ウォーター

第五十六部

 


 腕の中のめぐみは、快活に話して笑うめぐみとは別人のように、

弱々しく、傷つきやすい普通の女の子だった。宏一が優しく髪を

撫でてくれるので安心したのだろう、か細い声でめぐみは話し

始めた。

「私だって好きな人ぐらいいたの。出来るだけ時間を作って、私

の時間を全部使って、出来るだけたくさん会うようにしたの。好

きだったから。彼の気持ちを大切にしたかったから。でも、大切

なときにはいつも家の手伝い。大切なときには必ずこの服が私の

大切な時間を取り上げるの。この服を着ている限り、誰も私を本

当の恋人にしてくれない。私を通り過ぎて行くだけ。すぐにダメ

になっちゃう。そして、誰もこの服を脱がせてくれない」

そう言うめぐみの頬には涙が流れていた。

 確かに、家の手伝いをしなくてはいけない身ではデートもまま

ならないだろう。男の方にしてみれば、何度かデートを断られれ

ば、めぐみに落ち度がないことは分かっていても、やはり普通に

デートできる女の子の方が良いと思っても不思議はない。この脱

がせ難い和服はめぐみの境遇を象徴していると言えた。

 「だから、私は大学は遠くへ出るの。私の時間を私が使えるよ

うに、大阪とか東京とかへ。そうすれば誰も邪魔できない。私の

時間が・・・!!」

めぐみは宏一が突然キスしてきたので驚いた。しかし、何か安心

したようで、そのままじっとしていた。宏一は、ゆっくりと唇を

離すと、

「落ち着いて、大丈夫。気を落ち着けて。何をそんなに悲しむの

?めぐみちゃんはこんなに可愛いのに」

「・・・・・」

「いいかい、この服を脱がせて愛して欲しいんだよね。その方法

を教えて上げる。でも、そんな事してもいいの?」

「三谷さんに出来るの?」

「めぐみちゃんが協力してくれればね」

「いい。今は別に恋人が今いるわけじゃないし。三谷さんなら」

 「いいかい、二人でその気になれば大抵のことはできるもんだ

よ。協力してくれる?」

「うん」

めぐみは小さくうなずいた。

「じゃあ、まずこれを外せばいいんだね」

そう言って宏一は帯留めに手をかけ、片手でゆっくりとほどいて

いく。さすがに着物を着慣れためぐみだけあって、しっかりと結

んであったが、それでもやがて解くことが出来た。

「さあ、次はどこを解けばいいの?」

「え?三谷さん分からないの?」

「そうさ、めぐみちゃんが協力してくれないとどうすればいいか

なんて分からないよ。教えて。どこを解けばいいの?」

めぐみは少し驚いた。『こんなのはずるい』と思った。しかし、

協力すると言って気持ちを切り替えてしまったので、さほど嫌悪

感はなかった。

「次は帯を解くの。背中のお太鼓のところに上から差し込んであ

る端を引っぱり出して、そこから順に引き出していけば帯は解け

るわ」

「これかな?こうやって抱きながらだと難しいもんだね」

「ダメですよ、三谷さん、協力はするけど、三谷さんが私を抱い

たまま脱がせてくれないと」

「でも、背中が見えないから。これかな?」

「旅館の仲居の和服なんて簡単なものなの。本当の晴れ着何かだ

と、帯もあちこちで止めてあるから、自分で脱ぐのだって大変な

んだけど」

「ほら、解けたみたいだよ。ほうら、帯がとれた」

「あとは分かるでしょ。普通の服と同じだから」

めぐみは仲居の服を脱がされ、真っ白な襦袢姿にされると宏一に

甘えるように身体を更に寄せてきた。

「何か嬉しいの。変でしょ。服を脱がされて嬉しいなんて」

「そんなこと無いよ。めぐみちゃんの肌の感触がやっと分かるよ

うになったね」

「恥ずかしい。電気を消して」

「ダメだよ。せっかく脱がせたのに電気を消したら見え無くなっ

ちゃう」

「その方がいいのに。私の身体なんて見たって」

「めぐみちゃんを見たいんだ。芸術鑑賞じゃないんだから、本人

の身体を見るって事が大切なんだ。恥ずかしいからこそ、それを

見せてくれるって言うのは男にとって嬉しいもんなんだよ」

「ああん、そんなこと言われると、やっぱり恥ずかしい」

「それなら目をつぶっていてごらん」

「嫌、それじゃ三谷さんが見れないもの」

「なんだ、同じ事じゃないか」

「でも、女の子は・・・」

「協力してくれるんでしょ、我慢して。その代わり、いっぱい優

しくしてあげる」

そう言うと、宏一はめぐみと長いキスを交わした。めぐみも次第

に宏一の唇を求め、少しずつ大胆になってきた。宏一のように、

めぐみに尋ねながら脱がせば簡単だし、服が乱れることもない。

めぐみは、彼もこうやってめぐみの協力を引き出しながら愛して

くれたら、もっとお互いを分かり合えたのに、と思うと今までの

自分は恋する自分を追いかけていて、相手のことを余り考えてい

なかったことに気が付いた。

こうやって優しくキスをされながら、それを教えてくれた宏一を

めぐみは本当に好きになり始めていた。

心が安らかで、とても気持ちが良い。こんな安らぎこそ、めぐみが

求めていたものだった。

 宏一は、キスをしながらめぐみの首を支えている左手の指で、

巧みにうなじを愛撫し、右手ではゆっくりと乳房の辺りを撫でて

いた。予想したよりもボリュームがあるようだ。たっぷりと時間

をかけ、めぐみの身体を撫でながら宏一の唇は次第にうなじから

胸元へと下がっていった。

「あ、あぁ、ダメ、これ以上したら感じるから、あ、だめよ」

「まだ始まったばかりだよ。めぐみちゃんに大人の愛し方を教え

てあげる」

「ダメ、こんなにされたら、三谷さん、もっとそっとして」

「そっとしているよ。もっとソフトな方がいいの?こんな感じか

な」

「ン、そう、それくらいなら、・・あ、でも、やっぱり感じる」

「そう、ゆっくり感じていていいんだよ。でも、我慢できなくなっ

たら言ってね」

宏一は、ゆっくりとめぐみの身体を愛撫しながら、襦袢の帯を解

き、中から高校生らしい瑞々しい体を現す。めぐみの身体は薄い

小麦色で、ほとんど大人の身体だが、少しだけ腰の辺りは少女の

体つきも残していた。

「ダメ、これ以上脱がさないで、こんな明るいところでなんて、

ダメよ」

めぐみはいやいやをしていたが、酒のせいで警戒心が少し緩んだ

ところに宏一に優しくされ、巧みに愛撫されたので、宏一を拒絶

することはなかった。

下着の上に襦袢を羽織っただけで、大きくはだけられた姿にされ、

宏一の手が優しく肌の上をなぞるようにソフトに愛撫されると、

次第にめぐみの身体は大きく反応するようになってきた。

「ダメ、こんなこと、ダメ、初めて会ったばかりなのに。もうこ

んなことするなんて、あ、アアッ、三谷さん、はあっ、くっ」

「だんだん身体が感じできたね。どうして欲しいか言ってごらん」

宏一の手はゆっくりとめぐみの身体を這い回る。

「ああ、身体が反応して・・・、三谷さん、これ以上したら我慢

できなくなる」

「我慢できなくなったらどうなるの?」

「それは・・・、あん、イヤ・・」

どうしようもないもどかしさにめぐみの身体は宏一の腕の中でう

ごめき、我慢できないと言うかのようにゆっくりと両足を擦り合

わせながら熱い吐息をついていた。大きくはだけられた白の襦袢

の中から見えているゆっくりとうごめく高校生の身体は圧倒的な

迫力で宏一を魅了していた。

めぐみは今までこんなに時間をかけてたっぷりと愛されたことは

なかったので、自分の身体が感じようと宏一の目の前でだんだん

と敏感に反応するのが恥ずかしくて仕方なかった。前の恋人はめ

ぐみの身体が激しく燃え上がる頃には終わってしまっていた。

しかし、今は自分の中がたっぷりと濡れているのに、まだ愛撫さ

れているだけで、ブラジャーも外されていない。これから先を考

えると、自分の身体がどうなるのか分からなかった。宏一に教え

て欲しいという気持ちもあったが、今はまだそれよりも恥ずかし

い気持ちが強かった。

宏一の指がブラジャーやパンツの上を撫でていくと、我慢できな

いくらいもどかしくなる。その反応を宏一は楽しんでいるようだっ

た。

「めぐみちゃん、ほら、ここがこんなに尖ってきたよ。どうして?」

宏一が胸の先端に現れてきた突起を軽く撫でるとめぐみの身体が

ビクッと反応する。

「くぅっ、三谷さん、いじめないで」

「もっと感じてごらん、優しく教えてあげるから」

今度はゆっくりと秘丘を指でゆっくりと撫で回す。

「んんっ、はぁっ、そっちは・・・、あうっ」

ここまで来てもめぐみはまだ宏一に全てを許すことをためらって

いた。今までよりも激しく感じているために、この先自分の身体

がどんな反応をするのか予想できなかったので、どうしても先に

進めなかったのだ。

パンツの奥がぐっしょりと濡れているのは宏一にも分かっていた。

 「これ以上は、ダメ・・・、許して・・」

「めぐみちゃんがいいって言ったんじゃないの?」

そう言いながら、秘丘を撫でている指を下の方に進める。

「アアッ、クッ、そんなにしたら・・・、三谷さん、これ以上し

たら・・」

めぐみは大きくはだけた襦袢の裾を直そうとしたが、下半身は勝

手にに宏一の指に反応してしまうので上手く直せない。

「ほら、こんなに感じ始めてる」

宏一は少しだけ指に力を込め、パンツの中心を軽く掻き上げる。

「アアッ、アーッ」

めぐみの腰が本人の意思とは関係なく跳ね上がる。

「それじゃ、こっちの方が良いのかな?」

宏一は、攻める場所を変えることにした。ゆっくりと胸の膨らみ

をブラの上から撫で始め、存在を主張し始めている突起の辺りを

丁寧に刺激する。

「ああん、もう、三谷さん、ここまでにして・・」

そう言いながらも、めぐみの身体はゆっくりと反り返り、宏一が

膨らみを撫でやすい体勢を作っていく。制服や和服を着ていると

きはよく分からなかったが、膨らみは大きめのようで、全体がふっ

くらと盛り上がり、襦袢の頂上にポツンと突起が現れている。

 宏一は腕に抱いていためぐみをゆっくりと布団の上に降ろし、

今度は両手で膨らみを撫で始めた。めぐみは、もう抵抗できない

と直感した。このまま撫でられていればすぐに我慢できなくなっ

てしまう。

しかし、それでも良いと思う気持ちもあった。しかし、今までこ

れほど愛撫の段階で感じたことはなかったので、ここで許すと自

分の身体がどうなるか分からないと言う畏れも強かった。

 「めぐみちゃん、どうして欲しいか言ってごらん、言った通り

にしてあげるから」

そう言いながら、宏一の指は頂上を避けながら丁寧にめぐみを焦

らし続ける。

「イヤ、こんな、ダメ、よ・・・」

力無く拒絶を繰り返す口調はすでに力を失っている。

「ちゃんと言わないと先には進まないよ」

「ダメ、これ以上は・・・」

宏一は少しだけ大きく張り出している膨らみを撫でている手に少

し力を込める。

「あうっ、だめぇ、三谷さん、許して・・・」

宏一が挑発してもめぐみは最後の一歩のところで乗ってこない。

すでにめぐみの身体は大きくうねり始め、身体は宏一に翻弄され

ているが、気持ちの方で今一歩の決心が付かないようだ。宏一は

少し焦ってきた。こんなことを続けていてもお互いに焦れるだけ

だ。


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