「それでは行って参ります」

麻衣と京子は支度を整えると預金課長に挨拶をした。

「ご苦労さん。でも、無理はしないように」

課長は書類に目を通しながら、まるで独り言のようにつぶやいた。『良くもあんなことが言えるものだわ』二人はじろっとにらみつけると足早に高土信用金庫紺屋町支店をあとにした。今はボーナスシーズンも過ぎ、そんな簡単に定期預金の獲得のできる時期ではない。しかし、預金課長は成績の悪かった二人をそのまま許そうとはしなかった。

「みんな誰もが苦労してノルマに近づいているんです。その中で堂々と遥かに低い成績しか残さなかったのを良しとすれば今後に響きます。結果は別にしてノルマを30%以上割り込んだものには特別預金獲得セールスをやってもらいます」

会議室にお茶を運んだ同僚から麻衣は課長がそう言っていたと聞いた。

 

 「今日からはリストの順を入れ替えてある。結果が出せるようにがんばりなさい」

課長がそう言って候補者のリストを渡した。それは銀行が調査会社から手に入れた候補者名簿だった。お金がある程度自由になると思われる人のリストだ。『まるで無理するのが当然みたいな言い方じゃない』麻衣は重い足を引きずるようにして歩き出した。

「ねぇ、どこから回ろうか」

京子は自信なさげに重い口を開いた。二人ともがんばれるだけはやったのだ。クリスマスだというのにどこにも遊びに行かず、一生懸命友人から知り合い、果ては近所の商店主にまで電話をかけた。しかし、若い二人のできることなど知れたものだ。最初入行2年くらいまではそれまでのつてもあって何とかがんばれたが、本当に辛いのはそれを使い切ってからだ。この一年だけでも同僚の女子社員は3人も辞めていた。みんな一生懸命がんばっていた。しかし、ある時ふっと力が抜けたかの様に辞めていった。

 ささやかな送別会に出るたびに、残る自分たちは自分の生活が崩れていくのに、ただじっと待っているしか方法がないみたいな思いに何度も駆られた。麻衣は渡されたリストを開いて、少し考えてから言った。

「リストを順番に回るのは面白くないから、どうせならこの下の方にある西の台団地の方でも行ってみようか。近いし」

麻衣がそう言うと京子は頷いた。

「そうだわ、何も外に出てまで課長の言いなりに回る事なんて無いわよ。確実な情報ならまだしも」

もともと二人にあてなどあるわけはないのだ。二人はいつもこのリストは大ウソばかりだと言い合っていた。

 

 耕司は出張が意外に早く片付いて、珍しく夕方前の時間に団地の部屋に戻ってきた。こんな早く部屋に帰るのは何カ月ぶりだろう。去年、妻の理恵を交通事故でなくしてからは特に用がない限り意識して部屋にいたがらなかったこともあり、がらんとした独りには広い団地の一室の真ん中でごろりと横になって天井を眺めていた。急に明るい部屋でノビノビしたくなって早く帰ってきたが、そんなもの5分もすれば飽きてしまう。

 ピンポーン、チャイムが鳴り、

「失礼します。高土信用金庫のものですが、新しい定期預金のご説明に伺いました」

可愛らしい声がしたので耕司はあわてて起き上がりドアを開けた。

「はい、銀行の方?」

「はい、お得な定期預金ができましたのでご紹介させていただいております」

麻衣が笑顔で答える。しかし、京子は横で無理に笑顔を作ろうとしているが引きつった笑いしか出せない。耕司は定期預金には余り興味がなかったが、理恵の生命保険が入っていたことを思い出し、聞いてみるかと思った。正直なところは団地で独りでいるより、誰かと一緒にいたかっただけなのかも知れない。

 「それじゃ上がってくれる?」

「いえ、こちらで結構です」

麻衣は銀行の規定通りに丁寧に遠慮した。そこで京子が初めて反応した。既に10軒以上回っているが、話を聞いてくれるという家を初めて見つけたのだ。話だけでもできれば帰って報告書を書くときも少しは気が楽だ。

「京子、ご説明させていただきましょうよ」

小さな声で麻衣にいうと、

「でも・・・・、あの、失礼ですが奥様とかどなたかはご在宅でしょうか?」

単身者の部屋には決して上がってはいけないという規定に麻衣はまだ少しこだわっていた。

 

「独りだけど、こんな所で大切なお金の話はしたくないよ。誰に聞かれるか判らないし」

耕司は微妙にその気があることをにおわせた。

 「それではお邪魔させていただきます」

京子は意を決したように言うと、麻衣の腕を取ってドアをくぐった。そんな京子を麻衣は『京ちゃんは本当に嫌になってるんだな。少し変になってる』と思った。当然だとも思った。既にこんなことを一週間以上しているのだ。銀行では肩身の狭い思いをさせられ、外回りではひたすら断られ続けて疲れ切り、夕方銀行に帰ってからは残りの仕事を夜遅くまでかかって片づける、誰だって嫌になるのは当然だ。少しくらいは良いだろう、そう思って麻衣も中に入った。

「どうぞ」

耕司はローテーブルを指して言った。二人はふっくらとした絨毯の上に正座して耕司と向かい合った。

 

 最初、耕司は話を聞く一方だった。利子、特典、システム、麻衣はひたすら説明を続けた。しかし、いくら話しても耕司が具体的な話にのらないのでしばらくすると嫌になってきた。『こんなことやめて次の家を探した方が良いかな』そう思ってチラチラ京子を見るのだが、京子はそんなことお構いなしだ。次第に我慢できなくなってきた麻衣は、

「ちょっと失礼します」

そう言うと、

「連絡してくる」

と京子を睨み、銀行に定時の電話をかけるため席を外し、玄関から外に出て携帯を取った。この瞬間を耕司は待っていた。ほんの1分もないの時間なのは判っていたので、京子に向かって、

「二人でゆっくり話をしたいんだ。3000万預けても良いよ」

と一言だけ言った。

 その言葉は京子の体を電撃のように走った。ビクッと体をふるわせると急に泣きそうな顔になった。耕司はダメかと思った。しかし、ダメでもともとだ。このまま帰られても耕司には何の不都合もない。麻衣が戻ってくると京子の様子が少し変なのに気が付いた。『疲れているんだ。どこか喫茶店にでも入って一休みしよう』そう思うと、

「これで説明は終わらせていただきますが、もし興味をお持ちのようでしたらご連絡いただければいつでも参りますので」

そう言って席を立とうとした。その時、京子が、

「麻衣ちゃん、もう少し話をお聞きになりたいそうなので、先に帰ってくれる?」

と少し強い口調で言った。

 

「え?でも・・・・」

麻衣は一瞬信じられないこと言ったをした京子をまじまじと見た。

「私、もう少しご説明してプランを立てるお手伝いをするから」

京子は本気のようだ。しかし、客の前で議論するわけには行かない。

「分かりました。じゃ、報告書は戻ってからね」

麻衣はそう言うと、

「それでは私は他を回りますので失礼させていただきます」、

と丁寧に挨拶すると部屋を出ていった。

 始め、耕司も京子も何も言わなかった。しかし、京子が我慢できずに、

「あの・・」

と言いかけると、耕司は、

「ちょっと待って」

と言って書類ケースから通帳を取り出し、京子の前に置いてページを開いて見せた。8600万!信じられない数字を京子は見た。

「妻の交通事故の示談金だよ」

そう言うと、タバコに火を付け、京子の隣に座った。京子は煙が大嫌いだったが、今、そんなことは全く気にならなかった。

「これをあなたに預けても良いと思っているんだ。どうせどこに預けても一緒だし」

「あの、この新しい定期は・・・・」

商品の説明を再びしようとそこまで言いかけて京子の口から言葉がとぎれた。確かに普通の定期よりはお得なように見せているが、利子を減らして、その分でつぶれた商店の在庫を安く買いたたいてプレゼントと称しているだけだ。

 

 「名前はなんて言うの?」

耕司が出し抜けに言った。耕司の息がかかりそうな距離だ。

「水野・・京子です」

そう言った京子の声は少し震えていた。心の中で『早く席を立ちなさい。後悔するわよ』と誰かがわめいている。

「3500万定期にするとして、どんなプランで預けるのが良いのかな?」

「あの・・、1000万以上の定期預金は別にプランがあって・・・」

口の中はカラカラだった。

「・・今すぐには分かりませんが、市中銀行さんよりはお得なプランをお作りできます」

耕司は改めて京子をじっくりと見て、かなり美人であることに気が付いた。すらりとした体型で、慎重は160くらい。アップにした髪とうなじが綺麗だ。銀行の制服の紺色のミニスカートとベストが似合っている。

 この時、もし京子がもう少し丁寧に通帳を見ていれば、最初は京子の見た数字の倍近くの金額が入っていたことに気が付いただろう。

 

「これがハンコ、京子さんに預けてもいいんだ」

そう言って小さな皮ケースに入ったハンコを通帳の上に置き、京子の体に触れるくらいに近づいた。

「いえ、大丈夫です。プランは明日までにお作りできます」

京子は体を少しずらせて耕司から遠ざかろうとする。耕司は思い切って右手を回して京子の体を引き寄せ、

「どうする?この話、のる?」

と耳元でささやく。

「あの・・・、どうすれば・・・」

「じっとしていればいいよ。そんなに時間はかからないから」

「いえ・・そんなことじゃなくて・・、どんなプランを作れば・・・」

「そんなことってなあに?」

耕司はゆっくりと京子の膝をゆっくりと撫で、次第に上に上がって胸の当たりを撫でる。

「だめ、いやです。やめて下さい」

京子は逃げられないと想いながらも首だけは横を向いて抗った。

 

 耕司はじっくりと京子を観察した。小鳥のようだと思った。本当に京子を抱けるんだろうか?そんなことも思った。しかし、京子は逃げだそうとはしていない。思い切って可愛らしい顎をツイッとこちらに向け、

「じゃあ、明日判子を押すよ。今日は持ってきてくれた定期に入るだけで良いだろ?」

そう言うと唇を近づける。

「あ、いや・・・・」

それ以上は耕司の唇が塞いだので何も言えなくなった。ねっとりとした舌が入ってきた。京子は意識していなかったが、次第に京子の舌も意志を示すように絡まっていった。

 京子の頭の中ではプランだけが渦巻いていた。下手なプランを作ると課長にまた怒られる。せっかく手にする大口預金なのだから誰にも何も言われたくなかった。耕司の手がベストの上を撫で、サイドジッパーにかかってもそのことばかり考えていた。耕司の手がベストを脱がせるときは少し抵抗したが、すぐにすっぽりと脱がされてしまい、真っ白のブラウス姿になった。耕司の両手が京子の脇から回され、下から撫で上げるように優しく胸の膨らみ全体を撫で始める。耕司の愛撫は巧みだった。優しく全体を撫でたり、指一本でゆっくり円を描くように撫でたり、京子の体の反応を見ながら少しずつ確実に京子の体に火を付けていった。

 

 「いや、やめて下さい、私、帰ります」

力のない震えた声で京子が言う。しかし、体は動こうとはしなかった。

「このまま帰っても良いけど、この話はなかったことにしてもらうよ。それでもいいの?」

耕司は卑劣な方法だと思ったが、思い切ってカードを切った。

「そんな・・・」

「定期の話は信じて良いよ。成績を積み上げたいんだろ?」

耕司の言葉に思わずこくんと頷く。今の京子は何よりも一息つきたかった。これだけのお金を入れておけば夏のボーナスセールスまでは心配ない。その夏のセールスだって耕司のお金があれば心配ないかも知れない。少しずつだがこのままの方が良いかも知れないと言う気持ちが大きくなってきた。胸の辺りからはくすぐったいような何とも言えないあの感覚が湧き出し始めていた。どうせ今までは毎日後悔ばかりの日々だった。入行してからは連日遅くまで残業ばかりで、更に休みの日はグッタリした体を引きずるようにしていたので付き合っていた男は呆れて離れて行ってしまった。おまけに銀行の中は毎日リストラの話ばかりで成績の悪い者には容赦なく叱咤の声が飛ぶ。どうせ後悔の日ばかりならこれくらいはしても良いのではないか。成績を上げれば全てが解決する・・・・。

 京子が何の抵抗もしないので、耕司はゆっくりとブラウスのボタンを外し始めた。ハッと京子の体に衝撃が走る。

 

「恋人はいるの?」

「今は・・・いません」

「そう、大丈夫、優しくするから」

「・・・・・はい」

ボタンを外し終わると、白のブラジャーに包まれた形の良い膨らみが見えてきた。ゆっくりと服をはだけると、耕司の手はブラジャーのカップを優しく撫で始める。次第に胸の感覚は甘い切ないものに変わっていく。こんなことをされても感じてきたことに京子は少し驚いていた。次第にテーブルの上に置かれた京子の手に力がこもってくる。

 耕司は急がなかった。すぐにベッドに運んでも嫌がらないであろう事は分かっていたが、こんな滅多にない、いや絶対に普通はないチャンスをすぐに終わりにするつもりはなかった。京子の顔が次第に赤みを帯びてくるのを楽しそうに見ながら、耕司の指は丁寧に優しく京子を追い込んでいった。京子の息が次第に大きくなってくる。耕司の指が膨らみの先端の上を通るときには明らかに体を堅くする。少しずつ先端にしこりが感じられるようになってきた。

 京子は次第に正座しているのが辛くなってきた。体が崩れてしまいそうになる。耕司の手が体を這い回るのに合わせて体がどうしても動いてしまう。

「どうしたの?座っていられなくなったの?」

耕司が耳元でささやくと、うなじからズーンと快感が背筋を走る。

「あの・・、大・・丈夫です・・」

京子は座っていられなくなればベッドに運ばれてしまうと思った。しかし、耕司の愛撫で体に火がついていることも十分に分かっていた。

 

 耕司はもう少し京子にこのままの姿勢でいてもらうことにした。若い女子銀行員が正座したまま服をはだけられ、耕司の愛撫に感じているのだ。アダルトビデオよりよほどエロチックなシチュエーションだ。両手で膨らみを下からぎゅっと揉み上げると、

「くぅーっ」

と京子が体を悶えさせて左右に軽く揺れる。しかし、耕司はそのあと再び残酷な愛撫を再開し、何度か京子の体から快感がほとばしるのを楽しんだ。

 やがて耕司の手がブラジャーのフロントホックに掛かってももはや京子の口からは何も出てこなくなっていた。中途半端な愛撫が若い身体には耐えられなかった。心のどこかで『やっと感じられる』と喜ぶ声が聞こえた。パチンとホックを外すと堅く膨らんだ乳房が飛び出すように現れた。形は半球型に近く先端の色も薄い。しかし、乳首は充分に尖っており、京子の身体の状態を正直に告白していた。指で下からそっと撫で上げると、

「んーっ、はっ、はうっ」

と堪えきれない声が固く結ばれた口から流れ出る。京子自身、こんなに丁寧な愛撫をされたことはなかった。しかし、自分から何もできる状況ではない。ひたすら耐えるしかないのだ。

 

 耕司の手がやがて乳房を下から包み込んでくると、自然と快感の期待に身体を固くする。耕司の手は、今度は優しく何度もゆっくりと膨らみをほぐすように揉み上げてきた。

「アアン、そんな、あうッ、だめ、ああっ、許して・・」

京子の体は大きく悶え、膝を擦り合わせるようにしながら耕司の方にゆっくりと崩れていく。京子はこの快感には抵抗できなかった。しかし、耕司は京子の身体を支えると、もう一度正座させた。てっきり抱かれるものと覚悟していた京子は意外な耕司の反応に、一瞬、これで終わりかと思った。

 しかし、耕司の手は、正座している京子の膝をゆっくりと割ってきた。タイトスカートなので大きくは開けないが、それでも手を入れるくらいのスペースは空けられてしまった。「そんな、いや、こんな風にするなんて」

京子は耕司の手が敏感な部分に触れた途端にどうなるか分かっていたので、恥ずかしい格好で愛撫されるのを嫌がった。

「こんな風ってどんな風なの?言ってごらん」

耕司が耳たぶを優しくねぶりながら言うと、

「いや、許して、こんな事されたら、だめ」

『我慢できなくなる』と言う言葉だけはかろうじて飲み込んだ。

 耕司の手がゆっくりとスカートの中に差し込まれてくる。京子は観念した。これ以上は耐えられない。そう思うと、それがまた彼女の快感を解き放つことになった。耕司の手がゆっくりとストッキングに包まれた敏感な部分を撫で始めると、

「ああーっ、はうぅ、あーっ、こんなにするなんて、あーっ」

と声を上げながら京子の身体は悶え続ける。耕司の手はゆっくりとした動きのままで、京子の身体に更に強い欲望を植え付けていく。

 上半身をはだけられ、スカートのに差し込まれた手に悶え続ける銀行員のあられもない格好に耕司は満足した。いよいよ次のステップに入るときだ。

 

 「京子さん、口で愛してくれる?」

そう言うと、

「はうぅ、そんなことぉ、ああっ、上手くできません」

と悶えながら答える。

「上手くなくても良いから、やって欲しいんだ。もし、口の中で終わったらそれ以上はしないから」

耕司が耳元でそう言うと、京子の心が動いた。ほとんどしたことはなかったが、『口に出してくれれば終わりになる』と言う期待が京子を動かした。耕司が抱いていた京子を離し、後ろのロングソファーに腰を下ろすと、京子は耕司が開いた足下に跪いてジッパーに手をかけた。

 「ゆっくりしてね」

耕司は満足そうに言うと、京子が慣れない手つきでトランクスの中から肉棒を引き出すのを楽しそうに見ていた。どう見ても京子が肉棒の扱いになれているとは思えなかった。こわごわという感じでしっかりと掴まないのでなかなか出てこない。京子は苦労して肉棒を取り出したが、どうしても口に含むことができない。

「経験がないの?」

「いえ、そうじゃないけど、どうしても・・・」

京子は耕司に定期を作って欲しい一心でそんなことを言ったが、まともに深く自分からくわえたことなど無かった。以前のボーイフレンドにセックスの最中に無理に口に差し込まれた程度の経験しかなかった。そのセックスさえペッティングの経験は比較的多かったが、セックス自体は両手で数えられるくらいの経験しかない。

 耕司が不審に思うのが怖かったので、思い切って京子は肉棒をくわえた。とても上手とは言えなかったが、耕司自身は久しぶりに経験する性体験だったので、肉棒自身はあっという間に最高に堅くなった。まだほんの先端くらいしか口に入れていなかったが、それでも京子は何度も口に入れたり出したりを繰り返したので、少しずつフェラチオらしくなってきた。

 

 「今度はソファーの上に上がって、横からして欲しいな」

耕司はそう言うとロングソファー深々とに腰掛け直した。京子は何も考えずに耕司の横に四つん這いになって上がると、再び耕司の肉棒をくわえた。『口の中で出してくれれば終わりになる』そのことばかり考えていたので、京子は自分がいかに無防備な刺激的な姿勢をとっているかを忘れていた。耕司の手が下を向いて三角に尖った乳房を愛撫し始めると、いきなり快感が身体を走った。

「アアン」

 

京子が思わず口を離すと、

「やめないで続けなさい」

と耕司が注意する。しかし、敏感になっている乳房を愛されながら口で奉仕を続けることは、慣れない京子には無理なことだった。耕司の手が乳房を揉む度に、

「アアン、あう、はーっ」

と肉棒を吐き出して快感の中に彷徨ってしまう。

 やがて耕司の手がスカートの中に伸びてくると、京子は口で耕司を満足させられないことを認めるしかなかった。タイトスカートの中の敏感な部分を耕司は時間をかけて愛撫した。既にストッキングの上からでも一番敏感な部分が尖っているのが分かるほどになっている。その周りを撫で上げるだけで京子は肉棒を握りしめながらあられもない声を出して悶え続けた。しかし、その声は喜びだけではなく、もう一つ満足できない不満の響きも含んでいた。

 

 「ありがとう。気持ち良かったよ」

耕司はそう言うと、京子の身体を耕司の膝の上に横抱きにした。息を荒くしながらも京子は上気した顔で耕司に抱かれるままに身体を預けた。時間をかけたキスのあと、耕司の舌ははだけられた乳房の周りを這い回り、右手はスカートの中を探り続けた。耕司の手がスカートの中を探るたびに、両足は大胆に擦り合わされ、腰も突き出されるようになってきた。既に中は液体で溢れていることがストッキングの上からでも分かった。耕司の膝の上で、京子の身体は何度も悶え続けた。早く最後までいって欲しくなっており、身体は耕司に貫かれることを求めていた。しかし、耕司は残酷な愛撫を続け、京子の身体から、たっぷりと時間をかけて羞恥心を溶かしていった。

 

 「アアン、アーッ、ねぇ、こんなの、ねえっ」

京子の口から何かを要求する言葉が出始めても、耕司の愛撫はより残酷になっていった。

「ねえっ、早く、お願いだから、もう、許して」

「どうして欲しいの?言ってごらん」

「そんな、ねぇ、お願いだからぁ、アアーン、そんなに焦らさないで」

「ちゃんと言えたらして上げる」

「そんな、こんなこと、早くぅっ、待てない、はうぅーっ、お願い」

「何をお願いしてるの?言ってごらん」

「早くぅっ、もう、我慢できない、して、早くするならしてぇ」

京子は初対面の耕司にとうとう言ってしまったことに恥ずかしさで泣きたくなった。

 耕司はゆっくりと京子を抱き上げると、寝室のベッドの上に横たえた。そして、ゆっくりと全てを脱がせていく。上半身だけでなく、スカート、ストッキングを脱がされても京子はじっとしていた。むしろ、腰を上げたりして協力していた。耕司が全裸になって京子に覆い被さってくると、京子の身体は敏感に反応を始めた。自分から身体を擦り付けて京子は積極的に快感を欲しがった。しかし、耕司は最初は可愛らしく膨らんだ乳房だけを丁寧に愛撫し続け、ゆっくりと揉み込んだり舌で乳首の周りをなぞってから弾いたりして京子から喜びの声を搾り取った。二十一歳の京子にとっては、こんなテクニックを使って攻められたことはなかったので、頭が爆発しそうだった。今や上半身は完全に満足していたが、下半身は不満の固まりになっていた。自然と京子の足は耕司に絡まり、我慢できない欲求を耕司に擦り付けることで何とか耐えていた。

 

 やがて耕司が乳房に満足した頃は、耕司の腰のあたりも京子から溢れだした液体で濡れてきていた。

「さあ、たっぷりと愛してあげる。足を開きなさい」

耕司がそう言うと、自然に京子の足は少し開いた。しかし、耕司は、

「もっと大きく、こうだ」

と言うと、京子の足を大きく開いて舐め上げる体勢を作った。

「いや、それはいや、だめ、そんなのだめ、いや」

京子は嫌がったが、耕司は許さなかった。京子は口で愛されるのは一度もされたことがなかった。以前の恋人とでは必ず京子は嫌がった。しかし、ここまで時間をかけて身体を仕上げられては京子に為すすべはなかった。足を拡げられて耕司の息が少しかかるだけで体の中を快感が走るのだ。

「いや、見ないで、恥ずかしい、いや」

京子の嫌がり方も微妙に変わっていった。何よりも早く快感が欲しくて仕方なかったのだ。

 ゆっくりと耕司の舌が秘唇の周りをなぞり始めると、京子の腰は何度も大きく跳ね上がった。

「アアーッ、アーッ、はうーっ、アアーッ、ダメーッ」

京子は身体を大きく仰け反らせながら快感の海に溺れていた。耕司は次第に舐める範囲を広げ、秘核の周りまでゆっくりと舌を進めていった。気持ちが良いなどと言うものではなかった。どうしようもない感覚が全身を走り回る。今までこんなに口で愛されるのが感じるなどとは思ってもいなかった。身体が京子の意志とは関係なく勝手に動き回る。

「はあーっ、くぅーっ、いやーっ、イーッ、はうっ、はうっ、そこっ」

 耕司は京子の反応に満足した。更に膝を拡げていた両手を伸ばして胸の膨らみをゆっくりと揉み始める。

「アアッ、こんなの、ダメェーッ、ああん、いいのぅ、良すぎるぅ」

京子は耕司の指で乳首をつままれるたびに身体を大きく仰け反らせたので、背中がベットから離れるほどだった。耕司の手が膝を開くのをやめても京子の足は更に大きく開き、耕司の舌を更に大きく迎え入れようと腰はうねるように動いた。

 

 耕司がたっぷりと液体を吐き出し続ける秘口の周りまで舌の活動範囲を広げると、もはや京子の方が積極的になってきた。

「ああん、そんなの、そこっ、くうっーっ、はあっ」

耕司が舌を動かすのをやめても京子の腰は大きくうねり、京子自身の望むように愛撫を受け続けた。

 満足した耕司が顔を上げると、全裸で足を全快にした京子が激しい息をしながら最後の段階を待っていた。当然このまま挿入されるものと思っていた。むしろそれを京子は望んでいた。しかし、耕司はそこで考えてみた。ここで挿入すれば難なく想いを遂げることはできる。だがそれではせっかくのチャンスがもったいない。

 

 「今日はこのまま泊まっていけるの?」

「え?いや、何ですか」

何も言わずに挿入されると思っていた京子は驚いた。てっきり次は最高の時間になると覚悟、いや待ち望んでいたのだ。身体はどうしようもなく疼いて愛されればされるほどより強いものを求めている。

「せっかくこういう関係になれたんだから、すぐに終わりにはしたくないんだ」

「そんな・・・、どうすれば・・・」

「泊まっていってほしい」

「それは・・だめです。一度銀行にも戻らなければいけないし・・・」

多分そうだと耕司も思っていた。

「それなら一度戻って支度をしてからもう一度来てくれないか。ゆっくり夜を過ごしたいんだ」

「そんな・・ここまで・・・・」

京子はしばらく黙り込んだ。もし自分の恋人だったら、絶対にすぐ挿入を求めたろう。身体が経験したことがないくらい火照っている。

 「わかり・・・ました・・・。でも、何か気に入らないことでもあったんですか?」

「いいや、本当にゆっくりと二人になりたいんだ。今、先に進むと離したくなくなるかも知れない」

そう言われて京子は納得した。確かにその通りだ。それに戻るのが余り遅くなると余計な詮索をされないとも限らない。

「解りました。一度戻って支度をしてからもう一度来ます。二時間くらいかかりますが、いいですか?」

「うん、待ってる」

 

 京子は脱ぎ散らかされた下着を付け始めた。耕司はじっと見ている。こんな恥ずかしい想いは初めてだった。京子は下着を付け終わるとリビングに戻り、服をゆっくりと着た。身支度を整えた頃、耕司が寝室から全裸で出てきた。

「ちゃんと待っているから。この部屋を出る前にもう一度口でしてくれないかな」

そう言ってソファーに座る。京子に拒絶できるはずがなかった。耕司の前に跪くとゆっくりと肉棒を含む。先程のいやいやのフェラチオとは違ってかなり感情のこもったいやらしい舐め方になっていた。

 耕司が京子のうなじを指で撫で上げたり、手を下に伸ばして胸を軽く揉むと、

「んん、んーっ」

と京子の口からくぐもった声が漏れてくる。身支度を整えた京子はぴっちりとした隙のない格好の制服を着た銀行員だ。しかし、中身は既に耕司に全てを許すと決めた女そのものだった。

 「ありがとう」

耕司の言葉で顔を上げた京子は既にその気になっているのが良く分かった。

「ここからどれくらいかかるの?」

そう言いながら隣に座らせ、手を回してピッタリとしたベストの上から膨らみをゆっくりと揉む。

「アアン、だめです、そんな事したら、早く戻らないと、ああっ、だめですぅ」

京子は両足を擦り合わせながら耕司の腕の中で悶える。

「少しだけこっちも触ってあげるね」

そう言って、京子の身体を膝の上に載せるとスカートの中に手を入れ、敏感になっている秘核を可愛がる。

「イヤーッ、だめですーっ、アアーッ、こんなのイヤーッ、アアッ、こんなのぅ」

京子は嫌がったが、その声には艶があった。

 耕司が制服姿のまま悶える京子に満足して手を抜いたとき、京子は我慢の限界に来ていた。

「あの・・・、こんな・・いじわるされて・・・がまんできなく・・・」

そう言って耕司を見上げる京子を抱きしめてゆっくりとキスをする。そして、立ち上がると京子の顔の前に肉棒を突き出した。何も言わずに京子は口に含む。ゆっくりとフェラチオを続ける京子に、

「早く戻って来るんだよ。待ってるから」

と言った。