ウォーター

第四百四十一部

 
宏一は驚いた。
「どう言うこと?今更洋恵ちゃんが?」
香奈は乳房を揉まれている感覚に身体を軽く悶えながら答えた。洋恵を諦めて香奈を抱いたのに、どう対応すれば良いのか迷っているようだ。
「やっぱり宏一さんが良いみたい・・・・別れたって・・・・」
香奈も驚きを隠せないようだ。それから香奈は宏一に洋恵の気持ちの変遷を語った。
「でも、どうして急に止める気になったんだろう?」
宏一の言葉に、香奈は『宏一さんは洋恵の気持ちを分かってない』と思った。香奈には洋恵の気持ちが揺れ動いているのがよく分かっていた。身体は宏一を求めるのに、気持ちは同年代の彼を欲しがる洋恵の気持ち、そして何とか宏一から離れようとしたのに、香奈が宏一に抱かれたことで退路を断たれたと思った洋恵の気持ちが分かっていないのだ。そして洋恵は宏一を選んだのだ。『やっぱり』と思った。
香奈には洋恵の気持ちが洋恵以上に分かっていた。以前、洋恵は自分で宏一から離れたのに、しばらくすると我慢できなくなって自分から宏一の腕の中に戻ってしまったことがあるのを知っていた香奈は、離れたくても離れられない洋恵の気持ちを何となく分かっていた。
「洋恵はここに戻って来たいみたいだけど、宏一さんはどうなの?」
「どうなのって・・・・・」
「私と・・・・こうなっても・・・・・・洋恵が好き?」
「洋恵ちゃんのことは、もともと嫌いになった訳じゃ無い・・・けど・・・」
その言葉だけで香奈は宏一の気持ちの中に洋恵がしっかりと残っていることを確信した。洋恵にあんな事をされても、宏一も洋恵が好きなのだ。それはそうだろう、気持ちが揺れ動いていたのは洋恵であって宏一では無いのだ。香奈は『洋恵が戻って来たら、私の居場所はなくなる』と直感した。何度も男女の仲のトラブルを仲裁してきた香奈は、結局最後には気持ちが全てを決めると分かっていたのだ。それを分かっていても香奈は宏一から離れたくなかった。いつの間にか乳房を包んでいた宏一の手が離れていた。裸の自分を抱いていても洋恵に気持ちを引きずられる宏一の気持ちが悲しかった。
「そうよね。宏一さんの気持ちは何も変わっていないものね。洋恵の気持ちが変わっただけ。分かってる。私はお邪魔みたいね。・・・・・・でも私・・・・」
香奈は静かに涙を流し始めた。
「香奈ちゃん・・・・・」
宏一が話しかけても香奈は静かに泣き続けた。宏一はどうして良いのか分からなかったが、取り敢えず香奈をベッドに寝かせた。香奈はただ泣き続けるだけだった。
宏一は香奈をベッドに寝かせると、香奈を抱き寄せて髪を優しく撫で始めた。他にどうして良いのか分からなかったのだ。
「香奈ちゃん、本当に洋恵ちゃんが来るの?」
宏一が聞くと、香奈は泣き続けたまま頷いた。
「洋恵ちゃんがここに来るって言ったの?」
香奈は首を振った。
「それじゃ、来るかどうか分からないんじゃ無い?だってここには香奈ちゃんがいるんだから」
「・・・でも、洋恵はここに来ると思う。それしか無いもの・・・・」
宏一は香奈の考えていることが分からなかったが、それが確信に近いことだけは分かった。
「分かってる。宏一さんは洋恵がいなくなったと思ったから私を泊めてくれたの。だから、洋恵がまだ宏一さんを好きなら私は・・・・。でもいや・・・・・帰りたくない」
そう言うと香奈はまた泣き続けた。分かっていてもどうにもならない。本当なら気持ちにさっさと整理を付けてここから去って行くべきなのだろうが、そうすれば、もう宏一に会うことも無くなる。だから香奈にはどうしてもできなかった。
「宏一さんは洋恵が好きなのは分かってる。でも、私、やっぱり宏一さんが好きなの。帰りたくない」
そう言うと香奈は宏一の首に手を回し、軽く抱きしめるとキスを求めてきた。そして宏一と舌を絡め合う。そのまま宏一が乳房に移ると、声を上げ始めた。
「ああぁぁぁ、ああん、ああぁぁぁぁぁ、ああんっ」
さっきまでは、もうこれ以上されるのはいやだと思っていたのに、頭の芯に快感が響く。頭の中では『こんな事してたら離れられなくなる。止めて帰らなきゃ』という自分の声が響いていたが、それでも香奈は半分鳴きながら声を上げ続けた。
「はあぁぁぁぁぁぁん、ああううぅ、ああああぅ」
宏一は、香奈を慰めようと、今やお気に入りになった香奈のロケット型の乳房を両手で可愛がりながら交互に乳首を口の中に入れて香奈から声を絞り出し続けた。香奈は声を上げながら、このまま宏一が自分を愛し続けてくれるはずという想いに必死に戦っていた。この快感の中に逃げ込んでしまいたいという思いが強いが、それが幻想であることは香奈が一番よく知っていた。
「香奈ちゃん、もう一度聞くけど、洋恵ちゃんが来ない可能性だってあるんだよね」
「ああぁぁぁ・・・・・宏一さん、まだそんなこと・・・・」
香奈は乳首に吸い付いている宏一を優しく離すと、宏一に抱きついて耳元で話し始めた。
「洋恵は宏一さんから離れたくないの。それは絶対間違いない。だって、そうじゃなきゃ自分から別れのラインなんか送る必要ないもの」
「それでも、洋恵ちゃんが別れたのなら洋恵ちゃんは自由になった訳だよね?それなら、ここに来なくても・・・・」
「分かってない。問題は洋恵じゃ無くて宏一さん。宏一さんが今でも洋恵のことが好きだってことなの。宏一さん、洋恵が会いに来たら追い返せる?」
「それは・・・・・・・」
「ほらね?今は私とこんな事してるけど、洋恵が来たら宏一さんは洋恵を追い返せない。そうでしょ?たぶん、今までと同じことをする。違うって言える?」
「・・・・・・・・」
「私ね。今までこういうのをいっぱい見てきた。どの子もみんな真剣だった。でも、お互いが好きなカップルは必ずまた元に戻ろうとする。それは間違いないの。私が洋恵に『今の宏一さんは私の彼なの』って言っても絶対にくっつこうとする。私の見えないところでくっつくなんて簡単だもの。こうなったらどうしようもないの。それは確か」
「それじゃ、香奈ちゃんは・・・・・・洋恵ちゃんが着たら帰るの?もう来ないの?」
「それは・・・・・・・今、言えるのは自分から逃げ出したりしない・・・・」
「それってどう言うこと?」
「洋恵が来たら、宏一さん、どうするの?まずそれを教えて」
「俺は・・・・・・」
宏一は答えに詰まった。でも、追い返すというのは確かに選択肢の中には無い。
「玄関で追い返すなんてできないでしょ?」
「それは・・・・そう・・・・だね」
「それなら話は決まり。宏一さんは洋恵と元通りになるのね」
「部屋の中に入れたら・・・・・元通りになるって決まってるの?」
「そう。私、分かってるから。なぜだか知らないけど、こういう時って修羅場にならないもの。部屋に入れた時点でそう決まってるの」
「決まってるって・・・・よく分かんないけど・・・・・」
「学校の同級生の女の子は百五十人くらいだけど、今まで三角関係になったのはみんなそう。女の子が二人と男が一人。今年は3組いた。みんな、私の所に相談に来た」
「香奈ちゃんはそれで良いの?」
「私、分かってる。こうなったら、どっちかが優先権を言い出しても意味ないの。優先権のない方はこっそり会うだけ。それなら優先権なんてない方が言い。その内、自然にどっちかだけになるから、どっちになるかは分からないけど」
「香奈ちゃん、凄い・・・・・」
香奈は宏一が乳房から離れると、宏一に抱きついて言った。
「私って、こんな相談ばっかりに乗ってるの。自然に分かるわ。これからどうなるかくらい。私も最初は男と女は同じだって思ってた。でも分かったの。男って女の子と違うってことが」
「みんな最初は言うの。今はこの子が好きだって。でもね、元カノの気持ちが元彼が良いって思って元カレにアプローチするとみんなまた元カノとこっそりくっつくの。そりゃそうよね。彼の方は振られたんだから、好きな気持ちは変わってないもの。そう言うものなの」
「それじゃ・・・・香奈ちゃんはそれが分かってて俺のところに来たの?」
「まさか、一日で洋恵が戻るとは思ってなかったから・・・・・一応は上手くいってたと思ってたから」
香奈はそう言ったが、自分ではそれは嘘だと思っていた。遅かれ早かれ洋恵が宏一に戻りたがることは予想できていた。だからこそ、わざと洋恵に自分が宏一のところに泊まるのをセッティングさせ洋恵の目の前で泊まりに来たのだ。洋恵自身の気持ちをはっきりと決めさせるために。それが裏目に出ただけなのだ。
「それじゃ・・・・・俺は謝らなきゃいけないのかな、香奈ちゃんとこんなことになって」
「ううん、私から言い出したんだから。こうなりたいって思ってたし」
香奈は宏一の言葉で宏一の洋恵に対する気持ちを確信した。
「良いの?本当に洋恵ちゃんを部屋に入れて」
「それしか無いもの。洋恵に優しくしたいんでしょ?分かってる」
「・・・・・・・・・」
「宏一さん、私にこんな事言わせたんだから、優しくして・・・もう話したくないの」
そう言うと香奈はキスを求めてきた。香奈はキスをして、宏一に乳房を可愛がられながら『逃げ出したりしない。きっと上手くいく』と思っていた。宏一とこうなった以上、洋恵に譲って去るつもりは無いし、取り合ったりしなければ上手くいくと信じていた。それが香奈の答だった。
そしてたっぷりと乳房を可愛がられた後、香奈は足を開いて自然に宏一を迎え入れた。
「ああああぁぁぁぁぁぁぁぁ、宏一さん、気持ち良い」
香奈は頭の芯に響く快感に声を上げながら、必死に宏一にしがみついていた。身体の奥深くに入ってきた巨大な肉棒の感触に香奈は『固い、すごく固くて長い』改めて宏一の肉棒を身体の奥深くで堪能した。そして『宏一さんは私が好きになってる』と思った。『やっと洋恵と同じになれた』と喜びの声を上げた。宏一がゆっくりと出没を始めた。
「ああっ、ああっ、ああっ、ああっ、そんなにしたら、またいっちゃう」
「何度でもいってごらん」
「こんな素敵なこと、ああぁぁっ、ああっ、ああっ、教え込まれたら、ああっ、ああっ、ああっ」
「教え込まれたら、なあに?」
「ああっ、ああっ、ああっ、身体がぁっ、ああっ、ああっ、だめ、いきそう」
「いきなさい」
宏一はそう言うと、香奈の乳房を両手で握って乳首を指先で可愛がりながらグッグッ遠くに肉棒を入れてきた。
「ああっ、それはだめぇっ、ああっ、ああっ、ああっ、いっちゃうぅぅっ」
香奈は昨夜から何度目か分からない絶頂へと導かれた。
「ううっ・・・・うっ・・・・うっ・・・・」
頭の中が真っ白になり、指の先まで快感で痺れた。『どうしてこんなに気持ち良いの?どうして・・・』香奈は身体が痙攣するのを感じながら、女の喜びを堪能した。そして、絶頂が去ると宏一はまた同じことをした。
「ああっ、また、ああっ、またするぅっ、ああっ、身体がまた欲しがって、ああっ、ああっ、ああっ、ああっ、またいくぅっ、ああっ、だめぇぇっ、ああっ、ああっ、ああっ」
香奈は再び感じ始め、そしてまたいった。
「ああっ、もうだめぇっ、ああっ、もう許してぇっ」
「いってごらん」
「ああっ、ああっ、ああっ、もうだめぇぇぇぇぇっ、いくぅぅぅぅっ」
香奈は更に絶頂した。
「あうっ・・・あうっ・・・・ううっ・・・・うっ・・・・」
香奈はもう息も絶え絶えだ。とにかく猛烈に気持ち良いが、もう身体が持たない。
「お願い、少しで良いから休ませて。これ以上はもうだめ、本当にだめ」
香奈はそう言ったが、宏一の肉棒は身体の奥深くに刺さったままだし、乳房は宏一の手の中だ。もう手と口で奉仕する元気も無い。香奈は、このまま本当に死んでしまうのでは無いかと思った。それでも長大な肉棒は香奈の中で快感を生み出し続けた。それは、香奈の心と身体が宏一を求め続けている証拠だった。
宏一は香奈をいかせ続けながらも、自分は放出できずにいた。少し締め付けは緩いが、これなら出せないほどでは無い。しかし、いつも香奈が先にいってしまうのだ。香奈を無視して動けば出せるとは思ったが、香奈が可愛らしくてどうしても動きを止めて香奈に絶頂の余韻を味わわせてしまう。由美だと時々由美が嫌がるのを無視して宏一が勝手に放出することがあるが、なぜか香奈にはそれができない。まだかなのかラダになれていないからなのかも知れないが、宏一はカチカチの肉棒を持て余しながらも香奈の中に出すことができずにいた。
「あああぁぁ、このまま、このままで居て、抜いちゃいや」
香奈はこれ以上いきたくは無かったが、宏一の肉棒を抜き去られるのを嫌がった。
「だいじょうぶなの?」
「動かないで、じっとしてて。このままが良い」
香奈は股間に押し込まれている巨大な肉棒の感覚と宏一の優しさを離したくなかった。たとえ洋恵が来たとしても、このままで居たかった。しかし、香奈の身体は素直に宏一の肉棒を喜び、更に感じ続けてしまう。
「ああぁぁ、あああぁぁ、動かないで、そのままぁ」
「動いてないよ」
「あああぁぁぁ、また感じてるぅ、私の身体、うれしがってるぅ」
「少し抜こうか?」
「いや、抜いちゃいや、ちゃんと入れてて、あああああぁぁぁ、でも身体がぁ」
香奈は何とか感じるのを抑えようとしているらしかったが、それでも感じるのを抑えられない。香奈は我慢しながらも自分から腰を動かし始めた。
「あああああああぁぁ、こんなに素敵なの、あああああぁ、だめ、やっぱり我慢できない。いっちゃいそう、ああああぁぁ、抜いちゃいや、このままが良い」
宏一は香奈が我慢できずに肉棒を貪り、そしていってしまうのを優しく受け止めていた。
「ああああああぁっ、もうからだがぁっ、あああああっ、だめぇっ、いく」
香奈は身体を大きく震わせた。
「ああぁっ・・・・・・・・はうぅっ・・・・・はうっ・・・・」
「香奈ちゃん、これ以上入れてたら香奈ちゃんの身体はまたいっちゃうよ。抜くよ。少しお休み。抱いててあげるから」
宏一がそう言ってそっと肉棒を抜くと、さすがに今度は嫌がらなかった。
宏一は香奈の小柄な身体を抱きしめ、そっと髪を撫でたり、感じない程度に優しい愛撫を施した。香奈はじっとその愛撫を受け止めながら『こんなことされたら、もっと宏一さんから離れられなくなるじゃないの』と幸せな愛撫に酔いしれていた。
「このまま少しお休み」
宏一がそう言って優しく髪を撫でていると、香奈は疲れを解放したらしく、眠りに落ちていった。それはとても幸せな時間だった。香奈は『もうこんな幸せなことは無いかも知れない』と思いながら宏一の腕の中で眠りに落ちた。



トップ アイコン
トップ


ウォーター