ウォーター

第五十部

 

「三谷さん、怖かった。ちょっとこのままにしていて。すぐに落

ち着くから」

有紀はしっかりと宏一のTシャツを掴んでいる。宏一がそっと手

を回して少し抱きしめると、

「怖かった。突然三谷さんがいなくなったから」

と有紀が宏一の腕の中で震えながら囁く。

「ごめんね、よく確かめなかったから。ちゃんと手を繋いでいこ

う。もうすぐだよ」

宏一は有紀の背中をそっと撫でてやると、有紀が更にしっかりと

Tシャツを握りしめる。『可愛いな』そう思った途端、宏一の肉

棒が反応し始めた。『まずい』そうは思ったが、有紀を離せる状

況ではない。有紀が気づかないことを祈ってじっと立っているし

かなかった。

「さ、行こうか」

「待って、もう少し待って」

宏一は早く歩き始めたかったが、有紀はじっとして動かない。宏

一の肉棒は正面から抱きしめた有紀の身体に確かに触っているは

ずだ。有紀が怒っていないことに少し安心したが、

『軽蔑されても仕方ないな』

と半ば諦めの心境になる。ぎゅっと握っていた手の力が少し緩ん

だので、思い切って有紀の耳元で、

「さぁ、歩かないと帰れないよ」

と言うと、有紀が突然大きく首を振って宏一の身体を手で離した。

有紀が怒ったのだと思って、

「ごめん、宿まで送るよ。安心していいよ」

と言うと、

「だ、大丈夫、行きましょう。ゆっくり歩いてね」

と言って有紀はしっかり宏一の手を握った。

「足下が分からないから、ゆっくり歩こう」

宏一が有紀の手を引くと、

「待って、足下が見えないから。待って」

と有紀はなかなか歩こうとしない。宏一は有紀の左横に並ぶと、

右手を有紀の腰に廻し、左手で有紀の左手を取り、ダンスでもす

るような格好で、

「これなら大丈夫だろ。左足からゆっくり前に出してごらん」

と言って歩き始めた。有紀はずっと肩をすくめ、下を向いて歩き

続けた。歩き出せば数十メートルの暗い道はすぐに通り過ぎてし

まう。道路が見えるようになると、有紀は一度宏一の手を離し、

改めて手を繋ぎ尚して普通に並んで歩き始めた。遊歩道はすぐに

神社の近くに出た。あと数十メートルで遊歩道が終わるところま

でくると、有紀は立ち止まり、

「神社を通り抜けたら、一度私の宿にきて」

と言った。

「みんなを捜すんじゃないの?」

「いいの。ホテルにいるかも知れないし」

「そうか、分かったよ。・・・あの、怒ってないの?」

「何も?どうして?」

「それならいいんだ。行こうか」

 二人は神社の境内に出た。遊歩道とは大違いの人の多さだ。立

ち止まって遊歩道の方を見ると暗くて良く入り口が見えない。有

紀は暗がりを通り抜けたときからかなり無口になった。

やはり怒っているのだろうか、このまま別れるのは少し気が進ま

ないが、それも仕方がないか、そんなことを考えながら境内を通

り抜け、有紀の後を歩いていく。

有紀は途中の店などにも一切興味を示さず、そのまま通り過ぎて

いった。宏一は有紀の後ろを歩きながら、初めてまともに有紀を

観察した。少し小柄だが、スマートな体つきだ。大きめのTシャ

ツを来ているので今まで気が付かなかったが、ウエストはきゅっ

と締まっていてモデルのようだ。肩幅の半分くらいしか腰幅がな

い。ショートヘアーが小刻みに揺れるうなじはほっそりとしてい

る。宏一はこんな美人と一緒にいたとは今まで気が付かなかった。

有紀は街中のビジネスホテルの前にくると、

「部屋まで来て」

と言って宏一を誘った。フロントを通り抜け、そのままエレベー

ターで3階に上がる。ポシェットから鍵を取り出すと、

「どうぞ」

と言って部屋に入った。

 宏一が部屋に入ると、有紀はドアをロックし、宏一の前に立っ

た。

「三谷さん、私の言うこと、聞いてくれる?」

「え?何?いいよ」

「それじゃ、こっちに来て」

有紀はベッドに腰掛け、宏一を左に座らせた。ツインルームだが

荷物は一つしかない。有紀が言った通り、彼を部屋から追い出し

たのだろう。

「もう少し一緒にいて欲しいの。三谷さんの宿に連絡して遅くな

るって言って」

宏一は、有紀の様子から何かゆっくりと話を聞いて欲しいのだと

思った。そこで携帯で宿に電話をして、友人に偶然会ったので遅

くなると言うと、勝手口を開けておくのでそこから入って欲しい

という。

文句の一つも言われるかと思ったが、案外簡単に済んだので宏一

は安心した。宏一が電話を切ると、

「三谷さん、さっきみたいにこっちに手を回してくれます?」

有紀は宏一の右手を自分の腰に回し、ぴったりと宏一に寄り添っ

た。

「これって、とても安心できるの」

そして、宏一の手を自分の身体の前の方に持ってきて右手で身体

に押さえつける。自然と宏一の手は有紀の右の乳房の下の方に当

たることになった。

「三谷さんに会っていろんな事に気が付いたの」

有紀は話し始めた。

「俺もそうだよ」

「三谷さんも?どんなこと?」

「有紀さんが言ったろ?彼女は正直に怒りを表したのねって」

「言ったわ」

「それまでは、どうしてあんなに彼女が怒ったのか分からなかっ

たんだ」

宏一は右手をゆっくりと引き抜こうとしたが、有紀はしっかり手

を挟んでいて放さない。更に、宏一の手を取ると、自分の膨らみ

に少し当たるくらいまで引き寄せた。

「でも、有紀さんがそう言ってくれたおかけで気が付いたんだ。

あれは一番彼女らしい行動だって。悪気があったわけでも何でも

なく、自然にああなるしかなかったんだって。そう思ったら気が

楽になったよ。まだ彼女をよく分かっていなかったみたいだね」

「そう?よく分かっているみたいだけど・・、でも、今は私の話

を聞いて」

「うん」

「あの、甘えてもいい?」

そう言うと、有紀はゆっくりと身体を宏一の膝の上に倒してきた。

宏一がそっと有紀の身体を上に向け、首を支えると、有紀は気持

ちよさそうに上を向いたまま目をつぶる。

「私は先に進むことにする。いつまでも愚痴を言ってても仕方な

いもの。全然私らしくないわ」

「良かった。気持ちの整理が付いたんだね」

「まだ。でもこれからつけるの。いいでしょ、手伝って」

そう言うと、有紀は宏一の自由になる右手をしっかりと握りしめ

た。

「このまま彼を忘れさせて。少しの間でいいの」

宏一は有紀の大胆な行動に驚いたが、有紀らしいとも思った。

「やっぱりわかってたんだね。遊歩道で抱きしめたときのこと」

「いやなの?」

「ううん、そんなことじゃなくて。有紀さんの役に立てるなら喜

んで」

「三谷さんの身体に気が付いたとき、なんか安心したの」

「どうして?驚かなかったの?」

「全然、だって、私、あの時、三谷さんの息がかかるたびに感じ

てたんだもの。気が付かなかった?」

「分からなかった、全然・・・」

「三谷さんが真面目に私をかばってくれていたときに、私だけあ

んなになってから・・恥ずかしかったし・・」

「そんなつもりじゃなかったよ。ごめんね」

「ウウン、最初に三谷さんが私を捕まえたとき、私のどこに触っ

たか覚えてる?」

「エーと、どこかにちょっと触って、左手を捕まえたんだよ」

「その最初って・・・?」

「ちょっとだけだったから・・・服みたいな気もしたけど・・・」

有紀は宏一の手を取ると、

「ここ」

と言って、そのまま左の膨らみの上に導いた。そして、手を伸ば

して宏一の頸に回すと、ゆっくりと引き寄せ、優しく唇を開いた。

宏一がゆっくりと有紀の膨らみを撫でながら有紀の唇に宏一の唇

を絡めていく。すぐにそれはお互いの舌のねっとりとした絡み合

いになっていった。

 有紀の膨らみは大きかった。裾野が広いと言うよりも、高さが

凄かった。横になっていても半球以上の高さがある。有紀の息は

次第に荒くなり、だんだんキスをしていられなくなってきたよう

で、唇を外すと大きく息をする。

宏一がTシャツの裾をミニスカートから出して有紀の肌を直に愛

撫すると、一瞬有紀の表情に恐れが走る。

「はあッ、それは・・」

宏一が、

「いやだったら言うんだよ、すぐにやめるから」

と言うと、

「大丈夫。ちょっと感じやすくなっているみたい。いいの、して

・・・」

と言い、すぐに身体から力を抜いた。しかし、今の有紀の反応で、

どこまでして良いものか宏一は迷ってしまった。再びゆっくりと

愛撫を再開し、有紀の反応を確かめるようにブラジャーのカップ

を撫で始める。

「あああ、ン、アン、あうッ」

有紀は次第に喜びの表情を見せ始めた。

「オッパイが感じやすいの?」

「そう、ここが一番感じるの。だから優しくして」

荒い息の下から有紀が宏一に伝える。宏一は素晴らしい高さの乳

房をゆっくりと撫で、少しだけ揉みながら慎重に頂上を目指す。

「アアン、こんなの、ああ、ねぇ、あああ、三谷さん、ううん、

はぁッ」

有紀は次第に宏一の膝の上で悶え始めた。有紀の身体が先を求め

ていることが伝わってきたので、そのまま右手全体でそっと絞り

込むように有紀のブラジャーのカップを包み、人差し指の先でそっ

と先端の小さなしこりをコリコリと可愛がる。

「アーッ、それッ、そんなーっ、クゥーッ、今日は、違うの・・

・感じる・・・」

有紀の体は大きくしなり、快感の強さを表現する。しかし、宏一

は一度に全てを与えなかった。少しずつ愛撫を強くしながらも、

有紀の身体が常に先を求めるように愛撫を控えめにする。宏一の

唇の愛撫を首筋に受けながらも、有紀は、

「三谷さん、こんなにされたら、アアン、ねぇ、はう、もっと強

くしてもいいのよ、ああん」

ともっと快感を欲しがる。やがて、宏一がゆっくりとTシャツを

捲り上げ始めると、

「アアン、脱がすの?やっぱり脱がすの?」

と可愛い声で小さな抵抗を試みる。

「優しくいっぱいして上げるから。いいね」

宏一が諭すように言うと、

「でも・・胸だけ・・よ・・。それ以上は・・許して」

と弾む息の下から許しを請う。宏一は、その声の感じからゆっく

りと愛撫していけば有紀はもっと許すだろうと感じた。Tシャツ

を脱がすと、大きな二つの膨らみとその下の細くくびれた腰が宏

一の前に姿を現した。

凄い身体だった。宏一の中で一気に血がたぎる。今度は有紀の首

を支えている左手の指でていねいに首筋を愛撫し、右手と唇でゆっ

くりと膨らみの裾野を円を描くように愛撫し、キュッとくびれた

腰の方まで撫で回してプロポーションを確かめる。

「アアン、そんなの、ダメェ、アアッ、それは、ダメ、早く、ア

アン、もう、んっ、早くぅ」

胸を許すと決めた有紀は焦れったそうに宏一にねだった。

「外すよ」

宏一は一言だけ言うと、背中のホックを外した。ぶるん、大きく

二つの膨らみが揺れ、自由になったことを喜ぶように半分カップ

からはみ出してきた。ブラをゆっくりと脱がしてから宏一は再び

同じ動作でゆっくりと頂上を目指す。

「アアン、三谷さん、こんなにされるの、初めて、こんなに、丁

寧にされたら、アアッ、そこで離れちゃいや、ちゃんと上までし

て、ハアン、ああーっ、いいっ」

有紀は宏一に与えられる快感を必死に追い求めた。そして、とう

とう二つの頂上が宏一に征服されたとき、待ちに待った感覚が有

紀の身体を満たした。

「アーッ、クゥーッ、アアッ、アアッ、これっ、あああ、イイッ、

凄いのっ」

宏一はぷるぷると動き回る乳首を舌で追い回しながら、有紀の悶

える声をたっぷりと楽しんだ。刺激を受けた乳首はすっかり尖り、

愛撫を受けて緩やかに胸の上で形を変える乳房は宏一の舌から乳

首を逃がすように位置を微妙に変える。



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