第80部

「俺のは俺がするよ」

「ダメ、私がする」

「ごめんね」

「ううん、私が自分で決めたことだから」

「それじゃ、アキちゃん、俺の服を全部脱がせて」

「え・・・・・、はい」

亮子は慣れない手つきで康司の服を脱がせ始めた。そしてTシャツを脱がした時、亮子の手が止まって後ろを向いてしまった。

「どうしたの?」

「ごめんなさい。慣れなくて・・・・。大丈夫、がんばる」

そう言うと亮子は再び康司に向き直り、ジーンズを脱がせ始めた。しかし、他人のジーンズほど脱がせにくい物はない。おまけに目の前にはトランクスから突きだした肉棒がある。亮子は耳まで真っ赤にしてジーンズを脱がせた。そして、靴下を脱がせると最後の一枚だ。

「康司さん、これも脱がせるの?」

「そうだね」

「どうしても?」

「いやなの?」

「いやじゃないけど・・・・、いやじゃないけど・・・・・、だめ、やっぱりできない」

亮子はトランクスに掛けた手を離してしまった。

「そう、できないの・・・・・・・」

「ごめんなさい」

「それじゃ、後でその分はしっかりお仕置きしてあげるね」

「えっ?」

「そうだろ?できないんだから?」

「・・・そんな・・・・、はい」

亮子は肩の力を落として頷いた。今は完全に力関係が依然と逆になっているのだ。グァムの時のように基本的な選択権を亮子が持っているわけではない。康司はさっさと自分で脱ぐとシャワーを浴び始めた。亮子は複雑な思いでその下着を洗面台で洗濯し始める。『こうするのが嬉しいって思わなきゃいけないんだ。私は今、康司さんに守って貰ってるんだから。やっと安心できるんだから』自分で自分に言い聞かせる。普段の亮子の正確からすると絶対に考えられないことだったが、男子の下着を洗っている自分がちょっと不思議で、意外と嫌じゃないのが不思議だった。

やがて康司がシャワーカーテンを開けて出てこようとすると、亮子は慌てて横を向いた。

「待って、今、浴衣を持って来る」

そう言ってクローゼットからお揃いの浴衣を取り出し、康司を見ないようにして渡す。いきなり明るいバスルームで見るには刺激が強すぎた。

「ベッドで待ってて、私の分をやったら行くから」

「うん、分かった」

そう言って康司はベッドルームに戻った。亮子の『ベッドで待ってて』という言葉が耳に残っている。あんなことを言ってもらえるとは思わなかった。そして、その言葉に亮子が身体だけでなく全てを康司に委ねているのが表れているような気がした。

亮子はまず裸になると、ドアのほうを気にしながら下着の洗濯から始め、次に自分がシャワーを浴び始めた。温かい湯を浴びると気持ちが生き返るような気がする。昨日は不安どころか恐ろしくて眠れなかっただけに、自分を守ってくれる人がいると思うと心から安心できる。

少し熱めのシャワーを浴び身体の隅々までゆっくりと洗いながら、偶然とは言いながら康司の手助けが得られたことは本当に良かったと思った。あの雑誌を見たときは、何度康司に電話を掛けようと思ったか知れないが、亮子自身から放り出しただけに、自分で諦めるしかなかった。だからあの事、康司とばったり会ったときに思い切って頼ることができたのだ。

亮子は丁寧に自分の身体を洗いながら、これからこの身体が康司に愛されるのだと思った。そして、バスタブの上にある洗濯用のワイヤーを渡して洗濯物を掛けておく。髪を乾かしたらバスルームの換気扇のスイッチが入っていることを確認して準備は完了だ。

「康司さん、上がったわ」

そう言って亮子は康司の前に来た。

康司は目の前に立っている亮子を改めて見た。小柄な体にぴったりと浴衣を着ており、少し帯を高めの位置に締めている。ホテルの浴衣など、部屋の中でしか着ないので恐ろしく簡単な作りで薄っぺらい。もちろん下着は全て洗濯したので、浴衣の下には何も着ていないから帯を解けばすぐに全裸になってしまう。康司は乳首の位置がわかるかと思って胸の膨らみをよく見たが、まだ乳首は立っていないのでわからなかった。

「何を見てるの?」

「ううん、アキちゃん、可愛いなって思ってさ」

「そんなに見ないで。恥ずかしい」

亮子だって裸の上に浴衣一枚なので見つめられるのは恥ずかしい。

「それじゃ、こっちにおいで」

そう言うと康司は亮子をベッドに誘い、自分の左に座らせてからそっと倒していった。亮子はじっと康司を見上げたまま何も言わない。

すると、康司は起き上がって浴衣を脱ぎ捨てた。その時、亮子はスッと目をつぶり、康司が隣に来る気配を感じると、身体をそっと寄せた。

康司が目を閉じている亮子の頬を優しく撫でていると、亮子が目をつぶったまま言った。

「優しくしてね。もうどこにも行かないから」

「うん、分かってる」

「その代わり、私、康司さんの言うことをできるだけ聞くから。好きにしていいのよ」

「うん、ありがとう」

「康司さん、私、康司さんを好きになってよかった」

「俺だって大好きだよ。知ってるだろ?」

「うん、知ってた。だから、こうなって良かったのかも知れないの」

「こうなって?」

「そう、康司さんを好きな気持ちを忘れなくていいし、自分から嫌なことを康司さんにしなくていいもの」

「うん、キスして良い?」

「して。いっぱい・・・」

二人はお互いを抱きしめながら、心のいくまでキスを楽しんだ。康司の舌が亮子の小さな口の中に入り、亮子の舌を追い掛け回す。亮子の舌はあちこち逃げ回るがすぐに捕まってねっとりと絡み合う。そんなことを何回も繰り返した。

「ねぇ、アキちゃん」

「え?なあに?」

「後で、撮影させてくれる?」

「え?また撮るの?」

「そう」

「いいわ。好きなだけ撮って」

「ヌードでもいい?」

「もちろん。でも、あんまり恥ずかしいのはいや・・」

「きれいに撮るよ。任せておいて」

「また康司さんに撮ってもらえるなんて、嬉しいな。でも、カメラあるの?」

「うん、今日はレンズの修理の打ち合わせをするはずだったから、フィルムカメラじゃないけどデジカメを持ってきてるんだ」

「どんなのを撮るの?」

「それをこれから考えるよ。アキちゃんの全部を確かめながら」

そういうと、康司はキスをしながら丸く膨らんだ硬い乳房をゆっくりと撫でまわし始めた。

「あん、康司さん・・・・、部屋の電気を暗くして」

「うん、でも、全部はだめだよ。アキちゃんが見えなくなっちゃうから」

「私も康司さんを見たい」

「アキちゃん、好きだ」

康司は右手で浴衣の上から乳房を撫でながら、亮子の首筋を舌と唇で愛撫し始めた。

「ああぁ、そんなに急がないで・・・・・、あんっ」

撫で回していた浴衣の生地の上に突然ぽつんと小さな硬いしこりが出てくると、亮子の反応が強くなってきた。

康司は身体を起こすと、左手も使ってゆっくりと亮子の両方の膨らみを撫で始めた。

「あん、康司さん」

「どう?感じてきた?」

「うん、嬉しい」

亮子は身体の中に、あの独特の感覚が湧き上がり始めたのを喜んだ。少しずつ身体が先へ先へと欲しがり始めた。

「康司さん、ねぇ・・・・・あん、ねえ」

亮子は身体を軽く捻って先をおねだりし始めた。しかし、康司は先に進もうとはせず、ゆっくりと乳房の裾野を撫で回している。

「康司さん、ねぇ、早くぅ」

これまでの康司なら、亮子の望む物を直ぐに与えたのだろうが、今日の康司は違っていた。亮子を徹底的に焦らすことにしたのだ。薄い浴衣の上からゆっくりと乳房を愛撫し、亮子がどんどん焦れていくのを楽しむ。

「ああん、康司さん、焦らしちゃいやぁぁ」

「ダメ、もっと焦らしちゃう」

「いやぁ、ああん、そんなのだめぇ、あんっ、ううぅ、ねぇ、ねぇぇ」

「まだダメだよ」

「そんなのいやっ、ちゃんとして」

「だあめ」

「そんなこと言うならもう感じないっ」

「そうなの?もう感じないの?」

「感じないっ」

「そうかな?アキちゃん、大好きだよ」

そう言うと康司は優しく乳房を胸の中央に寄せながら、できた谷間にそっと舌を這わせた。

「ああんっ、そんなぁっ、ずるいぃっ」

「ほうら、感じてる。もっともっと感じて良いんだよ」

「だめぇ、康司さん、もっと優しくして、ねぇ、抱いて、お願い、ねぇってばぁ」

亮子は身体をゆっくりと左右にくねらせ、康司の愛撫から逃げようとするかのように悶えていた。感じそうで感じない、それで居て無視できない、そんなギリギリの愛撫が亮子の身体を燃え上がらせていく。亮子はグァムのホテルで籐椅子に座ったまま焦らされたことはあったが、こんなに焦らされたのは初めてだった。まるで自分の身体が自分の物ではないような感じがする。

「アキちゃん、だんだん我慢できなくなってきた?」

「もう我慢できない。ねぇっ、康司さん」

亮子は早く康司に愛されたくて仕方なかった。今は康司に抱かれて夢中になることで安心したかった。だから、亮子の身体は猛烈に康司を欲しがった。

「それじゃ、『私を裸にしておっぱいを揉んで欲しいです。もう我慢できません』って言える?」

「それは・・・言える。言えるから、お願い」

亮子は喘ぎながらそう言った。

「それじゃ、可愛らしく言ってごらん」

「私を裸にしておっぱいを揉んで下さい。我慢できません」

亮子はできるだけ可愛らしく聞こえるように、甘えた声で言った。ちょっと言葉は違っていたが、康司の肉棒は最大硬度を超えるくらい固く立った。

「よおし、それじゃ、裸にしてあげる」

そう言うと康司は、わざとゆっくり亮子の浴衣の帯を解き、丁寧に浴衣を左右に開いていった。グァムで何度も見た、あの綺麗な身体が目の前に現れる。透き通るような肌に可愛らしく綺麗な乳房がぷくっと膨らんでおり、その上には小さな薄い色の乳首が載っている。そして、まだ子供っぽい腰のラインの後には薄い小さな茂みが待っている。

「康司さんでバージンから卒業したの。今日はもっと大人にして」

亮子が目を潤ませながら媚びるような目つきで康司を誘った。全裸で誘う亮子を見下ろしていた康司は、このまま亮子の上に被さって乳房を揉みながら乳首を転がしてみたくなった。その欲情を抑えたのはカメラマンとしての目だった。我慢できなくなるほど可愛いが、目の前の亮子は以前と何かが違うのだ。

「康司さん、来て。優しくして」

亮子は両手を差し伸べて康司を誘っている。その様子をじっと見ていた康司は、亮子の違和感に気が付いた。『そうか、アキちゃんは抱かれることで安心したいんだ。だから、こんなに恥ずかしいことでも平気で言えるんだ』そう思うと、ちょっとだけ心が冷めた。亮子が自分を好きだから誘っていると思いたかったが、言ってみれば自分が寂しいだけなのだ。亮子を好きな気持ちは変わらないが、それならアプローチを変えるほうが良さそうだ。

「アキちゃん、それじゃ、優しくおっぱいを揉んであげるね」

そう言うと康司は亮子の横に寝るとそっと抱き寄せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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