第267部
菜摘にしてみれば、今は晃一と勉強以外に気持ちの余裕は無かったから、男子に告られるのはありがたい事だが、今は晃一と勉強で目一杯だし、それで十分と思っていたので少しそうっとしておいて欲しかった。そして、晃一に甘えている時の幸せな感じと晃一が自分のことを大切に思ってくれているという安心感を大事にしていこうと思った。そして、まだ身体の奥深くに残っている先日晃一に貫かれながら乳房を揉み上げられて絶頂した時の感覚を少し思い出した。その顔を赤くした菜摘を見た美菜は呆れた。
「もう、ここで何赤くなってんのよ。もしかして思い出した?」
美菜にからかわれて美菜は耳まで赤くなった。
「何にも。ちょっと困るって思っただけよ」
「はいはい、幸せな子は良いね。幸せになれる事がいっぱいあってさ。こっちはいっぱいいっぱいなのに」
「美菜だって・・・・」
「私はいつも菜摘の次、おじさまはいつも菜摘が一番。そんな二人の隅っこにおいて貰ってるだけだし、今はちょっと成績を戻さなきゃいけないからあんまり余裕無いの。だから、このままもう少し隅っこで居させてくれれば自然に離れていくわよ」
美菜は菜摘を安心させたくてそう言ったが、実際には心の中ではもう少しだけ晃一のレベルは上だった。やはり美菜も頑張ったご褒美が欲しいし、正直に言えば思い切り甘えさせてくれて大切にしてくれて自分の身体を優しく開発してくれる、そして新しい自分を見つけてくれる晃一の傍にもう少し居たいと思っていた。しかし、さすがにそこまでは菜摘には気づかれていないようだ。
「うん、わかってる」
「はい、もう良いでしょ?戻ろう?」
そう言うと二人は教室に戻っていった。菜摘と二人で歩きながら美菜は、晃一の愛情に満たされて幸せいっぱいの菜摘を少しだけ妬ましく思った。嫉妬というのとは少し違うかも知れないが、なんとなく菜摘に後れを取ったと感じてしまう。今の菜摘を見ていると、明らかに勉強も恋も充実しているのがはっきりしているからだ。
それに、菜摘のやり方、自分と友紀を宛がっておいて他の子に行く可能性を完全に絶っておく、と言う音は、悔しいがぐうの音も出ない上手いやり方だと思っていた。確かに晃一が他の子に優しくするのは菜摘から見れば心配で仕方ないし悩みの種にもなるだろうが、逆に言えば最初から晃一が本気になる事は無いし菜摘次第でいつでも関係を絶てる権利がはっきりしていて、それを納得して自分も友紀も晃一に付き合って貰っているのだからそれ以上晃一を監視する必要も心配する必要も無いのだ。そうして於いて自分は好きなだけ勉強に打ち込めるというのは彼氏を持っている他の女の子全員に共通する彼氏の浮気の心配から完全に解放されていると言うことだ。悔しいが、今の自分はその地位に甘んじなくてはいけないと言うのが自分の悲しさだと思っていた。
その日の夕方、菜摘は麗華を探すと、明日のミーティングについて聞いてみた。
「おう、明日の主役の登場だね。頑張ってよ、期待してるから」
麗華は菜摘に冷静にそう言ったが、菜摘にとってはもう少し麗華に応援すると言うニュアンスが欲しかった。
「期待されても困るわよ」
「何言ってんだよ。友紀や美菜とも話した筈だ。お膳立てはできてるんだ。友紀から話は聞いてるだろ?久しぶりにいっぱいゲロって頂戴ね。おじさまとのカラミ、期待してるよ」
「そんな言い方・・・・、友紀に言われたとおりにはするけどさ」
菜摘はそう言う言い方で友紀が、どのように、どこまで麗華に話したかを探ろうとした。
「それなら良いけど、きちんと話してくれないと面倒なことになるよ、分かってるな?」
「それじゃ、友紀とどんなこと話したのよ、聞かせてよ」
「おう、実はいろいろあってね、だんだん変わってきてるけどさ」
「どういうこと?」
「友紀が言うには、おじさまと女の子3人のことはきちんと話したいって言うのさ」
「ええっ?それどう言うことよ」
菜摘はちょっと驚いたした。確かに電話で怒っていた友紀は『とばっちりはごめんだ』と言っていたのに、自分から話すとは信じられないが。
「ナツと喧嘩したんだろ?それで、らしいよ」
「全然わかんないよ。どうして私と喧嘩したら全部話すことになるのよ。第一、友紀は美菜が余計なこと話さないか心配してたんだよ?それがどうしてなのよ」
「そこまでは分からないさ。でも、なんかナツに申し訳ないって言ってた」
「申し訳ないって・・・・・・そんなこと・・・・・」
「良いじゃ無いか、あんまり秘密にしておくのも私だって気が引けるし、別に悪いことしてる訳じゃ無いんだからさ。友紀が言いたいって言うならそうさせてやれば?」
「そりゃそうだけど・・・・・ああん、でもわかんない」
「友紀に聞くのが一番だろ?仲直りすれば?」
「それは・・・・・・・ちょっと今は・・・・・」
「明日までに話しておく方が良いと思うよ。とにかく、友紀はあんたと喧嘩して後悔してるって事らしいし」
菜摘は『そうなんだ、やっぱり』と思った。美菜の話から何となく想像は付いていたが、あの電話のことがあっただけに信じられない気持ちもあった。しかし、これではっきりした。
「ねぇ、それじゃ聞かせて。元々は美菜だけだったんだよね、話すのは」
「そうさ」
「それなら、私と友紀は無しにして美菜だけにしても問題ないよね?」
「それは・・・・・・・。でも、それじゃ友紀が納得しないだろ?」
「だって、最初はそう言う話だったんだし、私と友紀が仲直りすれば私が話す理由だって無くなるんだから。それなら友紀だって話す必要ないし。でしょ?」
「あんた、言うようになったねぇ」
「答えてよ、そうでしょ?」
「まぁ、そう言われればそうだけど・・・・でも、話して欲しいんだけどなぁ?」
「それは友紀と話して決めるから。それで良いでしょ?」
「ま、あんたたちの問題なんだから、そうすれば良いよ」
麗華はあっさりと引き下がった。麗華にしてみれば、菜摘と友紀が仲直りするのが一番だと思ってくれたのだ。元々喧嘩した挙げ句、罰ゲームのように話させるのは麗華だって本意では無い。嫌がるのを無理やり、と言うのは盛り上がらないからだ。
「それじゃ次、美菜のこと、教えて。どうしてグループを抜ける条件がパパとのことを話すって事なのよ」
「それはちょっと違うな、話の順番が違うよ」
「そうなの?麗華が美菜に話せって言った時に美菜がそれなら抜けるって話しになったんじゃ無いの?」
「違う違う、順番が逆だよ。最初は美菜から言い出したんだ。グループから抜けたいって」
「それで条件を出したの?」
「条件て訳じゃ無くてさ、元々美菜には抜けたいって気持ちがあったのは知ってるだろ?」
「うん・・・・なんとなく・・・・だけど・・・・・」
「前から言ってたんだ。特に嫌って訳じゃ無いけど、やっぱりここは卒業しようかなぁって」
「そうなんだ・・・」
「それでこの前、やっぱり卒業したいと思うって言われてさ、それならみんなにどういう風に言えば良いかって話しになって、あれこれ二人で話してたら美菜も一度くらいみんなに話しても良いんじゃ無いかって事になったんだ。このまま抜けるとけじめって奴が無いからさ。分かるだろ?」
「そうか・・・・・美菜は元々中学の時に経験済みだったからみんなには話したこと無いものね」
「そう言うこと。それが元々美菜のポジションをみんなと違ったものにしてただろ?だから、最後に美菜が話してみんなと同じポジションに居るんだからって事を分かって貰って円満に抜ければ誰も文句を言わないよねって事になったのさ。美菜だってグループが嫌で抜けたがってるんじゃ無いって事を分かって貰いたいんだよ」
菜摘は何か麗華の話にはだいぶ麗華の恣意が入っているような気がしたが、話の筋は通っている。そして、美菜が本気でグループを抜けて勉強に集中したいという気持ちも伝わってきた。
「でも、何もパパとのことを話さなくたって・・・・」
「それは私にもわかんないけど、美菜が自分で言い出したんだから。私が押し付けた訳じゃ無いよ」
「そうなんだ・・・・・・」
菜摘は考え込んだ。美菜は元々みんなに自分のことを話したがる子では無い。それが自分から言い出したと言うことに何か大きな意味があるような気がした。もちろん、麗華が嘘を言っているとは思えない。そんなことをしても麗華には何も得することなど無いからだ。
「分かった。ありがと・・・。友紀と話して連絡する・・・」
「あいよ、毎度ありぃ。がんばりな」
菜摘は美菜の気持ちが分かったような分からないような、変な気持ちだった。しかし、何となくだがこれ以上美菜に聞いても仕方が無いような気もした。はっきりとしているのは美菜がグループから離れることを決めていると言うことだけだった。
菜摘はそれから慌てて友紀を探したが、既に放課後になってだいぶ時間も過ぎてしまっており、麗華と話している間に友紀は帰ってしまったらしく、菜摘は友紀を見つけられなかった。
仕方なく美菜は友紀に電話した。長くなるかも知れないからちょっと電話代がもったいないが仕方ない。ここは学校帰りのバーガーを我慢してでも話しておくべきだと思った。
「友紀、麗華と話したよ。友紀も話すってどう言うこと?」
「そうか、麗華、話したんだ・・・・・・」
「そうよ、私、覚悟決めて麗華と話したのに、友紀まで話すなんて、私、わかんない。とばっちりはごめんだって言ってたのに」
「そうね・・・・・・・」
友紀は静かに話し始めた。あれだけ怒っていた時とは様子がまるで違う。
「あのね、菜摘、最初に言っておきたいの。ごめんね」
「どうしたの?急に」
「ううん、ちょっとかあっとなっちゃってたから・・・・・」
「それじゃぁ、私が話さなくても良いの?」
「ううん・・・・私が思ったのは・・・・、菜摘が話すんなら私だって同じ事しなきゃいけないかなって・・・・・・」
「だって、とばっちりはごめんなんでしょ?それなら、私が話さなきゃ良いだけじゃ無いの?」
「それは・・・・・・・、ねぇ、ちょっと長くなるけど、良い?」
菜摘はちょっと嫌な予感がした。なんなのかは分からないが、聞いてしまえば逃げられなくなるような漠然とした恐怖だ。しかし、聞かない訳には行かない。
「うん・・・わかった・・・・いいよ」
「あのね、私最近、どうしてそうなったのか考えるようにしてるの。それで、菜摘と喧嘩しちゃったのも、どうしてなんだろうって思ったの。本当だよ。それでね、これについては菜摘と美菜とでおじさまとのことをみんなに内緒にしようってことにしたのが間違いの始まりだったと思ったの。内緒にしようって思うから黙ってなきゃいけないし、内緒にしようって思うからあれを守らなきゃいけない、これはできない、ってなるんじゃ無いかと思ったんだ。聞いてる?」
「うん・・・・・聞いてるけど・・・・・」
菜摘は嫌な予感が当たったと思った。
「だから、それなら内緒にしなきゃ良いって事でしょ?菜摘には嫌なこと言ってごめんね。頭に血が上ってたって言うのもあったけど、やっぱり菜摘が羨ましくて。私だって分かってるの。おじさまは菜摘が一番で、私のことはその次だって。で、菜摘だってみんなに内緒にしてるから私があんなこと言っても言い返せなかったんだし・・・・。それで、それなら一回全部出してみようって」
今度は菜摘がカッとなる番だった。
「それで良いの?友紀がみんなに言っちゃうと、友紀はみんなにどう思われる?それで良いの?」
「それって・・・・・」
「分かってるでしょ?私に言わせないで」
友紀は菜摘の言いたいことが良く分かっていた。もともと菜摘と晃一が付き合っているところに高木が入ってきて付いたり離れたりしているところに友紀と美菜が割り込んでいく形なのだから、菜摘の公認とは言え、菜摘の許可を取って菜摘の都合が良い時だけ彼氏に相手をして貰うというのでは未来の無い袋小路に自分から入っていくようなものだ。誰が見たって無駄なことをしていると思うのは明らかだ。他の子から見れば、どうみても菜摘と晃一の間を邪魔しているようにしか見えないはずなのだ。
「それはね・・・考えた。けど、良いの。それで・・・。だって、その通りなんだもん。隠そうとするから自分でも悲しくなることを菜摘に言っちゃうんだからさ・・・・」
「友紀・・・・・」
「どう?菜摘、どう思う?」
「友紀、本当にみんなに話したいの?」
「菜摘さえ良ければ、だけど・・・・・・・だめ?」
菜摘は考え込んでしまった。もともと友紀と美菜のことをみんなに黙っていようと思ったのは、友紀と美菜だけで無くほかの子が晃一に抱かれるのを防ぐ意味が大きかった。麗華だって非常に怪しいと言うかほぼ間違いないし、結佳も同じだ。今は晃一は自分が一番だと言ってくれているが、いつ晃一が他の子に本気にならないとも限らない。だから友紀と美菜を取り込むことで他の子が晃一に来るのをブロックしたのだ。
その点から考えれば、ここで菜摘を中心に3人だけというのをはっきりさせるのはもしかしたら悪くないのかも知れない。変則的ではあるが、ここではっきりさせれば他の子が入ってくれば明らかに割り込んできたことになるからだ。
「う・・ん・・・・・」
「やっぱり、いや?」
友紀の言い方はとても遠慮がちだ。あくまで菜摘が主導権を持っていることを明示している。それに、美菜は遠くないうちに晃一の元を去って行くのは聞いたばかりだ。少なくとも美菜にもその気は無いし、たぶん晃一も美菜がアプローチしない限りは晃一から近づくことは無いだろう。友紀は残るが、友紀に対しては菜摘自身も強く言えない部分があるし、正直に言えば晃一とのことについては心の奥では友紀に負けることは無いと思っているのも確かだ。
ミーティングで正直に話すのは嫌と言えばもちろん嫌だが、そんなことはこれからのことを考えれば些細なことと言えた。どうせみんな直ぐにほとんど忘れてしまい、せいぜい『あの時の菜摘の話、結構面白かったね』くらいしか残らないのだから。
そこまで考えた菜摘は結論を出した。
「ううん、友紀の言うとおりかも知れない・・・」
「菜摘、本当にそう思う?」
「うん、なんとなく・・・・・・だけど・・・・・」
「それじゃ、話しても良い?」
「そうね、そうしようっか」
「ねぇ、それって私が言ったから?」
「え?」
「私が言ったから話す気になったの?」
「うん、そうかも。でも、はっきりさせて置いた方が良いって思うのも本当よ」
「それじゃ、決まりでいい?」
「うん」
「それじゃあ、ちゃんと話して。お願い」
「もちろん話すわよ。ちゃんとって何のこと?」
「私が帰ったのは4時頃。そして電話があったのは8時過ぎ。それまでの間もちゃんとって事」
「えっ、そんなことまで?」
「そうよ。ちゃんと話して」
そう言った友紀の声は、さっきまでとまるで違う冷たい響きを持っていた。
「だって、どうしてそんなことまで言わなくちゃ・・・・・」
「菜摘、私も正直に言うから」
「だから、どうして私が友紀と関係の無いことまで言わなくちゃ・・、待って。友紀、今は怒ってるの?」
「ううん、怒ってない」
「怒ってるんでしょ?」
「ううん、怒ってない。分かるでしょ?今は冷静」
「私に一杯恥ずかしいこと話させて楽しい?」
「まさか、そんなこと思ってない」
「それじゃ、聞きたいって事?」
今は菜摘の方がカッとなっていた。
「そう。聞かせて。知りたいの、おじさまが菜摘にどんなことをしてくれるのか、をね」
その言葉は菜摘にとって衝撃的だった。
「どうしてそんなこと・・・・・」
菜摘は黙り込んでしまった。
「あのね、ちょっと待って。そのまま待ってて。切らないで。直ぐだから」
そう言うと友紀は菜摘との電話を保留にしたまま1分ほど誰かと話してからまた菜摘に戻った。
「ごめん。実はね。私と美菜は知ってるの。お互いのことを」
「え?なに?」
「知ってるのよ。私と美菜はお互いに。だって、お互いに見たんだもの。おじさまの部屋でして貰ったのを」
「え・・・・・・」
菜摘は頭の中が真っ白になった。何を言っているのか全然分からない。本当に友紀の言ってることが分からなかった。
「あのね、あの日は最初に美菜がおじさまの部屋に行ったの。私、この前鍵を借りてたでしょ?それで部屋に行ったの。そしたらね・・・・・してた・・・」
「・・・・・・まさか・・・・・」
菜摘はまだ信じられなかった。いや、友紀が何を言おうとしているのかは何となく分かったが、それでもまだ信じようとしなかった。もちろん、頭の中では分かっていた。友紀に鍵を貸していた時、確かに美菜から連絡が来ていたし、突然だったが結局OKもした。その時は余り深く考えようとしなかったからなのだが、まさかそれを目の前に突きつけられるとは思ってもみなかったのだ。それに『お互いに見た』とはどう言うことなのか。『乱交パーティー??まさか・・・・』頭の中ではぐるぐる回っているのに、考えようとしている自分と無理に考えまいとしている自分が混在している。
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