」
「同級生の友達・・・・・」
「いつも同じ友達?」
「ううん、そんなことない。いろいろ」
「洋恵ちゃんは部活してたっけ?」
「ううん、してない。どうして?」
「洋恵ちゃんなら文化系の部活かなって思ったからさ」
「文化系?どんな?」
「新聞部とかさ」
「新聞部?あれは嫌い」
「どうして?」
「だって、あっちこっちで聞いた話を先生の言うとおりに書くなんて。それに、たいてい文句ばっかり言われるし」
「そうなんだ。それなら音楽系は?」
「ブラスバンドとか軽音楽?」
「うん」
「仲の良い子がいるけど、楽器は難しいから。それに、もうみんなしてないよ」
「そうか、3年生だものね」
「うん」
宏一は洋恵に抑えられている両手を少しずつ動かして洋恵の身体を少しずつ撫でていた。洋恵もそれは嫌がらない。少しずつ洋恵の身体から力が抜けていくのが分かった。
ただ、普通ならこの辺りで洋恵がもっと甘えてくるのだが、今日の洋恵は宏一に寄りかかったまま甘えてこようとしない。そこで宏一は洋恵の耳元で囁いた。
「もう少しこのままで居る?」
耳元に宏一の熱い息を掛けられて洋恵はぴくっと反応した。そしてコクンと小さく頷く。実は洋恵は身体が少し熱くなっていたが、自分からそれ以上は望まなかった。洋恵にとってはこの宏一に甘えて安心できる状況が大好きなのだ。そこから先のことは状況次第であり、もちろん宏一に全身を愛されることも嬉しいのだが、それが第一の目的ではない。セックスはあくまで結果なのだ。
しかし、宏一の息が耳元にかかり、軽く唇で項を可愛がられると自分から首を伸ばして宏一に項を可愛がってもらおうとする。
「ううん、だめぇ、そんなにしたらぁ」
「なにがだめなの?」
「今日はこれからお出かけだからぁ」
「1時までは良いんでしょ?」
「それはそうだけどぉ。んんん、くすぐったいぃ」
洋恵が感じてきたようなので宏一は再び脇から手を差し込もうとしたが、やはり洋恵はそれを許さなかった。
「だめなの?」
宏一は思いきって聞いてみた。
「だめよう、それされたら脱がされちゃうからぁ」
「ぬぐの、いやなの?」
「だってぇ・・・・今日は・・・・だめ」
洋恵はこうやって甘えているのが好きなのだ。もしかしたらこのまま今日も宏一にいつものようにされるのかも知れないが、それは嫌では無いし流れの中での話だ。ただ、デート前にそれをされたら疲れてしまってデートを楽しめないかも知れないとは思った。しかし、洋恵の中で新しい彼と宏一は全く別であり、宏一に優しくして欲しいと言う気持ちもあるからこそここに来たのだ。それは洋恵の中でも鬩ぎ合っていることだ。だからこそ、先ず宏一の部屋に来てみて、それからと言うのが洋恵のいつもの選択だった。そして、宏一の部屋から出るときはいつも満たされてすっきりとしているのだ
宏一は仕方なく、脇を締めたままの洋恵の身体を優しく撫でていた。洋恵もそれは受け入れている。もちろんそのまま胸の膨らみを撫でても嫌がらなかった。それどころか、少し胸を突き出してたくさん撫でてもらおうとする。宏一も洋恵が甘えたがっているのは分かっているので、丁寧に身体を撫で続けた。
その内、洋恵の反応が柔らかくねっとりとしたものに変わってきた。
「洋恵ちゃん、喉渇いてない?」
「ううん、だいじょうぶ・・・・・」
「お腹減ってきた?」
「ううん・・・・・・」
洋恵は身体が抱かれたがっていることに気が付いた。力が入らなくなってきたし、なにより身体が宏一の愛撫を喜んでいる。すると、宏一が洋恵の項から首の下の方まで唇で可愛がってきた。
「んはぁぁぁ・・・ああん、くすぐったいぃ」
「いやなの?」
「そうじゃないけどぉ・・・・・・」
洋恵は『もっとしてみて』とは言えずに言葉を飲み込んだ。しかし、宏一には洋恵が反応していることは伝わった。更に首の後ろの方まで唇でさわさわと可愛がっていく。
「んんんん、あぁぁ、くすぐったいぃぃ」
洋恵はそう言いながら自分から首筋を伸ばして宏一に押し付けてきた。
「嫌なら止めるよ」
宏一もそう言いながら続けている。
「・・・・・んんん・・・・」
その内、宏一の中で欲望が頭をもたげてきた。可愛らしい少女を可愛がって相手もそれを躊躇いがちに受け入れていれば当然だ。このまま首の後ろから背中の方を可愛がってみたくなったのだ。
「ねぇ、このジッパーをもう少し下ろしてもいい?脱ぐわけじゃないから良いよね?」
宏一は洋恵とのお約束の言葉を持ち出した。一番最初に洋恵の身体を可愛がったときに使った言葉だ。もちろん洋恵もよく知っている言葉だ。
「だって、それはぁ」
「脱ぐわけじゃないよ」
「そうだけどぉ」
そう言うと宏一は、さっさとワンピースの背中のジッパーを半分ほど下ろし、現れた背中に指をツツーッと這わせた。
「んはあぁぁーーーっ」
洋恵から深い吐息が漏れた。
「気持ち良い?」
宏一が耳元で聞くと、洋恵はコクンと頷いた。洋恵は感じたことが嬉しいのと同時に、このままだといずれ全てなし崩し的に受け入れてしまうと思った。正直に言えばそれも嫌では無いが、それでいいのかという想いもある。しかし、優しくして欲しくてここに来たのだし、宏一に背中を可愛がられるのは嬉しかった。宏一は嫌だと言うことはしないので、いつでも洋恵は安心して受け入れられる。だから洋恵はこのままだと最後までいってしまうとは思いながら、もう少し宏一に可愛がってもらうのを密かに楽しむのを選んだ。
「んんんんん・・・・んあぁぁぁん・・・そんなにしないでぇ」
「止めた方が良いの?」
「そうじゃなくてぇ・・・・でも、んんんんっ」
いつの間にか背中のジッパーは腰まで下ろされ、背中が大きく露出している。そして洋恵の背中を宏一の指がゆっくりと上下していた。
「気持ち良い?」
また宏一が聞いた。洋恵ははっきりと頷いた。
「それじゃあね、こうしてみようか?」
そう言うと、それまで洋恵の耳元から離れなかった宏一の顔がスッと後ろに回ると後ろ襟から背中に軽く舌を這わせた。
「んああぁぁんっ」
洋恵の反応が強くなった。思わず洋恵は『気持ち良い』と言いそうになった。更に何度も丁寧に宏一が背中を可愛がると、だんだん洋恵の身体が宏一をもっと欲しくなってきた。最初はぴちっと締まっていた脇も、今は空間がはっきりとできている。
宏一は、そろそろ頃合いだと思った。
「ここも外すよ?」
そう言うと背中に露出しているブラジャーのバックストラップを外してしまった。
「ああんっ、それは反則ぅ」
慌てて洋恵は前をガードした。
「脱がしてないよ」
「だけどぉ、それはやっぱり・・」
「ほうら」
宏一の唇がツツツーッと首元から降りていく。洋恵の隣に座ったままなので宏一にとっては少し辛い姿勢だが、洋恵が喜ぶのが可愛かった。しかし、洋恵にとっては耳元から宏一がいなくなり、背中ばかり可愛がられると宏一と話ができない。
「んんんんーーーーーーっ、そんな後ろにばっかり居ないでぇっ、お話ができないっ」
洋恵が言うと、宏一は再び洋恵の耳元に戻ってきた。安心した洋恵はガードしていた手をゆっくりと下ろしていった。やはり安心できる体勢なのが一番だ。
「ごめんね。ここに居れば良い?」
宏一がそっと聞くと、洋恵はコクンと頷いた。
「それじゃ、今度はこうしようか?」
そう言うと宏一は大きく広がった背中の方から開いている脇へと手を入れてきた。洋恵は嫌がるかと思ったが、スッと脇を広げて宏一の手を受け入れた。同時に宏一は洋恵の真後ろに座り込んだ。ちょうど宏一の又の間に洋恵が入る形だ。そして両手を洋恵の背中の開いたワンビースの中に差し込み、そのままブラジャーの内側のゆっくりと乳房まで差し込んでいく。
「んんっ」
宏一の手はブラジャーの内側から一気に乳房の下側へと進んできた。『あっ、手が来た』と思ったが、最早嫌がる気持ちよりも乳房が包まれる喜びの方が強い。宏一の手は洋恵の乳房の下側を優しく包み込んだ。
「いやじゃない?」
宏一が念を押したが、洋恵は嫌がらなかったし何も言わなかった。すると宏一の手がゆっくりとブラジャーの中で動き始め、洋恵の乳房の下側をそっと撫で始めた。宏一は洋恵の乳房の下側のカーブを確かめるのが大好きなのだ。この張りのある固さを確かめる楽しみは何度やっても楽しい。
弾力の強い洋恵の乳房を宏一がそっと何度も下から撫で上げていく。洋恵もこうして優しく乳房を可愛がられるのが大好きだ。自然に両手をぎゅっと握り締めて愛撫に耐える姿勢に入る。
洋恵は意識が少しずつ宏一の愛撫に持って行かれるのを感じながら、どうして宏一しかこうしてくれないのだろうと思った。前の彼は慌てて脱がすとぎゅうぎゅう揉んでくるばかりで最初は痛くて痛くて感じるまでが大変だった。そしてふと、今度の彼はこうしてくれるだろうかと思った。こういう風に優しくしてくれれば、きっと優しい気持ちになれるのに、と思った。
そしてだんだん宏一の指が下から上へと乳房を包み込んでくる。もう少しで乳首に届きそうだ。

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