ウォーター

第九十五部

 

宏一は向かいに座っている洋恵を自分の横に誘った。一昨日は洋恵が激しく嫌がったので何もできなかったが、今日はなんとしても身体を合わせることで仲良くなりたかった。洋恵が自分からどんどん離れてしまいそうな不安が心をよぎる。その不安を吹き飛ばしたかった。

だから、洋恵が宏一の横に来てケーキに手を伸ばしたとき、宏一が洋恵を引き寄せて脇から手を回したのは、洋恵が自分の側にいてくれるのを確認したいと言う気持ちが大きかった。最初は右側に座った洋恵の右の脹らみだけそっと触り始めた。

洋恵は特に嫌がらなかったが、喜ぶ感じでもなく、どちらかと言うとされるがまま、と言う感じで宏一の手が脇から胸の脹らみを撫で始めるのを許していた。『どうも違うな』宏一は洋恵のその態度が気になった。今までの洋恵なら、宏一が愛撫を始めると何かを期待するような態度でじっと身体を固くして感じ始めるのを待っていたものだ。だからこそ洋恵の身体は短期間で素晴らしい感度を手に入れたのだが、今の態度はそういう雰囲気ではない。

宏一はさりげない風を装いながら、制服の上から洋恵が一番感じやすい強さで脹らみの下側を重点的に優しく愛撫し続けた。

すると、次第に洋恵の口数が少なくなって、最後には黙り込んでしまった。表情を横から伺うと、どうやら感じ始めたらしい。我慢しているような、困ったような複雑な表情をしている。しかし身体の方から先に反応してしまった、と言う雰囲気なのが気にかかる。

「こっちもする?」

そう言うと宏一は、洋恵をさらに優しく引き寄せて左の乳房も愛撫し始めた。

「あんっ」

洋恵はちょっとだけ声を上げると、左も宏一に許した。洋恵にしてみれば、片側だけどんどん感覚が鋭くなるのは中途半端で嫌なのだろう。すでに右のほうからはゆっくりと快感が湧き出し始めていたので、左の乳房はあっという間に硬く脹らみ洋恵の身体の中で抗し難いあの感覚が身体を満たしていく。

洋恵は、ここは自分の部屋ではないので宏一は触りたいだけ触ったら開放してくれるものと思っていた。しかし宏一の手は洋恵をどんどんあの世界に引きずり込んでいく。

「いや・・・先生、もうやめて・・・」

「どうして?」

「いやなの・・・」

洋恵は嫌がっている。これでは一昨日と同じだ。このまま洋恵が嫌がって泣き出したりしたら、宏一もこの先どうしていいかわからなくなる。

「洋恵ちゃん、どうしていやなの?」

「どうしてって・・・」

「洋恵ちゃんを優しくして感じさせてあげたいのに。洋恵ちゃんだって優しくしてっていつも言ってるでしょ?」

「はぁ、はぁ、はぁ、い・・・や・・・」

洋恵にしても、『一昨日はちょっと強く嫌がりすぎたかな』とは思っていた。部屋を出て行くときの宏一の悲しそうな顔を思い出すと、胸が痛むのだ。でも、あれくらいはっきりと嫌がらないと宏一はやめてくれないこともわかっていた。だからあの時は仕方なかったのだが、それでも宏一の悲しい顔はやはり見たくない。洋恵はどうしていいのかわからなくなってきた。

宏一は洋恵の耳元に顔を近づけ、

「洋恵ちゃん、感じるのはいや?」

と囁く。その息がうなじを刺激して、洋恵の身体の中をずーんと走りぬけた。洋恵はくすぐったそうに首を左右に回すと、

「いやじゃないの・・・・でもぉ・・・こうされてると・・・」

と困ったような表情で喘いでいる。こうして迷いながら愛撫されている間に洋恵の中ではだんだん感じたいという欲求が強くなってくる。洋恵はじっと右手に持っているフォークを見つめながらどうしていいのか困っていた。

洋恵は宏一のことが大好きだった。だからこそ最初の人に決めていた。しかし九州に行く船の中でバージンをロストしてから自分でもそのことばかり考えるようになってしまい、そんな自分が嫌で仕方なかった。それに九州の従兄弟に言われたこともショックで、ずっと心の中に残っている。今はそんな不安定な自分だから今は宏一にセックス抜きで優しくして欲しかった。それでも宏一は自分のことが好きだと実感したかったのだ。

しかし宏一はいつものように洋恵を求めてくる。求められるのは嫌ではなかったが、どうしてもセックスに夢中にはなりたくなかった。しかし今、身体の中は再びあの感覚で満たされようとしている。もうすぐあの感覚を抑えることはできなくなる・・・。

「せ、せんせい・・・我慢できなくなるぅ・・・」

「我慢しなくていいんだよ」

「ああん、いやぁ・・・」

宏一は洋恵の表情からこのまま洋恵を押し切れると思った。ただ、このまま触り続けるとまた洋恵が激しく嫌がるかもしれないので、今度は洋恵をひざの上に倒すと優しくキスをする。

「んんんっ」

洋恵は愛撫から一時開放された安堵感と心の中の不安なことから宏一に甘えたい気持ちで素直に舌を絡めてきた。宏一は優しくキスを繰り返しながら、再び制服の上から脹らみを優しく愛撫し始めた。すでに脹らみは身体を横にしても高さを失わないほどに脹らみきっており、先端の突起は制服の上からでもなんとか分かる位になっている。宏一にしてみれば、この程度の愛撫で洋恵は我慢できないはずだ、と言う計算の上での愛撫だった。

宏一の指が突起を軽く引っかくようにしたり、裾野をゆっくりと回るように愛撫を繰り返していると、案の定、洋恵はもっと感じようと身体をねじったり、乳房を押し付けようとしたりして、何とか快感を手に入れようとし始めた。

しばらく愛撫してからチラッと下を見ると、洋恵の手は裾を少し持ち上げて宏一の手が入って来るのを待っているのが見えた。そこでゆっくりと宏一が手を裾のほうに下げていくと、洋恵は裾を大きく持ち上げて宏一の手の上に被せる。そのまま宏一の手が洋恵の肌をお腹からブラジャーの方へと愛撫していくと、洋恵は安堵したような吐息を漏らし、表情でさらに身体が感じるのを待ち始めた。

洋恵はこうなった以上、胸までは許してもいい、と思っていた。ここまでは何度も許しているのだし、どんな風に身体が反応するのかもわかっていた。だから宏一の手が制服の中に入ってブラの上から乳房を愛撫し始めたときも、しばらくはこのまま感じていられると思っていた。そして、胸を十分に可愛がってもらえば自分の身体は満足すると思っていた。そして宏一にはそこまでで止めてもらうつもりだった。

しかし、洋恵の身体は洋恵の想像以上に開発されていた。洋恵と宏一それぞれの部屋での体験だけなら洋恵の考えた通り胸だけでの愛撫で治まったのかも知れないが、洋恵の身体は宏一との九州往復の間にもっと先まで奥深い喜びを知ってしまった。だからブラの上からの愛撫は確かに気持ちいいのだが、身体はもっと先まで欲しがり、じれったい感覚が大きくなってくる。『もう少しだけ』という気持ちが強くなってくる。

「ああんっ、先生・・・先生・・・ねぇ・・・」

「なあに?」

「ねぇ、ああうぅ、ねぇ、早く・・・」

「はやく、なあに?」

「ねえ、せんせい、・・・して・・・」

我慢したいのに、思わず洋恵はおねだりをしてしまった。

「どうしてほしいの?」

「ちゃんと、触って・・・」

「ちゃんと触ってるよ」

「意地悪しないで・・・はやくぅ・・」

「ちゃんと言ってごらん」

「・・・ブラを・・・外して・・」

洋恵は自分でおねだりをしながら、自分の部屋でもないこんなところでおねだりをするのが恥ずかしくて不安で仕方なかった。確かに家族はまだ帰ってこないが、それにしても応接間でなんて・・・。

宏一の手が背中に回り、フックを片手でつまんで器用に外すのが分かった。ぷるるんと乳房が揺れた瞬間にびくっと身体に快感が走る。

「さあ外したよ。ちゃんとおねだりしてごらん」

そう言いながら宏一は、ブラから開放された乳房の裾野を回るように焦らしながらゆっくりと愛撫し始める。これをされたら洋恵に我慢できるはずがなかった。

「あぅぅっ、それはいやぁ、先生・・はやくぅ」

洋恵にしてみれば、自分はおねだりしなかったのに宏一に触られたから、と言う形で気持ちを納得させたかった。

「早く、どうして欲しいの?ちゃんと知ってるでしょ?言いなさい」

洋恵は我慢の限界近くで何とかそれ以上のおねだりを我慢していた。しかし、秘核の方からの焦れったさも予想以上に強くなって我慢の限界に来ており、宏一に乳房を愛されたらそこまでにしておける自信がなかった。だからまだ少し我慢してみたが、じれったい感覚は強くなるばかりで、更に愛撫をじっと受けているうちにとうとう我慢の限界を超えてしまった。

「早く、おっぱいを揉んで、いっぱいして」

「こうして欲しいんだね」

宏一の手がブラジャーの中に滑り込み、膨らみきった乳房を先端に向かって優しく絞り込むように揉み上げた。

「はああぁぁぁーーーぅぅぅっ、ああうぅぅううっ、くうぅーっ」

洋恵の中であの感覚が吹き上がった。洋恵は声を上げて仰け反り、無意識に宏一に与えられた感覚をむさぼろうとする。しかし、宏一は乳房を揉んではいるが乳首を可愛がってくれない。このままではまだ中途半端なのだ。

「ああん、先生、それだけじゃいやぁ、ちゃんと、ちゃんとしてぇ」

「どうして欲しいの?」

「先っぽもしてぇ」

「手でして欲しいの、お口がいいの?」

「お口がいい」

「それじゃ、洋恵ちゃんがちゃんと見せてくれないとできないでしょ」

洋恵は抵抗できなかった。恥ずかしかったが、胸までは許すと決めたんだから、と自分に言い訳すると、自分で制服のホックを外してブラジャーを捲り上げ、宏一の目の前に自分の乳房を晒した。綺麗に脹らんだ由美よりは少し大きめの乳房が目の前に差し出される。

宏一は、片方ずつ優しく握って、すでに尖っている小さめの淡い色の乳首を交互に舌で転がした。

「ああうぅああーーっ、ああん、はうぅーっ、いいーっ」

洋恵はやっと最高の愛撫を手に入れ、思いっきり仰け反って宏一の愛撫を楽しんだ。ただ、頭の中ではここまでにしておこうと思いながらも、秘核からのむず痒さは頂点に達し、いくら激しく両足を擦り合せても我慢することはできない。洋恵は足を擦り合わせていることに宏一が気づかないように願いながらじれったい乳房の愛撫をもう少しだけ、と楽しんでいた。


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