第 66 部

             

            「ああんっ、恥ずかしいけど、とっても嬉しいのぉっ」

            「久美ちゃん、素敵だよ。最高だ」

            「幸一さん、幸一さぁんっ」

            久美は両手を上に上げたまま乳房を揉まれているので手は使えない代わりに、いつの間にか足の裏で幸一の腰を挟み、幸一の動きに合わせてクックッと幸一の腰を引き寄せるテクニックを身に付けていった。まだ幼さの残る固い肉壁は幸一の全てを受け入れることはできなかったが、女としての本能がいつの間にかより深く受け入れる動きを内部よりも先に身に付けてしまったことになる。

            「ああぁっ、凄い、こんなに太いのがっ」

            久美は可愛らしい声を上げながら自分が貫かれている姿を頭の中で想像して夢中になっていた。幸一自身は久美の身体の負担にならないように腰の動きが大きくならないように気をつけていたが、夢中になっている久美の方の動きがどんどん大きくなるので途中からは自分で腰を使わなくても良い位になった。

            それでも久美の肉壁は幸一をしっかりと扱いている。特に久美の場合、入り口をとても強く締め付けているので激しく動けない代わりに、奥の肉壁が先端を扱く時の快感が並大抵ではない。最早幸一もこのままフィニッシュまで一気に行くつもりになっていたから、先端から湧き上がってくる快感も調整せずに久美の全てを味わっていた。

            「久美ちゃん、どう?痛くない?」

            両肘をベッドについて乳房を揉み込んでいる幸一が聞くと、

            「痛くなぁいぃっ、はぁッ、はぁッ、いいっ、凄く素敵ッ、アンッ、アンッ、幸一さんっ、終わって、私の中で終わって」

            と激しい息の下から久美がだんだん高まってきた快感を予感したのか、放出をねだってきた。乳房を揉まれながら出没されるとこんなにも気持ち良いものなのかと思う位全てが気持ち良かった。

            「久美ちゃん、終わって良いの?」

            「良いの、終わって、良いのよ」

            「久美ちゃんはどうなの?いきそう?」

            「私も少し来てる。あうんっ、幸一さん、来てるぅ」

            「いきたくなったらちゃんとおねだりするんだよ」

            「おねだりしなくてもいっちゃうぅ」

            「ダメ、ちゃんとおねだりしないとダメだよ」

            「そんなぁ、もういいでしょ?いいでしょぉ?」

            幸一は少し高まってきていたが、遠慮無く久美の腰が動きにくいような位置に腰をずらし、深い位置での出没を止めて浅い位置でのそれに換えた。

            「ダメ、おねだりできない子の言うことは聞けないよ」

            「いやぁぁぁ、ここまで来てそれはだめぇ、ねえぇっ、ああん、元に戻っちゃうぅぅ」

            「ちゃんとおねだりするよね?久美ちゃん?」

            ゆっくりと肉棒を出没しながら言われると圧倒的に説得力があった。久美は大好きな宏一を喜ばすため、そして自分が快感の中にのめり込むために頷いた。

            「良い子だ。そうら、もう一回だよ」

            「あぁぁっ、また深いのがッ、あうぅっ、あうっ、あうっ」

            「おっぱいだってこうしてあげるよ」

            「はうぅっ、ううっ、あぁっ、あうっ、あぁっ」

            今のほんの少しの中断で幸一の肉棒はリフレッシュし、久美の身体は待ち侘びた分だけ感度が高くなった。だから運動を再開した後は久美の方がどんどん高まっていった。

            「ああっ、幸一さんっ、また来たっ」

            「何て言えばいいの?言ってごらん?」

            「そ、それはっ・・・・、ううっ、・・・・ちゃうぅ・・・」

            「久美ちゃん、しっかりおねだりしなさい」

            「なんて・・・いうのぉっ・・??」

            「知ってるでしょ?言ってごらんッ」

            「ああん、いやぁ、それはいやぁぁぁ」

            「まだわがまま言うの?久美ちゃん」

            その言葉に久美は反応した。

            「言う。言うからっ。・・・・いかせて、お願い。いきたいの。いかせてぇっ」

            「もう持たないの?」

            「もうだめ、ああぁっ、いっちゃう、いっちゃうぅっ」

            「よおぉし。こうしてあげるっ」

            「ああぁっ、そんなにしたら壊れちゃうぅっ」

            「ほうら、いってごらん」

            「あんっ、あんっ、あんっ、いっちゃいそう、いっちゃうのぉっ」

            久美はそう言ったが、実際はいくまでにそれから少し時間がかかった。まだ、いくこと自身の経験が少ないのだから仕方がない。それでも最後、幸一が耐えきれなくなって放出する直前になって無事にいくことができた。

            「はうぅぅぅぅぅぅーーーーーーっ」

            「久美ちゃん、俺も我慢できないよっ、もうダメッ、ああぁぁぁっ、くうぅぅっ」

            久美の肉壁がきゅぅぅっと締まった所で幸一が耐えきれずに放出した。

            「ううぅぅぅぅーーーーーーーっ」

            二人は抱き合ったまま声にならないような声を出し、同時に終わったことを確かめ合った。それはきらめくような声ではなかったが、二人にとっては世界最高の瞬間であり、相手と完全に一体化したことを確かめることができた幸せな時間だった。

            幸一の肉棒からはもう余り精が出なかったが、それでもたっぷりとした放出感に幸一は満足したし、久美は幸一が自分の中で終わってくれたことが嬉しく、自分の女としての機能が正しく働いていることを確認できたので二重の喜びだった。

            それまで久美の中で圧倒的なボリュームを占めていた幸一の肉棒が、絶頂後の無感覚の間にずっと小さくなっている。やがて久美には殆ど気にならない位になってしまった。

            「幸一さん、一緒に終わったの?」

            「うん、一緒だったよ」

            「嬉しい」

            「久美ちゃんの中は最高だよ。夢中になっちゃった」

            「それも嬉しいの」

            「抜くよ」

            そう言うと幸一は肉棒をゆっくりと抜き去った。幸一が久美の横に来るために体勢を換えた時に久美はチラッと見たが、それでも幸一の肉棒はそれなりの大きさがあった。『まだあんなに大きいのに感じなくなっちゃったのかしら???』久美は少し不思議だった。『あんな大きなのを感じなくなる位に慣れたのなら、直ぐにあのおっきい状態でも感じなくなってしまうのかな?』そう思うと不思議さと怖さが入り交じる。

            「どうしたの?」

            幸一は久美の横に来ると、優しく細い身体を抱き寄せた。久美は力強い腕に抱かれて身体が満足した状態のまま優しさの中でまどろむ。こんな幸せな時間があることを教えてくれた幸一が本当に好きだった。

            「久美ちゃん?」

            「ううん、何でもないの」

            「どうしたの?疲れちゃったかな?」

            「幸一さんて、凄いんだもの。あんなにされたら壊れちゃう」

            「そんなにしてないよ」

            「そうなの?私には凄すぎる位だったの」

            『いったい誰とそんなに凄いことしたの?』という言葉はとても口にできなかった。

            「ごめんね。もっと優しくしないとダメだね」

            「そんなことない・・・・・」

            「どうしたの?」

            「ううん」

            「何か言おうとしたみたいだけど・・・・・」

            「幸一さん、私、幸一さんしか知らないの。幸一さんだけなの」

            「そうだね。嬉しいよ」

            久美は今まで気になっていて仕方なかったことを思い切って聞くことにした。明確な理由はないが、たぶん、これが一回だけのチャンスだと思った。久美の持つ女の本能がそう言っていた。もともと久美は恋人としてこの部屋に来たのではない。幸一の食事の世話をするために来ているのだ。幸一に恋人がいても何の不思議もなかった。ただ、こうなった以上は幸一にそれを聞く権利があると思ったし、今でさえ幸一無しでは暮らしていけない状態になっているのに、これ以上のめり込んだら恐ろしくて絶対に聞く勇気などでないと思った。満足感に心から満たされている今の瞬間しかチャンスはないのだ。この数ヶ月の苦労を思うと、久美は全てを掛けてでも聞いておきたいことが一つだけあった。

            「幸一さん、怒らないでね。絶対に怒らないで」

            「うん、怒らないよ」

            久美は幸一に身体をピッタリとくっつけて真っ直ぐに幸一の顔を見上げた。幸一は久美の心の中など分かるはずがないから静かに目をつぶっている。久美は想いの全てを込めて短い質問をぶつけてみた。

            「幸一さん、好きな人はいるの?恋人は?」

            久美の思いの深さに反して、幸一は目をつぶったままいとも簡単に答えた。

            「久美ちゃん以外はいないよ」

            暗い部屋の中で久美の顔がぱっと明るくなった。

            「本当?」

            「うん、そうだよ」

            「あの・・・」

            「ん?なあに?・・・・・・・言ってごらんよ」

            「幸一さんの会社の部屋で案内してくれた女の人・・・」

            「澤田さん?」

            「うん」

            さっきまでは何とか揃えられた勇気が急速に小さくなっていく。まるでウルトラマンのカラータイマーみたいだと思った。もう殆ど問い詰める勇気が残っていない。

            「え?あの人?」

            「・・・・・・・・素敵な人だから・・・」

            「そうだね。あの人と恋人になれる男は幸せだろうな」

            「幸一さんは・・・・違うの?」

            ここまで言うだけで殆ど久美の勇気は使い果たしてしまった。これ以上はとても怖くてつっこめない。

            「うん、残念ながらね」

            その言い方が引っかかったが、久美はその言い方から幸一は澤田と何の関係もないのだと思った。それでどうやら安心できた。幸一は少しの間静かに考えていたが、やがて久美の髪を撫でながら話し始めた。

            「久美ちゃん」

            「はい」

            「心配しないで。できるだけのことはするから」

            「はい」

            久美は少し話が違うと思ったが、幸一の言葉がとても優しいのでそのまま聞いていた。

            「英二君と二人でここに越して来たって良いんだよ」

            「そんなこと・・・」

            「はい、でも、嬉しいけど・・・・・」

            久美は心の中に何か引っかかるものを感じていた。大好きな幸一だからこそかも知れないが、何かが違うのだ。この幸せな状況の中で何が、と思うのだが、どうしても腑に落ちない。

            「幸一さん」

            「なあに?」

            「何か、私が知らない事ってありますか?」

            幸一はびっくりした。久美が突然こんなことを言い出すとは。それに、確かに今夜久美に話そうと思いながら話さなかったことがある。それを指摘された気がした。

            「久美ちゃん、話したいことがあるんだけど・・・・・」

            「何ですか?」

            久美はそう言いながら、自然に身体が少しだけ幸一から離れるのを止められなかった。