第213部

「あのね、最初に庭でしてもらったのは夜中だったから、誰にも見えないし聞こえないって分かってたの。みんな窓締めてるでしょ?だから全然気にしなかったの。でもね、朝になってからも・・・」
「朝?明るくなってから外でされたの?」
「うん、起きてから庭に出た時。ホテルの9階だか10階だか忘れたけど、高いところに部屋があって、そこに庭があったんだけど、端っこの柵にいるとずっと向こうに歩いてる人とか見えるのよ。それなのに触られて・・・・・・・」
「他の人が見えてるのにされたの?」
「されたって言うか・・・・感じさせられて・・・・恥ずかしかったから嫌がったんだけど、もっと触られて・・・・そしたら後ろからね・・・それで最後は私から・・・・」
「他の人が見えてるのに?それで感じたの?」
「うん。外から見えてるって言っても柵があったから胸から下は隠れてたから・・・・」
「それって、ちょっと・・・・私には無理かも・・・できないよ。たぶん。外に人が見えてるんでしょ?それで感じるなんて絶対無理。私なら絶対しない」
「美菜だってしてもらえば分かるよ、きっと。すっごく気持ち良いから。裸を見られた訳じゃ無いし」
「そうなの?信じられない・・・」
「うん、絶対そう。絶対我慢できなくなる。私、おじさまが入ってきたら簡単にいっちゃったもん。美菜だって優しくしてもらえば分かるよ。それに胸とか触られながらだったから、すっごく感じたし。だから私・・・・夢中になっちゃって、その直ぐ後に庭のテーブルの横の椅子でも・・・・しちゃった」
「でも私、友紀みたいに胸、無いから。きっと触ったって面白くないだろうし」
「感じれば良いじゃないの?それに美菜、小さいって言ったって、そんなに言うほど?それにさ、美菜、結構感度良いでしょ?昨日すっごく感じてたじゃ無いの。感度良いって言われない?」
「言われた・・・・」
「ほら見なさい。女は感じればそれで良いのよ」
「でも、おじさまにしてもらうまで、私、あんまり感じなかったの。だから感度良いって言われてちょっとびっくりした」
「それは私も同じ。胸があんなに気持ち良いなんて知らなかったもん」
「やっぱり・・・・。おじさまって上手だもんね」
「うん、やっぱり上手とかってあるんだよね。やり方で全然違うんだもん」
「そうそう。でも友紀みたいに胸あれば、きっと触ってても楽しいと思うけど、私は・・・」
「まだ言ってんの?そんなに綺麗なのに。私、びっくりしたんだよ。美菜、本当に綺麗なんだもん」
「でも友紀、見たでしょ?私、全然胸無いって・・・」
美菜は胸に拘った。それほど気にしているという事なのだ。しかし友紀はあくまで譲らない。
「だからぁ、関係ないって。私だっておじさまに胸、開発されたからあれだけ感じるようになったけど、それまで胸なんてあんまり感じたこと無かったし、最初は少し抵抗したのよ」
「私は凄く抵抗した。最初ね、胸を見られるのがいやで、すっごく恥ずかしがって何度も抵抗して・・・。でも、その時優しくされてね、だんだん嫌じゃ無くなって・・・。安心したって言うのかな。それから徹底的に胸を感じるように開発されたの。だから敏感ていわれるくらい感じるようになったみたい」
「やっぱり、胸があんなに気持ち良いなんて、たぶん他の子は知らないと思うよ。菜摘以外はさ」
「そうよね、菜摘は別格だもんね、おじさまにとっては」
「それは仕方ないよ。菜摘、バージンだったしさ、おじさまに最初から開発されたんだもん」
「そうよね、良いなぁ。私も最初からおじさまみたいな人に開発して欲しかったなぁ」
「北海道とか連れてってもらえるしね」
「そうそう。北海道に連れてってもらって、いっぱいしてもらって、なんて・・・・」
「私は神戸、新幹線だもん。菜摘は飛行機。それも高い席だったらしいよ」
「友紀だって良いなぁ、そんなところに連れて行ってもらって・・・。美味しいのも食べた?」
「うん、鉄板焼きって言って、お好み焼きみたいなのかと思ったら凄く豪華なステーキとかシーフードとかだった。きっと高いと思う」
「3千円とか?」
「もっと・・・きっともっともっと」
「五千円とか?」
「ううん、もっとずぅーっと、一万円とか」
「一万円?凄い・・・って、分かんないや。見たことないから」
「私だって。でも、凄かった。一人ずつコックさんが目の前で焼いてくれるの」
「良いなぁ、私なんてラーメンだもの」
「ラーメンだって良いじゃない。それに、そんなに言うならおじさまにお願いしたら?連れてってもらえばどこだって良いじゃないの」
「ううん、だめなの」
「どうして?」
「私ね、おじさまと美菜と約束したの。あの部屋以外では会わないって」
「どうしてそんな約束したの?菜摘に言われた?」
「ううん、・・私から言ったの」
「美菜から?」
「そう、このところ失敗が多いから、何かストッパーを掛けておかないと。のめり込んだりしない様にって思って・・・」
「ふぅん、美菜も考えてるんだ」
「これでも私だって必死なんだから。私だって良い恋見つけていい女になりたいもん」
「いい女、か・・・・」
友紀にはそれが、何かむなしい言葉に聞こえた。
「いい女って何だろうね?美菜みたいにスタイル良い子ならいい女って言葉も似合うと思うけどさ」
「あのね、それなら言わせてもらうけど、私、友紀が羨ましい。いつも友達がいっぱいで明るくてみんなに好かれてさ。おっぱいだっておっきいし形良いし・・・・」
「へぇ?美菜でも羨ましいこと、あるんだ」
「どう言うことよ、それ」
美菜は自分が正直に弱みを見せたのに、それを驚かれたことで、ちょっと馬鹿にされたような気がしてむっとした。
「だってさ、男には不自由してるように見えないから。私なんて、告られること自体珍しいから直ぐになびいちゃうけど、あんたはしょっちゅう告られてるでしょ?」
「それは・・・・そうかも知れないけど・・・・・。友紀だって私に告ってくる奴を見てみれば分かるよ、ろくな奴いないから。田中みたいな真面目な男子なんて絶対居ないんだから」
「その田中が二股なんだけどね」
「そうだったか。でも、私のよりはまだマシよ」
「そうかなぁ?私はやっぱり美菜が羨ましいけど。私ももう少しスタイル良ければなぁ」
「そう?スタイルって言ったって、ちょっと痩せてるだけなのに・・・本当に胸なんて全然無いし。でも、おじさまが言ってたこと、やっぱり正解だったんだ。友紀は私よりもコンプレックスあるって」
「おじさまが?」
「昨日、私聞いたの。友紀の方が胸があるから可愛いんでしょ?って。その時に言われたんだ。スタイルのことならきっと友紀の方がたくさんコンプレックスあるはずだって」
「さすがおじさま、分かってるんだな・・・・・って言うか、美菜よりコンプレックス少ない女子って滅多にいないと思うよ。なんだかんだ言ったって私は胸だけだもん」
「そうなの?友紀だって知ってるでしょ?私、前から胸に凄くコンプレックスあるって」
「何言ってるの、いい?ロングのワンピ着れるでしょ?ビキニだって着れるでしょ?ミニスカート似合うでしょ?マネキン買いだって簡単でしょ?何よ、ちょっと小さいくらいでさ。全然無いって言うなら別だけど。それにあちこちの男子からしょっちゅう告られてるくせに贅沢よ。美菜よりスタイル良いって言えば菜摘くらいなもんよ」
「菜摘ねぇ、あの子、ちょっと変わってるよね。あんなに可愛いのに男の影がないもん」
「大人しいから今まであんまり目立たなかったからね。でも、最近、男子の視線が熱いみたいよ。ほら、おじさまと一度離れた時があったでしょ?私がおじさまと付き合ってた時。あの時、夕方、一緒に帰ってたじゃない?あの時、凄く目立ってたから一気に男子に知れ渡ったみたい」
「そうなんだ。でも、それはそうよね」
「そう、菜摘が大人しく男子の後ろをくっついて歩いて行くの、みんなびっくりして見てたもんね」
「そう言えばそんなことも・・・・・」
「あんな子がニッコリ微笑んで大人しく後ろくっついて歩いてれば誰だって嬉しいわよね」
「そりゃそうよ。あんな可愛い子、なかなかいないもん」
「ま、あれ以来、男子の視線はあるけど、菜摘は全然気にしてない、って言うか無視してるみたいだけどね」
「あれから告られてるのかな?」
「そうなんじゃない?でも誰から告白されても菜摘は気にしてないから」
「おじさま一筋って事?」
「もちろんそうなんだけど、でも今は成績を上げたいからそれも我慢してるのよ」
「それは聞いた。もったいないなぁ」
「そうよね、高校生って女が一番輝く時期なのにさ。長い人生でたった3年よ?」
「あぁあ、私も高校生だから告られるのかなぁ?大学とか行ったら埋もれちゃうんだろうなぁ」
「何言ってんのよ、大丈夫。美菜はもっと綺麗になるわよ。読モくらいできるかもよ?」
「ハハハ、それ、笑えるぅ」
「結構マジで言ってるのに。少なくとも私には無理だから羨ましいって話よ」
「私じゃ無理ね。バランス良くないし。もっと足が長くないと。もしできるとしたらそれこそ菜摘くらいじゃないの?」
「菜摘か、・・・・・・そうかもね・・・。でもさ、菜摘はしないけどね」
「無理?」
「だって、本人にその気無いもん。あれって、結構お金かかるんでしょ?」
「みたいね、登録したりトレーニングしたり、その交通費や服代だけでも馬鹿にならないって。って言うか、家の車より金かかるらしいよ」
「だから菜摘は全く興味無しって事」
「ああ、それはそうかもね、ちょっともったいないけど」
「ほら、菜摘の家ってお母さんが看護師で妹と3人だからさ。お金とか、結構考えてるみたいなんだ」
「そうか、大変なんだ」
「だから今は成績上げて国公立行きたいって。そうすれば簡単に奨学金もらえるから」
「それなら仕方ないか・・・」
「美菜は成績良いからわかんないかも知れないけどね」
「何言ってんのよ。そんなにのんびりなんてしてないわよ。私は私で大変なんだから」
「そうかもね、成績良い子たちは国立ならどれでもって訳じゃ無いだろうし」
「もちろんよ。それに私の成績なんて、ちょっと良いって言ったってこの学校の中だけの話だし」
「美菜は全国で見たら成績なんて大したことないって言いたいの?」
「そう、国立だっていろいろあるから」
「もしかして、旧帝大系を狙ってるの?」
「まさか、そこまで成績良くないわよ。ま、行ければそれに越したこと無いけど、そんなに甘くないわよ」
「ふうん、上には上って事か・・・・・。ってことは、菜摘も大変だな、そんなとここれから狙うなんてさ」
「ま、その分、時々おじさまが埋め合わせしてくれる訳でしょ?」
「そんな言い方・・・・・・でも、その通りだけど・・・」
「私から見れば菜摘の方がずっと羨ましい。おじさまを好きな時に独占できるんだから」
「もともと菜摘の彼なんだから仕方ないでしょ。それに相思相愛なんだし。ちょっと年離れすぎてる気がするけどね。まぁ好みって言うことかなぁ。私はおじさま好きだけど、やっぱり菜摘には負けちゃうもん」
「それなら成績だの何だの言わずに独占しちゃえば良いのにね。菜摘の性格なら何の問題も無いんだしさ」
「あんたは成績が良いからそんなこと言えるんでしょ?私、どっちも悩みの種なんですけど」
「ううん、そう言うんじゃ無くて・・・・」
「違うの?」
「私、性格がどうも良くないみたいで、ろくな男を捕まえないから。きっと私、人を見る目が無いんだと思うの。それに比べて菜摘は、おじさまみたいなしっかりした人を捕まえてるからさ」
「ははぁ、そう言うことか。それは言えるかもね。菜摘、見た目はあんなだけど、結構一途だから。それに、おじさまを捕まえたのだってさ、おじさまと偶然知り合って親しくなったみたいだけど、そんなこと初めてだったんだから」
「そうか・・・・・。なんか良いなぁ、いい相手が現れるまでバージンでいられるって。最初が肝心だものね」
「菜摘はそれまで男子になんて見向きもしなかったんだから。一応サッカー部の取り巻きには入っていたけどね。でも、あれはあくまで周りに合わせてたって言うか、雰囲気に浸ってただけみたいなもんだし」
「私、なんか焦ってたんだよなぁ。最初は中学2年の時だったけど、単にやったってだけで別れちゃったから全然優しくしてもらえなかったし、それからも・・・なんかずっと・・・ろくなの居ない・・・告られてやって別れて・・・」
「焦らなくたって美菜なら本当に心配ないのに・・・・。性格だって悪くないよ」
「そう言われても・・・・・・。でも、もしかしたらそうなのかも知れないわね。焦ってたのは私自身なんだから」
「そうよ。私なんて、本当に誰も声かけてくれなかったんだから」
「友紀が?」
「そうよ。なんて言うか、おじさまに出会うまでは結構地味だったし」
「友紀が?前から明るいじゃ無いの」
「ううん、おじさまに出会ってからなんか周りの雰囲気が変わったみたいな気がするんだ。告白されたのだって、そのせいじゃないかって思うし。美菜はそんなこと無い?」
「私は別に・・・・・・ってまだ一週間くらいだけど・・・・」
「そうか、でも美菜の場合は変わってないかも知れないね」
「どうしてそう思うの?」
「なんて言うか、上手く言えないんだけど、美菜は元からしっかりしてて、自分ていうのがあったからじゃ無いかなぁ。私や菜摘はおじさまに出会って何かが変わった気がするもん」
「周りの雰囲気が?」
「そう」
「だとしたら、変わったのは周りじゃ無くて友紀や菜摘だね」
「私達が変わった?」
「だってそうでしょ?周りがちょうどそのタイミングで変わるなんて偶然にしてもおかしいわよ。きっと友紀や菜摘がおじさまに出会って変わったから周りが変わって見えたんじゃ無いの?」
「ほう、それはまた面白い観察だこと・・・」
友紀はおどけて言ったが、本心ではちょっと鋭いと思った。
「良いなぁ、それなら私も変わりたいなぁ。もっと素敵な男子に告白されたいなぁ」
「私だって。最初から二股なんてごめんだからもう一回ちゃんとした誰かに告白されたい」
「友紀は大丈夫よ。もう変わっちゃったんだから。周りは知ってるの?もう別れたって」
「ううん、だって本当にだめだって思ったの、昨日だもん」
「昨日?だって昨日は・・、その前に?」
「ううん、土曜に行ってね、一緒にいたけど、もうどうしようも無いって思ってたんだけど、どうして良いか分からなくて・・・。それでおじさまの所に行って、それでああなった時に思ったの。もう別れようって」
「あの時に???どう言うこと?」
「何となく、だけど、気持ちがリセットできたみたいなの。前におじさまと付き合ってた時みたいに。それでね、気がついたのよ。どっか自分の気持ちに嘘ついてとっくに気持ちが離れてる彼にしがみついてたって。それで、諦めることにしたんだ。だって、私がどう頑張ったって、元から彼女が居るところに入っていったのは私なんだし。横取りするなんて私のキャラじゃ無いし、もともとそこまでの気持ち無いし。しがみついたって惨めになるだけだもん」
「いいの?それで・・・」
「そりゃまだ少しは好きな気持ちあるし、別れるの不安よ。また彼氏無しに戻るんだから。でも、これ以上はどうしようも無いもん。別れればまた新しい恋を捕まえられるでしょ?」
「それよそれ。私なんて、彼氏無しになったらすっごく不安になって、直ぐに他を探しちゃうの。それがだいたい外れなんだよなぁ。凄い、そんな風に考えられるなんて。やっぱり友紀は凄いわ」
「直ぐに慌てて探すからだよぉ。待ってれば美菜なら絶対現れるのにぃ」
「もうだめよ。みんなに私、尻軽って知れちゃってるからさ」
「何言ってんの。そこよ、おじさまに出会ったんだから美菜だって変われるよ」
「そうか・・・そう言うこともあるかも・・・・・。ううん、無い」
「どうして?」
「だってさっき言ったじゃ無い。私は変わってないって」
「だってまだ一週間でしょ?」
「それじゃ、どれくらい待てば良いの?友紀はどれくらいだった?」
「半月くらいだったかなぁ????知り合って、それから付き合って、神戸に行って、その後だから・・・。だから美菜だってもう少し待ってればきっと、ね?」
「そうかなぁ????なんか自分で妖しいって思うんだけど・・・」
「自分から諦めてどうするのよぉ、しっかりしなさいよぉ。いつもはあんなにしっかりしてるのにぃ」
「う・・・うん・・・・」
「うんじゃ無いよぉ。美菜ぁ」
「・・・・うん、それじゃ、少し待ってみる」
美菜は友紀の言うことももっともだと思った。だからもう少し時間を掛けてみようと思った。それに、時間を掛けると言うことは、晃一とこれからも会うことを意味している。それは今の美菜にとって楽しい時間が増えると言うことだ。
しかし、菜摘では無いが、美菜だっていつも晃一のことを考えていられる状況では無いのは分かっていた。美菜も勉強のペースがこのところ落ちているのには気がついていたから、そろそろ気合いを入れ直さないと目も当てられないことになる。だから美菜は晃一に会うのが楽しみであると同時に、菜摘みたいに少し会うのを我慢しなければ、とも思った。