第2部

ばたんとドアが音を立てて閉まった瞬間、昌代の身体が反応した。康司が本気なのは分かっていたつもりだったが、ドアを閉めた瞬間に始めて納得できた。あわてて立ち上がり、猛烈な勢いで外に出る。康司は既に10m以上向こうを歩いていた。何も考えずに追い掛け、康司の手を掴むと、

「分かったから、分かったからこっち来て、分かったから」

と康司の手を取って引きずるように再び暗室の中に連れ込んだ。

「何が分かったんだ?時間の無駄なら俺は帰るぞ」

昌代は一瞬黙り込んだが、今の昌代には黙る自由さえもなかった。

「その条件でいいわ」

そう言うと、ドサッと椅子に座り込んだ。康司はその昌代をゆっくりと見下ろしながら荷物を置いてドアに鍵をかけた。

 

 昌代は現像したフィルムを見るビューワーの前に座らされた。康司は戸棚の鍵を開けて中を探り、大きな箱を出してきた。中くらいの段ボールくらいの大きな箱だった。それを昌代の前に置くと、

「いいか、ネガをどれでも良いから取り出して、ここのテーブルにぴったりと置いて、足下のスイッチを踏むと・・・・、そこにあるから踏んで見ろよ」

昌代が足下を探って何かを踏むとカチッと音がしてガラスのテーブルが下からの光で真っ白に光った。

「そうだ、そうやってネガに何が写っているか見るんだ。自分のを見つけたら俺に見せろ。合っていればお前のものだ。好きにすればいい」

「それで、ネガはどこなの?」

昌代は、身体を探られる前に見つけだす決意をしていた。時間との勝負だと思っていた。どうせ、昌代には見つけられないと思ってたかをくくっているのだ、必死にやればすぐに見つかるに違いない、そんなことを考えていた。

「ネガはこの中だ」

康司は昌代の目の前の箱を指した。そして、中に手を入れると一掴みネガを取り出した。その様子から、中には更にたくさんのネガが入っていることが分かった。

「まだまだあるぞ。早く探し出すことだな。じゃ、始めるぞ」

昌代にはネガの量に驚いている時間はなかった。康司は昌代の後ろに椅子を持ってきて座ると、背後から手を伸ばして昌代の服の上から胸を触り始めた。

「イヤッ、嫌だって!」

「黙って探さないと時間ばっかりかかるぞ。大声を出したり、誰かを呼んでもそれでこのゲームはお終いだ」

康司の手は昌代の形の良い二つの膨らみをゆっくりと撫でていた。時間はたっぷりある、焦ることはない。

昌代は6コマ入りのネガが6本で1枚になっている透明なネガケースをテーブルに押し宛て、目を皿のようにして探していた。胸からは悪寒が全身を駆けめぐっている。今見ているのは球技大会のようだった。見慣れた体育館の写真がたくさんある。しかし、問題のネガの直前にあると思われる球技大会最終戦の写真はない。バサッ、バサッ、とネガケースを交換し、見終わったものはテーブルの横に積み上げていく。何枚かネガケースを見終わると、新しいものを取り出すために箱に手を入れた。その途端、中に膨大な量のネガが入っていることに気が付いた。何十枚なんて甘いものではなかった。気の遠くなるくらいの数のネガだった。

しかし、球技大会のものあるのだから、リーダー研修のネガも近くにあるに違いない、そう思い直し、改めて探し始める。

『あった、これは球技大会二日目のネガだ!』昌代は思わず夢中になってネガを1コマずつ確認していった。康司は、単に服の上から触るだけでは物足りなくなったらしく、昌代の胸のリボンを解き、フックを外してジッパーを下げ始めた。しかし、昌代は夢中になってネガを見つめていた。『もう少しで見つかるかも知れない』その思いが全てに優先していた。

 康司はジッパーを下げると制服を開いてはだけ、昌代のブラジャーの上からゆっくりと胸を撫で始めた。しかし、昌代は何も感じなかった。気持ち良くも、悪くさえもなくなっていた。

『あった!テニスコートの横に二人写ってる!これに違いない』

昌代は勝利を確信した。康司の手は背中に回ってブラジャーのバックストラップに掛かっていたが、すぐに外せないらしく、手間取っていた。思わず、横に置いてあった虫眼鏡で確認する。間違いない、あの時の写真だった。しかし、少し変なことに気が付いた。どのコマもほとんど同じ写真で、それも6コマ分のネガが6枚入っているネガケースに昌代の写っているのは6コマ分の1本しかないのだ。ちょうど昌代が制服を捲り上げられている場面ばかりが6コマ写っているだけだった。最初に抱きついた写真も、キスをしている写真も、パンツの中を探られている写真もなかった。前後になければならないネガが無い。

 「モータードライブって知ってるか?」

パチッとブラジャーのホックを外した康司が昌代の耳元で囁いた。

「し、知らない・・・・」

その昌代の声は怯えていた。

「その6枚を撮るのにかかった時間は約2秒だ」

「2秒???、この時間が?」

康司は昌代の身体をグッと後ろに反らせ、康司に寄りかからせると優しく耳元で囁いた。

「他にもたくさんあるってことだよ」

そう言うと、康司の両手は膨らみを包んでいる布地の下に滑り込み、昌代の形の良い膨らみを包み込んだ。途端に身体の中から何とも言えない感覚が沸き上がる。

「あっ、待って・・いや・・・お願い・・待って」

昌代は集中力が切れたときに触られたので、身体の反応に適応できなかった。胸からは甘い感覚が押し寄せてくる。今まで昌代の頭は快感を無視していたが、身体の方は正直に反応していたのだ。康司は焦らずに、ゆっくりと指先で先端の突起を探る。そして、それを見つけると指の間に軽く挟んでコリコリと刺激し始めた。

「乳首、立ってるぞ」

康司がコリッと乳首を指で転がすと、

「あっ」

と声が出る。

「結構感じてるんだな」

「いやよ、こんなこと」

昌代は康司の手から逃れようと身体をよじった。

「やめるか?それでもいいぞ」

昌代の身体から力が抜ける。その身体を、康司の両手がゆっくり確かめるように撫で回していく。

「な、何枚あるの?全部で」

「教えて欲しいか?」

「教えて」

「ください、だろ?人にものを頼むときは」

康司はゆっくりと耳たぶに舌を這わせながら言った。

「・・・おしえてください・・」

「それじゃぁ、教えるから服を脱いで」

「そんな・・・」

しかし、昌代には意味のない拒絶であることが分かっていた。康司はどうにでもできるのだ。変に刺激して無理にここで挿入されたりするよりは、おとなしく言うことを聞いておいた方が良い。とにかく、どれだけ探せばいいのか分からないことには終わりが見えない。

「好きにすれば・・」

そう言うのが精一杯だった。康司は納得したらしく、耳元で囁いた。

「全部で252枚だ」

その言葉を聞いた昌代は気絶しそうだった。いや、その方が良かったかも知れない。6枚ずつ入っていたとすれば42本もある。

康司は昌代の身体をテーブルの方に押し出すと、後ろからゆっくりと服を脱がせ始めた。昌代は全く抵抗せずに脱がされるままになっていた。

セーラー服と脱ぎかけのブラジャーを完全に脱がすと、康司の目の前には素晴らしい身体があった。真っ白な身体とほんの少しだけポチャッとしたプロポーション、しかしその分、腰は大きくくびれており、胸の膨らみの大きさに釣り合っている。後ろから見ているので背中の綺麗な肌が康司を欲情させた。

ゆっくりと指で背中をツーッと撫でると、

「はぅッ」

っと昌代は背中を反らせる。康司は何度もそうやって昌代を感じさせながら、時々手を前に回して胸を揉んでみた。しかし、一瞬ビクッと身体が反応するものの、それ以上は感じないようだった。

昌代は見終わったネガをもう一度確かめていた。さっき発見した1本は球技大会の5本のネガの中に突然1本だけ入っていた。と言うことは、今まで見たネガの中にも見落としたものがあるかもしれないと言うことだった。

しかし、康司の愛撫に身体が反応し始めていた。大好きな健一に触られるならどんなに嬉しいことだろう。しかし、康司におもちゃにされながらも身体が反応するのは悲しみ以外の何者でもなかった。気持ち良くないわけはなかった。しかし、身体が喜ぶと心が沈んでいくのをどうする事もできなかった。

『探すしかない』昌代はそう言い聞かせると、絶対に康司を喜ばせないように意識をネガに集中して自分の写真を探し始めた。

 

 康司は更に攻め続けた。綺麗な背中に舌を這わせる。そして、少しでも昌代が感じたようなら更に執拗に同じ場所を攻め続けた。

「はっ、くっ、・・う・・はぅっ」

昌代はだんだんネガに集中できなくなってきた。康司の手が再び胸に伸びてきて、ゆっくりと乳房を掴むと全身に感覚が走り抜けた。なんと言っても暗い中で男子に胸を揉まれているのだ。どうしても感覚を無視できない。

「あっ、あああーーーっ、あっ、あうっ、くうっ、ああっ」

昌代の口からどうしようもない吐息が漏れ始めた。本人は感じているつもりはないのだが、身体が言うことを聞かなかった。こんなに時間をかけて愛撫された経験はなかったので、どこまで感じるのか自分の身体が分からなかった。

それでも、どうにかもう一本のネガを見つけることができた。うなじを這う康司の舌に身体が反応していたが、どうにかネガを一本ネガケースから引き抜くと、康司に見せた。

「そうだ。当たりだ。よかったな」

康司はそう言うと、再び昌代をグイッと引き寄せ、乳房を可愛がりながら、

「ちょっと休憩にしようか。3時に戻って来いよ」

と言って昌代を解放し、ネガを戸棚に締まった。そのまま出ていってしまった。後には放心状態の昌代が残された。

 

今はとにかくこの部屋から逃げたかった。戻ってこなくてはいけないとしても、とにかく一度部屋を出て深呼吸しないと自分が壊れてしまいそうだった。昌代はノロノロとブラジャーを着けて服を着ると、やっと見つけたネガを2本つかみ、印画紙を切る大型のカッターで縦に何本も切り刻んでからスカートのポケットに押し込んだ。そして暗室を出るとあてもなく歩き始めた。

何人かの友達が昌代を見つけて話しかけてきた。運動部に入っていない昌代が土曜の午後に出てくるのは珍しかったから、一緒にアイスを買いに行こうと誘われた。この時ほど笑顔を作るのが難しいと思ったことはなかった。それでも何とか笑顔でごまかし、誘いを断ると誰も見ていないのを確かめて暗室に戻った。

とても友達とはしゃげる気分ではなかった。

 

3時に康司が戻ってくると、再び地獄が始まった。康司はいきなりセーラー服だけでなく、スカートも脱がせた。赤い電球の点る薄暗い部屋でパンツ1枚の格好で昌代はネガを探し続けた。昌代の身体は暗い部屋の中で一番明るく、そしてなまめかしかった。

しかし、康司は昌代を感じさせる方法を早くもいくつか見つけたようで、昌代の身体は更に強く感じるようになってきた。

康司の舌が背中を這い回り、指が微妙な肌の一点を刺激した。そうやって昌代の身体の感度を上げて置いてから、最後はうなじを舐め上げながら一気に乳房を揉まれた。その揉み方は強すぎない、微妙なものだった。痛いくらいにされるのなら感じることもないのに、康司は昌代の身体が反応しやすい強さを早くも見つけだしたようだ。

「はあっ、ああっ、はうっ、だめっ、くうっ、あーっ」

昌代の口からは止めどもなく吐息が漏れてきた。午後が始まって30分も経たない内に、昌代はネガに目の焦点を当てることさえできなくなってきた。これでは康司にいいようにされるだけだ。

「お願い、待って、少し、休ませて・・、ああーーっ、ダメェーーっ」

必死に声を押し殺して小さな声で抗議する昌代を無視して康司はお構いなしに攻め続ける。

「お願い、少しだけ、待って、このままじゃ、探せないぃーーっ」

昌代は絞り出すような小さな声で言った。それを聞いた康司は休むつもりなど無かったが、いいことを思いついた。

「分かった。それじゃぁ、こうしよう。俺が10分休むから、その間に好きなように探せばいい。その後10分は俺が好きなようにする。ネガを探すのは休みだ。いいな」

今の昌代には選択の余地はなかった。このままではネガをしっかり見つめることもできない。交代が何を意味するのかは分からなかったが、同意する以外に無かった。

「・・・はい・・」

「よし、今から10分だ」

昌代は狂ったように探し始めた。薄暗い暗室の中でパンツ1枚の格好も気にしなかった。もう少しで見つかるような予感がしていた。

「あと5分」

康司の声が小さく響いた。昌代はあらん限りの集中力を使ってネガを見続けた。

「あと1分」

その声と同時に一本のネガを見つけた。素早く抜き取り康司に見せ、頷くのを確認するとすぐに別のネガを調べた。

「時間だ」

その声と同時に一本のネガを見つけ康司に見せた。

「それは球技大会のテニスだ」

がくっと力が抜けた。そのままビューワーに突っ伏してしまう。ほんの十分で力を使い果たしてしまったようだった。

「次は俺の番だな」

康司はそう言うと、昌代の身体を抱き寄せ、自分の膝の上に横抱きにした。

「いやっ、いやっ」

「ネガを見なくていいんだ。机にかじりつく必要はないだろう」

その言葉に昌代は康司が交代の条件を出した訳を理解した。

「始めるぞ」

康司はタイマーをセットするとゆっくりと横抱きにした昌代の身体を撫で上げ、うなじを撫でながらディープキスを始めた。昌代は抵抗したが、集中力を使い切り、疲れ切っている身体は力が入らなかった。康司はキスをしながらゆっくりと乳房を撫で上げ、揉み、昌代の吐息をむさぼった。そして、そのままゆっくりと下に下がると乳房を舐め始めた。

「あ、いや、やめて・・ダメェ、あ、うぅっ、アアン、いやぁ」

昌代の声が次第に甘いものに変わっていく。ゆっくりと乳房の裾野から円を描くように舐め上げていった康司は、最後の頂上の直前で昌代を焦らした。

「いや、そこはダメェ、許して・・あ、アアン、いやぁ」

昌代の声が次第にせっぱ詰まったものになっていく。康司はギリギリで焦らすと更に昌代の乳首が尖ってくることに気が付き、たっぷりと焦らして楽しんだ。

「舐めて欲しいのか?」

「いや、いや、早くやめて・・終わりにして」

昌代は時間が過ぎることだけを待っていた。十分が何時間にも感じられた。康司はこのままだと時間切れになると思い、三分前から一気に攻め始めた。尖りきった乳首をねっとりと舌で転がしながら、ゆっくりと揉み上げる。

「ああーーーーっ、くぅーーーーっ」

たっぷりと焦らされた後なので、昌代の身体が自然にピンと反り返り、康司の愛撫に快感の海を彷徨う。

康司は昌代が始めて康司の愛撫に大胆な反応をさらしたことに喜び、左右の乳房を交互に含んで乳首を転がし、揉んだ。ピピッ、タイマーが音を立てた。康司は昌代を解放し、椅子に座らせた。

「今度は20分だ、ほらスタート」

頭がぼうっとなった昌代はネガを手にしたが、前回ほど集中できなかった。目の焦点が上手く定まらない。動作もけだるさから遅くなってしまう。結局、前回の倍の時間をかけても一本も見つけることはできなかった。タイマーがピピッと音を立てると康司は、

「時間だ」

と言って昌代を抱き寄せた。康司の腕の中で少しは抵抗したが、もはや昌代にほとんど力は残っていなかった。悲しいことに、康司に抱かれると身体から力を抜くことができ、ほんのわずか安心した。

康司は、今回は最初から昌代のパンツをずり下げ、中に手を入れてきた。

「イヤッ、そこだけはダメッ」

昌代は小さな声で抵抗したが、康司の力には抵抗できない。既に疲れすぎていた。難なく康司の右手は茂みを包み込むと、そのままシャリシャリと茂みを掻き回して感触を楽しんだ。

「いやぁぁぁ、お願い、それだけは許して」

その願いに応えるように、康司の手はパンツの奥に進み、泉の中に指を浸した。

「ああーーっ、いやぁ、いやぁぁ、あーーっ」

「少しは静かにしたらどうだ。誰か来たら全てお終いだろ。その格好で職員室に行きたいのか?」

そう言うと、康司は既にたっぷりと潤いをたたえた泉の中で指をゆっくりあそばせた。

「はぁっ、はぁん、くうっ、ああっ、だめっ、あーっ」

くぐもった小さな声が暗室に響き渡る。昌代は康司の腕の中でグッタリとしながらも感じていた。しかし、絶対に喜びの言葉は言わなかった。これが最後の昌代のプライドだった。

康司はゆっくりと秘核の周りを撫で、微妙な刺激を与え、ゆっくりと擦った。その度に昌代の身体はのけぞり、口からは止めどもない甘い吐息が溢れた。康司は昌代の身体の波に合わせて愛撫を微妙に変えた。その結果、昌代の身体の波は大きく増幅され、猛烈に感じたり少しだけ感じたりを繰り返した。猛烈に感じているときは、自分でも喜びの言葉をかみ殺すのが大変だった。

 昌代は健一にもこんなじっくりと愛撫をされたことはなかった。どちらかというと、昌代のバージンを与えるのが目的だったので、二人とも感じることよりも挿入に焦点を当てていた。しかし、康司の愛撫は執拗で長く、圧倒的だった。昌代はいつ自分の身体が康司を求めて暴走するか自信が無くなってきた。

 時計が音を立てると、康司は更に言った。

「次は30分だ、スタート」

もはや昌代はネガを探す元気さえ残っていなかった。だるそうにゆっくりとネガを取り出すと、ビューワーの前で気怠そうに眺める。見ようによっては面倒くさそうにさえ見えた。単純な動作を延々と繰り返す。

しかし、その昌代の目が一枚のネガに釘付けになった。『あった!』それを見せると康司は無言で頷いた。それからは少し元気が出てきた。なるべく丁寧に、見落としの無いようにネガを見ていく。目は疲れ、頭の中もぼうっとした来たが、何とか集中力を維持し続けた。『まただ!』文化祭のネガの中に康司に胸を揉まれているネガを見つけたのだ。昌代の身体に力が湧いてきた。『まだ時間はある。もっと見つかるかも知れない』その思いが昌代の身体から新しい力を湧き出させた。

結局、30分で3本のネガを見つけた。今までの分を合計すると5本見つけたことになる。今日中に何本見つけられるか、それよりも今日中にどんなことをされるのか、複雑な気持ちで康司の腕に抱かれた。

 

 康司は昌代の身体を喜ばせることに興味を持っていた。今度は一気にパンツを脱がせてしまう。昌代には抵抗する力がもうどこにもなかった。ここで無駄に抵抗するよりはネガを探す方に力を残しておきたかった。膝の上に全裸の昌代を乗せると、康司はゆっくりと首筋から乳房へと唇を這わせ、茂みの中の秘核を微妙に愛撫した。既に康司は力を入れすぎると昌代が感じなくなることに気が付いていた。あくまでも絶妙な刺激が要求されるのだ。乳首を舌で焦らしているときは秘核の刺激も止めたままだった。充分に尖った乳首を舌でゆっくりと転がすときは秘核もゆっくり擦り上げた。ぱくっと乳房をくわえて乳首をコロコロと転がすときは、秘核にも振動を与えた。

「ああーーっ、くうぅーー、ああん、あん、あう、はうぅ、だ・・、あーっ」

どうしても声が出てしまう。昌代は自分が何を言っているのかよく分かっていなかった。猛烈な快感が身体中を走り回る。無意識に乳首の周りを焦らしながら愛撫する康司の舌を追って乳房を押しつけようと悶えていることにも気が付いていなかった。キュッとくびれた昌代の腰が康司の指を追い掛けて何度も突き上げられていることも同様だった。

そして、とうとう昌代の両足が大きく開かれると、康司の指は秘口の中に入ってきた。今までよりも更に強い快感が亮子の中で爆発する。必死で康司にしがみつくことで亮子は快感に堪えた。

「ほうら、感じてごらん。気持ちいいだろ?」

康司は耳元で優しく囁く。

「いいって言ってごらん。そうすれば時間を短くして上げるから。感じるって、気持ちいいって、言ってごらん」

「くうっ、いや、ああっ、あああーーーっ、んーーーっ」

「夢中になればすぐに終わるよ。もっと感じてごらん。ほら、感じたいんだろ?」

「いや、いや、許して、だめ、ああっ、そんな・・・、はウッ」

「もっとって言ってごらん。正直に」

康司の指は昌代の秘口の中をゆっくりと出入りしていた。まだ経験が浅い秘口は、中にたくさんの細かい襞で康司の指を締め付けた。

「イヤッ、いやぁ、ああーーっ、待ってぇー」

昌代の感じ方が変わってきた。より深い愉悦に自分が飲み込まれていくことを感じて怖がっている。しかし、康司は更に攻め続けた。

「ほうら、どんどん気持ち良くなってくるよ。してもらっていったことはあるの?」

昌代はほとんど何も考えずに首を振った。

「ほうら、どこまで気持ち良くなるのかな?」

康司は、昌代の身体の反応を冷静に見続け、反応が鈍くなると刺激を弱くした。そして反応が鋭くなるに連れて頂上に向けて押し上げていった。

「いや、いや、アアッ、許して、ダメ」

昌代は拒絶を続けていたが、何度目かに康司が刺激をゆっくりと弱くし始めたときに、とうとう我慢ができなくなってしまった。

「いやぁ、ダメェ、そのままぁーー」

はっと気が付いたときは遅かった。待ちに待った昌代のおねだりに満足した康司の指が再び大胆に動き出す。

「もう、だめぇーーっ」

昌代の身体がとうとう暴走した。無意識に足が自然に開き、自分から康司にしがみついて快感に耐える体勢を作る。康司の指がしっかりと肉壁をしごき、昌代の身体の中に期待していた快感をあふれさせると、昌代はそれを待っていたかのように康司の腕の中でクッと仰け反る。康司の与える快感を求め、受け入れてしまった。微かな理性が体を動かそうとするが、猛烈な快感がそれを飲み込んでしまう。昌代は小さな声を上げながら康司の望むように快感を受け入れていた。やがて昌代は康司の腕の中で小さな絶頂を極めた。

「クッ、クッ、はウッ、ウッ」

昌代が軽く痙攣するたびに康司の指がキュッ、キュッと締め付けられる。

「いったんだね」

康司がそう優しく囁くと、昌代は汗を浮かべた顔を背けてこっくりと頷いた。

 

それからしばらく、昌代は泣き続けた。止めどもなく涙がでてきた。康司が何を言ってもダメだった。『時間が必要だ』そう思った康司は、

「少し休憩しよう。休んでていいよ」

と言って暗室を出た。

 

 しかし、外に出てすることがあるわけではない。仕方ないのでジュースを買っていると、後ろから可愛らしい声がした。

「安田さん」

「今野さんじゃないの。どうしたの?」

「友達と待ち合わせなんだけど、見つからないの」

今野亮子が康司に笑みを浮かべていた。亮子は康司の撮った球技大会の写真を誉め、何枚か焼き増しして欲しいという。

「いいよ、今すぐはダメだけど、月曜には渡せると思うよ」

康司はいぶかしげに思いながらも、ショートカットの可愛らしい亮子に話しかけられて悪い気はしなかった。そのまま二人はしばらく販売機の前で話をした。どんどん話が弾んでいくのが不思議だった。今まで女の子にもてた経験のない康司には嬉しい出来事だった。

「あの、安田さん、お願いしてもいいですか」

「なんだい?」

「明日、暇ですか?」

「ああ、特に用事はないよ」

「ワンダーゾーンに行きませんか?」

「一緒に?何人で?」

「まだ決めてないんだけど、よかったら一緒に」

「いいよ。行こう」

「わぁ、嬉しい。今、ちょうどダークゾーンクライシスが割引なんですけど、誰も一緒に行ってくれる人がいなくて」

「よし、行こう」

「やった!安田さん、行ったことあります?」

「まだ無いんだ。教えてよ」

「それじゃ、一緒に帰りません?」

「いいよ。玄関で待っててくれる?少ししたら行くから」

「はい、待ってます」

康司はそそくさと暗室に戻っていった。その姿を亮子はじっと見ていた。その顔はどこか緊張でこわばっていた。

 

暗室に戻ると、昌代は服を着ており、ネガを探していた。昌代は康司を見て後ずさりした。一瞬、断りもなくネガを見ている昌代にカッとしたのが伝わったらしい。しかし康司はすぐに、

「今日はこれで終わりにしよう、帰っていいよ」

と言うと、ネガをさっさと片づけ始めた。昌代は信じられない思いで康司を見ていたが、ネガを箱に詰める康司が何の迷いもなく一枚のネガをネガケースから取り出し、

「ほら、ここにも一枚入っている。やるよ」

と言って昌代の方にぽんと放り出すのを見て、康司は本気で帰るのだと言うことが分かった。昌代はそれでもまだ何かあるのではないかと身構えていたが、康司の、

「早くしろよ。部屋を締めるぞ」

と言う言葉を聞くと、あわてて探し出したネガをまとめ始めた。康司は新品のネガケースを戸棚から出すと、昌代に向かって放り投げた。昌代は無言でそれにネガを入れた。

「一応親切で言っておく。捨てようと焼こうとあんたの勝手だが、そのネガはどこかに取っておいた方がいいぞ。そうすれば別のネガと繋げられる。抜けてるネガもすぐに分かるぞ。さ、出よう」

二人はそっと暗室を抜け出し、康司は鍵を職員室に返すとそのまま玄関に何となく歩き始めた。昌代は別に康司と歩きたくなかったが、自然とそうなってしまっただけだった。どうせ玄関にくれば学年の違う二人は別々になる。

 

戻る