ウォーター

第四百二十九部

 
「・・・・・・・・そうだね・・・」
「洋恵の気持ちを考えるのなら、洋恵の心の整理に付き合ってくれてもいいんじゃ無い?」
「香奈ちゃんはそれでいいの?」
「そう。今までは洋恵の話。そして、これからは私の話。私の話はそれとは別」
「別って?」
途端に香奈の様子が変わった。それまでは自信たっぷりでグイグイ押してきたのに、急に迷い始めたみたいだった。
「・・・・・・あのね・・正直に言うね。あの・・・・洋恵の代わりでも何でも良いから、こうやって宏一さんと一緒に居させて・・・・・お願い。好きなの、宏一さんが好き」
香奈は宏一の目を真っ直ぐ見て言った。
「それは・・・・・・・」
宏一は予想外のストレートな告白に驚いた。前に来た時は、ほんの少しの止まり木のように自分の所に潜り込みたいのだと思っていた。そこまで香奈が真剣だとは思っていなかったのだ。更に香奈は続けた。
「気づいてくれてると思ってた。だって、この前だって、ちゃんと優しくしてくれたじゃ無いの。私、とっても嬉しかった。洋恵のことが気になってたみたいだけど、それでもちゃんと私のことを大切にしてくれた。本当にすごく嬉しかったの。学校や付き合いの中にはそんな人いないから。みんな、私を利用するだけ。私をきちんと見て、優しくしてくれたのは宏一さんだけなの。だから許したのよ。ちょっとドタバタしたけど。あんなに気持ちが温かくなったのは本当に久しぶりだった。だから今日は全部用意してきたの。確かに洋恵を利用したのは確かだけど、洋恵のためにも間違ってないと思う。ねぇ、いいでしょ?」
そう言われては宏一にも返す言葉が無い。今度の香奈は本気なのだ。全てを宏一にぶつけてこられては、宏一も受け止めるしか無い。
「本気なんだね」
宏一が念を押すと、香奈も本気で答えた。
「私、宏一さんにどう見えてるかだいたい分かってるけど、こんな風に親に嘘ついて泊まりに出たことなんて無いのよ。本当よ」
「その目を見れば分かるよ。香奈ちゃんにとって初めてのお泊まりなんだね」
その言葉に、香奈は一気に安心したようだ。
「分かってくれた。宏一さん、好き」
そう言うといきなり香奈は宏一に抱きついてきた。
「香奈ちゃん」
香奈は抱きついたまま耳元でそっと言った。
「今日はここに居させて。お願い。追い出さないで」
香奈は宏一の首をぎゅっと抱きしめたまま囁いた。
宏一は決断を迫られた。香奈がここまで本気になっているのだから、宏一には二つの選択肢しか無い。今すぐに追い出すか、香奈の全てを受け入れて泊めるかだ。中途半端は考えられない。宏一は心を決めた。
「分かったよ。香奈ちゃん、泊まっていってね。どこまで期待に添えるか分からないけど、香奈ちゃんの気持ちは良く分かったよ。まだ、香奈ちゃんのことを大好きだとは言えないけど、それでも良い?」
宏一の首に抱きついたままの香奈はコクコクと頷いた。
「洋恵ちゃんのことが気にならないと言えばうそだけど、香奈ちゃんの言うことはよく分かるし、俺も協力するよ。だから香奈ちゃん、一緒にいてくれる?」
再び香奈がコクコクと頷くのが分かった。香奈が頷くだけで返事をしないので宏一は念を押した。
「それでも良い?」
香奈はまた頷いた。
「香奈ちゃん?どうして返事をしてくれないの?」
「バカ・・・・うぇっ、こんな声、聞かせられるわけ無いじゃないの。ううっ、へへっ、ちょっとだけ取り込んでてさ。ちょっと待ってよ」
香奈は宏一に抱きついたまま泣いていたのだ。嬉しかったと言うより、安心して心の緊張が一気に解けたからだった。確かに、気が付いてみれば香奈の小さな身体が僅かに震えていた。
「香奈ちゃんの顔は見せてくれないの?」
「バカ、こんな顔見せられるわけないでしょ。デリカシーが無いにもほどがあるよ」
「そうなの?でも、やっぱり見たいな。香奈ちゃんの泣き顔」
「分かってるなら・・・・・それでも見たけりゃ・・・・知らないっ」
香奈は嫌がってはいないようだ。そこで宏一は香奈の身体をそっと離した。そのままそっと膝の上に横たえる。香奈は宏一に顔を見られないように思い切り向こうを向いていた。宏一がこっちを向かせようとしても嫌がって向こうとしない。宏一は膝の上に横たわった少女の姿を改めて見下ろし、小柄だがスタイルのよい子だと思った。
「だめ」
「どうして?」
「どうしても。見たければ、ちゃんと優しくして。バカ、女の子に言わせないで」
香奈はまだ少し泣いているようで、手で顔を隠しながら涙を拭ったみたいだった。宏一は無防備な香奈の姿に、この子に優しくしてあげたいと思った。
「それじゃ・・・」
そう言うと宏一は顔をグッと中に近づけてもう一度、顎クイでこっちを向かせた。すると今度は香奈は素直に応じた。そして、そのまま二人は静かにキスをした。香奈は宏一の唇を感じながら、安心したという想いと成功したという想いと、洋恵に少し悪いなという想いが複雑に交錯し、キスをしながらまた少し泣いた。
宏一はゆっくり香奈とキスをしながら、香奈がまだ余りキスに慣れていないと思った。舌をそっと差し出してくるが、たどたどしいのだ。
宏一が唇を離そうとすると、香奈が慌てて宏一の首に手を回して引き寄せた。
「まだだめ、取り込み中だから」
そう言うと、今度はもう少し情熱的に舌を出してきた。そして、宏一の手を胸へと導いた。それはまるで、取り敢えずこっちで時間を潰していなさいと言わんばかりのやり方だった。それでも、宏一は香奈の胸の膨らみの素晴らしさに気が付いた。洋恵や由美は綺麗に半球形に膨らんでいるが、香奈の乳房はどちらかと言うとロケット型で先端がはっきりと円錐形に尖っているのが寝ていても分かる。優しくそっと撫で回していると、それだけで香奈は反応し始めた。
「はぁぁ・・・・んんん・・・・ダメ、そんなに上手に触らないで」
「そんなこと言ったって、もっと乱暴にすれば良いの?」
キスの合間に宏一がそう囁くと、香奈も言い返した。
「バカ、私だってどうすれば良いのかわかんないんだから、そんなこと言うなんて最低。乱暴にして良いわけないでしょ」
香奈は口は悪いが、とても素直な子のようだ。宏一は胸の愛撫を優しいゆっくりな物にして香奈の身体をゆっくり愛し始めた。今の香奈は学校帰りだからもちろん制服を着ている。洋恵と同じ制服だから、ホックの位置やジッパーなどはよく分かっている。それでも宏一は香奈が許すまで脱がすつもりは無かった。そして、香奈もしばらくはそのまま宏一に胸を触らせていた。香奈はそのまましばらく安心したように身体の力を抜いて宏一に身体を預け、また少し泣いた。
やがて香奈が落ち着いてきた。宏一が唇を離しても嫌がらなくなった。しかし、宏一が香奈を起こそうとすると、香奈は直ぐに自分から起き上がって洗面所に行って顔を洗った。あくまで泣き顔は見せないつもりなのだ。しかし、戻って来た香奈の目はまだ赤かった。
「落ち着いた?」
「もう、そう言うことは分かってても言うもんじゃないでしょ?全く鈍感なんだから」
香奈はそう言いながらも、自分から再び宏一の膝の上に横になった。宏一は左手で香奈の首を支えて、右手で首筋や耳元を軽く愛撫し始める。香奈は素直にその愛撫を受け止めた。
そして、ポツリと言った。
「本当に優しいんだ。こんな風にされたら、洋恵じゃ無くても嫌がるなんて無理」
「香奈ちゃん、それこそ、分かってても言うことじゃないよね」
「ごめん、名前を出すべきじゃ無かったね」
「分かったら、じっとそのままでいなさい」
「はい」
「素直だね。良い子だ」
宏一はそう言うと香奈にキスをしてから再び胸を優しく撫で回し始めた。
「ねぇ、教えて」
香奈は胸を触らせながら聞いてきた。まるで胸を触られているに気が付かないかのようだ。
「なんだい?」
「宏一さんは、なんでもはいはいって言うことを聞く女の子が好きなの?」
「うーん、わかんないけど、確かに話を聞いてくれる女の子は好きかも知れないね」
「それじゃ、私なんて無理じゃ無い?」
「そうかなぁ、香奈ちゃんだってとっても素直な良い子だと思うけど。だって、今だって香奈ちゃんはきちんと話を聞いてくれてるよ。でも、それはまぁ、これから分かるよ」
「そうね」
「嫌なら、いつでも言うんだよ」
「うん、分かった。必ず言う」
香奈はそう言いながら、制服のホックを自分で外した。
「良いよ。触っても」
「触って欲しいの?」
「バカ」
「そんなにバカバカ言わないでよ」
「バカ、そんなの気にしてどうするのよ。ふふっ。緊張してれば誰だってこうなっちゃうの。当然でしょ?」
香奈はそう言いながらも、さすがに前回ここで宏一に可愛がって貰った時とは緊張度が全然違うことに自分でも驚いていた。前回は宏一のところに来て甘えればそれでいいと思っていたからさほど緊張しなかったが、今は宏一がどう思っているのか気になって仕方が無い。それに、自分で洋恵を追い出したのに、それでも洋恵のことが気になっていた。そして、月曜日に洋恵の顔を見られるだろうかと心配した。
それでも、もちろん香奈は宏一が好きだった。洋恵がどうこうではなく、香奈自身が宏一を好きなのだ。だから、宏一に身体を触られるのは嬉しかった。前回はそう言う雰囲気まで行かなかったからだ。
宏一の指がジッパーを下ろすために香奈の胸元の肌に触った時、香奈の身体は僅かに震えた。宏一がそれに気が付いて香奈を見下ろすと、香奈は横を向いた。『バカ、これじゃまるでバージンじゃ無いの。恥ずかしい』と思ったのだ。そのままジッパーが下がっていく間、香奈はじっとしていたが、心臓はバクバクだった。しかし香奈はじっと宏一のする子を受け止める事にした。
宏一はジッパーを下げると、制服を左右に開いた。香奈の胸の膨らみは綺麗だった。思った通りロケット型だ。宏一は先ず優しくブラジャーのカップを撫で回し始めた。香奈は『あ、上手だ』と思った。触られて気持ち良いのだ。男に胸を触られて気持ち良いと思ったのは初めてだった。もちろん乳首を可愛がられれば当然気持ち良いが、そう言う快感とは質が違う。優しい、安心できる、まるで香奈の方が甘えているような感じだ。香奈はその愛撫を受け止めようとしたので、次第に身体が愛撫を最大限に受けようと宏一の膝の上で軽く仰け反っていった。
「もっと触ってもいい?」
宏一の声が聞こえた。
「・・・して・・」
香奈はそれだけ言った。何となく身体が怠くなり、細々と言うのが面倒になったのだ。
「うん、うれしいよ」
宏一の言葉も簡単だった。宏一は香奈の胸の膨らみを楽しんでいた。半球形の膨らみの由美や洋恵の場合は全体を撫で回すように触ることになるが、高さのある香奈の乳房のようにロケット型の場合は裾野から周りを撫で回すのが楽しい。特に谷間がはっきりと出ている香奈の場合、ここをじっくりと楽しむのが撫でているだけで楽しいのだ。
ゆっくりとした丁寧な愛撫は香奈にとっても楽しいものだった。香奈は今まで二人の経験があったが、慎重に選んだつもりでも、いざ経験してみると全然楽しくないことが多く、服を着ている時と脱いだ時で男がいかに豹変するかを思い知り、自分に男を見る目がないのだと落胆していたのだ。だから、少し無理があるとは思ったが強引にヒロエの後釜に入ることで、今度こそ男を見る目があると思いたかった。だから香奈にとっては宏一は大きな賭だった。
香奈が膝の上でぐったりとして愛撫を受けている様子に宏一はひとまず安心した。香奈がどれくらい男性経験があるか分からないので、どうすれば良いのか迷っている。どうやら見かけよりは身持ちが堅いようだが、まだ分からない。これだけすれば洋恵だったらとっくに我慢できなくなっているはずだが、香奈はまだまだのようだ。それでも愛撫を丁寧に与えていると、薄いレースのブラジャーの先端に少しだけポツッと突起が現れてきた。宏一はそれをわざと避けて周りを更に丁寧に愛撫していく。
「ねぇ、まだこのままなの?」
香奈が小さな声で聞いてきた。
「うん、まだだよ。時間はたっぷりあるからね。それとも、直ぐに気持ち良くなりたい?」
そう言われては香奈は何も言えない。仕方なく香奈はもう少し愛撫を受けることにした。実は、身体が熱くなってきて少しずつ身体がもっとして欲しがっていると気が付いたのだ。それに、こんなにずっと愛撫を続けられるのは初めてだった。もう、ほんの少しだが秘核が疼いているが、足を擦り合わせる勇気は無かった。
香奈が同じ愛撫に退屈していると思った宏一は、乳房だけで無く首筋や項も指先で可愛がり始めた。香奈は喜んだようで、目をつぶったまま自分から首を伸ばして愛撫を積極的に受けていく。
「気持ち良い?」
宏一が聞くと、香奈は目をつぶったまま小さく頷いた。怠くてゆったりしていて、もう毒舌を吐く気分では無いのだ。
「それじゃ、香奈ちゃん・・・・・」
宏一はそう言うと、香奈を顎に指を掛けて上を向かせた。香奈は顎クイをされても嫌がらなかった。香奈もその気になってきたのだ。香奈の小さな唇が宏一を誘っている。宏一はまだ洋恵を忘れられそうには無かったが、洋恵が宏一を離れる気になっている以上、未練を残しても仕方が無い。宏一は覚悟を決めると、香奈にそっとキスをしていった。
宏一は昔、大学生の頃に同じ同好会の女子と飲み会で恋愛について話したことがあった。その時、相手が離れていったらどうするか?について、宏一は『普段通り連絡を取って相手に普段通りの生活を思い起こさせる』という戦略を披露したのだが、その子は呆れていったものだ。『三谷さん、そう言う時は、話して話して、思いっきり話して、それでも相手が離れていくのなら、次の人に行くんですよ。三谷さんのやり方は自然消滅するのを待ってるだけ』と結構真剣にアドバイスしてくれたものだ。それ以来、宏一はなるべく中途半端はしないように気をつけている。
「ん・・・・んん・・・・ん・・・・」
香奈は静かに口を開いて宏一の舌を受け入れた。最初だから宏一もそっとしている。
「んん・・・・ん・・・・・ん・・・・」
香奈はゆっくりと舌を絡めながら『身体が溶けてしまいそう』と思った。宏一のキスはねっとりとしていて嫌らしいが乱暴では無く、そっと香奈の口の中を探っていく。香奈は小さな舌をゆっくりと絡めながら両手を宏一の首に絡めてきた。そのまま宏一は香奈の項や耳元も唇で可愛がっていく。香奈は少し息を乱しながらも宏一に全てを任せていた。


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