第251部

「友紀ちゃん、帰るの?」
「うん」
友紀はそう言うと、菜摘がドアの向こうのバスルームに入ったことを横目で確認してから晃一の首に手を回し、耳元で、
「だけどまた今度、ちゃんと全部。ね?このままはいや」
と言ってぎゅっと晃一に抱きついて短いが心のこもったキスをした。ほんの短い時間だったが友紀の身体が少しだけ熱くなり、身体の反応に慌てた友紀が晃一から離れた。そしてリビングを出ると、バスルームの菜摘に聞こえるように、
「それじゃ、おじさま、またね」
と言って帰って行った。
外に出た友紀はマンションの玄関に向かいながら、『ふぅ、結構危なかった。ギリギリじゃ無いの。きっとマンションの直ぐ近くで電話したんだ。だけど、そこまで来ていたらどうしていきなり来なかったんだろう?あ、そうか、チェーンロックがかかってれば『電話してくれれば良いのに』って言われちゃうからか。もう、まだパンツ履いてないのに。早くコンビニでパンツ履かなきゃ』とポケットに手を入れてパンツを確認した。まだ身体に甘い感覚と怠さが残っており、心の奥の引きずっている意識が晃一に抱かれたいと言っている。
一方菜摘は、バスルームを使った形跡が無いことを確認すると、取り敢えずシャワーを浴びた。そして汗を流しながら『友紀、家で浴びてから来たのかな?それとも、本当に何も無かったの?』と思った。電話してからここに来るまでの時間はかなり短かったので、友紀と晃一が菜摘の想像通りのことをしていれば何か発見できたはずだ。それとも、4時よりも前に来て、既に全部終わったのだろうか?菜摘は考えた。『ううん、もしパパと始めたのなら長いもの。それなら絶対何か不自然なはず。それが無いってことは、本当に何も無かったのかも』『それに、友紀は4時に行くって言ってた。それが嘘ならもっと時間はあったはずだけど、そこまで嘘はつかないはず』『でもさっき、友紀の髪、少し乱れてた・・・・。だからキスくらいはしたかも・・・・・。でもわかんない・・・・』菜摘の心の中ではいろんな想いが交錯したが、全体的には問題なかったという方向に傾いていった。
すると今度は晃一に意識が向いていく。『もう、パパったら心配ばっかりさせるんだから。私の気持ちなんか全然考えてくれないし』そう思うと、ちょっとこのまま甘えるのは癪に障る。菜摘はちょっとだけ困らせてやろうと思った。その意識の裏で、偶然できた時間だがこれから晃一に可愛がってもらえるという喜びが湧き上がってくる。
しかし、友紀が素直にさっさと帰ったことで菜摘がここに来た目的は既に達成されている。菜摘にしてみれば、友紀が足繁く晃一のところに遊びに来て、たぶん抱かれていることが気に入らないのであって、それさえ無いのであれば本当はもうここにいる理由は無い。はっきり言えば帰ってしまっても良いのだが、そうは言ってもここに来てしまって、おまけにこうしてシャワーを浴びてしまうと晃一の力強い腕の中で愛されたいと思うのもまた確かだった。しかし、自分が良いと言ったとは言え、いつも内緒で他の子を抱いている晃一も少しくらい困らせてみたいとも思う。とにかく気持ちが複雑に絡み合っているのだ。
本当なら、友紀が帰ったことで菜摘の心配の種は取り除かれたのだから、このまま菜摘は帰ってしまっても良かったはずだった。しかし、晃一の顔を見てそのまま帰ることなど菜摘には無理だった。やはり菜摘としては、晃一に優しくして貰って二人の繋がりを確認したい。時間をかけてシャワーを浴びた菜摘は身体を拭きながら、少しずつ身体が熱くなってくるのを感じていた。
晃一は菜摘が支度を終えてリビングに現れるのを待っていた。突然友紀が帰ってしまった、と言うか、菜摘が急に現れたのが驚きだったが、友紀が直ぐに身支度を始めて短時間で菜摘が現れたので、もしかしたら二人の間に何かの合意があったのかも知れないと思った。もしそれを自分が知らなかっただけなら自分としては受け入れるしか無いのだから、友紀のことを考えていても仕方が無い。菜摘や友紀の気持ちが分からない晃一は脳天気にそんなことを考えていた。
しかし、菜摘はなかなか現れない。いつもならそれほどシャワーに時間を掛けずに現れるのに、もう20分以上経っている。晃一は不思議に思った。
それから更に10分経ったが菜摘は現れなかった。晃一は『おかしい』と思ってバスルームの前で様子を伺ったが、水音もしないし気配も無い。ドアをそっと開けると誰もいなかった。慌てた晃一は玄関を見ると、ちゃんと菜摘の靴がある。ほっとしてベッドルームを開けると、菜摘は机に座って静かに勉強していた。
「菜摘ちゃん?」
「あ、ちょっと机、借りてるの」
菜摘は何事も無かったかのように参考書を開いている。
「あ、そうなんだ。それじゃ、リビングにいるからね」
「ううん、ちょっと教えて?」
「あぁ、いいけど・・・・・」
晃一は菜摘の気持ちが分からずに菜摘の後ろに立って机の上を見た。
「数学?」
「そう、さっき図書館でやりかけたんだけど、どうも良く分からなくて。パパ、教えて」
そう言って菜摘はペンで問題を指した。
「ははぁ、数列の問題だね?」
「うん、たぶん・・・・・」
その問題の最初の問いでは、トイレットペーパーのような絵が描いてあり、紙テープのロールには芯に紙が何回巻いてあるか計算せよ、と言う問題だった。テープのロール全体の直径と芯の直径、それと紙テープの厚さが与えられている。
「これ、さっき図書館でやってたんだけど、上手く解けなくて・・・・」
「菜摘ちゃんはどう考えてるの?」
「だんだんテープを巻いていくと一周の長さが少しずつ長くなっていくのはなんとなく分かるの。だけど・・・」
「そうだよね。テープは巻いていくと少しずつ一周が長くなっていくね」
「だけど、テープは全部繋がってるし・・・」
「どうすれば良い?答えを直ぐに教えて欲しい?それとも自分で考える?」
菜摘は晃一に振り返ると、
「ヒントを教えて。できるだけ考えたいの」
と言った。その表情は真面目で真剣だ。俯いていた菜摘が振り返ったことで制服の胸元からブラジャーがチラッと見えた。
「分かったよ。ヒントだけあげる。考えてごらん」
そう言うと菜摘はペンを持ち直してノートに向かい、考える体勢を整えた。
「テープ一周の長さはどうやって計算する?」
「それは、最初は芯の直径が分かってるんだから、それと円周率とで・・・」
「そうだね。最初の一周は直ぐに計算できるね。二周目は?」
「それは・・・・・・・・」
菜摘は最初の一周目のテープの長さを計算し始めた。
「考えてごらん?」
そう言うと晃一は、少し身体を伸ばして菜摘の胸元を覗き込んだ。軽く俯いているので制服の胸元には空間ができてブラジャーに包まれた可愛らしい乳房が開いた胸元の奥によく見える。晃一の声のする位置が変わったので菜摘は晃一が胸元を覗き込んでいるのが分かったが、『見るくらいならいいか』と何も言わなかった。ただ、晃一の息が項にかかるとくすぐったかった。
「わかんない・・・・・・」
「それじゃ、図を書いてごらん」
「図?こう?」
菜摘はノートに図を書き始めた。
「テープの芯がこれで、そこにテープがこうやって・・・・・」
「そう、そうなんだけど、それで分かるかな?」
菜摘は晃一の声が急に近くなったことに驚いた。晃一の声と息が直接項にかかったのだ。
「あ、近い。パパ、だめ」
「だめ、考えなさい。ちゃんと教えてあげるから」
「だって、こんな近くで・・・・」
「教えて欲しいんでしょ?」
「それは・・・・はい・・・・・」
「だったら考えなさい」
菜摘は晃一が勉強を教えたいのか、始めたいのか、どっちか分からずに戸惑った。正直に言えば、このままベッドに誘われても断る自信は無かった。二人だけでベッドの横にいるのだ。ベッドを意識しないわけにはいかない。だから菜摘は晃一に確認した。
「でも、パパ、覗いてる?」
「そう、見てるだけだよ。それなら良いだろ?」
「でも息が・・・・」
「それくらいは我慢しなさい。勉強を教えて欲しいんでしょ?」
菜摘は『そんな理屈があるか』と思った。しかし、考え始めてしまったのでここで止めるのはもったいない。これは昨日、問題集に載っていたのだが、それから解けていない。菜摘の知らないパターンなのだ。だから早くこの問題は解いておきたいのだ。
「はい・・・・・」
菜摘は『仕方が無いなぁ、パパったら』と思ったが、再び問題に意識を集中した。しかし、晃一に直ぐ横で教えてもらえるのは嬉しかった。
しかし、一周目の長さは計算できても、二周目はなかなか計算できない。直径が増えるだろうと言うことは分かるのだが、テープはぐるぐると回って繋がったままだんだん直径が増えていくので計算の方法が分からないのだ。
「わからない?」
晃一の吐息が項にずぅんと響いた。
「!!!!」
菜摘は甘い感覚が身体を走ったことに驚いたが、それを言うと勉強に集中していないみたいなのでわざとそれを無視した。しかし、晃一の吐息は菜摘の項に次々にかかってくる。
「パパ、もう少し離れて・・・・」
そう言ったが晃一は離れない。
「集中できない・・・・」
「考えられないの?」
晃一のその言葉は『分からないならそう言いなさい』と言っているようで菜摘には少しだけカチンときた。だから菜摘はそのまま問題に集中した。しかし、分かりそうで分からない。菜摘はそのまま少し考えたが、晃一に更に助けを求めた。
「パパ、もう少しだけヒントを頂戴」
「もう少しか・・・・・・・。それじゃ、もっと丁寧に図を書き直してごらん」
「丁寧にって言っても・・・・・・・・・。こう?」
菜摘はもう一度丁寧に芯にテープが巻き付いている絵を描いた。
「それだとわかりにくいと思うんだけど・・・・・・。テープにも厚みがあるんでしょ?」
「そう、これだけ」
菜摘はペンで問題に書いてあるテープの厚みを指した。
「ちゃんと図も厚みがあるように書かなきゃ」
「え・・・・・・・厚みって・・・・・・・こう?」
菜摘はもう一度図を書き始めた。今度はちゃんとテープに厚みを付けている。晃一は菜摘が思うように書き始めたことを確認すると、菜摘の項にそっと唇を這わせた。
「んぅぅっ、ちょ、ちょっとおぉっ、あっ、だめっ」
菜摘は驚いて身体を捻って逃げた。
「ごめんね。菜摘ちゃんが可愛いから我慢できなくてさ。早く問題を解いてごらん」
晃一の唇が菜摘の敏感な項に押し付けられ、舌がねっとりと首筋を舐め回した。
「そんな、ああんっ、だめぇ、そんなことされたら考えられないぃ」
「だめ、考えなさい」
晃一はそう言うと、菜摘のブラウスのボタンを外し始めた。
「あっ、だめ、それは後で」
思わずそう言って菜摘は胸を手で押さえたが、
「まず図を完成させてごらん?そうすればきっと分かるよ?」
と言って晃一は取り合わない。
「だから、それなら集中させて。手をどけて」
「・・・・・でもぉ・・・・」
「ほら、まずとにかく図を完成させてごらん」
晃一の手は決して力尽くでは無いのだが器用に素早くボタンを外していく。
「もう・・・・」
菜摘は手を止めない晃一をおもちゃを離さない子供のようだと思った。そして、こんなことを繰り返していても埒が明かないので図を完成させることにした。そして『脱がされたって、おねだりなんかしてあげないんだから。私は勉強してるの』と思った。
菜摘が図を丁寧に書き始めると、晃一は菜摘のブラウスのボタンを全部外し、更に手を伸ばして袖のボタンも外してしまった。もう菜摘は無視しているので何も言わないし抵抗もしない。菜摘のブラジャーに包まれた胸の膨らみが見えてきた。ただ菜摘は一瞬だが、『ここに来るなら、もっと可愛いのを着てくれば良かったな』と似たデザインだがハーフカップになっているブラジャーを付けてくれば良かったとちょっとだけ後悔した。
そして気合いで菜摘は問題に集中して図を見直してみた。すると、頭の中で何かが光った。
「あ・・・・・・・・・もしかして・・・・・・・」
「わかった?」
「なんとなく・・・・だけど・・・・・・」
「それじゃ、菜摘ちゃんが発見したことを入れて図を書き直してごらん?」
「書き直す??・・・・・そうか、ずっと連続してるって思うから計算できないんだ。一周ずつ別々になってるって思えば良いんだ」
菜摘は問題解決の糸口を見つけて喜んだ。そして今度は、テープが連続しているのでは無く、一周ずつ独立して巻き付いている絵を描き始めた。少しずつ長いテープが何枚も一周ずつ巻き付いている図だ。
「ほう、分かってきたんだね?偉い偉い」
そう言いながら晃一は菜摘のブラウスを大きくはだけて肩から脱がせていく。
「ねぇ、ちょっとぉ、問題が解けたらどうして脱がなきゃいけないの?」
菜摘は半分笑いながらそう言ったが、もう問題は解けたと思ったので晃一に脱がされるのは嫌がらなかった。
「まだ解けていないでしょ?方針が決まっただけだよ」
菜摘の肩からブラウスを滑り落とすと上半身がブラジャーだけの菜摘の綺麗な上半身が露わになる。菜摘は問題が解けそうなので脱がされても何も抵抗しなかった。もう直ぐ解けてしまえば同じだと思ったのだ。
やはり菜摘は綺麗だった。肩から胸、腰へと流れるようなラインは菜摘だけの美しさだ。しかし、いつもなら直ぐにこの少女の身体に手を出すのだが、今の晃一は菜摘の身体に手を出さなかった。その代わり、背中のブラジャーのホックを外してしまった。
「あっ、それは」
「服を脱いだのならこれだって同じだろ?」
晃一は菜摘の耳元でそう言いながらブラジャーのストラップを肩から外してしまう。もう直ぐ解けそうになったとは言え、菜摘は問題を解いている最中に脱がされるのは嫌だったが、外されてしまったブラジャーを付け直そうとはしなかった。菜摘は晃一がまだ触ってこないので、身体を見せるくらいなら許しても良いと思った。実はその意識の奥には早く晃一に可愛がって欲しいという思いもあったのだ。ただ、『裸で勉強するなんて・・・』とは思った。
菜摘のブラジャーを取り去ると、美しい乳房が完全に姿を現した。半球型に近い少し小さい膨らみだが先端の方はなだらかに三角になっており、そのラインが晃一の視線を釘付けにする。ただ、まだ先端はほとんど埋まっていて乳首は飛び出していない。考えてみれば、晃一は菜摘の尖っていない乳首を見た記憶がほとんど無かった。そして、まだ埋もれている乳首をとても可愛いと思った。友紀より色の薄い乳首はほとんど埋もれており、先端の凹んでいる部分は回りと同じ高さだ。これからこの埋もれている乳首を目の前で尖らせてみたいと切実に思った。
しかし、少女の身体に魅了されている晃一とは違って菜摘は早く問題を解いてしまいたかった。裸になった事自体は晃一が菜摘のために用意してくれたこの部屋の中なのでそれほど気にならなかったし、まだ全然感じていないのだから焦れてもいない。だからもちろん、おねだりなどするはずが無いししたくも無い。
「図が書けたのなら、計算式を作ってごらん?数列を作るんだよ」
「ええと、それは・・・・・どうするんだっけ・・・????」
菜摘はまだ数列が苦手だった。概念が良く分かっていないのだ。練習問題はいくつも覚えたが、自分で作るとなると分からないのだ。
「菜摘ちゃん、これは数列の問題だってこと、分かってる?」
「うん、なんとなく・・・・・・・」
菜摘はそう答えたが、晃一の言っている意味が今一歩分かっていなかった。だが、ここで菜摘はがんばった。今までの菜摘ならここでギブアップして晃一に甘えてしまったろうが、このところ真面目に勉強を続けていたのでどうすれば良いのかは少しずつ分かってきたのだ。
「たぶん・・・・こうやって・・・・・一週目か、二週目、三週目・・・・って足していけば良いはず・・・・・」
そう言いながら、一週目の長さ+二週目の長さ+三週目の長さ・・・・、と書いていく。
「そうだね。そうすると合計は・・・・・」
「ああん、言わないで。考えるから・・・・・・」
菜摘は考えた。すると直ぐに答えは出た。