その頃、帰宅した由美はシャワーを浴びてから、病弱な母の代わりに買い物を済ませたばかりだった。そして手早く夕食の準備をしてしまう。これなら帰りが少しくらい遅くなっても、母でも簡単に料理ができる。それを確認してから着替えを済ませると、図書館に行ってから買い物してくると言って家を出た。
頭の中はもちろん、宏一のことでいっぱいだった。今頃はどう考えても宏一が一枝を貫いている頃だ。それを考えるとなんとも言えない気持ちになってくる。『ジェラシーなの?』と自分に問いかけてみるが、そうかも知れないと思う気持ちもある一方、一枝を応援する気持ちだってはっきりあるのだ。特に行く宛てがあるわけではなかったが、確かなのは家でじっとしていることなどできないと言うことだけだった。
『このまま宏一さんの部屋に行ってしまおうかな?』とも思ったが、さすがにその度胸は無い。それでも、部屋の近くまでは行って見ることにした。心の中では『一枝ちゃんが出てきたら優しく話を聞いてみよう』と思ってはいたが、それが自分でも本心とは思えなかった。でも、電車に乗っていると、『とにかく近づいている』と思える間は余計なことを考えずに済む。由美は引き寄せられるように宏一と一枝の方へと移動していった。
「ああぁぁぁっ、宏一さん、お願いっ、お願いぃーーっ」
「一枝ちゃん、よくなってきたんだね。もっと感じてごらん」
「いやぁぁっ、約束して、ねえぇぇっ、はうぅーっ、くうぅーーっ、はぁっ、はぁっ、宏一さんっ」
「一枝ちゃん、ほうら、ほうらっ」
「好きだって言ってくれたくせにぃーっ」
その一言はさすがに宏一に響いた。あまりにも気楽に言ってしまったのかもしれない。しかし、一枝のロストを成功させるためには宏一も真剣に一枝を好きにならないと、一枝は心を許すことが無かっただろう。心が通じ合わないと十分に濡れないし、上手くいくはずがない。しかし、そう言われると辛い。
「ねぇーーっ、好きだって言ったぁーーっ」
「うん、言ったよ」
宏一は肉棒の感覚がどんどん鋭くなってくるのを感じながら、なおも腰を使った。
「だったらぁーっ、だったらーっ、ねぇーっ、お願いだからーっ」
後ろから貫かれながら必死に宏一を求める一枝の気持ちは身体が繋がっているだけにダイレクトに宏一に伝わった。一枝だってかなり感じているようだ。このまま行けば一枝はいずれかなり早い時期にいけるようになるかもしれないと思ったりもした。
これ以上考えても仕方が無い。
「うん、わかったよ」
そう言って宏一はズンと力強く肉棒を突き入れた。
「ええぇああアーーっ、今何言ったの?」
「わかったよって言ったんだ」
「本当?本当に?」
「うん、一枝ちゃんがいくまで付き合うよ」
そういうと宏一は一枝をごろんと転がして正上位に入った。
「本当?ねぇ、いいの?」
「うん、一枝ちゃんを好きだって言った気持ちは本当だよ」
そう言うと宏一はグイッと肉棒を奥に入れた。
「ああぁぁぁーーーーっ、嬉しいぃーーーっ」
一枝は嬉しさのあまり、宏一に抱きついてきた。宏一は両肘で身体を支え、両手に乳房の質感を確かめながら指の間に乳首を優しく挟んで揉みながら肉棒を出没させる。
「あぁぁっ、もっと、もっとぉっ、好き、好きなの、好きぃっ」
「一枝ちゃん、感じてごらん、ほうら、気持ちいいだろ?」
そう言って宏一は一枝にキスをしに行った。このまま貫いてお終い、というのは確かに可愛そうな気がする。
「うぐぅっ、うううぅぅーっ、うううぅぅ、ううう」
一枝は宏一に応じようとキスしようとするのだが、快感のあまりキスできないらしい。宏一は一枝がこれほど感じているとは思っていなかったので少し意外だった。それは、宏一が悩んでいる間、一枝が必死になって感じそうな身体を抑え込んでいたからだった。宏一が一枝を受け入れてくれたので、抑えが一気に外れて我慢していた快感が一気に一枝の身体に溢れていたのだった。今、宏一に抱かれていて一枝は心から幸せだった。
宏一は『もしかしたら?』と思って肉棒の出没ペースを上げた。今までの、どちらかと言うと慈しむようなものから力強い出没に変えてみる。
「ううぅぅぅぅ・・・、うううあああああぁぁーーーっ」
一枝は一気に感じた。激しく首を振って声を上げている。
「一枝ちゃん、感じる?気持ち良い?」
「ううああああーっ、あああああーーーーーーっ、あーーーーーーっ」
ペースを上げたことで宏一の肉棒にも限界が近づいた。いくら放出時間が延びたとは言っても、痛いくらいあちこちにぶつぶつが出ている突起だらけの肉壁の中でグイグイ扱いているのだ。このままではいくらも持たない。しかし、ペースを落とせば夢中になっている一枝を引き戻すことになる。宏一はできるところまで突っ走ることにした。
「一枝ちゃん、もうすぐだよ。もうすぐ終わるよ」
「ああぁぁぁぁーーーーっ、あうううううーーーっ」
一枝は訳も分からずに両手を伸ばしてきて宏一の首をグイッと引き寄せた。
「そうら、もうすぐだ、いくよ、出すよ」
「うああぁぁぁぁーーーーーっ」
一枝はとにかく必死に宏一に抱きついていた。もう、すでに最後が近づいているらしい。宏一もこれ以上持たないと思った。一気にフィニッシュに入る。
「一枝ちゃん、出すよっ、そうれっ、どうだっ」
宏一の肉棒の先端の傘がグイッと開いたのが一枝へのとどめになった。一枝はわけもわからずに声を上げて一気に顎を突き上げ、グイッと大きく仰け反った。それは一枝がいった証拠だった。そこに宏一の肉棒から白濁した精が注がれる。量は多くなかったが、強烈な締め付けの中で肉棒は最後の一滴まで搾り取られた。それは一度しか体験できない、強烈な体験だった。
宏一は放った瞬間、驚いた。まさかバージンをロストした途端、いく子がいるとは思わなかった。たぶん、挿入後に時間を掛けてゆっくりと出没したのが良かったのだろう。一枝は紛れも無く身体を硬直させ、今は肉棒を感じなくなっていた。
宏一は肉棒を抜くと、
「一枝ちゃん、大丈夫?一枝ちゃん・・・・」
と声をかけた。一枝はぐったりとベッドに沈み込み、黙ったままで息を弾ませている。
「一枝ちゃん」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、私、はぁ、はぁ、どうしたの?はぁ、はぁ・・」
「いったんだよ」
「はぁ、はぁ、はぁ、これが、はぁ、はぁ・・・・」
「そうだよ。しっかりいっちゃったね」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・」
宏一は一枝を抱き寄せると、優しく髪を撫でながらキスした。
「どう?少しは落ち着いた?」
「はぁ・・・はぁ・・・・すごかったぁ」
「まさか、あっという間にいっちゃったね」
「・・・・うん・・・・」
「どう?」
「まだ指先が痺れてる・・・・・」
「満足した?」
「宏一さんは?」
「俺?俺は満足」
「それならいいわ」
「どうしたの?」
「だって、せっかく・・・・・」
「ん?」
「あの時我慢してれば、また来週会えたのに」
「でも、一気に感じちゃったね?」
「うん」
一枝は少し恥ずかしそうに宏一の胸に顔を擦り付けた。
「あのね・・・・、なんか、一気に、わぁーってなって、後はわからないの」
「そうか、覚えてないの?」
「宏一さんが前から来て、抱きしめてくれてキスしたのまでは覚えてるんだけど」
由美は部屋の前にいた。入ろうかどうしようか迷っていた。鍵を取り出して差し込もうとした瞬間、何かに弾かれたようにエレベーターへと引き返した。中から声が聞こえたような気がしたのだ。もちろん、はっきりとしたものではなく、単に思い過ごしかも知れない。そしてマンションを出てから宏一の携帯を鳴らした。
コールが鳴り始めたが宏一はすぐには出ない。直ぐに出ないと言うことは、それだけの理由があると言うことだ。分かってはいても、由美は『想像しちゃダメ、宏一さん、出て!』と心の中で叫んでいた。
やがて数回のコールの後、宏一が出た。
「由美ちゃん、どうしたの?」
「あの・・・・、行っても良いですか?」
「え?行ってもって、ここへ?」
「はい、すぐ近くまで来たんです」
「でも、どうして・・・・・」
宏一は、当然だが、とても驚いている。
「あの・・・、このままじっと家の中にいて想像してるのはいやなんです。頭の中で想像する位なら二人を目の前にしたほうが良いって思って・・・、あの・・・・終わりましたか?」
由美はそう言ってから、自分でも変なことを言ったと思った。
「うん・・・まぁ・・・・無事にと言うか・・・」
「それならお願いします」
「うん、わかった。いいよ。おいで」
「はい、すぐに行きます」
由美はそう言うと、携帯を切ってから一応、マンションの周りを少し歩いてから部屋に行った。しかし、最後は早足だった。
カチャ、由美が部屋に入ると、なんとなく部屋の空気が湿っていた。玄関には見覚えのある一枝の靴がある。由美は、やはり、と思いながらも勇気を振り絞って部屋の中に入った。
「由美ちゃん、大丈夫?いいの?」
宏一の声がした。その中には明らかに戸惑いが感じられたが、由美は思い切って部屋に入っていく。
「はい、大丈夫です。いっちゃん、どうだった?」
そう言って二人を見た由美はドキッとした。ベッドに裸の宏一が座り、その上に同じ向きで服を着ている一枝が宏一の上に座っている。それは由美が何度も体験した、あの座り方だった。一枝は黙っている。
「いっちゃん、大丈夫?」
それでも一枝は答えなかった。由美は最初、一枝が怒っているのかと思った。宏一との時間を邪魔したので一枝が怒っても当然だと、今になって気がついた。
「いっちゃん、怒ってるの?」
今度は宏一が聞いた。一枝は黙って首を振った。何か変だ。そこで由美は一枝をよく見ると、ブラウスの下にブラを付けていないらしいと言うことが分かった。と言うことは、一度裸になってから服だけを着たと言うことになる。たぶん、急に部屋に行くと言ったので慌てて着たのだろう。
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