第179部


「私ね、ここの部屋って特別なような気がするの。私が普段過ごしている学校や友達との世界とは全く別な世界。そんな気がするの。だからこの部屋の中では素直に話せたんだと思う。あんな事、友達にだって絶対に言わないもの」
「それじゃぁ、例えば美菜ちゃんと街の喫茶店とか、どこか静かなところで二人で話していたとしたら?」
「それでもたぶん、私が素直になれないと思う。だって、誰に見られてるか分からないもの。さっきみたいには、とても無理・・・。ここだから、この部屋だからなの、きっと」
「そうか・・・・。ま、それも良いかもしれないね。自分にとって特別に思えるのなら」
「ねぇ、ここには菜摘だけじゃ無くて友紀だって来たでしょう?もしかしたら麗華も。私もここの部屋にまた来ても良い?」
さりげなく麗華を入れてきたあたりはさすが女の子だが、晃一も知らん顔をして言った。
「うん、もちろん遊びに来て貰って構わないよ」
本来ならここで菜摘との関係をはっきりさせるべきなのだが、このときの二人は敢えてそこには触れなかった。
「うん、ありがと」
「今日、美菜ちゃんがここに来たのはさっきの話を相談したかったから?」
「たぶん、そうだと思う。私だってはっきりと分かってたわけじゃ無いから」
「でも、それなら問題は解決したって事だね?」
晃一はそう言ったが、それは美菜にとって、用事が終わったらさっさと帰るべきでは無いか、と言っているように聞こえた。そこで美菜は慌てて付け足した。
「うん、解決はしたけど、おじさま、今日はこれから何か用事あるの?」
「いや、特には無いよ」
「それじゃ、もう少しここにいても良い?」
「それは構わないけど・・・・・・、何かして欲しいこととか、希望はあるの?」
「うん、あのね・・・・・・・」
そこで美菜は初めて言葉を濁らせた。明らかに恥ずかしそうだ。
「どうしたの?」
「・・・・・あのね・・・・・・」
美菜は迷っていたらしいが、
「もう少しだけ、さっきみたいに甘えていても良い?」
と言ってきた。
「それはいいけど・・・・・・・・・」
言われた方の晃一が今度は言葉を濁した。
「だめ?」
「だめじゃないけど・・・・・・・・・・」
「嫌なら帰るけど?」
「嫌じゃ無いんだ。そう言うんじゃ無くて・・・・・・」
「どうしたの?」
「ううん、・・・・・・だって、こんな可愛い子、普通の状態であんな風にしてたら・・・」
「だめ?」
美菜はじぃっと晃一を見つめている。晃一は美菜に何もせずにいる自信は無かったが、嫌なら自分から帰るだろうし、その時は美菜に嫌われれば良いだけだと思って腹をくくった。
「うん、いいよ」
「よかった」
そう言うと美菜は立ち上がって晃一の隣に来た。そして、両手で胸をガードした姿勢のまま、再び晃一の膝の上に横たわってきた。
「もう、なんか、美菜ちゃんてこんなに甘えんぼだったんだ」
晃一は美菜の細い身体を抱きながらそう言った。
「そうね、私、子供になったみたいで楽しい」
そう言うと美菜はさっきのように晃一の胸に頬を擦り付けて目を閉じた。晃一が優しくそっと髪を撫で、そこから肩、背中へと撫で下ろしていくと幸せそうな表情をする。
ただ、やはり美菜はしっかりと両手で胸をガードしているので胸に触ることはできないが、もしかしたら特別な関係では無い以上普通のことかも知れない。すると、晃一の気持ちが分かったのか、美菜は目をつぶったまま片手で晃一の右手をとると、腰の下へと導いた。どうやら足の方まで撫でても良いと言うことらしい。
そこで晃一は、肩から背中を通ってスカートの上を通り過ぎ、太ももの辺りまでゆっくりと撫で始めた。特に足は布地が無いので美菜の吸い付くような肌がとてもよく分かった。背中から撫でているので太ももに触っても敏感な部分に触ることは無いだろうと思ったが、それでも晃一は注意して美菜の足まで撫でていった。
撫でられている美菜は、背中から腰、そして足まで撫でられるのがこんなに気持ち良いとは知らなかった。そして、これこそが文字通りの愛撫というものだと思った。優しい気持ち良さが全身に広がっていく。触られているという感覚では無く撫でられているという感覚は美菜にとって、特に男性から与えられたことは無かったのでとても新鮮な喜びだった。特に、美菜が自分から望まない限り先には絶対進まないと安心できる相手にして貰っているので余計な心配をする必要が無い。美菜は頬を晃一に擦り付け、押し付けた耳で晃一の心音を聞きながらとても安心できる時間を発見したと思った。
晃一の手は左手で美菜の身体を引き寄せており、右手は美菜の髪を撫で、背中からゆっくりと腰を通って太ももから膝の辺りまでゆっくりと細い身体を撫でていく。美菜の身体にはその優しい気持ち良さがゆっくりと全身を駆け巡っていった。
『気持ち良い。凄く気持ち良い。もっとしてっていったら怒られるかな?でも、せめてもう少しして欲しい・・・・』美菜は自然に身体の中に優しい快感が送り込まれていくのを楽しんでいた。『あ、足のほう、もっとそっちをして欲しいな・・・・うふ、そんなこと言えないけど・・・。足を撫でられてこんなに気持ち良いなんて・・・・』
美菜は両足をぴったりと閉じていたので晃一の右手は美菜の左足を撫でるのが精一杯で、右足は撫でにくかった。しかし、晃一にも美菜が足を撫でられているのを喜んでいるのは何となく分かってきた。足を撫で始めてから明らかに表情が柔らかくなってきたし頬を擦り付けるような仕草が増えてきた。
「足のほう、気持ち良い?」
晃一が聞くと美菜は微かに頷いた。
「もう少ししても良い?」
すると再び美菜はさっきよりも大きく頷いた。
そこで晃一は左足ばかり撫でていた右手で美菜の右足も撫でることにした。横抱きにしている美菜の右足は自分の側にあるので撫でるには右手を左足との間に差し込む必要があるが、敏感なところに近づきすぎないように注意しなくてはいけない。
晃一が美菜の右足も撫で始めると、美菜は最初『あっ』という感じで小さく口を開けたが、そのまま再び顔を晃一の胸に擦り付けただけで嫌がったりはしなかった。ただ、心持ち身体を反らせたような気がした。
美菜のミニスカートは短めなので、そのままでもかなり上の方まで撫で上げることができる。晃一は美菜の足を交互に撫でながら、初めて美菜の足をじっくりと観察することができた。単に細いだけでは無く、とてもバランスの良い綺麗な足だ。それに肌もとても綺麗で吸い付くような感覚がある。晃一は敏感な部分には絶対触れないように細心の注意を払いながら、丁寧に美菜の両足を撫で、そして背中から腰もゆっくりと撫でていった。
すると、ほんの少しだが美菜の両足が開いてきた。正確に言うとぴったり閉じていた両足の力が抜けた分、少しだけ両膝の間隔が開いたのだ。そこで晃一は開いた隙間に右手を差し込んで美菜の右足をしっかりと撫で始めた。
『あっ、手が』美菜はさすがに驚いた。しかし、拒絶したいとは思わなかった。正直に言えば、内股の部分を撫で上げられると本当に気持ち良いのだ。もちろんギリギリの所を撫でられているのは自分でも分かっていたので、これ以上されたら拒否しなくてはいけないと思っていた。ただ、晃一の右手は敏感なゾーンの少し手前からは近づいてこなかったので、もう少しだけこの感覚を楽しむことにした。
美菜が嫌がらないし、とても安心した優しい表情で抱かれているので晃一は美菜の内股の部分も丁寧に撫で上げてやった。そこを丁寧に撫でると美菜が喜んでいるように思えた。時々、ほんのわずかに美菜の口が『あ』というように開くのがとても可愛らしい。ただ、これ以上先に進むと菜摘に対してなんと言えば良いのか、言い訳できなくなるかも知れない。それもあって晃一は美菜の敏感な部分には絶対に触らないように気をつけて愛撫していた。
このとき、晃一に愛撫されながら美菜は身体に変化が起きていることに気がついた。ぼぅっと身体が熱くなってきたのだ。これは明らかに身体がその気になってきている証拠だ。『え、私、感じてるの?どうして?』美菜は自分の身体の反応に驚いたが、晃一は敏感なところには一切触っていないし、晃一にその気も無いようだ。だから美菜はこっそりそのまま晃一の愛撫を受け入れ続けることにした。ただ、撫でられている感覚はだんだんはっきりと快感に近いものに変わってきている。拒絶するなら早めにしなくては、と気づいたが、どうしても嫌がることはできなかった。
美菜の表情には明らかに喜びが表れてきていた。そうなると晃一としては許される範囲でその願いを叶えてあげたいと思う。そこで晃一は少しだけ美菜の両足を開いて、ギリギリの範囲まで愛撫を拡大して優しく丁寧に美菜の足を撫でることにした。そして自然に足を撫でている時間が長くなっていった。
『あぁ、なんか本当に気持ち良くなってきたかも・・・・。こんな事、とても言えないし・・・黙ってればわかんないかな?それならもう少しだけ・・・・ああぁ、本気で気持ち良いかも・・』美菜はじっと目をつぶったまま、晃一の胸に顔を埋めるようにして愛撫を楽しんだ。
しかし、それは美菜の身体にとって既に焦らしの範囲に入る愛撫になっていた。もう少しだけ敏感な部分に近づけばもっと気持ち良くなれるのは感覚の変化からよく分かっていた。しかし、今の美菜にとっても菜摘から晃一を奪うつもりなど無かったし、そんなやっかいな関係など望んでいなかった。それは晃一にとっても同じはずだ。もちろん美菜には晃一を彼にするつもりなど無い。単に愛撫を感じていたいだけなのだ。だから美菜は愛撫は晃一に任せて、それを受け入れることに集中した。
それは、愛撫を与える晃一と、それを受ける美菜の二人がかりで美菜の身体を焦らして追い込むことを意味していた。
さっきまでは晃一の膝の上で少し身体を仰け反らせて愛撫を受けていた美菜の上体は、晃一がギリギリの愛撫を施すようになってからはだんだんと晃一の胸に再び擦り寄るようになり、晃一の愛撫が本当に足の付け根ギリギリを丁寧に愛撫するようになるとぎゅっと両手を胸の前でガードしながら晃一の胸にすがりつくような感じになってきた。
「大丈夫?いやじゃ無い?」
晃一が確認してきた。しかし、美菜は小さく頷くだけだった。敏感な部分に一切触っていないのに、自分の身体がどんどん焦れてくるのは美菜にとって不思議なことだった。そしてこの愛撫は自分から仕向けたことでもあり、美菜は言い出せないのだ。それに、『まだあそこに触ってないんだから我慢できるはず』と思い込もうとした。だから足を開いて晃一に周りを触らせても大丈夫だと思ったのだ。
ただ、どれだけわずかな焦らしの感覚でも、それを解消する術を持たない限りじわじわと焦れったさが堪り続ける。そして焦れったさはどんどん大きくなってくる。次第に美菜は晃一の胸にしっかりと掴まるようにして焦れったい快感に絶えることになった。息も少しずつ弾んできたが、それでも『あそこを触られてるわけじゃ無いんだから大丈夫』と必死に晃一の愛撫に耐え続けた。確かに晃一の愛撫は気持ち良かった。全身がとろけてしまいそうな優しい愛撫だ。触るという感覚よりも触れるという感覚に近い。こんな風にされて感じたことなど今までに一度も無かった。だから必死に愛撫に耐えている理由の一つには新しい世界を感じたかったというもの確かにあった。
「んん・・・んんん・・・・んん・・・」
とうとう美菜の口から小さな吐息が漏れ始めた。晃一の指が美菜の敏感な部分にゆっくりと近づいてくると愛撫の快感に加えて秘核の予感がぐっと盛り上がってくる。しかし、その予感が最高潮になった途端に指が離れていってすぅーっと予感が小さくなっていく。愛撫の快感はずっと同じなので美菜はだんだん秘核の予感に意識が集中していった。そして、次も我慢できればその次にはもっとはっきりとしたものが得られるのでは無いかと我慢に我慢を重ねることになった。
「はぁはぁはぁはぁ・・・・」
ついに美菜の口から息が弾んできたことがはっきり分かるようになってきた。それでも二人は止めようとしない。
「はぁはぁはぁ・・んんんっ、くぅん・・・んんぁ・・・」
美菜は自分の声が出始めたことに気づきもしなかった。それよりも快感と更なる予感に堪えるのに必死だったのだ。
しかし、どれだけ我慢していても愛撫が加えられる以上、いずれは限界が来る。それは晃一では無く美菜の方の身体がきっかけを作った。
晃一の右手が美菜の右の太ももの内側を丁寧に愛撫しながらパンツギリギリまで近づいていったとき、美菜は我慢できなくなってほんの少し腰を浮かせた。そしてクンと美菜の小さな腰が少しだけ持ち上がった瞬間、晃一の指がほんの少しだけパンツの布地に触った。焦らしに焦らされていた美菜の秘核にはそれで十分以上の刺激だった。
「あっ」
美菜が声を上げ、慌てて足を閉じた。しかし、その時に晃一の手を両足で挟んでしまったため、晃一の指が美菜の秘核の辺りで挟まれた。その瞬間、更に大きな快感が美菜の身体を走り抜けた。
「あうっっ」
晃一が指を抜き去り、慌てて美菜を両手で抱き直した。美菜はまだ自分の身体に起こったことを理解していないようだった。
「ごめんね、あんなに敏感になってたなんて・・・・ごめん・・・」
晃一は謝ったが、美菜は何も言わなかった。ただ、じっと晃一の胸に顔を押し付けるようにしている。もちろん恥ずかしくて『感じちゃいました』などと言えるはずも無い。
実はまだ美菜の身体の中には先程の感覚が走り回っていた。さっきから両足を何度か擦り合わせているが、そのたびにまだ甘い感覚が身体を走り抜けていく。美菜は晃一の前で足を擦り合わせるのが恥ずかしかったが、どうしても止まらない。
晃一はそんな美菜の仕草を見てはいたが、さほど気にするようでも無く、
「美菜ちゃん、少しの間こうしてて上げるからね。そして落ち着いたら紅茶を入れ直してくるよ」
と言った。美菜は今度も何も言わなかった。
晃一の言葉から、晃一がこれで終わりにしようとしているのは明らかだった。しかし、美菜はその晃一の様子に、あれだけ焦らすだけ焦らしておいて放り出すなんてずるいと思った。今までじっくりと優しく触ってくれていたのに、ちょっと身体が予想外に反応しただけで止めてしまうなんて受け入れられなかった。正直、今は優しくはっきりと触って欲しい。美菜にだって性欲はあるのだ。恋人になりたいわけでは無いが、今のこの身体の状態を何とかして欲しかった。別に晃一の彼女になりたいわけでは無いと言う意味では菜摘に対して何ら恥じることは無いと思った。
晃一に抱かれて髪を撫でられているだけで、本当に気持ち良い。背中を撫でられるだけで気が遠くなるほどだ。じっくりと時間をかけた愛撫などされたことが無いだけに、今のこの身体の状態は美菜にとって新鮮な驚きだった。
「ちょっとだけ、感じちゃったね」
晃一が美菜の顔にかかった髪を撫で上げてそっと言った。しかし、美菜は自分でわざと髪を顔にかけて表情を隠してしまった。それは明らかに恥ずかしさの表現だった。
「少しは落ち着いてきた?」
美菜はここで頷けば晃一が席を立つことがはっきりしていたので、
「もう少しだけ・・・・」
と言った。まだ身体の火照りは続いており、優しく髪を撫でられて背中を愛撫されていると身体の火照りが続きそうなのは自分でも分かっていた。しかし、美菜はそれを望んでいた。
晃一の愛撫やあくまでも優しく、美菜を大切にしているのがよく分かった。だからこそ美菜は安心できるのだ。
「うん、良いよ。目をつぶっていてごらん」
と美菜の髪を撫でながら言った。美菜は安心して目を閉じ、身体から湧き上がる優しい感覚に身を任せていた。晃一は少しの間、美菜が望むように優しく髪と身体を撫でていた。しかし、ほんの2,3分でまた、
「どう?落ち着いてきた?」
と再び晃一が聞いてきた。美菜はもう少し長くして欲しかったのに、晃一の方からこんなに直ぐ言ってくると言うことは、どうやら引き延ばすのは難しいと言うことらしい。そう思った美菜は頷かざるを得なかった。
「分かった。それじゃ、身体を起こすよ。そっとで良いから起きてごらん」
晃一はそう言って美菜の身体を起こそうとした。
しかし、今まで全てを晃一に任せていた美菜の身体はぐったりとしていて、起こそうと思っても直ぐに崩れ落ちてしまいそうだ。完全に脱力している。そこで晃一はソファベッドを倒してそこに美菜を寝かせることにした。
「少し休んでいてごらん。このソファ、平らになるから」
美菜の目の前でソファがベッドへと変わっていく。美菜が驚いたのは足下からも大きなクッションが上がってきて、そのまま自分が動かなくても良いことだった。
そうは言っても少しは体勢をを整えないと、このままではベッドに横向きで横たわることになってしまう。美菜はゆっくりともぞもぞ動いて俯せの姿勢でベッドの真ん中に身体を移動させた。
「ちょっと待っててね」
そう言うと晃一は紅茶を入れにキッチンに立った。
一人残された美菜は、これからどうしようかと考えた。もちろん、たぶん晃一が予想しているように、これから出される紅茶を飲んで一息入れてからここを出ればこれ以上何も起こらない。それは分かりきっていたし、たぶん晃一はそうしようと思っているのだと感じていた。
しかし、この火照った身体は誰かに優しくして欲しくてうずうずしている。今、彼のいない美菜にとっては身体を預けられる相手がいないし、何より触ると言うより力任せに強い力で身体をこね回すようにいじる男子に身体を任せるつもりなど全くなかった。