第20部

 

「いきなり昇天するんじゃない?」

「まさかぁ、でも、声を上げてしがみつくくらいはするかもね」

「きっとオジサマなら上手に入れてくるだろうから全然痛くなかったりして」

「いくらテクニシャンのオジサマでも痛くないってことはないと思うけどなぁ」

「わかんないわよ。上手にする方法があるかも知れないじゃないの」

「いくらなんでも痛くないなんて、そればっかりは無理よ。オジサマの問題じゃなくて女の子の身体の問題なんだから」

「でも菜摘は上手にリードされれば、結構簡単に入れられちゃうんじゃない?菜摘だって『早く来てー』とか何とか言ってさ」

「ううん、それどころか、意外に菜摘ったら何度も欲しがったりして。もっともっとぉって」

「ナツには無理よ。でも、『もう許してぇっ』って位まで感じさせられて、最後くらいにはいっちゃうかも知れないけど」

「いっちゃうのぉ?いきなりぃ?いくらなんでもそれはないんじゃない?」

「そうそう、それはない」

「まだ自分がいったこと無いからって、オジサマを甘く見ちゃいけないよ」

「そうよ、オジサマってしつこいらしいから」

「そうなの?」

「若い男みたいに体力がないからテクニックでカバーするのよ。まずじっくりと裸にして、女の子がふらふらになるまで感じさせて抵抗できないくらいにしてから入れるらしいの。一度入れられちゃったら、オジサマっておっきいから猛烈に感じて指一本動かせなくなるくらいまで声を上げさせられてクタクタになるんだって。それに何回も出せないから一回がものすごく長いんだって」

「オジサマって大きいの?」

「高校生の倍はあるって話よ」

「すごーい、でも倍って長さ?」

「長さは少しくらいだけど、太さが凄いらしいよ」

「でも固さとか、若い男には負けるんじゃない?」

「そんなこともないらしいわよ。カチカチじゃない分、抵抗無く入ってしっかり奥に当たるらしいから」

「でもそれって、女の子にとってはある意味羨ましくない?私の彼なんて最初は十秒くらいだったもの。『痛ーい』って言った途端に小さくなって出てったわ」

「そんなに短いの?」

「バージンの子は中に道ができてないから、若い男には刺激が強すぎるって話よ。バージンと童貞なら十秒がいいとこよ」

「それがオジサマだったら・・・・」

「おっきいのをどーんと入れてきて、それも直ぐには終わらないから、ずぅっとズコバコしてるの。つまり女の子のほうが徹底的に感じさせられるってワケ。ナツ、覚悟しておきな。きっと凄いよ」

「そんなに長く入れてるの?」

「1時間くらいは大丈夫らしいよ」

「ええっ?1時間?私だったら絶対無理。そんなにされたら死んじゃうわよ。ねぇ、優菜はどうだったの?」

「私?私の彼はせいぜい2,3分よ。直ぐに次を始めるけど」

「それって『抜かずの3発』って奴?」

「まぁ、そんな感じかな。3回かどうかは覚えてないけど。それでも3回もしたらお互いにぐったりだけどね」

「菜摘みたいに純情な子は、あっという間に開発されて、それからどーんと入れられて、感じるまで抜いて貰えないだろうから、きっと月曜日はがに股でヨロヨロしてるよ」

「そうそう、月曜日は見物だよ。体育は間違いなく見学だね」

「声も出しすぎて喉が枯れたりして」

「そうか、それじゃ声もチェックだね」

「喉が枯れるのは声を出しすぎるからじゃなくて、あれを口の中に入れすぎたからだったりして」

「最初なのにそれまでするのぉ?」

「だからオジサマだもん。きっといろんなことさせられるよ」

「でも菜摘なんて純情だから直ぐに覚えちゃって、いつの間にかオジサマのに夢中になって、自分から口の中に入れて手でしてるかも?」

「あれって結構難しいよ。そんな簡単にできるようになるのかなぁ」

「菜摘なら大丈夫よ。真面目だから一生懸命練習するだろうし」

「まぁ、練習は必要よね。最初なんて持てないもん。気持ち悪くて」

「優菜は持てなかったの?私は意外に可愛いって思ったけどな」

「菜摘はきっと直ぐに慣れるよ。何にでも抵抗無く入っていくタイプだから」

「そうそう、直ぐにゴシゴシできるよ」

「菜摘みたいに可愛い子にされたらたまんないだろうな。きっと、いくらオジサマでも直ぐに出しちゃうよ」

「それに菜摘だって、口の中に出されてもにっこり笑うかもよ?」

「ううん、もしかして顔にかけられたりして」

「アダルトものみたいに?」

「ありえないーい。キモ過ぎよぉ」

「でも私は若い男の方が良いなぁ。時間が短くても回数があれば」

「回数って言ってもねぇ。入ってきて、やっと感じ始めた時に小さくなっちゃうのはやっぱ考えもんだよ」

「ねぇ、レイは最初に何回したんだっけ?」

「3回だったかな。でも、私が痛くて無理になって、最後は手でしてあげたもん」

「良く触れたわね」

「だって、彼のだと思えばね。よく見ると案外可愛く見えるもんよ」

「ナツは一回でどこまで感じるかだね」

「きっとすごいよ。入れられてから1時間くらいは抜いてもらえないだろうし」

「そうよ、やっぱ最後は感じすぎて泣きながらしがみついてるかも?」

「きっとナツが感じるのに合わせて動いてくるから、感じれば感じるほど凄いことになるんじゃないかな」

「もしかして連続でいくってやつ?」

「絶対そうだよ。オジサマのテクニックで今まで往かされたことないのが急に何度も往かされたらきついよぉ。一回でも結構疲れるのに」

「ぐったりした菜摘に入ったまま延々と動いてるかもね」

「さっき言ってた指も動かせなくなるって奴ね」

「そうよ。バージンの高校生なんてオジサマにしてみれば宝物なんだからさ。きっと徹底的に楽しむと思うな」

好き勝手に想像して楽しむ友達の会話にとうとう菜摘が我慢できなくなって割って入った。

「ちょっとぉ、あんたたち大人しく聞いてればいい気になって。私をどうしたいわけ?」

「何言ってんの。あんたが羨ましいって話をしてるんじゃないの」

麗華が菜摘をなだめるように言った。

「何言ってんの。私をまるで人形かAV女優みたいに」

「この中で経験してるのは私の他3人だけど、みんな最初に結構大変な思いしたのは知ってるでしょ?あんたはそうじゃないんだから羨ましいのよ」

「私だって苦労するかもしれないじゃないの」

「あんたのオジサマなら大丈夫よ。安心して抱かれていてごらん」

そう言った麗華は、もう一度優しく言った。

「ナツ、素敵な彼氏をゲットしたじゃないの。安心して甘えてて良いよ。きっと上手に卒業させてくれるから」

「そうなの・・・・かな・・・・・・」

菜摘はちょっとうつむき加減で顔が赤くなった。

「そうよ。安心して任せていれば良いんだよ。脱がされる時に恥ずかしがってパンツしっかり抑えすぎて破ったりするなよ−?」

「あーぁ、あり得るあり得る。ナツならあるよ、きっと。絶対オジサマが脱がそうとしてもパンツをしっかり押さえて放さないから。『いやぁー、まだ脱ぐのはイヤー』とか言ってさ」

「私、そんな事しないよ。その気になってればさっぱりと脱げるよ、きっと」

菜摘は明らかに無理をしてそう言った。それはみんなにも伝わったみたいだが、誰もそれを指摘しなかった。なんだかんだ言っても応援しているのだ。

「そう、ぱーっと脱いじゃいな」

「ゆっくり脱ぐから恥ずかしいんだよ。一気に脱げば直ぐに慣れるから」

「そうそう、痛いのは最初だけだから。あとはそんなじゃないよ」

「おーお、自分が簡単にできたもんだから気楽に言うねぇ」

「何言ってんの。今は菜摘の話をしてるの」

「きっと、いろんなのをしてくれるから夢中になってるうちに直ぐ終わっちゃうよ」

「いきなりそんなにするのぉ?それって普通じゃないんじゃない?ごく普通なのが一番良いよ」

「そんなこと無いって。あんたもしてみれば分かるよ。男っていろんなことで女の子が感じるのを見たいんだから」

「ナツ、次はいっぱい聞かせてね。楽しみにしてるよ」

「次のミーティングはお祝いだね。みんなでミートスパの大盛りだね。久しぶりに喰うぞぉー」

「そうそう、みんなで盛り上がろう。ナツの話はきっと凄いから」

「そうだね。菜摘のお祝いなんだもん。ケーキだって付けちゃう」

「うん、久しぶり。私だって、って、あ、こんな時間、ごめん、出る」

突然そう言って一人が慌てて店を出ると、言いたいだけ言った子は次々にみんな席を立っていった。

菜摘はその日の夜、自宅で勉強しながらどうやって準備を整えるか考えていた。考えても仕方ないのだが、考えているだけでも気が紛れるし、なにより楽しい。それに、初体験についてみんなの話を聞けたので気が楽になったことも嬉しかった。それまで菜摘は、かなり初体験についていろんなことを考えすぎていたのだが、みんながそれなりに苦労したことや、最初から上手くいったりしないことが分かったので気が楽になった。最初なんだから上手にできなくたってそれで良いのだ。それでやっと菜摘の心の準備ができた。

それに、晃一と付き合うようになってから菜摘は毎日1時過ぎまでは必ず勉強していた。休みの日に出かける時間を作ろうと思うと、本当はそれだけしても一週間の全部の勉強時間はまだ少なくなるのだが、あとは集中力でカバーすることにして、できる限りがんばっていた。実際、前回のテストでは以前よりも良く書けたと思うし、勉強していて自分でも集中しているのが分かる。

次の日曜日にはお昼過ぎまで3科目だけの模試があるのだが、その模試でも良い結果が残せるように菜摘はその後も毎日しっかりと勉強していた。晃一に褒めてもらいたいと思うとやる気が出る。その分、テレビは見なくなったし、メールの回数も減った。以前はメールも何もしていないのに勉強もしていない、と言う中途半端な時間があったが、今はほとんどが勉強になっている。それも、単に毎日の勉強時間が増えただけではなく、頭の中に入っていると実感できるのが嬉しかった。

その週の金曜日に、菜摘は前のテストの結果をもらった。予想はしていたが、明らかに成績が上がっていた。晃一の効果だ。菜摘は成績表を晃一に見せようと大切に鞄の中にしまった。結果を伝えた時の晃一の笑顔が想像できた。

前日の夜、菜摘は緊張からあまり眠れなかった。そして当日の土曜日に早起きしたのは眠れなかったというのが半分で、後の半分は汗臭くなる満員電車で行きたくなかったから1時間も早く家を出ることにしたのだ。もちろん、昨日は念入りにお風呂に入ったし、朝シャンどころかしっかりシャワーも浴びた。がんばって結構本気モードでダイエットをしたので、一週間足らずの間に2キロ近く体重も落ちた。明らかに少しほっそりとしたラインを手に入れたのだ。満員電車を避けたのも汗臭い身体で晃一に抱かれたくなかったのだ。もちろん、晃一に連れて行かれる場所にシャワーがあれば浴びようとは思っていたが、どこに行くか分からないので学校が終わるお昼までは最大限気を遣うことになった。だから授業中はずっと大人しくしていた。麗華が来るかと構えていたのだが、彼女は別の用事があるらしく全く姿を見せない。今日は絶対からかわれると思っていただけに、却って残念なくらいだった。

もちろん、午前中の授業は気もそぞろだった。何とか無事に乗り切ったが、当てられるのを答えるのが精一杯で、内容までは全然頭に入らなかった。すでに予習していたところなのである程度は何とかなったが、はっきり言って授業は半分以上頭に入らなかった。学校が終わって出かける時、駅ビルで服装から髪型まで何度も何度も確認した。それでものどがからからに渇いて、お腹がいっぱいなのにお茶を飲みたくなった。

菜摘がそれだけ緊張する原因には、木曜日に晃一から来たメールがあった。そのメールは菜摘との待ち合わせ場所と時間を伝えてきたのだが、余り行ったことのない学校の駅の隣の駅を指定してきたのだ。その駅はいつも通学で遣っている駅と違ってターミナルビルもないし店もほとんど無い小さな住宅街の駅だ。そこから大きなショッピングモールへのバスは出ていたが、本数も少ないのであまり使われていない。菜摘もそこからは友達と一回行っただけだった。少なくとも、菜摘が期待しているようなところがあるとは思えないのだ。

しかし、まさか『間違いじゃないですよね?』と聞くわけにも行かないし、せいぜい時間と場所を返信メールで時間と場所を復唱するくらいしか思いつかなかった。

学校が終わると、菜摘は不安がいっぱいな気持ちで隣の駅に向かった。予定よりもだいぶ早く着いたが、時間をつぶす気にはなれず、静かに駅の改札の近くに立っていた。今日は勉強道具の入った鞄の他に、もう一つ鞄を持っている。言わずとしれた着替えなどが入った菜摘の『初体験セット』だ。

1分おきに携帯で時間を確認しながら改札に立っているのだが、快速の止まらない駅は人通り自体が少なく、菜摘の同級生はおろか、同じ高校の生徒も全く通らない。なんか世間から隔絶された世界に来たみたいだった。

約束の十分前になった時、駅の小さなロータリーに一台の車が入ってきた。前とは違って普通の大きさの車だ。そして菜摘の前で止まると晃一が中から窓を開けて菜摘に声をかけてきた。

「菜摘ちゃん、乗って」

「はい」

菜摘は素直に車に乗ると、ちょっと鞄を恥ずかしそうに胸に抱え込んで座った。

「菜摘ちゃん、早かったね」

「うん、あんまり来たことのないところだから」

「でも、学校からだって歩いて来られるだろう?」

「え?そうなの?」

「ちょっと遠くなるけど・・・・学校からいつもの駅までの倍くらいかな」

「そんなにあるんだ。倍もあるとちょっと」

「そうだね。ごめん」

「パパ、今日も車なんだね」

「この車は買い物のために借りたんだ。さっきまであちこち行って買い物してたんだよ。もっと大きい車の方が良かったかな?」

「ううん、良いの。ねぇパパ、それより、今日もこれから車でどこかに行くの?」

「まぁ、行くと言えば行くけど・・・・」

ちょっと言葉を濁した晃一は、思い切って切り出した。

「それより、今日は菜摘ちゃんに見て欲しいところがあってね」

「うん、良いよ。どこ?」

「もうすぐだよ・・・・・、ここを曲がったら、ここ」

「え?ここ?どこ?」

菜摘はびっくりした。駅からなら歩いても数分のそこは、ごく普通のマンションだった。

「パパ、引っ越したの?」

「ううん、引っ越しは面倒だからしてないさ」

「それじゃ、誰かのアパート?マンション????」

「そうだね。それじゃ、行こうか?」

そう言うと晃一は車を地下の駐車スペースに止め、そのままエレベーターで7階に上がった。エレベーターホールに入る時、晃一はカードでドアを開けていた。菜摘はそれを見て、晃一か知り合いの部屋か何かがあるのだろうと思った。

「さぁ、ここだよ。入って」

ピッと音をさせてカードでロックを開け、晃一は菜摘を部屋の一つに入れた。エアコンが入っていると見えて心地良い空気が菜摘を包む。そこは確かにマンションといった感じの綺麗な新しい部屋で、玄関から奥のリビングまで続く廊下の先に広いガラス張りのリビングがあり、入ってみると角部屋らしく2面ともガラス張りだ。部屋には大きなテレビと大型ソファセット、ローテーブルなどが並んでいる。ただ、生活感がないというか、かなり殺風景だ。とても人が住んでいるとは思えない。強いて言えばテレビに出てくるモデルルームというか、そんな感じだ。となれば・・・。

「パパ、ここ、借りたの?」

「うん、菜摘ちゃんとの時間を過ごすには社宅じゃ不自由だからね。ちょうどリニューアルしたばかりのマンションの部屋が出ていたから借りてみたんだ。完全リニューアルだから新築みたいだろ?」

「・・・・・・・・・」

菜摘は絶句した。菜摘との時間と言うことは、菜摘もこのマンションを使えると言うことなのだろうか?

「パパ、って言うことは、私もこれからはここに来ればいいの?」

「そう、駅まで歩いても5,6分だし、学校からだと20分弱かな。必要なら自転車を買っても良いしね」

「ねぇ、それなら、ここから学校に行っても良いの?」

「朝、ここに寄って?うん、それでも良いよ。あ、鍵はこれだよ」

そう言って晃一は一枚のカードを菜摘に渡した。