第103部


 「話せないの?」
「ううん、話す。ちょっと時間かかるけどごめんね」
そう言うと菜摘は覚えてる限りの晃一との出来事を話し始めた。
「最初はね、まだバージンの時、パパの横に座ってるだけだったの。そうしたら、ちょっと手を腰に回されて・・・私、嬉しかったからちょっと寄りかかって・・・そしたら手が胸の方に来て・・・そうしたら少しずつ身体が温かくなってきて・・。でも怖かったから緊張してて・・・じっとしてたら・・・そっと膝の上に横にしてくれて・・・・でもやっぱり怖くて・・・・制服のジッパーを下ろされてもじっとしてた・・・・」
「それだけ?」
「そしたらお昼になって、ご飯を食べに行って、帰ってきてからもう一度されて・・・・優しく触ってくれたの・・・・そしたら気持ち良かった」
「それだけなの?脱がされなかったの?」
「みんなに話したのと同じ。最初はそれだけ・・・・」
「そうなんだ・・・・・」
友紀は晃一がどれだけ菜摘を大切に扱ったのかを改めて思い知った。奥手の菜摘がそう簡単に許すはずが無いが、きっと辛抱強く丁寧に時間を掛けて優しくしたのだろう。
「それじゃ、その後の本番はどうだったの?」
「あのね・・・・、みんなには思い切って脱いじゃえって言われたけど、やっぱりできなくて、まず同じ事してって言ったの・・・・」
「あんたが自分から言ったんだ」
「そう・・そうしたら、そっと少しずつ触ってきてくれて・・・・自然に・・・・」
「それで脱がされたんだ」
「ううん、ジッパーを下げただけ。私が良いって言わない限り脱がさないって言ってくれたから・・・そしたら安心できて・・・・・だんだん感じてきて・・・・我慢できなくなって・・・・・・・・脱がしてって言えて・・・・・・」
「そうだったんだ。もう脱いだ時に菜摘の身体も十分感じるようになっていたんだ・・・・。確か、その次の時にロストしたんだったよね」
「そう・・・・・」
「じゃぁ、その日にしたのは・・・・・」
「口と指まで・・・・」
「それじゃ、息と声もされたんだ」
「うん・・・・された・・・・」
「でも、徹底的に教えられたんでしょ?」
「うん・・・でもその日は遅くなっちゃったから・・・・」
「たぶん、ロストしてないってだけで、してることは普通と変わんないよね」
「そうかも・・・・わかんないけど・・・・」
菜摘は指を2本入れられた時にシーツが赤く染まったことを思い出した。
「指を入れられて出血したの?」
「うん、少しね・・・・」
「それから指でされたんだ」
「指でも結構痛かったし・・・・でも、いっぱい教えて貰った・・・・」
「それじゃ、次の時のことも話して、次の週だったよね」
「・・・うん・・・・・」
「どんなことされたの?」
「最初は膝の上で優しくされて、それからパンツに手を入れられて・・・・・・それでいきそうになって・・・・・・それからベッドに連れてって貰ったの・・・・・」
友紀はそれを聞いて、晃一は一度も友紀をベッドに連れて行ってくれなかったことに気が付いた。確かに菜摘の報告会でベッドがあることは聞いていたが、今まで一度も意識したことは無かったし、晃一からそう言われたこともなかったからだ。友紀はまた更に落ち込んだ。
「それでベッドで?」
「うん、最初、私が脱ぐのを少し嫌がったから、パパがそれなら自分で脱ぎなさいって言って・・・・私ができるまでじっと待っててくれたの・・・・」
「目の前で脱いだの?」
「そう、恥ずかしかった・・・・・」
「全部脱いだの?」
「そう・・・・裸になったよ・・・・・」
友紀は自分にそれができるだろうかと思った。いくら全てを許したとは言え、じっと見られながら全裸になるなど恥ずかしくて無理だと思った。やはり菜摘のようにスタイルが良いからできるのだろうと思ったのだ。
「でも、それからベッドでいっぱい優しくしてくれて・・・いっぱい焦らされて、おねだりもいっぱいさせられて・・・・」
「おねだり?」
友紀は焦らさせるのは分かるが、おねだりをさせられた経験があまりなかったのでちょっと不思議に思った。
「うん、恥ずかしいこといっぱい言わないといけないの・・・・」
「どんなこと?」
「・・・・・おっぱいを揉んで下さい、とか・・・・・・指を入れてズボズボして下さい、とか・・」
友紀は菜摘が恥ずかしそうに言っているのを見て、もう少し言わせてみようと思った。
「それだけ?」
「・・ううん・・」
「他にはどんなこと言ったの?」
「・・・菜摘はもう我慢できません、とか・・・」
「他には?」
「おっぱいを揉んで・・・・とか・・・」
「それから?」
「・・・・あの・・クリトリスをいっぱい舐めて下さい、とか・・・・・」
「そんなこと言わさせられたんだ。まだある?」
「・・・・・・おちんちんを入れて下さい、とか・・・・」
友紀は晃一に軽くおねだりさせられたことはあったが、これほど徹底的に言わされたことはないと思った。きっと菜摘が恥ずかしそうに言うのが好きだったのだろうと思った。
「それで・・おねだりしたらいっぱいしてくれて、そのほかに・・お口でする方法を教えて貰って・・・・・パパもいっぱい口でしてくれて・・・・」
「そうなんだ」
「それで初めていかせてくれたの」
「そうだったね、その直後に入れられたんだったよね」
「うん、凄かった」
友紀はそうだろうと思った。自分のように経験済みでも晃一の肉棒は納めるのが大変だったのだから。
「それからは何したの?」
「後ろから一回されて・・・・それからリビングに移って、指で可愛がって貰ってから入れて貰って上になったの・・・・・」
「その時も言わされたの?」
「うん・・・・いっぱい・・・」
「どんなこと?」
「おちんちんでズボズボして下さい、とか・・・・」
「他には?」
「・・・・おちんちんでいかせて下さい、とか・・・」
「それから?」
「やめちゃいや、とか・・・・・」
友紀は晃一の菜摘への接し方が自分に対するものとは根本的に違うと思った。晃一は自分に対して気持ち良くなれるようにいろいろしてくれたが、菜摘とは恥ずかしがらせたり言わせたり、と究極のコミュニケーションを楽しんでいる。友紀は、やはり晃一は菜摘が好きなんだと思わざるをえなかった。
「それで?」
「・・・それからは・・・着替えてきてからまた・・・・」
「あぁ、それは私と一緒。もしかして、制服を着てきたらまたされたんだ」
「うん・・・・・」
「私、今日もね、入れられてから上になって全部脱ぐように言われた・・・」
「・・・そうなんだ・・・・・」
菜摘は友紀が同じ事をされたのを知り、落ち込んだ。しかし、友紀はそうは思わなかった。
「菜摘、きっと恥ずかしがったんでしょ?」
「恥ずかしがったって言うか・・・・、だって、制服着たまま胸に触られたりブラ外されたりしたら、また脱がないと着れないでしょ?」
「それで嫌がったんだ。可愛らしく・・・」
「嫌がったんじゃ無いってば」
「それじゃ、夢中にならなかったの?」
「それは・・・・だって・・・・・・わかるでしょ?」
「きっと、菜摘とのことがあったから、あんなことするのが好きになったのね・・・・・」
「え?」
「だっておじさまがそれを最初にしたのは菜摘とでしょ?だから、菜摘とのことが忘れられないんでしょうね」
「そうなの?だってそれはパパの・・・・・」
「おじさまの好みかも知れないけど、でも最初は菜摘とでしょ?もし菜摘とのことが無かったら私だけのされ方だと思えたのに・・・」
菜摘は友紀の顔を見ながら話しているが、友紀はまっすぐ前を見て話しているので表情は分からなかった。しかし、友紀の声が細くなったような気がしたので、ふと菜摘が友紀の顔をのぞき込んでみると、頬に幾筋も涙が流れているのが分かった。
「友紀・・・・」
「良いでしょ。泣こうが笑おうが私の勝手なんだから。放っておいてよ」
「でも・・・・」
「上手くいったと思ってたのに・・・・・・菜摘の次だってなんだって、安心できる人を見つけたって思ってたのに・・・・・それが何よ。お互いにじっと気持ちを隠して・・・・私が惨めになるだけじゃ無いの。そんなの優しさでも何でも無いわ」
「何言ってるの?だってパパは・・・・」
「そうよ。確かに知らないわよ。でもね、結局同じじゃ無いの。おじさまが自分の気持ちに正直になればそれでお終い。そうでしょ?その日がいつ来るか、ビクビクしながら待ってなきゃいけないの?好きな人がいつか必ず離れていくのが分かってるのに?そんなの絶対嫌」
「友紀・・・・・・」
「あんたみたいな友達を持ったのが運の尽きよ。張り合えるなんて思ってなかったけど、振った相手まで気持ちを引き留めておくなんて卑怯よ」
「私のこと、まだ友達だって思ってくれるの?」
「当たり前でしょ?そうじゃなきゃ、どうしてこんな風になるのよ」
「友紀・・・・・・・・ごめんなさい・・・・・ごめんなさい・・・・」
菜摘は友紀がどれだけ辛い思いをしているかを目の当たりにして、心から友紀に申し訳ないと思った。菜摘の頬にも涙が流れ落ちる。友紀への済まない気持ちと、友紀の心遣いと、自分のした事への後悔とが入り交じる。
「今さら何言ったって遅いわよ。おじさまの心まで取っていくなんて・・・・」
「私・・・・・パパの所には行かない」
「そんなのあんたの勝手よ。好きにすれば良いでしょ?私には関係ないわ。あんたが行こうがいくまいが、おじさまの気持ちが変わらなきゃ意味ないんだから」
「ごめんなさい。私、友紀が許してくれるまでずっとこのままでいるから」
「許すも許さないも関係ないでしょ?それとも時間を戻してくれるの?純粋におじさまを好きで居られたさっきまでの私に」
「そんなこと・・・・・」
「それじゃ、菜摘はおじさまのこと、嫌いになれるの?抱きしめられたら振り解ける?嫌だって言える?」
「それは・・・・・・」
「ほうら見なさい。やっぱりそうでしょ?自分の気持ちは大切にとっておいて、いくら悲しい振りしたって心の奥では温かい気持ちが支えてるんでしょ?そんなの意味ないわよ。表面だけの同情なら自己満足よ」
「ごめん・・・・ごめんなさい・・・・・どうしてもパパを嫌いにだけは・・・・それだけは・・・・ごめん・・・・・私って勝手だよね、友紀がこんなに辛い思いしてるのに・・・・・ごめん・・・」
涙をポロポロ流しながら謝る菜摘を見て、友紀もいい加減気持ちを切り替えることにした。
「もう良いわ。勝手にしなさい。菜摘の近くの人に近づいたのがそもそもの間違いだったのよ。ばからしい。自分で自分が許せない。私、帰る」
そう言うと友紀は立ち上がって歩き出した。
「待って友紀!」
菜摘は慌てて追いかけ、友紀の手を引き戻す。
「もうっ、いい加減にしてよっ」
そう言って友紀はもう一手を振り上げた。しかし、菜摘がぎゅっと目をつぶったままじっとしていることに気が付くと、
「ばからしいっ」
と言って手を振り下ろすと菜摘を置いて歩き出した。菜摘が更に追いかけようとすると、
「ほっといて。付いてこないで。・・・・お願いだから、もう一人にして・・・。菜摘・・・ごめん・・」
と言って行ってしまった。菜摘は呆然としたまま公園に立ち尽くすしかなかった。追いかければ友紀をもっと辛くさせるだけだ。今の自分には何もできない。
「友紀・・・・・ごめん・・・・ごめんね・・・・」
家までの短い道のりで菜摘は自分がどうしたらいいのか考え込んだ。しかし、友紀の様子から、とても自分から晃一の所に行く気にはなれなかった。
その時になって、もともとは友紀に会ったら声を聞かされたことを問い詰めるつもりだったことを思い出した。『バカよね。声を聞かされたくらいで。覗かれたことに比べれば何でも無いもの・・・・・。友紀・・・・でも、友達だって言ってくれた・・・私、あんなことしたのに・・・・、私って猛烈に自分勝手。私ほどサイテーな子って居ないよね、きっと・・・』少なくとも友紀がどうなるのか見極めるまでは何もできない、そんな感じだった。
 その翌日、友紀と菜摘のことなど知らない晃一は、昼過ぎに麗華と喫茶店で落ち合った。晃一の印象では思ったよりも元気そうだった。今日の麗華は幅広のベルトがポイントのミニのライトブルーのワンピースを着ている。
「麗華ちゃん、ちょっとは元気になった?」
その言い方に麗華はむっとなった。
「何よその言い方。私、元気にならなきゃいけないわけ?」
その言葉で晃一は接し方を菜摘や友紀とは変えなくてはいけないことを思い知った。
「ごめんね。気に障った?」
「当たり前でしょ?いきなりそんなこと言えば誰だって怒るわよ」
麗華はそう言ったが、言いながら自分から呼び出したことと麗華自身も友達モードで言い返してしまったことに気が付いた。
「ごめんなさい」
「まぁ良いか。別に・・・」
「それで、聞いても良いかな?どんな感じになってきたの?」
恐る恐るという感じで晃一が切り出すと、
「それはね、ちょっと思っていたのと違うんだけど・・・・」
と言うと、少し考えてから話し始めた。
「昨日菜摘と話したんだけど、だいぶ菜摘に助けて貰ったから一度は気持ちが楽になったの」
「一度は?でも、それはよかったね」
「うん、それで、とにかくもう一度会って話をしなきゃって思って、さっき会ってきた」
「凄いね。自分からはっきりさせに行くなんて。やっぱりグループのリーダーだけはあるな」
「それほどでも無いわよ。これが私のやり方だから。それで、本当にどうしたいのか、気持ちはどうなのか、確かめてきた」
「彼はどう言ってたの?」
「それがね・・・・・・。菜摘に言われた時は、まだ彼は私のことを思っていて、単に話の流れで別れるつもりになってたのかと思ったんだけど、どうやらそうでも無いみたい」
「そうなの?俺も菜摘ちゃんと同じに思えたんだけど?」
「やっぱりおじさまもそうなんだ。だけど、本当はもっと複雑だったのよ。今度こそはっきり言ったの。私はまだ彼女で居たいって。でもね・・・・・」