麻衣は残業に区切りをつけると時計を見上げた。もうすぐ7時だ。京子と別れてから3時間以上になる。京子はまさかまだ説明をしているわけではないだろうが、何故戻ってこないのかわからなかった。別れたアパートまでは歩いて15分ほどしかかからないのだ。余り遅くなるようなら、嫌なことだが上司に報告しなくてならない。そうなれば明日になってから徹底的に搾られるのは目に見えていた。あの時、京子とどうして一緒に出なかったのか悔やまれた。

 京子が突然無言で入ってきた。

「京子、今まで何してたの。心配したんだから」

「ごめんね、プランを作っていたら遅くなって」

「プランって、いったい何の・・・」

二人は定期を売りに行ったのだ。せいぜい金額、コースくらいしか選ぶものはない。時間がかかるはずがないのだ。

 

「ごめんね、今日は時間がないの」

麻衣が話し始めた途端に京子は席を離れた。自分の席で手早く後片付けを始める。麻衣は京子の席まで来ると、

「このまま帰っちゃうの?明日が大変よ」

と小さな声でささやく。

「いいの」

京子は一言だけ答えた。京子は書類仕事をまとめに入ったようだ。どうしても今日中に合わせておかなくてはいけない数字がたくさんあるはずなのに、次々に書類を終っていく。

 

 麻衣は驚くと言うより呆れていた。こんなことをしたら明日の始業直後から課長にののしられ続けることになる。昼食を取るどころではない。多分トイレにだって行かせてもらえないだろう。何の予定があって急いでいるのかは知らないが、それよりも大事な事なんて麻衣にはとても思いつかなかった。『京子は退職を覚悟したのかも知れない』そんな気がした。『退職して他の仕事を探す、それはそれでいいかも知れない。こんな職場にいたって・・』大急ぎで片づけを済ませて京子が課長の席に行くのをぼうっと眺めながらそんなことを思った。京子は課長に小さな声で何事か言うと、ロッカー室に向かった。「ごくろうさん」京子の後ろ姿に声をかけた課長は、

「そうか、上手く行くといいな」

と今度は麻衣に向かって言った。その声を聞いてますます麻衣にはわからなくなった。

 京子が自宅に戻って支度をしてから耕司のアパートに戻ってくると、既に夕食の準備ができていた。部屋に入った京子に、

「早かったね、戻ってきてくれてありがとう。食事の用意ができてるよ」

と言って、優しく抱きしめ、唇を求めてきた。京子はゆっくりと応じながら身体が再び燃え上がってくるのを感じた。耕司のアパートを出てから、火のついた身体を持て余していたのだ。早く戻れば身体を満たしてもらえる、その想いばかりが何度も身体を駆けめぐった。

 

 耕司の用意した料理は洋食の宅配だった。近頃、銀行の近くの商店街にできた少し高級な味と値段を売り物にしている店だ。京子はまだ食べたことがなかったが、結構いけるという噂だった。クリームスープ、生ハムの乗ったサラダ、スズキのポワレ、ヒレステーキにオレンジの乗ったチョコレートケーキまで付いている。こんな食事はしばらくしたことがなかった。入行したての頃は、まだ銀行に少しは余裕があったので、歓迎会ではかなり良い食事が出た。二次会ではスカイバーにも連れていってもらった。しかし、その後は給料が上がるどころか下がり、ボーナスもほとんど出ないままだった。仕事がきつくても給料が良いのが銀行の良さだったのに、きついだけになってしまった。

 

 耕司と宅配の洋食を食べながら、今までの生活は何だったろうと思い始めた。高校の友人からは、お給料が良いから我慢できるわよね、と言われたが、実際の手取りは友人の方がずっと多かった。ボーナスで旅行したりブランド物を買いそろえる友人を後目に、

「ウチは銀行なんだから貯金しなくちゃ」

と言って笑ってごまかした自分が哀れに思えてきた。とにかく耕司にくっついていれば新しい生活ができるかも知れない。自分では食べることのない食事を少しずつ味わいながら耕司に身体を許すことが全ての始まりになりそうな予感に思えてきた。

 

 食事が終わると、耕司は京子をソファーに誘い、肩に手を回してゆっくりとうなじを指でなぞりながら話し始めた。

「京子さんに出会えて、今日は最高の日だよ」

「はい・・、嬉しいです・・」

うなじから再びあの感覚が沸き上がり始めた。

「今までずっと一人だったから嬉しくて」

「あの、奥さんはいつ亡くなったんですか」

「もう1年半になるかな。早いような長いような・・・」

「あの、遊びでなければ・・・・、お付き合いさせていただいても・・・」

京子はうなじがくすぐったそうにポツリと言った。京子は自分がこれからすることに理由を付けたかった。偶然出会って恋人になるのなら何の問題もない。耕司とはそう言う関係と言うことにしたかった。

 「もちろん、こんな出会いを無駄にしたくない。京子さんとできれば大切な関係になりたいと思っているんだ。ほんとだよ」

耕司は京子の目を見て真剣に答えた。その言葉を聞いて京子は安心した。既に身体の準備は整っている。正直待ちきれなくなってきていた。

「あの・・・、私もそうなんです。今夜は・・優しくして下さい」

そう言うと耕司に身体を預けた。

 

 耕司は覚悟を決めた京子をソファーの上で横抱きに抱きしめて濃厚なキスをしながら胸の膨らみを撫で始めた。京子はすぐに反応してきた。耕司はじっくりと愛撫を続け、京子が我慢できなくなるまでゆっくりと反応を楽しんだ。次第に京子の身体がはっきりと動くようになり、足が擦り合わされてスカートがめくれてくる。

「身体が動き始めたね。感じてきたの?」

「いや、見ないで下さい。アン、何か、変な感じが・・あ、んーっ、恥ずかしいから。こんなとこで」

「さっきだってここでしたばかりじゃないの。最初はここで愛してあげるから」

「あう、こんなの、ここはいや、ちゃんとベッドで・・あ、いや」

「どうしてほしいの?言ってごらん」

「ああ、だめ、こんなの、我慢できなくて、身体が、んっ」

京子は耕司が欲しくなってきていたが、耕司に気に入られなければ何にもならない。じっと耕司のリードに任せるしかないのだ。

 

 耕司は快感に悶える京子をじっと見て楽しんでいたが、やがてゆっくりと花柄のブラウスのボタンに手をかけるとゆっくりと外していった。京子はもはや何も言わなかった。ボタンを全て外すと耕司はゆっくりとブラウスを開き、京子の肌が待つ開かれた中にゆっくりと顔を埋め、舌でブラジャーの上から愛撫を始めた。

「あっ、そんなの、さっきはっ、くうーっ、いや、早くぅ、ここまで、アン、我慢できない」

「どうして欲しいの、言ってごらん」

「いやぁ、早く優しくして、お願いだからぁ、アーッ」

「言えばしてあげるんだけど、まだなのかな」

「そんな、早くさっきみたいに、んんっ、ちゃんと、してっ」

 「こうして欲しいのかな?」

ブラジャーの中から存在を主張している尖った部分を軽く唇で挟んでやる。

「あーっ、だめ、もう我慢できない、外して下さい、ブラを、早く」

「わかったよ」

耕司はブラジャーのフロントホックをパチンと外すと、中からこぼれ出た可愛らしい膨らみを外側から舐め始めた。しかし頂上は微妙に避け、京子に更におねだりを要求する。

「はうぅ、もっと、ちゃんと、早くぅ、食べてぇ」

「ちゃんと言えばしてあげるんだけど、もう少しなのに」

「だって、恥ずかしくて、あう、して、早くぅ」

「それだけかな、それ以上は言えないの?」

「言います。ちゃんと言いますう。オッパイを乳首を食べて下さいぃ。アーッ、くぅーっ、はぁーっ、あああぁぁーっ」

耕司がぱくっと乳首をくわえて舌で転がすと京子が身体を仰け反らせて喜ぶ。

 

 乳房を愛撫しながら耕司はスカートの中に手を入れてストッキングを探る。スカートは腰のかなり上の方まであるので、そのままストッキングを脱がすことが可能なようだ。ストッキングの上から徐々に巻き取るようにして脱がしていく。京子は胸を可愛がられながらだったので仰け反った姿勢のまま、軽く腰を上げて協力する。ストッキングを脱がすと、耕司はパンツの上から既に尖っている秘核の辺りをゆっくりと撫で始めた。新しい感覚が京子の身体を満たし始めた。

 「あ、そんなこと、許して下さい、だめですぅ、ああっ、身体が、感じて、ううっ、アーッ、恥ずかしいっ」

京子は耕司の腕の中でじっと見られながら感じることに猛烈な恥ずかしさを感じていた。こんな明るい部屋でこんな恥ずかしいことをされたのは初めてだった。しかも、身体は次第により高い快楽を求めて感覚を鋭くしていく。耕司の指が微妙な辺りを撫で上げるたびに次第に腰まで反応を始める。耕司は思い切ってスカートを捲り上げ、パンツをさらけ出すとより微妙な刺激を加えていった。

 既にパンツがびっしょりと濡れているのは分かり切っていた。家に帰ってあわててシャワーを浴びたときでさえ、べっとりと濡れているパンツに驚いたくらいだ。あんなに自分で濡れるとは思っていなかった。それだけ耕司に身体に火を付けられたのだ。今はあの時と同じかそれ以上のじれったさだ。どうやっても我慢できるものではない。耕司に優しく愛される自分の姿を想像しながら、ついに京子は我慢に我慢を重ねた言葉を吐いた。

「耕司さん、お願いです。パンツを脱がせて下さい。指でちゃんと可愛がって」

 耕司がそっとパンツを脱がせると、じっとりと濡れた秘部が部屋の光を浴びた。京子はぴっちりと足を閉じようとしたが、耕司の手は優しく、しかし力強く両足を全開まで開いていった。

「いいかい、このまま足を閉じちゃだめだよ。いいね」

そう言うと、指が茂みの中に入っていった。周りの果肉をほぐされるだけで京子の身体は仰け反ってしまう。指でゆっくりと秘唇を撫で上げられるだけで何度も上半身をビンと張って耕司の目の前に半球型の乳房を突き上げた。それを耕司は優しく食べると再び身体が反り返る。

 

 「こうされるだけじゃ我慢できなくなってきたんじゃないの?」

「いや、そんなこと言わないで。我慢できなくなるぅ」

「ちゃんと言ってごらん、聞きたいんだ。京子さんの恥ずかしいおねだりを」

「いや、恥ずかしいから。早く、して」

「言ってごらん」

「ああ、このまま、指を入れて」

「こうかい?」

「アアーッ、イイッ、そんなにしたら、凄いッ、アアーッ、いや、抜いちゃイヤ、くぅーっ、あーっ、もっとぉ」

耕司がゆっくりと指を出没させると京子の口からは喜びの声があふれ出た。

 

 胸をはだけて露出させられ、スカートをめくり上げられて秘唇を指でもてあそばれているにもかかわらず、京子は心の中に幸せを感じていた。耕司に喜んでもらっているという充実感があった。それを手に入れるためには恥ずかしい格好も許すことができた。耕司は一通りやりたいことはやったので、京子を床に降ろし、また口で奉仕することを求めた。京子は息を荒げながらも耕司の物を口に含んだ。今度は京子にするに任せ、耕司はゆっくりとタバコに火を付けて煙の向こうの京子を愛しそうに眺めた。京子は何度もむせそうになりながらもけなげに舐め続けた。耕司の肉棒を下から上につーっと舌で舐め上げて悪戯っぽく笑ってさえ見せた。それは以前にレディスコミックで見た通りの仕草だった。

 

 「さあ、ベッドに行こうか」

耕司がゆっくりと京子を抱き上げると京子は期待に心を躍らせて耕司に身を任せた。抱き上げられて運ばれる間、京子ははだけたブラウスの襟を合わせ、やっと訪れた時間にどうやって気に入られるかを考えていた。耕司はベッドの手前で京子を降ろし、

「全部脱いでベッドに上がって」

と言うと、自分も全ての服を脱ぎ始めた。本当は耕司に脱がせて欲しかったが、京子はここで時間を無駄にしたくなかったし、何よりも耕司の機嫌を損ねたくなかったのでゆっくりと服を脱ぎ始めた。先に脱ぎ終わった耕司はベッドの上に上がると中央で待った。ブラウス、スカート、そして既に外されたブラジャーを脱いで全裸になった京子は、胸と秘部を手で隠しながらベッドに横たわろうとした。

「そのまま四つん這いになって」

耕司はそう言うと、膝立ちの姿勢で京子を迎えた。

 

 じっと、耕司の横で恥ずかしい姿勢をとりながら京子は耕司を待った。

「恥ずかしいの?」

「はい・・・、こんな格好・・したことないから・・」

その言葉に満足した耕司は、ゆっくりと左手で胸を下から可愛がり、右手を尻の方から差し込んでいく。しかし、乳房は周りを愛撫されるだけで、秘部も毛の生え際の方を撫でていた。

「もっと足を開いて」

「あ・・は、恥ずかしい」

そう言いながらも、京子は言いつけ通りに次第に足を開いた。秘唇がはっきりと露出するくらいまで大きく足を開くと、耕司の指はゆっくりと既にたっぷりと濡れている秘唇を撫で始め、乳房の愛撫も裾野から中心に近づいてきた。

 「あ、あああ、アン、恥ずかしい、ああん、はぁーっ」

京子の声が次第に切なく、熱のこもったものに変わっていく。

「耕司さん、ああ、こんなに、しないで・・、アアーン、こんなにされたら・・クッ・・」

耕司がゆっくりと乳房を握るたびに、ゆっくりと秘核の周りを撫でるたびに、京子の身体はピクッと反応し、熱い吐息が漏れた。

 

 「こんなにしたら、どうなるのかな?」

耕司の右手が更に深く差し込まれ、指がたっぷりと液体を吐き出している秘唇の中に吸い込まれていくと、

「アアッ、イタッ」

と一瞬京子は身体を硬直させたが、ゆっくりと入ってきた指は次第に身体の中心から我慢できない感覚を作り出しはじめた。

「ハアーン、こんなの・・・・」

『久しぶり』とはとても言えなかった。しかし、身体は次第により強い刺激を欲しがりはじめる。

 「どうかな?」

耕司はゆっくりと指を動かしながら京子の中を確かめていた。まだ肉壁がかなりブツブツしているところを見ると、余り経験はないようだ。じっくり指で燃え上がらせる必要がありそうだ。次第に指の動きを早くし、左手で下から揉み上げている乳房にも相応の快感を与えてやる。

 

「アアーン、そんな、だめ、こんな格好で、ううー、はっ、だめ、はあッ」

京子が次第に姿勢を崩しはじめ、ベッドにべったりと身体を沈めていく。

 「ちゃんとしてないとだめでしょ」

耕司は京子の腰を持ち上げると、尻を高く突き出した格好をとらせる。

「耕司さん、許して、アアン、そんなにしないで・・・、クウッ」

耕司は指を二本に増やして更にじっくりと攻め続ける。

「アアッ、だめ、きつくて、アウ、クッ、あーっ」

京子は最初痛がったが、次第に快感のみを受け入れていく。尻を突き上げて中をかき回されたことなど無かっただけに、恥ずかしさと快感で必死にシーツを握りしめながら声を上げることしかできなかった。

 

 「さあ、今度はこれだよ」

耕司は手を離すと、京子の顔を再び肉棒に近づける。猛烈に燃え上がっている身体に戸惑いながらも京子は大きく口を開いて肉棒を含んだ。

「するたびに上手になるね」

そう言いながら時々クイックイッと突き出す。京子はむせながらも必死に飲み込もうとした。これからそれに貫かれるかと思うと怖いような待ち遠しいようなとてもエッチな感覚にとらわれた。

 「欲しくなった?」

「あの・・・はい」

「それじゃ横になって」

「そっと・・・して下さい。あまり・・上手じゃないから」

口から出した肉棒を丁寧に撫でながら京子は言った。

「大丈夫だよ。夢中にして上げる」

その言葉が京子に残っていた小さなためらいをも捨て去った。京子が横になり、耕司が両足を開いて挿入の体勢を作る。しかし、最初は乳房を両手で丁寧に揉みながら乳首を口の中で転がすだけだ。

 「ハン、そんなの、ここまで来て、耕司さん、クッ、焦らすなんてっ」

既に覚悟を決めた身体はどんどん反応していく。両足を擦り合わせることができないので次第に秘核は充血し、もどかしさで我慢できなくなってくる。

「アアン、うーん、早くっ、はあッ、ねぇ、お願い」

京子の腰は次第に耕司の下で動き始める。

「あれ、腰が動き始めたね。どうしたのかな?」

「イヤ、そんなこと言わないで下さい。恥ずかしい・・・焦れったい」

京子は耕司が焦らしたがっていることには気が付いていたが、身体が言うことを聞かなかった。次第に大胆に腰が動き出す。

 

「いや、早く、こんなにしないで、早くして、はうぅ、あーん、我慢できない、早く入れてぇ」

「とうとう白状したね。ちゃんと言ってごらん、何を入れて欲しいの?」

「いや、そんなのイヤ、早く、優しく愛して、くうっ、ねえってばぁ」

耕司は乳房を揉まれながら悶える京子をたっぷりと楽しんだ。耕司が腰を動かして、肉棒を秘口に当てる。京子は期待に身体を固くするが、挿入はしてこない。入り口をほぐしているだけだ。

「アアン、耕司さん、はあッ、はあッ、もう、お願い、入れて」

こんな焦らされ方をされてもおとなしく我慢できるほど京子は経験が多くなかった。

「ちゃんと言わないとこのままだよ。言えるまで」

耕司ははっきりと言い切る。

「ダメェ、入れて、耕司さん、オチンチンを入れてぇ、我慢できないのぉ」

京子が腰を突き上げながら最後の言葉を吐く。京子自身、そんなことを言った記憶すらなかった。

 「ほうら、欲しかったオチンチンだよ」

耕司はゆっくりと挿入していく。

 

「クウッ、それ、早く、もっと、アアッ、おっきい、凄い、あああっ、きついッ」

「やめようか?」

「ダメッ、そのまま入れてっ」

京子は耕司に抱きつくと、自分から腰を突き上げて迎えに行った。次第に耕司の肉棒が京子の中に飲み込まれていく。そこからあとは京子は夢中で何も覚えていなかった。ただ快感と充実感に身体が猛烈に反応していただけだった。

 ゆっくりとした抽送から次第に動きを早くしながら、耕司は京子の身体に満足していた。これならば仕込み甲斐もあるし、楽しめそうだ。時々、グッと深く入れると先端がコリッとした子宮口に当たり、根元がきゅっと締めつけられる。

 

 次第に耕司の感覚が高まってきたが、それよりもわずかに早く京子の方がいきそうになってきたようだ。声が高くなり、自分から大胆に腰を動かしはじめる。

「どうしたの?我慢できないの?」

そう言いながらゆっくりとした動きに変えると、

「イヤッ、このままがいいの、やめちゃいや」

と京子は絶頂から引き離されることに抗議する。

「いったことはあるの?」

「無いの、だから、お願い、アアン、もっと、やめないで、もっと」

とうわずった声で要求する。

「アアッ、もう少し、少しなの、そこでやめちゃいやぁ」

京子は何度も頂上寸前で連れ戻され、身体の中の感覚が爆発寸前なのを止めきれなくなっていた。

「お願いだから、いかせて、このままいかせて、奥まで入れてぇ、アアーッ、イイーッ、このまましてぇーっ」

「いくよ、出すよ、このまま出すよ、ほうら、いくよ」

「早くしてーっ、アーッ、そのままいくーっ、クーッ・・・クッ・・・」

京子の身体が強く仰け反ったので、耕司の身体が少し浮き上がったほどだった。素晴らしい締め付けが耕司の肉棒から全ての精を搾り取る。

 それからは、完全にいってしまった京子の身体は極端に敏感になっており、乳房を揉まれるだけで悶え、秘核を撫でられるだけで何度もいってしまった。下半身が流れ出してきた液体でベトベトになったのでシャワーを浴びたが、そのあとでも身体の火は簡単についた。最後は京子自身が挿入を積極的に欲しがり、シックスナインまでして耕司の肉棒を求め、今まで口にしたこともなかった言葉を吐き続けた。

 

 翌朝、うっすらと明るくなってきた頃に京子は目覚めた。まだ身体の中に小さな火が残っているのが分かる。しかし、今日は早めに出て残りの仕事を片づけねばならない。いつもはこんなことは考えたこともないが、今日は自信を持って出勤できる。ベトベトになった身体をシャワーで洗い流し、さっぱりとして出てくると耕司が待っていた。

「起きたの?早いんだね」

「お早うございます」

そう言うと、バスタオルで包んだ身体を耕司の横に滑り込ませる。出勤するのはもう少し先になりそうだった。

 「昨日はありがとうね」

「私こそ、うれしかった」

京子は耕司の胸を指でなぞりながら身体を擦り付けるように甘えてくる。

「あんなに激しくするんだもの、耕司さんたら」

その言葉には既に自分は恋人であるというような響きが入っていた。耕司が何も言わずにいると、次第に指は胸から下へと降りていき、昨夜京子を頂上に何度も引き上げたものを撫で始める。

 

「欲しくなったの?」

「ううん、でも、可愛い」

そう言いながらゆっくりとしごき始め、耕司の上に被さって京子から唇を求めてくる。

 耕司は京子のバスタオルを外すと、

「このまま上においで」

と京子の下を向いた三角の乳房を可愛がり始める。

「ああん、だめぇ、朝からこんな事したらぁ」

そう言いながらも京子は乳房を何度も耕司の口に擦り付け、

「手もして、ね、いいでしょ」

とおねだりを始める。耕司がその通りにすると、

「アン、感じてきちゃう、そんなに上手にしたら・・アン、気持ちいい」

と耕司の上にまたがり、茂みを押しつけてくる。

「そのままもっと上においで」

そう言うと、耕司は麻衣の腰を抱え込むようにして自分の顔の上に導いた。

「イヤ、そんなの、だめよ、アアッ、ダメッ、そんなにしたら、ああーっ」

京子は耕司の舌が茂みの中をつつき始めると、どうしようもないと言う感じで耕司の顔に秘唇を押し当て、耕司が両足を大きく開いてやると、

「ダメ、アアッ、イイッ、ダメッ、止まらないッ、もう、あーっ」

と自分から腰を使い始める。耕司は必死に舐めながら京子の変わり様に驚いていた。

 京子がやっと腰を離すと、

「そのまま後ろに下がって自分で入れなさい」

と耕司は言った。京子は息を弾ませながら、

「ああん、そんな事したこと無いのにぃ」

と言いながらも自分から腰の位置を合わせて、耕司の上で四つん這いになって肉棒を挿入しようとする。朝で固くなっていた肉棒は、最初はなかなか入らなかったが、何度か京子が腰を動かしていると、スッと中に吸い込まれた。

 「はあッ、入った、自分で入れちゃったの、クウッ、アアッ、奥まで入ってくる」

自分の痴態に興奮している京子は耕司が積極的に動いていなくても次第に動き方を覚えて耕司の上で腰をうごめかせ始めた。『やっぱり中は最高だ。でも、いつまでこの子に満足できるかな』一晩で変わってしまった京子を眺めながら耕司は腰を突き上げた。

「アーッ、突き上げるなんてっ、イイーッ」

京子の声が響き、身体が仰け反って丸い乳房が突き出される。それを下から揉み上げると、更に声は大きくなった。

 

 麻衣が机に着いたときには、既に京子はかなり仕事を進めているようだった。

「京子、昨日はどうしたの?それにいつもは私より遅いのに」

小声で尋ねる。京子はチラッと麻衣を見ると、

「私、大口を取ったの。それだけよ」

と軽く言った。しかし、その響きには麻衣に対するさげすみのようなニュアンスが込められていた。まるで『もう私はあなたとは違うの』と言っているような感じだった。ムッとした麻衣はそのまま自分の机の仕事に戻る。

 

 朝礼の時間も京子は麻衣には知らん顔だった。普段は近づこうともしない課長や先輩の机に何事か資料を持っていって相談しては、相手の驚く顔を楽しんでいるようだった。昨日までの京子とは大違いだった。

 3時に窓口が閉まると、京子は勇んで立ち上がり、課長に許可を取ると待ちきれなかったかのように外出していった。麻衣はそれを見ながら友人を一人心の中で消した。その麻衣を少し離れたところで課長がそれとなく見ていた。課長の机の上には京子の作ったプランが置いてあった。課長はじっとそれを見る。見ているのは金額の欄ではない、氏名の欄だ。課長にはその名前に見覚えがあった。確か妻が交通事故で死んで、その両親の遺産も込みでまるまる相続したとか言う若い男性だったはずだ。

 

 『とうとうはまったか・・・』この男性は今まで3回ここの銀行で定期を作っていた。その度に先程の京子と同じような別の若い女子行員の姿も見た。彼女たちはそれ程仕事はできなかったが、それだけに摺れていない着実な仕事をする行員ばかりだった。しかし、その女子行員達が元気だったのは最初の1ヶ月位なものだ。最初こそ何度も定期を取ってくるが、次第にその回数が減り、今度は解約が始まる。そうなると女子行員は目を血走らせてこっそり何度も抜け出してはどこかに出かけていく。預金も取らずに外出ばかりされるわけにはいかないので、そうなると注意せざるをえない。じっと机の上でふさぎ込む日が多くなる。そして、ある日ふっと消えるように辞めていく・・・。

 

 しかし、その男性は作った定期も全て解約するわけではないので、調査会社のリストにはいつも上位に顔を出す。銀行の幹部は気付いていながら最終的に残る定期の金額もバカにできないので知らん顔だ。課長としては部下の女子行員にむやみに辞めて欲しくなかったので何度も部長に掛け合って許可を取り、やっと調査会社のリストの掲載順を変えてもらったばかりだった。『順番に回っていればどこかの商店主の所で契約にありつけたはずなのに』 普通の商店主は女房に知られず定期を作ることなどできない。『商店街の方から回っていれば・・・』すでにどうしようもない歯車が回り始めた京子と、何も知らずに寂しい顔をしている麻衣を見ながら、課長は『今日は深酒になりそうだ』と思っていた。