第243部

『パパ、友紀から話を聞いて様子を見に行っちゃいました。黙っていてごめんなさい。ちょっと心配だったからかナ?だって最近のパパは美菜が推しメンみたいだったし。でも、ちょっと安心した。だって、私のこと気が付いてくれたから。また来週、お昼に会ってくれますか? 菜摘』菜摘がそう送ると、少しして晃一からちゃんと結果を報告すると言うことと来週のOKの返事が来た。
これで取り敢えずは安心できる。自分は今でも晃一の心の中にしっかりいると確認できた。菜摘は参考書を開いて勉強を再開しながら早く晃一に成績が上がったことを報告して、思いっきり褒めて欲しいと思った。そうすれば、ご褒美にきっと良いことがある、と思うと心が熱くなった。
その夜、勉強が終わった菜摘は布団に入ると、隣で寝ている妹に気づかれないように一人上手を始めた。もともと菜摘はあまりしないのだが、晃一と知り合ってからは時々するようになり、最近自分から晃一への接触を減らしてからは頻度が上がっていた。ただ、隣で眠っている妹の寝息を確認しながらなので余り激しいことはできない。しかし、それでも心の中で晃一のことを考えているだけで幸せになれた。
いつものように右手をパンツの中に入れて秘核の上に置き、左手をパジャマ代わりのTシャツに入れて右の乳首を可愛がり始めた。しかし、晃一と違って最初から遠慮無く弄り回す。
『パパ、会いたかった。アン、そんなに強くしないで』
菜摘の想像の中の晃一は菜摘をしっかりと抱きしめ、直ぐに唇を求めてきた。それに応じると、そのまま首筋へと晃一が移っていく。
『あぁぁぁ、ダメ、そんなにいきなりしたら、パパぁ、抵抗できないの知ってる癖にぃ』
菜摘はそう言いながらTシャツの中の乳首をゆっくりと可愛がると、じわっと快感が広がり始めた。想像の中では再び晃一が菜摘にキスをしながら菜摘の服を脱がせていく。
『そんなに急がないで。今日はずっと一緒だから。急がなくても逃げないのにぃ』
そして想像の中ではあっという間に裸にされた菜摘は、そのまま晃一の首に手を回してベッドの上に晃一を誘った。もちろん菜摘が下だ。菜摘は想像に合わせて右手の指をそっと動かし始め、ゆっくりと秘核の下を探り始めた。下半身に快感が広がり、思わず乳首を可愛がっている左手の動きを速くしてしまう。
『ああん、パパ、このままするのぉ?ああぁぁぁ、私は良いわよ、して、パパの好きにして』
菜摘は右手の中指を更に奥に進めると、クニクニと動かし始めた。一気に潤いが滲み出してくる。
『ああん、こんなに直ぐになんて無理よぉ。もっと胸を、胸を優しくしてから。まだぁ、ああんっ、そんなだめっ、いきなり入って来るっ』
想像の中の晃一は、肉棒を入り口に押し当てて少しずつ押し込みながら菜摘の胸を揉み始めた。実は菜摘はこうされたことなど無いのだが、妹に気づかれないようにと一人上手の時間を短くするために考えだした菜摘の技だった。菜摘の右手と左手は協調しながらどんどん身体に快感を湧き上がらせていく。
菜摘の手は長い方なので難無く秘口まで指が届くがいつも秘核だけしかしなかった。それは秘口は晃一のために取っておく、と言う菜摘の気持ちの表れだった。それでも少し膝を立てて秘口の下の平らな部分を触りやすくして、そのまま一気に盛り上がっていく。想像の中の菜摘は思いっきり膝を引きつけて晃一の腰を足で挟み、晃一の首に回した手で晃一を引き寄せてキスをしながら胸を揉まれていた。
『ああぁっ、そんなに全部しながら入れないで。そんなにされたら直ぐに終わっちゃう。もっとパパと繋がっていたいのに。ああぁぁっ、良い、良いっ、パパぁっ』
ちょっと隣の妹に意識を向けて静かに寝息を立てていることを確認した菜摘は、一気に快感を貪った。そして小さな小さな頂を乗り越えると、軽くピクッと身体が小さく痙攣したことに満足し、心も身体も満たされて眠りについた。
翌日の土曜日、晃一は10時に詩織と待ち合わせる約束を確認してから都心に向かう快速に乗った。行き先は特に決めていなかったが、都心の方がいろいろ選択肢があると思って詩織を都心に誘っただけで、しっかりとした計画があるわけでは無かった。
それよりも少しだけ早い時間に詩織も同じ方向の快速に乗っていた。詩織の学校は菜摘たちの学校と同じ駅だが駅の反対側だし離れているので普通は菜摘の学校の生徒を見るのは駅くらいなものだ。だから、あまり菜摘たちの学校のことは知らない。詩織の知識の中ではせいぜい地域で一番の公立の進学校だと言うことくらいなもので、友達もあまりいなかった。
本当のことを言えば、だからこそ、初めて顔を見た友紀に自分のことを相談してみる気になったのだ。それに、自分とはタイプの違う友紀だったが、話を聞いているうちになんとなく自分と同じ臭い、男で苦労している感じを嗅ぎ取ったからこそ相談してみる気になったのかも知れない。そして詩織は今までと何か違うことをしてみないと新しい一歩は踏み出せないと思っていた。
快速が終点に着くと、改札で晃一と合流した。簡単に挨拶すると、自然に晃一の行く方向に二人で歩き出した。
「詩織ちゃん、来てくれてありがとう」
「だって・・・・これは私から・・・・・」
「そうだけど、きっと勇気が要ったと思うんだ。いくら友紀ちゃんの知り合いと言ったって、友紀ちゃん自身とまだそんなに親しいわけじゃ無いんだろ?きっと出かけるのが大変だったと思うんだ」
「そんなことは・・・・・・・」
詩織はそう言ったが、晃一が気を遣ってくれていることだけは分かった。それはほんのちょっとだけ、安心できることだった。そして二人は電車に乗ると、小さな声で晃一が話し始めた。
「ところで、基本的なところから聞いても良い?詩織ちゃんは土曜日、いつも休みなの?」
「はい」
「そうなんだ。友紀ちゃんの高校は土曜日はたいてい登校日だよね。休みの所もあるんだ」
「土曜日に学校あるのは友紀の所みたいな進学校だけで、ほとんどは休みだと思います」
「そうなんだ、知らなかった」
「ゆとり教育って言うのかも知れないですけど、とにかく今はほとんどの高校は土曜日は休みですよ・・。昔は違ったみたいだけど」
「そうなんだ。進学校だけか・・・」
今日も菜摘の高校は授業があるはずだ。晃一は『ほとんどの高校生が遊んでいるのに、菜摘ちゃんたちは大変なんだな』と思った。
「はい、詳しくは知らないですけど、たぶん・・・・・そうだと・・・・」
詩織はまだ話し方が固くて緊張しているのが良く分かる。しかし、快速の中でそんなに込みいった話はできない。二人は言葉が少ないまま東京に近づいていった。そのまま何となく二人はJRでお台場方面へと向かう。しかし、特に行き先を決めてあるわけではなかった。
「詩織ちゃん、それで、どこに行こうか?」
二人は電車に乗ると、そこで初めて晃一は行き先を話題にした。
「特に・・・・・どこでも・・・・・」
「行きたい所ってある?」
「あるけど・・・・・・でも・・・・・」
「そこに行く?」
「・・・・でも今日は・・・・・」
詩織は言葉を濁した。確かに、今日は詩織が晃一に相談に乗って貰うのが目的で、デートでどこかに行くのが目的ではない。だから行く場所はどこだって良いと言えばそうなのだが、だからといって行きたいところにいく、というのはちょっと違うような気がした。
「とにかく、まずは気分転換からだね」
晃一はそう言うと、詩織を改めてゆっくりと眺めた。友紀と同い年と言うことだが、今日は私服なので少し大人びて見える。一番の特徴は幼く見える小柄な可愛らしい子、と言うことだ。身長は友紀より低いので、たぶん150センチの前半だ。痩せているというわけではないが、小柄で友紀よりも少し細身で均整の取れた身体をしている。髪が短いのでイメージとしては美菜に近いが、美菜よりは10センチ以上低かった。
「でも、まだ緊張してるでしょ?少し気分転換した方が良くない?このままじゃ相談って言っても・・・」
晃一がそう言うと、詩織も小さく頷いた。
「それじゃぁ、水族館でも行こうか?それならうるさくないし、気分転換もできて良いんじゃない?」
晃一が提案すると、詩織ははっきりと頷いた。
「ここからだと品川の水族館かなぁ・・・・。それでも良い?それとも、少し離れちゃったけどサンシャインにする?」
「たぶん、品川が・・・・・。サンシャインは良くイベントとかで混んでるかも知れないから」
詩織が小さな声で言った。
「そうだね。そうするか。ちょっと歩くけど大丈夫だよね」
「はい」
「行ったことは?」
「初めてです」
「それは良かった。おっと、一緒に行く相手が俺じゃ残念、かな?」
「そんな・・・」
詩織はデートでは無いのだから関係ない、変なことを聞くと思った。
「冗談だよ」
二人は京急で大森海岸駅まで行ってから水族館まで歩いて行った。しながわ水族館はあまり宣伝などしていないがサンシャインの経営する水族館だけあって根強い人気がある。ただ、カップルが主体の池袋とは違って客は家族連れが多いのが特徴と言えば特徴だし、サンシャインほど混んでいない。ゆっくりと館内を回りながら進んでいくのはどこも同じ展示形式だ。
二人は中に入ると、東京湾の展示から順に進んでいった。晃一は東京湾の展示は詩織には退屈では無いかと思ったが、意外に丁寧に見ている。ただ、明らかにペンギンまで来ると詩織の表情が少し明るくなった。じっと静かにペンギンの動き回る様子を見ている。晃一が横に並ぶと、
「ペンギンて、それぞれに個性があるんですね。元気にあちこち行く子とか静かにじっとしていることか・・・・」
と詩織から話しかけてきた。
「詩織ちゃんはここのペンギンで言うとどのタイプ?」
「あの子、かな?回りから声をかけられると動き出す子・・・・」
と言って端の方にいるペンギンを見た。どうやら、かなり真剣に悩んでいるようだ。
「自分からは声をかけない子・・・なのかな?」
「そう。いつも誰かが声をかけると動き出して・・・・・・でも直ぐに戻ってきて・・・それでも何となく流されていないと不安で・・・・」
「でも、今回は詩織ちゃんから友紀ちゃんに連絡したんだろ?自分から動き出したじゃ無いの」
「あれは・・・・・・」
詩織はそこまで言うと黙り込み、やがて先に進んでいった。
だが、さすがにトンネル水槽に来ると海の中の世界に魅了されたのか、歩みを留めてじっと周りを見ている。ここはトンネルの中で立ち止まれるし、ゆっくりと海の中の世界に浸れるのが魅力なのだ。エスカレーターで押し出されるように進まなくてはいけないのとは違って時間がゆっくりと流れている。小さな子も上を見上げて不思議そうにキョロキョロしていた。晃一は敢えて声をかけず、詩織を一人にしておいた。
そのまま二人は余り話すことなく、静かに進んでいった。しかし、アシカや女性ダイバーの水中ショー、そして鉄板のイルカのショーなどを見ているうちにだんだんと詩織の表情が柔らかくなってきた。
「詩織ちゃん、さっき言ってたけど、友紀ちゃんの学校は進学校だろ?詩織ちゃんの学校はそうでも無いの?」
「うちの学校はそれほどでも・・・・・。もちろんみんな大学に行くけど、そんなに有名大学にたくさん行くわけじゃ無いから」
「勉強とかは大変?」
「はい、結構・・・・」
「外部テストとかも多いの?友紀ちゃんの話だと日曜日とかが何度も潰れるみたいだけど」
「それはあんまり・・・・・だいたい学校のテストで・・・・時々はあるけど・・・・でも、日曜日とかじゃ無いし・・・・」
「それじゃ、土曜と日曜はだいたい休みなんだね?」
「はい・・・・」
「アルバイトとかはしてるの?」
「前はちょっとだけしてたけど、今はあんまり・・・・・」
詩織は彼とのデートのことを話さなければいけない雰囲気になりそうで緊張した。その表情の変化を察知した晃一は話題を変えることにした。今はまだ踏み込んだ会話は無理だ。
「ところでどう?一生懸命見ていたらお腹空いたんじゃない?」
晃一がそう言うと、詩織はそこで初めてニッコリと笑った。
「はい・・・少しだけ・・・・」
「少し?」
晃一が突っ込むと、
「もう少し・・・・かも???」
と小さく微笑んだ。
「それじゃ、もうだいたい見ちゃったからお昼にしようか。ここのレストランで簡単に食べていく?それとも、もう少し我慢してレストランに行こうか?どっちが良い?」
「・・・・・・・・・・・・」
詩織は何も言えずにいる。と言うことは、晃一に任せると言うことだ。
「それじゃ、俺が決めて良い?もう少しだけ我慢できる?」
「はい」
「分かった。それじゃ、出ようか」
そう言うと晃一は詩織を連れて水族館を出ると、タクシーを拾って行き先を告げた。そして携帯でレストランの席が取れることを確認すると、
「10分くらいだからね」
と言った。
二人が下りたのは竹芝だった。そのまま晃一は最上階のレストランに詩織を連れて行く。詩織は自分の行動パターンとあまりにも違うために却って緊張していた。そして、食事ならファミレスか何かの方が楽な気分でいられるのに、と思った。
しかし、そんなちょっとした不満もレストランからの景色にかき消された。到着してエレベーターを降りた詩織の前に広がったのは息をのむような景色だ。目の前にレインボーブリッジが大きく広がり、小さな舟が行き来しているのを眼下に見下ろすことのできる素晴らしい景色だった。
窓際の席に座ると晃一は詩織に聞いた。
「好き嫌いはあるの?」
「・・・・はい・・・ちょっと・・・」
こう言う時に好き嫌いは答えにくいものだ。
「それじゃ、好きなもの選んでちょうだい」
そう言って晃一は詩織にメニューを差し出されたが、正直に言って何を頼んで良いのか分からない。詩織が戸惑っていると、晃一が、
「それなら、ランチコースを取り敢えず頼んで、足りなければ追加するし、食べられなければ残せば良いよ。それで良い?」
と聞いてきた。詩織が頷くと、晃一はランチコースを二つと飲み物を二つ頼んだ。
「ここは明るいから雰囲気が好きなんだ。詩織ちゃん、良かったら自分のこと、話してくれない?」
「自分のことって・・・・・」
「うん、学校のこと、友達のこと、何でも良いんだ。だめ?」
「そう言われても・・・・・」
詩織は迷ったが、相談に乗って貰うというのだから何か話さないわけにはいかない。
「あの・・・・・学校は女子校で・・・・いちおう新聞部って言うのに入っていて・・・」
「新聞を作ってるの?」
「あの、そんなにはやってないんです。発行するのは年に2回くらいだから・・・・・今は10月に出すまでネタを探しているだけで、特に何も・・・」
「学校の壁とかに張り出すの?」
「いいえ、学校のサイトに登録してある生徒に新聞のアドレスを配信する方式で、どっちかって言うとメルマガみたいなものかも・・・・」
「そうなんだ。兄弟はいるの?」
「いいえ、一人っ子です」
「兄弟が欲しいと思った?」
「妹がいたら・・・・・って思ったことはあります」
「そうか、俺も妹がいたらなって昔思ったことがあるよ。友達に妹がいる奴がいて、とっても楽しそうだったから。俺は上に姉がいたけど、姉って言うのは結構しんどいものでね」
「そうでしょうね・・・・」
「わかるの?」
「女の子は男の子よりしっかりしてるから、おまけに年上なら・・って思って・・」
「そうだよ。正にその通り。もし選べるなら上ならお兄ちゃん、下なら妹って感じだよね」
「そうですね・・・・・。私も・・・はい・・・」
ほんの少しだけ雰囲気が解れた感じだった。
「詩織ちゃんは、こんな妹なら欲しいなって思った子とか、いる?友達の妹で」
「いる・・・・・と言えば・・・・・いる・・かな・・」
「どんな子?」
「友達の妹で、いつも友達とけんかばっかりしてる子で」
「けんかしてみたいって思ったの?」
「そう。それも楽しそうだなって・・・・・」
「一人っ子だと、そういうのが羨ましいんだ」
「羨ましいって言うのとは違うかも知れないけど、賑やかで良いなって」
「そうかも知れないね」
そんな話をしていると、ランチコースが運ばれてきた。コースと言ってもランチなので結構簡単なものだ。晃一は箸を二つ頼んで、のんびりと食べ始めた。