ウォーター

第三百六十九部

 
「結衣ちゃん、出しても良い?」
「いい。そのまま・・・・・」
結衣は顔を少し歪めたまま、放出を受け入れた。
「んん、出すよ」
「・・・・」
宏一の二度目は何とか、という感じで放出した。量も少なかったし、快感も弱かった。
宏一は放出の間じっとしていたし、結衣も動かなかった。そして宏一がそっと抜き去ると、結衣の顔には涙の跡があった。ただ、結衣は悲しかったわけではない。とにかく、やっと終わったのだ。バージンを卒業する相手として宏一を選んだことに後悔はないが、それでも本当に良かったのだろうかという想いが自然に涙になっただけだった。
「ありがと」
結衣はそれだけ言った。宏一が肉棒を抜き去ると、結衣のお尻の下は掌くらいの面積が真っ赤になっていた。
宏一は再び結衣の横に寝て結衣を軽く抱き寄せた。
「結衣ちゃん、ありがとう。初めての男に選んでくれて」
「ううん、いいの」
その言葉は短かったが、なんとなく精一杯の言葉のように感じた。
そのまま二人はしばらくじっとしていたが、やがて宏一が起き上がった。結衣も起き上がろうとしたので宏一が手を貸したが、途中で結衣の表情が苦痛に歪んで動きが止まった。
「だいじょうぶ?」
「・・・・・」
結衣は何も言わなかったが、それでも何とか身体を起こし、自分の腰の辺りのシーツを見て納得したようだった。シーツにはピンク色になっている部分の中心に真っ赤に染まった部分があった。
「後は私がするから・・・・ありがと」
結衣はそう言うと、さらに付け足した。
「月曜日は、良いの。また連絡するから」
その言葉は、宏一には『これで、もう終わり』と言っているような気がした。そう言うときは未練がましく引き延ばしても良いことなどない。宏一は気持ちを切り替えると、もう一度だけ裸の結衣を見てみた。スレンダーだが、これはこれで綺麗だと思った。
「それじゃ、帰るね。そのままで良いから。ただ、後で鍵だけは閉めておいてね」
宏一は身支度を調えるとそう言って結衣の部屋を出た。『もう会うことはないのかな?』と思った帰り道、何となく不思議な子だったなぁ、と思い返しながら、結衣の感じたときの表情や結衣の身体を記憶に焼き付けていた。
その帰り道、なんと洋恵から電話があった。慌てて宏一が出ると、洋恵は普通の声の調子だった。
『洋恵ちゃん?』
宏一は気合いを入れて話しかけたが、洋恵の声は冷静な一本調子だった。
『あのねセンセ、明日、香奈が遊びに行くって』
『え?洋恵ちゃんは?』
『わかんない』
それは宏一にとってちょっとショックだった。今までは洋恵の方から押しかけてきたのに、もう洋恵は変わってしまったのかとがっかりした。どうやら結衣の言っていたことは本当らしいと思った。
『そうか・・・・・・、それで香奈ちゃんはどうして来るの?』
『わかんない。でも、行っても良い?』
『それは良いけど・・・・・・』
『分かった伝えておく。お昼過ぎに行くって言ってるけど良い?』
『うん・・・・・』
その時、宏一はちょっとだけ意地悪をしたくなった。特に予定など無かったが、そのままOKする気になれなかったのだ。
『いいんだけど、でもね、4時頃からなら良いよ』
特に予定は無かったが、素直にそのまま受け入れる気がしなかったのだ。
『分かった。それじゃあね』
洋恵にも宏一が何となく乗り気でないのは伝わったはずなのに、洋恵の対応は冷たく感じた。香奈が来ると言っていたが、宏一は香奈に手を出すつもりは無いし、既に一度断っている。それはもちろん洋恵だって知っている。だから香奈のことは正直に言ってどうでも良かった。
それよりも洋恵のことが気になっていた。洋恵が新しい彼を作ったのならそれは当然のことだし、原因を作った張本人なのだから受け入れるべきだ。しかし、身勝手だと思うが自分のことは忘れて欲しくなかった。だから結衣の後に洋恵とダブルパンチを食らったようで、夕食に寄った焼き鳥屋のビールは苦かった。一人で焼き鳥を食べながらビールを飲んでいると、ドッと疲れが襲ってきた。宏一自身も今まで気が付かなかったが、結衣にはかなり気を遣っていたらしい。張っていた気が緩んだので疲れが一気に来たのだと思った。
しかし、悪いことばかりも続かなかった。今度は夜遅くになって由美から電話が来たのだ。もちろん一瞬で宏一は電話に出た。
『宏一さん』
その一言で宏一は元気になった。明らかに宏一を慕っている様子がはっきりと分かったからだ。
『由美ちゃん』
『明日のお昼前に会ってくれますか?』
『お昼前?良いよ。もちろん。お昼を一緒に食べようか?』
『それは・・・でも、会いたいんです。お昼はどっちでも良いです』
『うん、分かった。それじゃ、どこで待ち合わせる?』
『いつものお部屋が良いです・・・』
その言葉は少し恥ずかしそうだ。
『分かった。早めに待ってるよ』
『あの・・・・10時前でも良いですか?』
『もちろんだよ』
『はい、それじゃ、待っててくださいね』
『うん、待ってる。由美ちゃんに早く会いたいから』
『私も』
その言葉には由美の心がこもっていた。きっと、母親の看病で疲れているだろうに、時間をやりくりして作り出してくれたのだ。
『うん、早く来てね』
『朝、病院に寄ってだからそんなに早くには・・・・・でも、分かりました。きっとですよ』
由美の声は弾んでいた。そしてなんとなく沈んでいた宏一の気持ちもだいぶ楽になった。由美はお昼はどっちでも良いと言っていたが、その意味することは明らかだ。宏一も火曜日に由美を思い切り抱いたばかりなのに、もう由美の身体が懐かしかった。その時になって宏一は、結衣を抱いたことでかなり消耗していた理由は単に気が張っていただけでは無く、もっと精神的なことだと気が付いた。確かにバージンの子を抱くのは久しぶりだったし、結衣はスレンダーで可愛らしい女の子だったが、やはり宏一のどこかに結衣がバージンを卒業するためだけの相手だという気持ちがあり、それが宏一を消耗させていたのだ。ともかく、結衣の希望する役割は果たしたのだから、これからは由美のことを考えていたかった。
その日は由美のことを思いながら一人でブランデーを飲みながらネットの映画を見ていたが、いつの間にか寝落ちしてしまった。
翌日、宏一は朝食を駅の近くのドトールで売り出しの新作サンドで済ませた。定期的に新作が出るので飽きることは無いし、期待を裏切らないからだ。そして取り敢えずの朝食を済ませてから足早にいつもの部屋に向かった。途中で由美と食べる昼食をコンビニで買っていく。寄り道をしなかったので、部屋に着いたのはお昼前どころか9時半頃だった。
しかし、部屋には既に由美が来て待っていた。日曜日なのに制服姿だ。
「由美ちゃん」
宏一は驚いて由美を見つめた。
「宏一さん、おはようございます」
「どうしたの?こんなに早く。まだ10時前だよ」
「ううん、私も今来たばっかりだから。ちょっと早く着いちゃいました」
由美はそう言ったが、由美が自分で冷蔵庫から出したジュースは既に飲み終えている。由美は宏一が部屋に上がると直ぐに宏一のところに来て宏一の胸の中に入ってきた。
「どうしたの?お母さんの病気が心配なの?」
「それは・・・そうだけど・・・でも、やっと病気が分かったから、後は治療に専念すればだいじょうぶだってお医者さんが・・・」
「お母さんの病気って何だったの?」
「白血病・・・・・の一種、だそうです」
「え?そんなに大変なの?」
「でも、昔と違って病院で丁寧に治療すれば治る病気だって・・・・、もちろん時間も掛かるし大変みたいだけど・・・・・」
今週、由美は学校を半日休んだりしながら医者の話を聞いて、家族のことを話し、単身赴任中の父親に電話したりで大変だったのだ。今日も夕方には父親が来るという。
「それじゃ、明後日は・・・???」
「まだ分からないんです。でも、とっても宏一さんに会いたくて、それで我慢できずに来ちゃいました」
そう言って由美はちょっと無理にニッコリと笑った。
「明後日はまだ分からないから・・・・・・だから・・・・・」
そう言うと由美は静かに目をつぶって宏一を見上げた。その由美を宏一は優しく抱きしめてキスをする。最初は軽いキスだが、丁寧に時間をかけた。由美の細い身体を抱いた時、宏一は由美の身体だと実感できた。宏一は由美の身体をぎゅっと抱きしめた。すると由美は宏一の首に手を回して引きつけてきた。そしてさらにねっとりとキスを楽しんだ。
「優しくして下さい・・・・・。これっておねだりですか?」
やっと唇を話した由美は、潤んだ丸い大きな目で宏一を見つめた。
「ううん、まだ何もしてないから。でも、これからはちゃんとおねだりになるからね」
「はい」
由美は嬉しそうに微笑んだ。そして風のように軽々と身を翻すと、勉強机の椅子に座って宏一を待った。
「どうしたの?今日も先ず勉強からするの?」
宏一が微笑みながら由美の後ろに立った。
「いえ、昨日の夜、ちゃんと勉強はしてきました。でも、ここが落ち着くから・・・最初は・・・」
由美はそう言って宏一を待った。
「そう」
それだけ言うと、宏一は制服姿の由美の項へと顔を埋めて軽く唇で可愛がり始めた。
「あ」
由美はそれだけ言ったが、もちろん嫌がらなかった。由美だってこうして欲しかったのだ。由美の綺麗な項にそっと唇を這わせながら宏一は制服の胸元に視線を落とすと、制服の中に可愛らしいお気に入りの膨らみがチラッと見えた。どうやら今日のブラジャーはダークブルーのようだ。
「ねぇ、今日は何時までいられるの?」
「父が3時に東京に着くから、それくらいにはここを出ないと・・・」
「早いんだね」
「だから少しでも早くって思って・・・・・、ごめんなさい」
由美は項に愛撫を受けながら小さな声で謝った。そして宏一の手を取ると、そっと胸に当てた。宏一はその形を確かめるように優しく膨らみを撫で始める。
「これはお詫びのつもりなのかな?」
「そうじゃないけど・・・・・・でも・・・・・」
由美はそう言ってもう一度宏一の手を胸に押し当てた。もちろん由美だって早く可愛がって欲しいからなのだが、確かに少しはお詫びの気持ちも入っていた。由美の膨らみは半球形なので、膨らみはじめのカーブがぷくっと膨らんでいて、それが宏一のお気に入りだ。だから宏一は裾野を重点的に撫で回しながら楽しんでいた。由美もそれは分かっているので、静かに身体が熱くなるのを待っている。
「でも、3時までは一緒なんだね?」
「はい、ずっと一緒です」
「それまで、何をしたいの?」
「それは・・・・・・宏一さんが決めて下さい」
「いいの?」
「もちろん」
「それじゃ、恥ずかしいこともする?」
「それは・・・・・・・・でも、がんばります」
宏一にはその言い方がおかしかった。
「がんばるの?」
「はい・・・・・だって、宏一さんはいつも難しいことをさせようとするから」
「難しいこと?」
「難しいって言うか・・・恥ずかしいこと・・・」
「例えば?」
「それは・・・言えません。宏一さんが確かめて下さい」
「それじゃ、その時には由美ちゃんに聞いてもいい?難しいことなのか恥ずかしいことなのか?」
「私に聞くんですか?・・・その時に・・??」
「うん」
「それは・・・・・・・はい」
「ちゃんと答えられる?」
「・・・・・たぶん・・・」
そんな言葉遊びをしている間に由美の身体はどんどん熱くなってきた。少し由美の息が荒くなってくる。それに合わせて宏一は胸を撫で回す動きを、じっくりとするようにゆっくりとしたものに換えた。もちろんそれは由美に伝わった。
「あん・・・それをされたら・・・・」
「されたら?」
「おねだりしたくなっちゃうかも・・・・・」
「でも、由美ちゃんは良い子だから、直ぐにおねだりはしないよね?」
「そんな・・・・・・・・でも、はい」
由美はおねだりを我慢しなくてはいけないことを受け入れた。もちろん由美だっておねだりは我慢したい。おねだりを始めると歯止めが利かなくなって、後で後悔するようなことを平気で言ってしまうことがあるからだ。
「良い子だ」
宏一はそう言うと、由美の項をゆっくりと丁寧に唇と舌で可愛がっていく。
「んんん・・・・・だめです、そんなにされたら直ぐに我慢できなくなります・・・・」
由美は身体が熱くなるのを感じながら、軽く喘ぐように言った。
「だいじょうぶ。由美ちゃんはおねだりしないって約束してくれたから」
「あぁぁ・・・・・」
由美はだんだん我慢できなくなってくる身体をどうして良いか分からずに、どこまで我慢できるだろうかと心配になってきた。しかし、こうやって優しくしてもらうのは嬉しい。母親のことでいろいろなことが一度に起こって精神的に疲れていただけに、宏一に愛して欲しいのだ。


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