第4部

「どうする?」

どうもこうもなかった。既に目の焦点は定まらず、快感を我慢するだけで精一杯だ。何とかしてもらわないとネガを見るどころか身体が壊れてしまいそうだった。

「どうして欲しいんだ?」

「いやぁ・・ダメ・・許してぇ・・・」

「このままがいいのか?」

「いやぁ、そんなぁ・・・だめぇぇぇ」

「どうして欲しいんだ。ちゃんと言わないとこのままだ」

「だめぇ、いやぁぁぁ、ああん」

「そうやって時間が過ぎるのを待つことだな。それでも構わないぞ」

「いや・・・して・・・」

「何をどうして欲しいんだ」

「・はあっ・・指でぇ・・してっ・・早くぅ・・」

「こうか?」

康司が指を秘核の周りで上下させると、昌代の全身をとろけるような快感があふれ出た。

「くぅーーーっ、あああぁぁぁぁーーー、いぃぃぃぃーーっ」

「いいのか?感じるのか?」

「ちがうぅぅっ、いやってぇぇ、いやってぇ、ああーっ、いいーっやぁあ」

これ以上何か声を出せば、喜んでいるのを教えるようなものだった。昌代は必死に声を抑え、康司の指で悶える身体から沸き上がる快感に必死に耐えた。これほどの快感は初めてだった。

「どうなんだ?気持ちいいって言えば、もっとしてやるぞ」

「くうぅっ、はぁっ、はぁぁーっ、あうぅ、あん、はあーっ」

「そうか、それならもう一回だな」

康司は指を動かすのをやめ、ゆっくりと昌代の背中から焦れったい愛撫を再開した。

「ああん、・・・」

「何だ、もっとして欲しいのか?おねだりができたらしてやるぞ」

「そ、そんなこと・・思ってないわ」

しかし、背中や腰から沸き上がる感覚から、昌代は自分の身体がさっきほど保たないことを直感した。すぐに我慢できなくなってくるに違いない。今でさえ沸き上がってくる感覚に押し流されて、ネガを見ても何が写っているのか読みとるのは難しかった。

「待って、お願い、ちょっと待って」

「なんだ」

「土曜みたいに・・して・・・お願い」

「交代でするのか?いいのか?」

「そうして・・・ください・・・」

「よし、6時半まで40分ある。20分づつだな。スタートだ」

康司は腕時計のタイマーをスタートさせた。昌代は飛びつくようにネガを調べ始めた。暗室の机に比べてベッドのヘッドボードが小さいから、乗っているネガの数も少ない。これならかなり効率よく探せそうだった。もし、康司が約束通り、全てのネガをここに置いているのなら。

すぐに1枚見つけた。春の運動会のネガの中に混じっていた。抜き取って康司に見せ、頷くのを確認する間もなく次のネガを探す。ほんの2分も経たない内にまた見つけた。けだるい体に鞭打って意識を集中して探し続ける昌代は最初の10分で4枚もネガを見つけた。康司は全裸になってベッドの上でネガを探している昌代を見て欲情がたぎってきたが、すぐに自分の時間になると納得させて我慢した。

その代わり、自分も服を脱ぎ、全裸になって昌代の隣に横になり、昌代の身体をゆっくりと鑑賞していた。俯せになった尻の奥から茂みと秘唇が少し覗いているのが康司をそそった。

昌代は賭けに出て当たりだったと思った。あのままだったらこれほど短時間で何枚も探し出すことは不可能だったに違いない。また1枚見つけた。この時間が終わってから何が起こるかは一切考えないようにして、とにかく与えられた時間でネガを探し出すことに集中した。自分でも面白いように見つかった。

「時間だ」

康司の時計がピピッと音を立てたとき、昌代は更に6枚探し出していた。今日は全部で11枚も探したことになる。

康司は、昌代の身体を仰向けにした。ゆっくりとこれから起こることを知らせるように昌代の身体を上から下まで舐めるように見る。昌代の顔は今までとは一変して怯えていた。昌代の身体の全てを明るいところで初めてゆっくり見た康司は、大人びた体つきに満足した。胸の膨らみは充分に大きいが、形が崩れるような大きさではなく、大きくくびれた腰は尻の半分ほどの幅しかない。そして、茂みの奥には小さな秘唇が顔を出していた。この姿を想像して自分を慰めている同級生に見せてやりたいくらいだ。

「約束通り20分は何もしなかった。これから可愛がってやるからな」

康司はそう言って、昌代に抵抗しないように暗黙の指示を与える。昌代が抵抗しないのを確かめると、その美しい身体を抱き寄せた。康司はねっとりと舌を絡めながら指で乳房を刺激し始める。目をつぶってじっと耐えている昌代は、最初はあまり感じなかったので少し安心した。20分も時間をおいたので、身体の感覚が普通に戻ったようだ。康司が何度もじらすような愛撫をしても、昌代の身体はほとんど反応せず、昌代は心の中で時間を数えながらただじっとしていた。

しかし、5分近く過ぎた頃から昌代の身体が再び康司の愛撫に反応し始めた。一度身体に火がつくと、あとはアッという間に身体中に燃え広がった。昌代の身体が簡単な愛撫にもビクンと反応し、茂みの奥から潤いが沸きだしてくる。

昌代の身体が思い通りになってきたので、康司は初めて乳房を両手で一気に揉み上げた。

「はああぁぁぁーーーン」

昌代の体が大きく弓のように反り返り、思わず康司に乳房を突き出す。ごく弱くゆっくりと揉みながら乳首の周りを舌でゆっくりと舐め回し、昌代の身体にあと一歩で大きな快感が手に入ることを予感させる。

「いや、いや、それはいやぁ、アアン、いやぁ」

昌代は確実に追い込まれていった。何とか自分のプライドを守りながら快感を得ようと、身体をねじって康司の口の中に乳房を入れようとするが、康司はギリギリの所で交わし続ける。

「乳首を食べて下さいっていえば、たっぷりして上げるよ」

康司は焦らしながら優しい声で昌代を追い込む。

「いやぁ、そんな声で言わないでぇ、アアッ、ハン、はうウッ」

「知ってるか、無理に我慢し続けると身体の感覚が麻痺して不感症になるって話。あれ、本当らしいぞ」

「いや、イヤッ、絶対いやぁ」

「どうする。ちゃんと言えるか?それともこのまま更に焦れるか?」

「許して、お願い、もう、許して」

「言えるなら言ってごらん。約束は守るよ」

康司は口調をできるだけ優しいものに変えた。昌代はもうどうでもいいと思った。どうせ康司にいいようにされるだけだ。ここで我慢すれば更にもっと焦らされるだけだ。『我慢しても同じことじゃないの。無駄なことはやめた方がいいわ。思いっきり感じたいんでしょ』心の中で悪魔が囁く。『あれだけ探せたんだから、今日はもう充分よ。一回だけ、一回だけ言えば身体は満足するわ』心の中で悪魔の声が次第に大きく響く。いくら我慢してもその声は大きくなるばかりだった。そして、最後に昌代は悪魔に負けた。

「乳首を・・・舐めて・・・」

「こうか?それともこうか?」

「はあーーっ、くぅーーっ、すごいーっ、あああーーっ」

康司の口の中で交互に乳首が転がされ、指で軽く弾かれると昌代の身体がどうしようもないと言う感じで大きく悶えた。我慢していた分だけもの凄い快感だった。

しかし、昌代にとっては思いがけないことが起こった。乳房から発する最高の快感と同時に、強烈に秘唇が疼くようになった。今まで触られていなかっただけに、うずきを癒すことができず、どんどん疼いてくる。我慢できないと言った感じで両足が縄をなうように擦り合わされ始めた。それを康司が的確に指摘する。

「どうしたの?どこが疼くの?言ってごらん」

「いやぁ、いやぁ、そっちはいやぁ」

「土曜日はあんなに可愛がって上げたのに、今日はして欲しくないの?敏感になってきたんだろ?」

康司が軽く茂みを撫でるだけで身体の奥まで快感が走り抜け、更に焦れったく疼く。

「土曜日だってもっとしたのに、今日だけ嫌がるの?」

「そんなことぉ、アアッ、ダメェ、我慢できないぃっ」

「どこをどうして欲しいんの?言えたらちゃんとするよ」

「そんなこと言えるはず、はうウッ、はんっ、はんっ、お願い」

「どうして欲しい?」

「・・・してぇ・・・」

康司は少しだけ口調を強くした。ここは無理にでも昌代を落とさなくてはいけない。

「舐めてって言えたらして上げる。きっと凄く感じるぞ。早く楽になって感じたらどうなんだ?夢中になれるぞ」

「いやぁ、くちはいやぁっ、いやぁ、もうっ、だめぇ、限界よぉ、早くぅ」

「ほら、言ってごらん」

昌代はもうどうでもいいと思った。我慢しても何もいいことはない。『こうなることは最初から決まっていたんだ。私が悪い訳じゃない。不感症になったらどうするの』昌代はそう自分に言い聞かせ、康司の望みの言葉を口にした。

「な、舐めてぇ・・・早く、早くぅ」

康司は乳房への愛撫を中断すると下に移り、昌代の両足を大きく広げ、茂みの中に顔を埋めた。

「いやっ、見ないで、いやあ」

「だいじょうぶ、すぐにしてあげる。もうこんなになってるんだ」

「やだぁ、だめ、いやぁ」

既にドロドロの状態になっていた秘唇は大きく膨らみ、ねっとりとした白い液体が広げられた秘唇の間に糸を引いている。その液体の量が昌代の我慢していた時間の長さを物語っていた。秘唇の中から秘核が鋭く尖って突き出している。康司はその液体まみれの秘唇ごとゆっくりと舌で撫でるように舐め上げてやる。

「あ、あああーーーーっ、いーーーーっ」

昌代の体の中で何かが爆発した。指の先まで痺れるような強烈な快感が走り、それを表すかのように昌代の身体はピンと反り返る。康司の舌が舐める位置を変えると、昌代の腰は一番感じる場所を舌の位置に持ってこようと無意識に腰を突き上げたり、沈めたりした。無意識のうちに快感を追いかけて自分の体を動かしていた昌代は、やがて、康司が舌を動かさなくても自分の腰が勝手に上下に動いて秘核を下から上に舐め上げさせるようになった。

「はあん、はあん、はうっ、はうっ、ああっ」

昌代は自分で腰の動きを止めることができなかった。止めようと腰を動かすと、そこからまた快感が付き上がり、元の位置に戻そうとするとまだ快感が沸き上がるのだ。康司の下の動きでベッドの上の昌代の身体は若鮎のように跳ね続けた。

康司は、あまりに昌代が喜ぶことに驚き、このままとことん喜ばせることにした。秘核を舐めながら両手を上に伸ばして乳房を揉み始める。

「ああっ、そんなぁっ、すごいーっ、だめぇぇ」

昌代の身体がくっと仰け反る。それでも、このままではどこまでされるか分からない。昌代は康司の顔を何とか離そうと、康司の頭に手をやった。しかし、それを突き放そうとしたはずが、自分の腰が自然に跳ね上がると、康司の顔を秘唇に押し当て、どうしても自分からごしごしと秘唇を擦り付けてしまう。それは恥ずかしさを上回る初めての猛烈な快感だった。

昌代は今までこんなにセックスで感じたことはなかったので、どうしていいのか何も分からなかった。定まらない視線を頭の回りに散らかっているネガに巡らす。既に見たはずのネガばかりだった。

「はうぅ、ああぁーっ、んんんーっ、く、あーっ」

身体からは更に強い快感が襲ってくる。その時、視界の隅のネガが一瞬頭の中で光ったような気がした。『あれに私が写ってる』そうは思ったが、身体をどうすることもできなかった。

20分経ってタイマーがピピっと鳴ると、康司は昌代の液体でびっしょりになった顔を上げて昌代を解放すると、昌代は足を拡げたままグッタリとベッドに沈み込んだ。まだ身体の奥に快感が残っており、あちこちがヒクヒクと痙攣していた。康司は昌代の秘口が小さく痙攣しているのを上から眺めながら、

「今日はこれくらいにしよう。帰っていいぞ」

と言った。昌代はしばらく何も言えず激しい息をしていたが、やがて、

「もう少しだけ・・探しても・・いい?」

と平然と言った。康司は、屈辱感をにじませながら無言で帰るとばかり思っていたので、

「本気か?まだしたいのか?」

と思わず問い返した。

「もう少しだけ探したいの。10分だけ」

昌代は、さっき一瞬頭の中に焼き付いたネガの場所を覚えていた。その他にもまだ見つけられそうな気がしていたし、康司に感じさせられて仰け反っている間に2,3枚は他にも見つけたような気がした。どうせ見つけるのに時間がかかるなら、今日の内に探しておいた方がいいと思ったのだ。

「時間外だ。それなら10分ずつの他に5分間、口でしてもらおうかな。知ってるんだろ?」

そう言うと、康司は大きく反り上がった肉棒を見せた。昌代はグロテスクなものにたじろいだが、

「どうすればいいの?」

と何とか平然と聞き返した。

「口の中に入れたり出したりすればいいんだよ。難しいことじゃない。やったこと無いのか?」

「あ・・あんたの知ったことじゃないわ」

そう言うと、横たわっている康司の肉棒をつまみ、口を近づける。異臭に驚いたが、思い切って口の中にくわえ込んだ。しかし、頭を上下させようとすると、異物感にもどしそうになり、すぐに口から出してしまう。

「ちゃんと口に入れないと時間を計れないじゃないか」

昌代は目をつぶったまま必死になってフェラチオを続けた。ピピッという音が聞こえた。

康司は、あの橘昌代にフェラチオをしてもらっていると言うことに感激した。裸にしたり、触ったり舐めたりというのは康司がすることで、昌代からすることではない。腕時計を握りしめながら、全裸になって四つん這いで懸命にフェラチオをする昌代を心から可愛いと思った。

ピピッと音がして時間がくると、昌代はサッと起き上がり、まるで康司がそこにいないかのようにネガにむさぼり付いた。心当たりを探すと、確かにあった。しかし、見つけたのは1枚だけで、他の心当たりは全てはずれた。

健一にもしたことのないフェラチオまでして手に入れたにしては少ない成果だった。時間が過ぎていくのがあっという間で、2枚目を探している間にピピッと鳴ってしまった。

「それじゃ、入れさせてもらうか。もうさっきからびんびんになってる」

康司はそう言うと、昌代をベッドの真ん中に引きずってきて、挿入の体勢を作った。

「ちゃんと付けてよ」

昌代はできるだけ冷たい声で言った。もうどうしようもない、そんな感じの投げやりな言葉だった。

「分かったよ。確かこの辺りにあったよな」

康司は近くの引き出しから取り出すと、反り返っている肉棒にかぶせた。その仕草が全く不慣れなので、昌代は康司が童貞ではないのかと思った。案の定、付け終わって挿入の体勢を作っても、なかなか入れられずに他の場所ばかり突き上げていた。

「何だ、入れられないの?私、何もしてないわよ」

冷たい声が康司に浴びせられる。せめてもの昌代の反撃だった。昌代にとって不幸だったのは、その言葉で康司の肉棒が少しずつしぼみ始めたため、却って体積が小さくなって柔らかくなった分、挿入がしやすくなったことだ。

秘口の一点を付くとスッと肉棒が奥に入っていった。康司はやっと挿入できたことに安心し、ピピッとタイマーをかけるとゆっくりと奥に進めていった。

「あ、あああっ、そんな・・・」

昌代の中で肉棒は最初から快感を生み出しながら中に入っていった。まだあまり大きくなかったので肉壁も太さを拒絶しなかった。

康司は、初めて肉壁に包まれる感覚に感激した。温かく、柔らかく、そして部分的に堅いところがあったが、コンドームと昌代自体の液体でスムーズにしごかれた。

「ああーーっ、そんなぁ、いやぁ、おっきくなってくるぅ」

昌代は体の芯から沸き上がる快感に驚いた。肉棒は刺激を受けて本来の大きさに戻り始めていた。昌代の中に入ってから大きくなったので挿入の痛みはなく、きつい感じばかりがしたが、そのうちに猛烈な快感が昌代の中で吹き出し始めた。

やっと昌代はセックスで快感を得られるようになったばかりだった。健一とのセックスでは肉体的な快感よりも、どちらかというと精神的な満足感の方が大きいくらいだった。しかし、今は違う。康司は肉壁の感覚をゆっくりと味わおうとして、中に入ったままじっとしているので、肉壁の締め付けのみが昌代の快感の源だった。だんだん自分が我慢できなくなってくるのが恐ろしかった。

「いやぁ、こんなのぉ、ああん、いやん、はあっ、はうーっ」

昌代の口からは甘い拒絶の言葉が漏れ、自分の腰が少しずつ動き始めるのを止められなかった。昌代は、どうして5分、いや2分にしなかったのか心の底から後悔した。2分だったらどうにか耐えられたかも知れなかった。しかし、10分は我慢の限度を遥かに超えていた。やがて康司がゆっくりと動き始めると、更に強い快感があふれ出る。

「はあーっ、いやあん、ううん、だめえっ、そ、そこっ」

肉棒が中の一点を通るときにとろけるような快感が加わる。康司の肉棒がGスポットを擦ったのだ。

「どんな風に動いて欲しいんだ?言えよ」

そう言いながら、ゆっくりと長いストロークで動いたり、細かく早く動いたり、強く大きく動いたりして康司は昌代の身体の反応を確かめた。

「いやぁっ、そんなの、だめよぉ、ああっ、そこはっ、あーっ」

昌代は康司に身体を観察される屈辱に耐えられなかったが、快感は更に大きかった。康司はもっと色々ためしてみたかったが、挿入して3分も経たない内に自分自身が我慢できなくなってきた。昌代の肉壁の締め付けが気持ちいいのだ。これ以上我慢できなくなってきたことをさとると、康司は思いっきり出没を開始した。噴出までの数秒間、昌代はもの凄い快感に襲われた。しかし、それが突然無くなり、康司が奥に差し込んだまま動くのをやめたので、康司が終わったことを知った。

「何だ、もう終わったの。それじゃ、さっさと抜いてよ」

昌代はやっと終わったと思った。身体には甘い感覚が溢れていたが、康司が抜けば解放されると思った。しかし、康司の肉棒は噴出を終わっても小さくならなかった。高校生の若さ溢れる肉棒は、すぐに肉壁がざらっと撫で上げる感覚を喜んで再び堅く大きくなった。康司は、今度は余裕を持って動くことができた。

「まだ時間じゃない。時間までたっぷり感じさせてやるよ」

そう言うと、肉棒を奥で細かく動かしたり、ゆっくりと引き抜いたりして昌代から声を搾り取った。特に、ゆっくりと引き抜かれる感覚は溜まらなかった。何度も自分から腰を突き上げそうになる。寸前まで引き抜かれた肉棒が再び進入を開始すると、昌代の足は自然と全開になって康司をより奥に導こうとした。既に中はぐしょぐしょで、出没するときにグチョッといやらしい音を立てた。康司は、昌代の体が強い出没を喜ぶことを知ると、

「もっとズボズボしてって言えば、思いっきりしてやるぞ。焦れてるんだろ?」

そう言いながらゆっくりと肉棒を動かした。

昌代の身体は暴走する寸前だった。5分どころか、1分だって我慢できなくなってきた。おとなしく与えられる快感だけをじっと待つセックスなどしたことのない昌代は、既にいつ康司を求める言葉を出すかだけしか選択の余地がなかった。

康司は、出没に応じてゆっくりと小さく揺れている乳房を可愛がることにした。既に乳首は尖りきっている。肘で身体を支えて一気に両手で揉み上げ、乳首を指で転がしてやると新しい快感が更に深く身体を満たす。

「くうぅーっ」

乳房からの快感で身体をのけぞらせた昌代の身体で最後の砦が崩れた。

「はあううっ、イイッ、ああーーっ、もっとぉ、もっとぉ、ズボズボしてぇ!」

康司の腰が大胆に動き始めると、昌代は何も分からなくなった。

「アアッ、イイッ、イイッ、か、感じるぅッ、ああぁぁーーっ」

両足を思いっきり開き、何も分からずに必死に康司にしがみつく。昌代の身体は快感の波に飲み込まれ、自分が何を言っているのかも分かっていなかった。

「ダメェ、いやぁ、いやぁ、アアッ、ダメぁ、やめちゃいやぁっ」

昌代が康司の攻めに屈し、快感をむさぼっている姿は普段学校の橘昌代とは思えない嫌らしさだった。康司が2回目に終わる前にタイマーがピピッと鳴った。

康司は残念そうに肉棒を引き抜いた。

「いやぁ、まだいやぁ、ああ、いやぁ」

昌代は康司が肉棒を抜き去る間、もっと次を要求していたが、抜き去ってからは一言も話さなかった。康司はじっと昌代を見ていたが、その視線自体が康司の勝利宣言だった。昌代は康司が一言言えば屈辱感にまみれることを知っていたので、康司の方は一度も見なかった。

そして、ノロノロと起き上がるとゆっくり服を着て、ネガを手にすると部屋を出ていった。昌代の頭の中には、最後に訳も分からず自分で言った言葉が断片的に渦巻いていた。恐ろしい言葉を言ってしまったような気がして、気分が重かった。唯一の救いは今日だけで10枚以上のネガを手にしたことだった。

 

 翌日の火曜日、昌代に亮子から話しかけてきた。

「土曜日の夜はどこにいってたのよ。携帯にかけてもでないし。心配したわよ」

「ごめん。ちょっと気分が悪くて切ってたの」

「あの、ネガ、どうなった?」

「少し取り戻したわ。まだ半分以上残ってるけど」

「そう、よかったわね。じゃ」

亮子はそう言うと離れていった。昌代は、亮子が土曜日は心配してくれていたものだと思っていたので、あまりに素っ気ない亮子の様子に驚いた。あわてて追いつくと、

「土曜日は学校まで心配して見に来てくれたでしょ。ありがと。お礼言うの忘れた。ごめん」

「心配?どうしたの?何のこと?」

「え・・・だって、安田さんを連れだしたでしょ、学校から」

「あ、見られてたんだ。でも、どうして?喧嘩でもしたの?でもネガは取り戻したんでしょう?少しかも知れないけど」

「え?ええ」

「ちゃんと頼まなかったんでしょう。サヨはいつも命令ばっかりするから」

「そ、そんな・・・だって・・・」

「私が誘ったのは別のこと。私の計画に必要なのよ。彼が」

「何のこと?計画?彼?」

「中学の時からの計画なんだ。まだ内緒。それじゃあね」

亮子の様子からすると、亮子は昌代のことはもう全然心配していないようだ。それどころか、康司と一緒になにやらする気らしい。昌代は亮子の計画はどうでもよかったが、自分の味方がいなくなったような気がして寂しさが心の中を吹き抜けていくのを感じていた。

 

 その日の夕方、康司は亮子と駅で待ち合わせると、自分の部屋に亮子を誘った。綺麗に片付いている部屋の中を見回し、感心したように、

「安田さんの部屋の中、私の部屋より綺麗に片付いてる。男の人の部屋ってもっと散らかってると思ってたのに」

としきりに感心していた。もちろん、昨日は大量にでていたネガなどどこにもない。家には康司の他に誰もいないようなので、

「家の人は?買い物?」

と聞くと康司は、

「ううん、親は焼鳥屋をやってるんだ。だから、午後に出てって帰ってくるのはいつも朝方。朝ご飯の時には会うけど、それくらいかな。休みの日以外に顔を見るのは。ま、慣れてるから」

と気軽に応えた。

「この部屋、女の子が遊びに来るようにできてないから座るとこもないね。どこか適当に座ってよ」

康司は気楽にそう言ったが、マットもないフローリングの床に座るかベッドか勉強机の椅子ぐらいしか座るところはない。亮子は思い切ってよいしょっとベッドに腰掛けると、

「安田さん、それじゃ、教えて?あの写真の解説」

そう、少しはにかみながらも笑顔で康司に行った。亮子の長い髪が入ってきた風に揺れて肩の周りでわずかに揺れている。亮子はショートカットで顔も小さく、ほっそりとした感じの体つきなので、スラッと伸びた足とぷくっと膨れた胸が可愛らしい。

「いいよ、それじゃ、そっちでやる?机の上じゃなくていい?」

康司はそう言いながら、亮子のネガや写真を机の引き出しから取り出すと、ベッドの上に広げた。

「いいかい、これが何の処理もしていないネガと同じ大きさの写真。ベタ焼きって言うんだ。ちょっと見にくいかも知れないけど、これと日曜日にあげた写真を見比べながら聞いててね。まず1枚目の写真だけど、駅に降りたところの奴は、全体にセピアトーンをかけているから、想い出の写真って言う感じになってるだろ?でも、よく見て。今野が引き立つように、今野の部分だけセピアトーンを薄くしてあるんだ。肌の色が少しだけ自然だろ?だから今野だけ少し浮き上がって見えるんだ。でも、薄くしすぎると不自然になるから、あまり薄くしすぎないのがコツなんだ」

「わぁ、ホント。確かに私の服のトーンと、横に移ってる人のトーンが違う。だから私この写真が好きなんだ。凄い、こんなことできるんだ」

「そして、このベタ焼きと比べれば分かると思うけど、セピアの方は朝なのに少し暗いだろ?焼き付ける時間を長くして、濃い目に焼いているからなんだ。だから、朝なのに夕方って言っても納得すると思うけど」

「そう、不思議だったんだ。こんな暗かったかなぁって」

康司はそれぞれの写真について、丁寧に説明していった。亮子は全く退屈する様子もなく、康司の説明を真剣に聞いていたので、却って康司の方が亮子の真剣さに圧倒されるぐらいだった。まだ亮子は康司に色々質問できるほどの知識はなかったが、それでも、どうしてここはピントが合っていないんだとか、どうして自分が浮き上がって見えるのかとか、思いつく限りの質問を康司にぶつけた。

「う〜ん、そう言う質問は自分で写真を撮ってみればよく分かるんだけどなぁ」

「撮るのは安田さんなんだから、ちゃんと説明して」

「わかったよ。いいかい、写真にはピントをなるべく近くから遠くまで合わせる取り方と、自分の撮したいものだけにピントを合わせる方法があって、時と場合で使い分けるんだ。この観覧車の中から撮った写真は、今野の後ろに景色が移っていた方が、観覧車が高く上がっているのが分かっていいだろ?景色が写っていないと面白味のない写真になっちゃう」

「そうね」

「だけど、こっちの風船を買っているところは、今野と風船を売ってるお姉さんと風船にだけピントが合っていた方が、よけいな景色が二人を邪魔しないから、二人の姿勢や表情が周りから浮き出して生きてくるんだ。この時の露出はね・・」

康司は、ど素人の亮子にも分かるように丁寧に説明していたので、10枚ほどを説明するのに1時間以上かかってしまった。その間、ずっと話しっぱなしだったので、のどが渇いた康司は飲み物を取りに行った。亮子は康司が自分の想像以上のテクニックを持っていることに喜び、ついに心を決めた。康司に以前からの計画の話をすることに決めたのだ。

康司がオレンジジュースを持って部屋に戻ってくると、亮子は意を決して話し始めた。

「安田さん、少し私の話を聞いて欲しいの。でも、その前に絶対に笑ったり怒ったり、軽蔑しないって言って」

「え?・・・分かった。約束する。絶対に笑ったり怒ったりしない」

「軽蔑もしない?」

「約束する」

亮子は表情を引き締めると話し出した。

「それじゃ、話すね。私、中学の時から自分にコンプレックスを持ってたの。他の子より子供っぽいって。背もみんなよりだいぶ低かったし。その時からずっと、高校生になって大人らしくなってきたら、絶対自分の綺麗な写真を撮るんだって決めてたの。どうするかは考えてなかったけど、一番自分の綺麗な写真を撮るんだって。でも、そのためには自分をきれいに撮ってくれるカメラマンが必要だから、ずっと探してた。本当よ。街の写真屋とかフォトギャラリーだってみんな行ったし、本気で依頼しようとしたことだってあるの。でも、断られるか、もの凄くお金が高かったりするのがほとんどで、中にはいやらしい目つきの人が撮ってあげるって言ってきたりして・・・。

だから、高校に入ってからは、やっぱり無理なんだって思い始めてたの。でも、夢はなかなか諦めきれなくて、いつか自分の写真を撮ってくれる人が現れるって心の中で信じて待ってた。それで、安田さんの写真を見て気持ちが決まったの。

あの、笑わないでね。私、私の写真を撮ってくれませんか?できるだけでいいから綺麗な写真を。いや?」

亮子は一気に真剣に康司を真っ直ぐ見て話した。その勢いに康司は圧倒されてしまった。

「わ、わかった。でも、もう撮ってるじゃない。この写真じゃダメなの?結構これでも真剣に撮ったんだよ。焼き付けだって時間が短かったけど、できる限りのことはしたつもり・・・」

「違うんです。こんな普通の写真だけじゃなくて・・・、あの・・・・夏だから・・・そのままって言うか・・・・あの・・・水着だけじゃなくて・・・・もっとそのままの・・・あの・・・・」

「それって、もしかしてヌード写真?」

下を向いて黙ってしまった亮子をのぞき込むように康司が尋ねると、コックリと頷いた。

「そうか・・でも・・」

「ダメ?」

「うーん、ヌードは撮ったことないしなぁ・・・難しいし・・・」

康司は亮子の本心を計りかねていた。突然康司の前に現れてデートに誘い、自分のヌードを撮ってくれと言う女子高生がいるだろうか?亮子は昌代の友達だから、もしかしたら昌代に頼まれて康司をはめようとしているのかも知れない。そんな心配をしながら亮子を眺めていた。

「あの、お金がかかるんだったら、少しはあるの。私の貯金。お礼はあまりできないけど・・・・でも考えはあるの」

「お金の問題じゃないよ。でも突然言われたからびっくりして。こんな可愛い子から言われると、何て言うか、現実じゃないって言うか、そう、現実感がないんだ」

「いやなの?それなら仕方ないけど」

亮子の表情に本当にがっかりしたという感じがありありと浮かんだ。

「でも、このことは絶対に誰にも言わないでね。家族にだって言ってないし、今まで本当に私の心の中だけでずっと考えていたことなんだから。お願い。絶対に黙っていて。絶対よ。もし、誰かに話されたりしたら、私・・・」

その表情は真剣だった。このまま康司が断れば、もう亮子と二度と会えなくなるだろう。それがはっきり分かるほど緊張感のある瞬間だった。それを思うと、康司は危ない橋でも渡ってみようと言う気になった。何と言っても亮子は康司の好みにピッタリだった。危ない橋を渡ってでも、亮子は康司を引きつける魅力を持っていた。

「そんなに心配しないで。分かった。全力でやってみるよ。俺にできることは全部する。安心してまかせて」

「本当?!」

あまりに大きな声を出したので、康司はびっくりした。

「本当に撮ってくれる?私を!」

「ああ、撮るよ。色々な今野さんを真剣にとって最高の写真を作るよ」

「嬉しい。康司さんを信じてよかった。本当に・・・嬉しい。やっと願いが叶う」

「約束するよ。安心して」

「それに、もう一つあるんです」

「私・・・あの・・バージンなんです」

亮子は恥ずかしそうに言いながら、康司に身体を預けてきた。

「え?だから?・・まだ何かして欲しいことがあるの?言ってごらん、こうなったらできることは全部するから」

亮子は康司に更に近づき、じっと下を向いている。

「??」

「あの、一度だけだから、その時も撮って欲しいんです。一生に一度だから・・・」

「・・え?・あの・・もしかして・・ロストするのを・・写真に撮影するの?」

亮子は下を向いたままこくんと頷いた。

 

 

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