第 65 部

             

            「こんな仕掛けが付いていたなんて知らなかった」

            「秘密の仕掛けは大切な時に使うものだよ」

            「もう」

            「起き上がってごらん」

            幸一が久美の身体を支えてそっと前に倒すと、久美は何とか身体を起こすことができた。そして起き上がる時、確かに身体から肉棒が抜ける感触があった。軽く服を直して振り返ると、半分ほどに小さくなった肉棒が自分と幸一の液体にまみれて光っていた。

            「久美ちゃん、お口で可愛がって」

            そう言われる間もなく、久美は幸一の前に跪くとそっと柔らかくなった肉棒を口に含んでいた。今はこの肉棒がとても愛しく感じる。自分を初めて絶頂に導いてくれた大好きな幸一のオチンチンなのだ。回りに白っぽい液体がたくさん付いていたが、それが自分のものだとは知らず、ただ優しく舐め、口に含み、何度も出し入れした。ただ、ほんの少しだけ回りの液体がピンク色をしていたことだけは気が付いた。

            「ありがとう。嬉しいよ」

            幸一は優しく髪を撫でながら久美に優しい声を掛けた。それを聞きながら久美は自分は本当の意味で女になったんだ、と思った。その時、久美の中から二人の液体が混じった残滓がポタポタッと落ちた。慌てて久美はそれをティッシュで拭き取るとバスルームに向かった。

            「ベッドで待ってるからね」

            幸一の声が背中を包んだ。

            そしてシャワーブースに入ったが、シャワーを浴びても思ったよりも身体が軽くならないことに驚いた。かなり疲れが溜まっているらしい。

            更に幸一を受け入れた辺りが初体験の時のようにジンジンと鈍く痺れていることに気が付いた。幸いにもお湯を丁寧に掛けた時に痛むことはなかったが、久美が想像している以上に酷使されたらしく、次第に痛みがはっきりとしてきた。まだ十分に我慢できるが、『また明日は一日ベッドの中かな・・・』と思うと少し悲しくなった。

            幸一はしばらくベッドで久美を待っていたが、思ったよりも長くかかっているらしく、久美はなかなか来なかった。じっとしていられない幸一はベッドサイドのビジネスデスクの椅子でタバコに火を点けた。『もしかしたら帰る気になって服を着ているのか?』そんな想いが強くなり、部屋から出て確認しようとした時、静かにドアが開いてバスタオル一枚の久美が入ってきた。

            「ごめんなさい。遅くなって」

            「どうしたの?心配したよ」

            「ううん、何でもない」

            「疲れたでしょ?こっちへおいで」

            そう言って幸一が久美をベッドへと誘うと、久美は静かにベッドに横になった。

            幸一が静かに久美にキスをすると、久美から積極的に舌を返してきた。そのままお互いの舌を絡め合いながら幸一はバスタオルを脱がせる。久美は何も言わずベッドの上で身体を捻ってそれに協力した。久美を全裸にすると幸一も直ぐにガウンを脱ぎ去り、久美の上に重なると首筋を唇と舌で愛しながら耳元で甘く囁いた。

            「もう少しだけ愛したいんだ」

            久美はこれ以上無理だと思ったが、こうやってベッドで優しくされるともう少しだけ欲しくなってしまうのも事実だった。明日は弟を連れて買い物に行く予定だったから先週のようにベッドに入ったままというわけにはいかないが、『もう少しくらいなら・・・』という想いがどうしても心に残る。

            「して・・・」

            久美は目をつぶって首筋を伸ばし、幸一の舌が耳の後ろの敏感な部分を這っていくのを感じながらそう言った。

            「あんまり時間はかからないから」

            「いいの」

            「それなら泊まってく?」

            「ううん、帰る」

            「それじゃ、それまでの間だね」

            「そう。優しくして」

            久美は泊まっていくなど論外だったが、泊まりたいという気持ちは持っていた。静かな朝の日差しの中で甘えながら『まだ起きたくな〜い』とわがままを言ってみたいと思う。しかし、弟の面倒を見ている以上、さすがにそこまでは無理だった。だからこそ、この部屋にいる土曜日だけは少し無理をしてでも幸一と一緒の時間を過ごしたい。

            幸一は両手で久美の両肘を持つと、いつも乳房を愛する時のように上に上げさせ、そのまま両手をしっかりと押さえたままゆっくりと乳房の回りを愛し始める。久美には幸一が何をしたいのかはっきり分かっていた。しかし、久美の予想通りにゆっくりと先端に向かって舌と唇が円を描きながら這い上がってくると、先端の辺りに一気に感覚が盛り上がってくる。それは久美の予想外だった。

            「んんっ、くっ・・・・んふっ・・・はぁっ・・・・」

            幸一は何度も円を描きながらゆっくりと頂上へと這い上がってくるが、本当にギリギリの所まで愛するとスーッと隣の乳房へと移っていく。今までに何度もされているのでそれは最初から分かりきっているのだが、久美はたちまち我慢できなくなってしまった。

            「・・ああぁっ、そ、そこっ、嫌、下がっちゃ嫌、ああんっ、ああぁぁぁ、いやあぁぁ・・・、はん、・・・んん・・・・・あぁ、また・・・・・・んっ・・・ンンッ・・・・ああん、いやぁ、また近づいてくるぅ・・・あん、あっ、イヤッ、そこでッ、あぁっ、もう少し、アンッ、ああっ、イヤッ、我慢できないっ」

            幸一の唇が乳首の横に来た時、久美はとうとう我慢できなくなって自分から身体をグッと捻った。これで幸一の唇の中に確実に乳首が入り暖かい舌が敏感になって待ち侘びている乳首を包んでくれるはずだった。しかし、幸一がスッと口を開くと久美の乳首は唇の間をかすめながら空振りしてしまった。

            「そんなぁ、いやぁぁ・・・・」

            久美は後悔した。自分からおねだりもせずに勝手にしてしまったので、幸一はきっと何かしてくるはずだ。せめて幸一に何かされるにしても、ちゃんと乳首を幸一の唇で可愛がってもらってからならまだしも、空振りしたのだからどうしようもない。

            幸一は何も言わず、もう一度両手で久美の肘をそっと押さえて久美が身体を殆ど動かせなくしてから再び乳首の回りを愛し始めた。久美は少し怖い気がしたが、静かに目をつぶって幸一にこれからされることを受け入れた。

            幸一は、今度は舌の先端だけを使って乳首の回りだけを徹底的に焦らし尽くし始めた。チロチロと舌が微妙に動き、堅い膨らみの先端の乳首の直ぐ近くを這い回る度に久美は悶えた。

            「ああんっ、ううぅ、いやぁ、ああん、ごめんなさい、あうっ、我慢できなくて、許して、ああぁっ、そこばっかり」

            「久美ちゃん、可愛いよ」

            「はん、幸一さん、幸一さぁんっ」

            久美はこれほど焦らされたのは初めてだと信じられるほど徹底的に焦らされ、あと1ミリ近寄ってくれれば蕩けるような快感が手に入る所で幸一の舌はまた距離を置くのだった。既に堅く膨らんでいる乳首はカチカチになってしまったと思えるくらい敏感になっていた。

            「はぁぁッ、お願いッ、あぁっ、アンッ、そこ、いやぁっ、もう一回、あっ、クッ、そのままッ、ああぁぁ、お願いッ、いやぁぁぁ」

            久美は少しでも身体を捻って一ミリでも良いから幸一の舌に乳首を愛して欲しかったが、今度は両肘を押さえられているので身体を捻ることができない。その久美を幸一は更に徹底的に焦らし尽くした。

            「あぁぁ、もう許してぇ、幸一さん、ごめんなさい。ああぁぁ、もういやぁ」

            久美は必死になって許しを請うた。やがて幸一は焦らし尽くすことに満足したのか、

            「さぁ、おねだりしてごらん」

            と久美の耳元で囁いた。久美は直ぐに思いつくおねだりを片っ端から始めた。

            「お願い。乳首を舐めて。優しく舌で愛して。いっぱいして。舌でいっぱい。ああぁっ、あうぅーっ、アンッ、もっとっ、はああぁーーっ、もっとしてぇっ、お口でも食べて。両方舐めて。いっぱい食べて・・・」

            止め処もなく久美の口から流れ出す喘ぎ声とおねだりは両足を擦り合わせる微かな音と一緒になって幸一の耳に心地良く響いた。

            「こう?こうかな?それとも、こう?」

            「あうぅっ、くうぅっ、・・・ああぁぁっ・・・どれも素敵・・・」

            久美は乳首が満足するまで何度も何度も幸一におねだりを繰り返した。それはとても気持ち良かったが、乳首だけを可愛がられるのでは今一歩乳房全体を可愛がられるのに比べれば物足りなかった。それは幸一も分かっていたと見え、

            「ちゃんと両手をしっかりと挙げているんだよ。良いね?」

            と言うと、いよいよ今日最後の乳房の愛撫に取りかかった。久美はしっかりと両手を上に上げて全てを幸一に託している。

            幸一が両手をゆっくりと乳房へと近づけていくのを久美は目をまん丸にしてみていた。そしてその手が同時に乳房に覆い被さり、ゆっくりと堅く膨らんだ乳房を揉みほぐし始める時、久美は初めて大きな声を出して仰け反った。

            「ああぁぁぁーーーーーーーーーーーーーっ」

            幸一は容赦無くゆっくりと乳房を揉んでいく。

            「ううぅぅぅぅーーーーーーーっ」

            あまりの刺激の強さに言葉を出すこともできず、ただ仰け反るだけの久美の乳房を幸一はゆっくりと何度も何度も優しく揉み続けた。久美は足を何度もしっかりと擦り合わせて幸一を待っていたが、やがて心が決まったのか、

            「幸一さん、入ってきて。私の中に入って」

            と乳房を揉まれる快感の中から幸一を誘った。

            「何を入れて欲しいの?」

            「幸一さんのオチンチンが欲しいの。私の中に入れて」

            「それじゃ、足を開いてごらん。このまま入れるからね」

            久美は言われた通り、ゆっくりと足を開き始めた。

            「まだまだ。もっと開かないと入れないよ」

            「ああん、もう大丈夫でしょ?ね?来て」

            「ダメ。もっともっと開かないとダメ」

            「こんなに開いてるのにぃ。まだぁ?」

            「もう少しだけ」

            幸一はそう言うと、久美が足を全開にするまで開かせてから挿入の体勢に入った。また乳房は優しく揉まれ続け、久美に十分以上の快感を送り続けていた。そして幸一は挿入の体勢に入ると腰を久美に擦り付けるようにして肉棒の先端を合わせ、ゆっくりと入り始めた。

            「ああぁぁぁぁぁっ、来たっ、やっぱり大きいぃっ」

            久美は両手を真っ直ぐ上に伸ばし、足を全開にした姿勢のままゆっくりと幸一に貫かれた。

            『こんな格好でされるなんて、なんて格好で・・・』そうは思ったが、ここは二人だけの部屋なのだ。気にすることはない。やがて身体の中で幸一の肉棒の圧倒的なボリュームが久美を支配し始めた。

            「うぅぅぅっ、おっきい。・・嬉しい。幸一さん、幸一さん」

            「久美ちゃん、なんかやっと簡単に入れるようになってきたよ」

            「私の中、もう緩んじゃったの?気持ち良くないの?」

            「そんなこと無いよ。とっても気持ち良いよ。ほうら」

            「ああぁぁっ、いいっ・・・・いいっ」

            久美は幸一が出没する度に歯を食いしばって快感に耐えた。幸一は乳房を優しく揉みながらそっと腰を使うことで久美に最大限の快感を与えていた。幸一の肉棒を自分の身体の中に感じることがこんなにも幸せなのかと自分でも不思議に思う。しかし、いつの間にか口からは甘い声が止め処もなく流れ出し、足は自然に幸一の腰に巻き付いていった。