第 74 部
「嬉しいよ。毎田、それならあの書類だけにはサインしてもらおう」
「はい、分かりました」
そう言うと毎田は鞄から一枚の紙を引き出して久美に渡した。
「これは久美さんが、さっきお見せした手紙の条件に同意する、と言う書類です。これにサインすると久美さんがオーナーになる正式な手続きが始まります」
「そんな・・・・急に・・・・だって今日は話だけって・・・・」
久美はいきなり話がどんどん進んでいくので戸惑ってしまった。良く分からない話が勝手に進んでいくのは恐ろしい。
「久美さん、どうか私を信じて欲しい。これは久美さんと英二君にとって絶対に良いことなんだ。怖がらずにサインして欲しい」
山崎は凛として久美を見つめた。その態度に久美は直感的に嘘はないと思った。
「分かりました。サインします」
渡された紙には、確かに毎田の言ったことがそのまま文字になって書かれているだけだった。久美は震える手を抑えて何とかサインした。
「偉い。度胸がある。普通なら逃げ出したい位の緊張感だろうに。大した物だ」
「はい、先程も会社の玄関で・・・・・」
毎田が会社を出た時の久美の態度について話すと、
「やはり苦労をした人間は違うものだ」
と山崎はニコニコして言った。
久美は丁寧にお礼を言って席を辞すと、帰りの車の中で久美は毎田に聞いた。
「毎田さん、あれで良かったんですか?まだ私には良く分からないんです」
「はい、よく頑張りましたね。私たちを信じて下さって嬉しいです」
「明日からはいつも通りで良いんですよね?」
久美は言外に幸一のことを匂わせたつもりだった。
「はい、普通通り学校に行って下さい」
毎田はそれしか言わないので、久美は思いきって聞いた。
「三谷さんには話しても良いですよね?」
「そうですね。直ぐに三谷さんも知ることですし、良いでしょう」
「直ぐに?」
「はい、三谷さんは久美さんの法律上の後見人になっていますから。どのみち三谷さんの了解無しには何も進みません」
「そうなんですか」
「ただ、後見人だけは今後、山崎さんに代わっていただくことになると思いますが」
「ええっ、どうしてですか?」
「久美さんはオーナーになるんですから、社員が後見人じゃ拙いでしょうね。でも、別に法律上のことだけですから。プライベートは関係ありません。何も問題はありませんよ」
「そうなんだ・・・・」
「だって、今まで久美さんは後見人のこと知らなかったじゃないですか」
「そうですね」
久美はぺろっと舌を出して笑った。
確かに翌日からは学校に行けたが、オーナーになることを決めた久美には想像以上に慌ただしい日々が始まることになった。学校が終わると直ぐにタクシーで山崎の家に行き、そこから二人で他の二人のオーナーの家に挨拶に行ったり、山崎の知り合いに挨拶して回るのが日課になった。山崎は久美の予定表を作成しており、それを見せられた久美は絶句してしまった。
「こんなにたくさんの人に会わなくちゃいけないんですか?」
「そうなんだ。我慢してくれ。久美さんのためには必要なことなんだ」
それは会社の取引銀行、得意先、融資元、取引先などで、山崎は丁寧に教えてくれはしたが、久美はオーナーになるのがこれほど大変なことだとは思わなかった。木曜日と金曜日は挨拶回りだけで終わってしまった。ただ、土曜日の午後だけはその日課から外してもらった。
そして待ちに待った土曜日が来た。土曜日は会社関係の挨拶回りなどはできないので自然に午後は休みになる。久美は学校が終わると真っ先に買い物に飛び出した。本当はデパートで買い物などもしたかったのだが、どうしても足が幸一のマンションの近くに向いてしまう。そこは既に何度も歩いた所で、久美にとっては安心できる街になっていた。特別な物は買えないけれど、毎日でも通える街、そして久美がゆっくりと買い物を楽しめる小さな街だ。久美はゆっくりと買い物をしながら、幸一に作ってあげたい物、幸一が喜びそうなもの、身体に良さそうなもの、そんなことを想いながら自分自信の心が安らいでいくのを楽しんでいた。
ただ、少し気がかりなのは金曜日の夜に電話で幸一と話した時、久美が思っているほど幸一は反応してくれなかったことだ。。幸一も一生懸命考えてくれていたのだが、幸一としてもどう対応して良いのか分からない、そんな感じがありありと伺えた。その時久美は感じた。余り幸一に相談しても、幸一が困ってしまうのかも知れない、そんな気がしたのだ。
ただ、久美は幸一が大好きだったし、幸一も親身になって考えてくれていることだけは良く分かった。それで久美は満足することにした。久美がオーナーになろうと、久美にとっては幸一との関係が変わらなければそれで良いのだから。ただ、今の久美はそれを実感したかった。幸一の力強い腕の中で全身で感じたかった。突然訪れた猛烈な緊張感の日々の連続の中で必死に思い続けていたことだった。『幸一さんに優しく抱きしめて欲しい』
久美は幸一の部屋に入ると、真っ先にシャワーを浴びて入念に身体を洗った。その仕草は既にバージンではなく、隅々まで身体を愛されることを前提としたものだ。シャワーにたっぷりと時間を掛けた久美はこの部屋でしか着ない制服に着替えると、キッチンへと向かった。
今日の料理はちらし寿司とキノコの味噌汁だった。簡単な料理しかしていない久美にはかなりハードルが高かったが、いろいろな野菜を入れて幸一に栄養を付けて欲しいと思った久美の心映えのメニューだった。シャワーに時間を掛けたこともあり、常に時計と睨めっこをしながらの料理になったが、久美にとっては適度に緊張感のある充実した時間だった。野菜を切って茹でて味を付けて冷やす、これをいくつもの食材について繰り返した。インターネットで主流の手抜き料理法では全ての食材を一気に煮付けてしまうのだが、久美は敢えて手間のかかる方法、個別の食材をそれぞれにあった料理法で味を付ける方法を選んだ。既にレシピは昨夜2時までかかって暗記していたのだが、途中になってこのレシピではどうしても間に合わない事がはっきりしてくると、いくつかの食材の手順をショートカットして何とか幸一の帰ってくる時間前に仕上げることができた。
ピンポーン、幸一が帰ってきた。久美は味噌汁の支度をしていたので、幸一がリビングに入ってきたのは分かったが、チラッと振り向いて挨拶しただけで直ぐに料理に集中した。なるべく早く準備を終えて幸一との時間を少しでもたくさん作りたかったのだ。
「久美ちゃん、ただいま」
「お帰りなさい、幸一さん。もうすぐできますよ」
久美は後ろ姿のまま答えた。幸一はキッチンの久美の姿を見て驚いた。久美が着ているのは学校で着ている少しゆったりしたサイズの制服ではなく、明らかに愛される時に着る制服だ。それに背中を見てもブラジャーを身に付けているような感じではなかった。
実は幸一も水曜日から久美に会いたくて仕方がなかった。会社では久美の弁護士と名乗る毎田という男から久美がオーナーになることを決断したと伝えられ、後見人の委譲について説明を受けた。そして総務という仕事の性格上、久美の挨拶回りの時間の調整をさせられることになった。更に夜、電話で久美と話をしても、どうしても話が噛み合わずにイライラしてしまった。だから久美を早く抱きしめてお互いの気持ちが離れていないことを確認したかった。
幸一が近づいていくと、久美はくるっと振り返って幸一の胸に飛び込んできた。お互いに何も言わず唇を重ね、更に舌を絡め合ってそれぞれの気持ちを確認する。抱きしめると久美の細い身体が幸一の腕の中でしなり、幸一の身体に密着した。久美の小さな舌は夢中で幸一の舌を追いかけてきた。たっぷりと時間を掛けてディープなキスを楽しんでいる間、幸一は久美が下着を付けていないことを確信した。手をそっと前に回してく身の胸の膨らみを確認すると、薄い制服の下に乳房の感触がはっきりと確認できる。久美は嫌がる風もなく、舌を情熱的に絡めている。そのまま幸一の手がスカートの中へと入ろうとすると、ハッと気付いた久美が尻へ回った幸一の手を抑えて身体を離し、
「まだダメですよ。幸一さん、着替えてきて・・・・」
と恥ずかしそうに下を向いて言った。
「分かったよ。少し待ってて」
幸一はそう言うとリビングを出て行った。久美は幸一が部屋着に着替えて直ぐに戻ってくる物だと思いこみ、直ぐに食事の支度を調えて待っていたが、幸一が戻ってくるまで少し時間がかかった。その間、久美は幸一を心待ちにしていた。しかし、幸一が直ぐに戻ってこないとどうしても不安になってしまう。『私が嫌がったから幸一さん、怒ったのかな?私、どうして嫌がったんだろう?そのまま触ってもらえれば良かったのに・・・』そんな想いが湧き上がってくると不安で不安で仕方なくなる。せっかく装った味噌汁が冷めてしまうと、久美は少し悲しい気持ちでもう一度鍋に戻して温め直し始めた。
そこに幸一が戻ってきた。幸一はガウン姿になっている。どうやらシャワーを浴びていたようだ。その姿を見た久美は一気に安心した。
「もう、幸一さんたら、怒ってどっかに行ったかと・・・・」
「どうしたの?シャワーを浴びてきただけなのに」
「私の気持ちも知らないで、意地悪」
そう言うと久美は再び幸一の腕の中に飛び込むと両手を幸一の首に回してキスをせがんできた。そのまま再び二人は舌を絡め、更に幸一は細い首筋へと移って下と唇で久美の上げる声を楽しんだ。
やがて久美は幸一から無理に身体を離し、
「今並べますから、もう準備、できたんです」
と言ってくるっと後ろを向いて支度を再開した。実は久美は身体の中から熱い感覚が湧き上がり、それに飲み込まれそうになったので幸一から離れたのだった。このままだと食事なんてどうでも良くなってしまいそうで怖かった。久美自身は少しお腹は減っていたが、それよりも『幸一さんは仕事で疲れて帰ってくるんだから、ちゃんと時間通りに食事をしてもらわないと』と幸一の身体を気遣ってのことだった。
しかし、いきなり愛撫を中断された幸一には酷な話だった。直ぐ目の前の少女の後ろ姿に近づくと、スッと両手を脇から差し込み、優しく膨らみの大きさを確かめ始める。久美が驚いて後ろを振り向いた瞬間、幸一の唇が項へと再び吸い付いてきた。
「ああんっ、だめっ、んんっ、ああっ」
「久美ちゃん、好きだよ。会いたかった」
「わ、私もっ、ああん、でもここはっ」
久美の身体の中から新たに熱い情熱が湧き上がり始める。幸一の手は優しく膨らみの回りを撫で回しており、あの焦れったいような気持ち良いような感覚がどんどん膨らんでいく。
「ダメ、幸一さん、だめぇ、手をどけて、お願い・・」
「どうして?」
「今始めたら・・・・、お願い」
「分かったよ。それならこれは?」
幸一が大人しく手を引っ込めたので久美はホッとしたが、直ぐにスカートに一瞬違和感を感じたと思った瞬間、既に敏感になってきている部分から強烈な快感が吹き出した。
「ああぁぁっ、幸一さん、それはダメエッ」
久美は身体の力が抜けそうになったので必死にキッチンの端を掴んで体制を整えた。
「ほうら、久美ちゃんだってこれを喜んでくれてるじゃない」
幸一はスカートの中に差し込んだ肉棒をゆっくりと前後させる。久美は最初、足をしっかり閉じてガードしようとしたが、元々久美は足を閉じても隙間ができるし、秘唇が大きめで後ろからでも簡単に愛せる位なので足と閉じても効き目がない。
「ああん、いきなりこんなことするなんて、お願い、もう少し待って」
「久美ちゃんだって感じてくれるだろ?」
「幸一さんの食事の時間が、遅れちゃうぅぅ」
久美は気持ち良くてどうしようもなかった。ただ倒れないようにするのが精一杯で、幸一の肉棒が秘唇を擦り上げる快感に次第に飲み込まれていった。
「久美ちゃんの方がずっとパワーをくれるんだよ」
「だめぇ、でも、ちゃんと、アアアッ、食事だけは・・・」
「感じてごらん」
「ああぁぁん、だめぇ、ほんとに、ほんとに我慢できなくなるぅ」
久美は秘唇を力強く擦り上げる肉棒にだんだん抵抗できなくなっていった。